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(投稿:by 僻地の産科医)
お盆だというのに、なんだかイマイチな崩壊ニュースが続いています(;;)。
日立の日製病院 分娩予約一時中止
産科医確保不透明 来年4月以降の分/茨城
読売新聞 2008年8月15日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ibaraki/news/20080815-OYT8T00027.htm
日立市の日立製作所日立総合病院が、来年4月以降の分娩(ぶんべん)予約の受け付けを「一時中止」していることが14日分かった。4月以降の産科医確保が流動的で、「現時点で予約を受けることは困難」と判断した。産婦人科の閉鎖はしない方針。日製病院は、県北地域の中核的な周産期母子医療センターに位置付けられ、県内では最も多い年間約1200件の出産を担っている。
病院によると、現在、常勤の産科医は6人いるが、医師を派遣している大学から「来年4月以降の派遣は難しい」と伝えられた。大学との間で派遣継続に向けた折衝を続けているが、現時点で結論は出ておらず、来年4月以降の体制は不透明な状況だ。病院は「不確定な状況で予約を受けるのは、不誠実になる」と一時中止の理由を説明。「一時中止は暫定的なもので、10月ごろには大学側との間で結論を出し、方向性を決められれば。医師確保が確実になれば一時中止は撤回する」としている。
産科医は全国的に不足し、24時間体制の勤務や緊急呼び出しなどの過酷な条件下で、お産の現場を支えている。日製病院でも、現在、常勤医1人当たり年間平均200件の出産を担っており、「現在の6人でも足りない」のが実情。県北地域は特に産科医不足が深刻で、県医療対策課などによると、日立地域で分娩ができるのは、高萩協同病院、日製病院、北茨城市立総合病院など5施設。日製病院と大学側との折衝結果によっては、地域のお産に大きな影響が出ることにもなりそうだ。
常勤産婦人科医ゼロ 都留市立、10月から/山梨
読売新聞 2008年8月15日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news/20080814-OYT8T00730.htm
都留市立病院で唯一残っていた常勤産婦人科医が、9月末で派遣元の山梨大医学部に引き揚げることがわかった。これに伴い、市立甲府病院の産婦人科医が1人増員されるとみられる。都留市立病院では10月以降、同大から派遣される非常勤医が週3日診察を続けるという。
都留市立病院によると、今年3月末に3人いた常勤産婦人科医のうち、2人が同大に引き揚げたため、4月からは出産の扱いを取りやめ、妊婦の検診や避妊などを扱っていた。
常勤医の引き揚げは数か月前から決まっており、8月から患者に周知を始め、混乱はないという。都留市立病院は「非常勤化による不都合が生じないよう山梨大にお願いしている」としている。市立甲府病院は同大から派遣された常勤医が3人所属し、年間800件以上の出産を扱う県内最大規模の病院。4人になることにより、出産の受け入れ件数を増やすことができるほか、医師の過酷な勤務状況の緩和につながる。
医師の短時間正規雇用を促進-厚労省
キャリアブレイン 2008年8月15日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17676.html
医師不足を解消するために、厚生労働省が来年度の新規事業として「短時間正規雇用の促進」の開始を検討していることが分かった。病院が短時間正規雇用を導入したことによって発生する経費の一部を補助する。
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同事業は、女性医師のライフステージに応じた多様な働き方を支援することで、離職を防ぎ、復職を促すための、「産科・産婦人科医の短時間正規雇用の促進」事業として検討が始まった。その後省内で検討を重ね、「女性医師」「産科・産婦人科医」に限定せず、幅広く適用する運びとなった。
短時間正規雇用の特徴は、
▽フルタイム職員と比べて所定労働時間が短い
▽基本的に残業なし
▽社会保険の適用は就業時間に比例する-など。
今年4月の診療報酬改定では、「短時間正規雇用の医師の活用」など勤務医の負担軽減のための計画を策定すれば、入院基本料に上乗せできる仕組みができた。しかし、例えば保険が適用されない正常分娩を中心に扱う病院では、短時間正規雇用医師を活用してもこれらの点数を算定しにくくなる。このため、これらの病院が短時間正規雇用を促進するための経費を補助する。
救急妊婦拒む病院増 「処置困難」「専門外」/山梨
