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(投稿:by 僻地の産科医)
M3の橋本編集長からですo(^-^)o ..。*♡
睡眠不足、教育活動性低下とオンコールが関連
M3.com 2008/09/19
橋本佳子編集長
オンコールが増加するほど、睡眠不足になり、勤務時間が長時間化し、教育活動が低下する…。
日本ではなく、米国の話です。米国シカゴ大学の調査結果が、JAMA2008年9月10日号(JAMA.2008;300(10):1146-1153.)に掲載されていました。「一見、当たり前の結論」とも思いますが、これは前向きのコフォート研究で、実に2003年7月1日から2005年6月24日もの間、56人のインターンの実態を調べています。
何事もデータを基に語るカルチャーなのでしょう。米国では、レジデントの疲労や疲労に伴うエラーを減らすために、勤務時間を減らす方向にあります。その必要性を裏付けるために医師の勤務実態に関する各種調査が行われているようです。
この調査で測定したのは、オンコール時の睡眠時間、シフト時の勤務時間、教育活動(レクチャー、ベッドサイドティーチング)などです。オンコール時の平均睡眠時間は2.8時間、シフト時の勤務時間29.9時間、インターンは自分の時間のうち11%を教育活動に当てるといった結果が出ています。各種サブ解析から、冒頭の結果が導かれているわけです。幾つか興味深い点があるのですが、例えば、インターンの初期(7月から10月)、中期(11月から2月)、後期(3月から6月)では、経験を重ねるにつれ、スキル・知識が向上することも手伝って、オンコール時の睡眠時間は長くなり、勤務時間は減少しています。このJAMAの号は「医学教育」がテーマになっており、医学生がどんな基準で内科を専攻するかなど、計5本の論文が掲載されていました。
さて、日本の現状ですが、医師の過重労働や医師不足と言っても、その実態や将来需要がどうなのか、この辺りの分析は始まったばかりではないでしょうか。先日、このコーナー(「9/1号 いったい誰が医師の需給を試算する?」で、「必要医師数は厚生労働省ではなく、現場の医師から公募してはどうか」と提案したところ、既に日本小児科学会では、2005年に「病院小児科医の将来需要について」などの分析を行っているという情報を、お寄せいただきました。
また日本産科婦人科学会では現在、「産婦人科勤務医・在院時間調査」を実施しています。様々な分野での現状分析、それを踏まえた施策が期待されるところです。
いったい誰が医師の需給を試算する?
M3.com 2008/09/01
橋本佳子編集長
過去最大の8560人に医学部の定員を増加。
先週末、文部科学省が来年度予算概算要求に併せて、医学部定員増の検討状況を公表しました(詳細は『来年度の医学部定員は8560人、文科省が検討状況公表』をご覧ください)。医学部の定員増については既に6月末の政府の「骨太の方針」で決まっていたことですが、過去最大(1982年度の8280人)をやや上回る数字です。最終的な数字は、今年末までにまとまる予定ですが、この8560人から大きく変動することはないと思われます。
当然ながら、定員増のみで問題解決できるわけではなく、行政当局も地元出身者を優先的に入学させたり、地域医療に従事する要件を設けるなどの施策の必要性も認識しています。
それでもなお、医学部定員増については反対意見があるのが事実です。主な意見を挙げると…。
「地域の偏在や診療科による偏在を解消すれば十分。医師の絶対的不足はない」
「コメディカルや事務職員とのスキルミックスを進めればいい」
「医学部定員を増やせば、医師の質は低下する」
「財源的裏付けなく、定員増やせといっても、教員が確保できない。ただでさえ多忙な大学の勤務医はこれ以上の負荷に耐えられない」
「医師が過剰になる。給与は低下する医師がワーキングプアになったらどうするんだ…」
一口に「医師」と言っても、その立場や価値観は様々。来年度の定員は一応、メドが立ちましたが、再来年度以降の議論はこれからが本番です。8月末の厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会の第7回会議では、「将来的には50%程度増加させることを目指す」と提言しています。
では誰が必要医師数を試算するのでしょうか。この検討会では、従来の厚労省の医師需給に関する試算が否定されています。この際、「公募」したらどうでしょう。必要な原データは厚労省が提出、それを基に各者が試算するのです。公募で集まった案について投票するというやり方です。インターネット時代、こうした投票も可能だと思っています。それなら関係者の納得が得られるのではないでしょうか。
いつも勉強させていただいています。
投票は面白いですね。世代によりかなり違った数を算出すると思います。
私の世代は、学生のときから最近まで30年近く医師過剰時代がくると言われてきました。卒業後の進路の決定にも「医師過剰の到来」はかなり影響したと思います。自信のある人は大勢が選ぶ分野を、あまり自信のない人は、少人数の分野を選んだような・・・。どこかで将来医師数推定サミットをおこなって20年30年後のだれかに判定してもらいましょう。
投稿情報: uuchan | 2008年9 月24日 (水) 19:39