読売新聞 2008年8月15日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news/20080814-OYT8T00728.htm
県内で救急搬送された妊婦が病院に受け入れを拒否された事例が年々増えていることが、県のまとめで分かった。受け入れ先が決まるまでに1時間かかったケースもある。県消防防災課は「産科医の不足や、未受診の妊婦の増加、産科医に多い訴訟リスクを避けるなど、全国的な傾向が影響しているのでは」と分析している。同課によると、2007年の妊婦の搬送数は計149件(転院は除く)で、このうち受け入れを拒否されたのは7件だった。06年は4件、05年は1件、04年はゼロだった。
07年の7件のうち、断られた回数は1回が5件、2、3回がそれぞれ1件だった。3回のケースでは、救急車が現場に着いてから、受け入れ先が決まって搬送されるまで30~60分かかったという。06年にあった4回断られたケースでは、60~90分かかったという。07年分を地域別でみると、峡東地域が3件で、中北と東部地域がそれぞれ2件だった。拒否理由は「処置困難」「専門外」「医師不在」が1件ずつで、「理由不明」は5件(重複分含む)。
医師不足の影響で、県内では、出産ができる医療機関が04年4月には24あったが、08年4月には16に減っている。また、全国的に、妊娠しても経済的な理由などで受診せず、出産時やトラブルが起きてから病院を訪れる「飛び込み出産」の妊婦は、リスク回避のため敬遠されるケースが多いという。県消防防災課の担当者は「搬送人員自体も少ないので拒否される数は全国的には少ない方だが、今後増える可能性はある」と懸念している。
赤穂市民病院、助産料3倍にアップ
神戸新聞 2008年8月15日
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001339418.shtml
深刻な産科医不足に陥っている赤穂市民病院(赤穂市中広)は、出産に伴う助産料を来年四月から約三倍に値上げする方針を十四日までに決めた。入院費などを含めると約十万円増の約四十万円となり、県内公立病院では最も高い水準に。増収分は産科医確保に充てたい、としている。平日時間内の助産料は、赤穂市民の場合、現行の四万三千円から十二万円に、市外住民は五万六千円から十五万六千円にそれぞれ値上げする。
これに平均的な六日間の入院費などを加算すると、正常分娩時の平均請求額は約三十万円から約四十万円に跳ね上がる。病院側は年間約四千万円の増収を見込んでおり、矢野善章事務局長は「産科の応援に来てもらっている非常勤医の費用に充てるほか、常勤医を新たに一人は確保したい。厳しい現状を理解してほしい」と話している。
赤穂市民病院は今年三月、産科医三人のうち一人が転任。研修医が後任に入ったが、人手不足を理由に市外からの妊婦受け入れを休止している。助産料の改定案は、市の公共料金改定を検討する審議会を経て十二月市会に提案される。
解説・大野事件について
医療界注目の判決、20日に 国民医療にも影響?
日経ブロードバンドニュース 2008年8月16日
http://www.nikkei.co.jp/bb/index.html
なぜ医療界の関心が高いのか
妊婦は癒着胎盤という胎盤と子宮が癒着している難しい状況だったのを、無理に引き剥がそうとして大量出血し死亡したというのが警察・検察側の主張だが、癒着胎盤は事前の診断が難しく、対応も難しいと医学会では認識されている。医療側から見ると、医師は一生懸命患者を救おうとして、結果的に不幸な事態となったわけで、最善を尽くしたにもかかわらず逮捕され、有罪となるのではやっていられないとの憤懣が渦巻いているため、判決への注目が高まっている。
医療過誤裁判は今までにも多いが
患者取り違えとか医療側の明らかなミスでなく、通常の正当な医療行為をして罪に問われるのかという怒りや驚きが医療側にあることが一つ。さらに最近の医師不足で特に産科医などは激務に追われている状況がある。当直明けにそのまま通常勤務というのが珍しくないのにかかわらず、医師、特に勤務医は給料など待遇もよくない。献身的に働いてそれで、罪になるという状況は許せないというのが医師側の言い分だ。
医療事故原因を解明するための調査組織設立の話もある
医療安全調査委員会だが、これは大野病院事件を契機に設置の動きが早まったという経緯がある。しかし、厚労省が出してきた案では、医師が通常の医療行為をしていて刑事責任を問われるという懸念がぬぐえないとして医療界に反発が多くて発足のメドは立っていない。この判決次第ではさらに設置が遅れることも考えられる。
判決の国民への影響は?
有罪判決が出れば、お産を取りやめると主張する医師もおり、難しい手術を嫌がる病院が増えるなど、影響は相当あるだろう。ただ医療事故には被害者もいて、遺族らは原因究明、再発防止を願っている。医療行為中の事故は全部免責と簡単に片付けることもできない。医療は患者と医師の双方でできあがっているものだけに、一方に偏るのではなく、公平な透明な制度をつくっていきたい。
女医の離職防げ 金大附属病院、金沢医科大病院、県立中央病院
北國新聞 2008年8月15日
http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20080815103.htm
医師が身近に―広がる安心感 大竹の阿多田島常駐1カ月
中国新聞 2008年8月15日
http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200808130480.html
県立3病院:未収金2億超える 滞納者の86%「生活困窮」--07年度 /茨城
毎日新聞 2008年8月15日
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20080815ddlk08040017000c.html
県立3病院で、患者から回収できない医療費の未収金が年々膨らみ、07年度決算(速報値)で2億円を超えたことが分かった。滞納理由は86%が生活困窮で、医療費の自己負担割合の増加などが背景にあるとみられる。国民健康保険料の長期滞納で医療費の全額負担を求められる無保険者も増えている。経営改善に取り組む県病院局は効率的な回収のため、回収業務の民間委託の検討を始めた。
病院局によると、07年度の未収金は2億2423万円(前年比2668万円増)で、約7割が過年度からの累積。03年度(1億2454万円)から5年間で1億円近く増えた。内訳は▽中央1億5303万▽友部5429万▽こども1691万円--となっている。
病院局の調べでは、無保険者が民間病院で診療を断られた末に公立の「看板」を頼りに受診し、結果的に滞納する例も増えているという。他には死亡した患者の遺族が相続を放棄したり、救急で入院した外国人が病院から失跡したケースもある。県は1カ月を超えた滞納者には文書と電話で督促し、2カ月を越えると戸別訪問を始める。高額な場合は分割払いの約束を交わす。最終手段である裁判所への申し立てはこれまで行われた例はないが、所在不明の滞納者も少なくない。
同局は07年度、職員数人で分担して前年度実績の2倍以上に当たる686戸を訪問。うち9割近くが分納などで回収の見込みは立った。民間への業務委託は効率性と現場の負担軽減を考えた措置だ。
しかし、事態は単純ではなさそうだ。中央病院で数十万円の医療費の滞納を続けていた無職の30代男性が督促に応じた。不審に思った職員が尋ねると、高齢の母親の年金から支払っていたことが分かったという。担当者は「民間であれば回収できればいいということになるのでしょうが……」と複雑な表情を浮かべる。
当番医の活用促進 塩谷郡市医師会が「かわら版」発行
下野新聞 2008年8月15日
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20080814/37432
経営、診療科など議論へ-吉野病院あり方委員会初会合
奈良新聞 2008年8月15日
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080815/all080815d.shtml
経営好転の兆し/市立釧路総合病院
釧路新聞 2008年8月15日
http://www.news-kushiro.jp/news/20080815/200808151.html
経営健全化に取り組む市立釧路総合病院の2007年度不良債務が当初、28億円近くに膨れる見込みだったが、24億円台へと経営改善の兆しをみせている。市は9月の市議会定例会に報告するが、昨年は心臓血管内科(旧循環器科)の医師不足から大きな収入減にも見舞われたが、一方で昨年7月から始めた「7対1看護」(入院患者7人に看護師1人)や、6人部屋から4人部屋への病室改善に伴う診療報酬の加算が経営改善に好影響を与えている。
国民全員で支えていく医療制度の構築を(吉良州司・衆議院議員)
JanJan 2008年8月15日
(1)http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_news/0808/0808140570/1.php
(2)http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_news/0808/0808140570/2.php
「日本の医療、しっかり学びたい」―インドネシア人看護師
キャリアブレイン 2008年8月15日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17675.html
「日本地図を書いてみよう」外国人看護師の研修
キャリアブレイン 2008年8月15日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17677.html
3600施設が廃院検討 医療費請求オンライン化で
共同通信 2008/08/14
http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008081401000730.html
オンラインによる医療費請求が2011年度から義務化されることについて、日本医師会に加入する医師が運営する診療所などのうち、約3600施設が「廃院を考えている」と回答したことが、日医の調査で分かった。調査は3-4月に都道府県医師会を通じて実施。有効回答率は59%。
義務化への対応(複数回答)を尋ねたところ「間に合うように対応」が50%、「厚生労働省の環境整備を待ちたい」が24%などとなった。これに対し「廃院を考えている」は9%に相当する約3600施設。これを運営する医師の年代別に見ると、70歳以上が約2100施設と6割近くを占めた。
医療機関が、健康保険組合などに医療費を請求する場合、現在は紙やFDなどの磁気媒体に記録した診療報酬明細書(レセプト)を郵送することが多いが、審査の効率化などのため厚労省は今春からコンピューターによるオンライン請求を段階的に拡大。11年度からは、診療所を含めた全医療機関が対象となる。
後期高齢者医療制度:先月分の自治体通知、「軽減措置」反映ゼロ--毎日新聞全国調査
毎日新聞 2008年8月15日
http://mainichi.jp/select/science/news/20080815ddm001040012000c.html
後期高齢者医療制度:お年寄り悲鳴 難解書類、どっさり
毎日新聞 2008年8月15日
http://mainichi.jp/select/science/news/20080815ddm041040122000c.html
銚子市立総合病院:休止問題 19日に臨時議会 「継続要望」どう判断 /千葉
毎日新聞 2008年8月15日
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20080815ddlk12040162000c.html
銚子市の市立総合病院の「診療9月末休止」問題で、同市議会(定数26)の臨時議会が19日に開かれる。休止に伴う同病院事業会計の補正予算や、医師と看護師ら計204人の解雇による定数条例改正などが提案されるが、「病院継続」を求める市民の声に同議会がどのような判断を下すか注目される。
同病院には現在医師12人、看護師125人(准看護師31人も含む)など計204人が勤務している。岡野俊昭市長が診療休止を発表した7月7日以降、患者の転院などを進め、一般入院患者125人は63人(8月13日現在)に、精神神経科の入院患者39人は24人(同)にまで減少した。精神神経科に通院する約1000人の患者に対しては市内に民営診療所を設置し、診療を続けられる方向で検討している。市民集会や署名運動などで診療継続を求める市民運動が繰り広げられる一方、十数議員が「休止賛成」の意思を表明。議案が可決されるかどうか注目される。
臨時議会は18日開会、5議案提案説明、質疑が行われ、20日の「教育民生委員会」での審議を経て最終日の22日の本会議で採決する。初日の本会議では診療休止に反対している加瀬庫蔵(くらぞう)議長が議長辞職願を提出し、新議長が選出される予定。
串本病院職員を処分 中1交通事故損賠訴訟 和歌山
MSN産経ニュース 2008年8月15日
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/wakayama/080815/wky0808150302006-n1.htm
交通事故で国保直営串本病院に緊急搬送された患者の死亡をめぐる損害賠償訴訟で和解が先月に成立したことを受け、和歌山県串本町は14日、患者の血液型の判定を誤り病院の信用を著しく傷つけたとして同病院の職員(50)を減給10分の1(1カ月)、監督不行き届きがあったとして同病院の管理監督者(49)を訓告処分にしたと発表した。松原繁樹町長は9月の定例町議会で自らの処分内容を明らかにするとしている。同病院などによると、平成17年9月19日、町内の中学1年の男子生徒=当時(13)=の乗った自転車が乗用車と衝突。生徒は串本病院に搬送され肋骨(ろっこつ)骨折と診断されたが、容体が悪化し翌日死亡した。
遺族は診断にミスがあったなどとして、同病院を運営する町と乗用車を運転していた男性を相手取り約8000万円の損害賠償訴訟を起こしたが、病院側が血液型の判定ミスや脾臓(ひぞう)損傷による腹腔内出血の見落としなどを認め、先月15日に7000万円を支払うことで和解した。
更年期の大汗で夏を越すのも大変ですが、なにか方法は?
毎日新聞 2008年8月15日
http://mainichi.jp/life/health/mailife/news/20080813org00m100010000c.html
もっと、知ってほしい女性のがん――患者と専門医がセミナー
JanJan 2008年8月15日
http://www.news.janjan.jp/living/0808/0808144545/1.php
肝臓移植:難病の中島さん、米の病院で死亡 /京都
毎日新聞 2008年8月15日
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20080815ddlk26040304000c.html
代理出産児の入国容認へ
日刊スポーツ 2008年8月15日
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20080815-396451.html
開設2ヵ月で700件超 子育て不安解消に一役、小児救急電話相談
長崎新聞 2008年8月15日
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20080815/07.shtml
【医療新時代】ウイルス感染の発見に 冷凍保存し輸血後検査
フジサンケイ ビジネスアイ 2008年8月15日
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200808150038a.nwc
韓国での救急医療体制について
WOW! Korea 2008年8月15日
http://www.wowkorea.jp/QnA/Qview.asp?Qid=378
医療ブログが患者のプライバシーを脅かす
2008年8月7日/HealthDay News
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm
医療専門家によるブログでは、著者が不用意に患者の情報を漏らしてしまうことがあり、患者のプライバシーが脅かされる可能性が米国の研究で示され、米医学誌「Journal of General Internal Medicine(総合内科)」オンライン版に7月23日掲載された。
米ペンシルベニア大学(フィラデルフィア)のTara Lagu博士らの研究グループが271の医療ブログの内容を分析した結果、56.8%に著者の身元を特定するのに十分な情報が含まれていることが判明。明らかな患者のプライバシー侵害はまれであったが、匿名であるはずの著者が地域、下位専門分野などの個人情報を明らかにすることによって、読者に身元が特定されてれしまう可能性があると述べている。
いくつかのケースでは、ブログを見た患者自身が自分のことが書かれていると特定できる可能性もあるという。例えば、分析の対象となったブログのうち3件には判別可能な患者の写真が使用されており、その中の1件は患者に関する広範囲にわたる解説とともに写真へのリンクが掲載されていた。また、一部のブログでは広告掲載が許可されており、本文中で医療製品を宣伝する記述のみられるブログもあった。本文中で製品について記述しているブログはいずれも医学倫理基準を遵守しておらず、利害の抵触に関する情報や、製品の宣伝に対する報酬の受け取りの有無についての情報を提供していなかった。
「多くの医療ブログは一般に向けて価値ある情報を提供しており、丁寧な論調で、匿名で書かれているが、一部には患者のプライバシーを脅かすもの、医師としての品位を損なう恐れのあるものもある」とLagu氏は述べている。「残念ながら、このような問題に関するガイダンスの提供に率先して取り組もうとする専門機関はない。医療ブログの数が増加するに伴い、専門機関、医学教育機関およびブログコミュニティがガイドライン(指針)や基準を設定し、この新しい媒体がはらむ課題に対処する必要がある」と同氏は指摘している。
よく似た薬剤名が医療ミスにつながる
2008年8月6日/HealthDay News
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20080814hj001hj
発音や綴(つづ)りが似ていることによる薬剤の取り違えや、単純な言い間違いによる問題が、医師や薬剤師の間に蔓(まん)延しているという。時に笑いを誘うものもあるが、場合によっては人の命にかかわるものもある。米国薬局方(USP)のMarilyn Storch氏は「発音を間違えれば、間違った薬剤を投与することになる可能性もある」と述べる。医薬界には常に新たな用語が入ってくるため、薬剤の数が増え、なじみのない名称が増えるにしたがって状況はますます悪化すると専門家はいう。また、医師らが学校で発音や処方の仕方を学んだ薬剤の多くが、現在は使用されていないことも忘れてはならない。
抗うつ薬Celexaと関節炎治療薬Celebrexは誤りやすい典型的な例である。このほかにも、胃腸薬Losecは利尿薬Lasix(日本での商品名:ラシックス)とよく混同されるためPrilosecと改名されたが、今度はProzac(抗うつ薬)と混同されやすくなっている。アルツハイマー病治療薬Reminylは、血糖降下薬Amarylと誤りやすいためRazadyneと改名されたが、この混同により2例の死亡例が報告されている。アルツハイマー病治験薬Flurizanの一般名tarenflurbilや別のアルツハイマー病治験薬bapineuzumabのように、音節が多く発音が難しい名称も問題となっている。(編集部注=日本国内未承認薬は英文表記)
今年はじめ、薬剤の名称と医療ミスとの関係について2万6,000件の記録をレビューしたUSPの報告によると、約1,500の薬剤が名前の綴りや発音の類似により医療ミスにつながっていたことが判明。問題となる組み合わせは3,170組あり、2004年の報告の2倍となった。医療ミスの1.4%が患者に害を及ぼしており、死亡の一因となったと思われる例も7例あった。一方で、発音ガイドの発行や命名法の改善など、このような問題に対処する取り組みも行われており、2002年からはUSPにより薬剤名の発音を統一するための見直しも実施されており、米国一般名(USAN)会議は、辞書での「ibuprofen(日本での一般名はイブプロフェン)の発音を変更した。
しかし、グローバル化によって新たな問題が生じているという。米国と英国では催眠・鎮静薬などとして用いられる「barbiturate(バルビツレート※バルビツール酸誘導体の総称)」の発音が異なるが、どちらも間違いではない。正しく発音していても、英語、フランス語、テキサス訛(なま)りではそれぞれ違って聞こえることもある。また、時には正しい発音が誰にもわからない例もあるという。ある専門家は、「学会で発表者が薬剤名を何度も間違って発音していたが、単に発表者だからと思っていたら、実はその薬剤の発見者だった」という自分自身の経験を述べている。
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