(関連目次)→妊娠したら気をつけること 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
ここまでも何度かお伝えしてきました 岡崎市民病院の子宮外妊娠訴訟ですが、
子宮外妊娠見落とし訴訟 新小児科医のつぶやき 2012-01-31
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120131
産婦人科救急疾患!子宮外妊娠は大変気をつけるべき病気です(>_<)!!
最高裁の判決が出ました!記事遅れまして申し訳ありません。
共同通信のみが報じていました。 他のメディアは報じていません。
医師が悪くないと記事にならないのでしょうか?
【参考】 裁判記録閲覧(地裁)
結果として最高裁が棄却したため、 高裁の判決通り
≫産婦人科医として尽くすべき注意義務を怠ったとは
≫言えないと結論付けた。
とのことで原告敗訴となったようです。
遺族側逆転敗訴が確定 愛知・市民病院の医療訴訟
共同通信社 2013年11月15日
愛知県の岡崎市民病院で2007年、受診直後に子宮外妊娠による出血性ショックで死亡した女性=当時(36)=の遺族が岡崎市などに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(木内道祥(きうち・みちよし)裁判長)は14日までに、遺族側の上告を退ける決定をした。遺族側の逆転敗訴が確定した。12日付。 一審名古屋地裁は医師の過失を認め、市側に約6700万円の支払いを命じた。だが二審名古屋高裁は「子宮外妊娠の確定診断をできる状況になく、危険が迫り、一刻を争う事態であると認識することは困難だった」と判断。一審判決を取り消し、請求を棄却した。 一、二審判決によると、女性は07年10月3日に同病院で受診し、翌4日に「おなかが痛くて動けない」と病院に電話をかけた。看護師が救急隊を要請したが、女性は心肺停止状態で搬送され、5日に死亡した。
【参考】高裁での判決記事(リンク切れです)
二審は遺族側逆転敗訴=子宮外妊娠の女性死亡―名古屋高裁
時事通信 2月28日(木)16時17分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130228-00000106-jij-soci
岡崎市民病院(愛知県岡崎市)で受診した女性=当時(36)=が子宮外妊娠で死亡したのは診断ミスなどが原因として、夫ら遺族3人が病院を運営する同市と担当医師(34)を相手に計7800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、名古屋高裁であった。加藤幸雄裁判長は、医師の過失を認めて計約6700万円の支払いを命じた一審名古屋地裁判決を取り消し、請求を棄却した。 加藤裁判長は「妊娠週数が明らかではなく、医師が初診時の所見から子宮外妊娠と確定できなかったのはやむを得ない」と指摘。その上で説明義務違反があったとの遺族側主張に対し、「医師は子宮外妊娠の可能性や危険性などの必要な情報を提供しており、産婦人科医として尽くすべき注意義務を怠ったとは言えない」と結論付けた。
ssd先生よりのご投稿ですo(^-^)o..。*♡
えーっと、著作権、主張しないでね!(らぶ)
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なぜかわかりませんが、無警告でDynDNSにアカウントをロックされてしまいました。
問い合わせ中ですが、とにかく、http://ssd.dyndns.info/Diaryではアクセスできない状態です。
サーバー自体は生きていますので、暫定的に(あるいは恒久的に)、
http://ssddiary.sun.ddns.vc/Diary
で動くようにしましたが、問題は、この変更をユーザーに知らせる方法がない件orz。
なにか周知する方法はないものか。
他所様のブログに宣伝にいくのも厚かましいし。
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がんばれ!ssd先生(はぁと)!!
(関連目次)→カンガルーケアについて考える
(投稿:by 僻地の産科医)
通称「カンガルーケア」についての留意点について、
学会からコメントが出ましたo(^-^)o..。*♡
ぜひご一読ください。
かなりまとまっています。
「早期母子接触」実施の留意点
http://www.jspnm.com/sbsv12_1.pdf
2012 年10 月17 日
日本周産期・新生児医学会
日本産科婦人科学会
日本産婦人科医会
日本小児科学会
日本未熟児新生児学会
日本小児外科学会
日本看護協会
日本助産師会
【「早期母子接触」実施の留意点】
1. 「カンガルーケア」とは、全身状態が安定した早産児にNICU(新生児集中治療室)内で従来から実施されてきた母子の皮膚接触を通常指す。一方で、正期産新生児の出生直後に分娩室で実施される母子の皮膚接触は、異なるケアが求められるにも関わらず、この「カンガルーケア」という言葉が国内外を問わず用いられ、用語の使用が混乱している。そこで、正期産新生児の出生直後に実施する母子の皮膚接触については、ここでは「早期母子接触」と呼ぶ。
2. 出生直後の新生児は、胎内生活から胎外生活への急激な変化に適応する時期であり、呼吸・循環機能は容易に破綻し、呼吸循環不全を起こし得る。したがって、「早期母子接触」の実施に関わらず、この時期は新生児の全身状態が急変する可能性があるため、注意深い観察と充分な管理が必要である(この時期には早期母子接触の実施に関わらず、呼吸停止などの重篤な事象は約5 万出生に1 回、何らかの状態の変化は約1 万出生に1.5 回と
報告されている)。
3. 分娩施設は、「早期母子接触」実施の有無にかかわらず、新生児蘇生法(NCPR)の研修を受けたスタッフを常時配置し、突然の児の急変に備える。また、「新生児の蘇生法アルゴリズム」を分娩室に掲示してその啓発に努める。
4.「早期母子接触」を実施する施設では、各施設の実情に応じた「適応基準」「中止基準」「実施方法」を作成する。
5. 妊娠中(たとえばバースプラン作成時)に、新生児期に起き得る危険状態が理解できるように努め、「早期母子接触」の十分な説明を妊婦へ行い、夫や家族にも理解を促す。その際に、有益性や効果だけではなく児の危険性についても十分に説明する。
6. 分娩後に「早期母子接触」希望の有無を再度確認した上で、希望者にのみ実施し、そのことをカルテに記載する。
【解説】
1)名称について
カンガルーケアと称されるケアには、NICU で早産児を対象に行われるケアと、正期産新生児を対象に出生直後に分娩室で行われる母子の早期接触の2 種類がある。前者を一般的にカンガルーケアと呼び、後者をskin-to-skin と呼ぶことが多い。
しかしながら、両者の呼び方は混同されることが多く、欧米の論文においても、Kangaroo care、Kangaroo mother care、skin contact、skin to skin contact、early skin to skin contact、skin-to-skin(kangaroo)、skin-to-skin contact on preterm infants などの呼び方がNICU 内のケア、出生直後のケア両方に用いられている。
そこで、混乱を避けるために、本稿では出生直後に分娩室で行われる母子の早期接触を
「早期母子接触」と呼び、英名としては「early skin-to-skin contact」または「Birth Kangaroo Care」を提案したい。
2)背景
出生後早期から母子が直接肌を触れ合い互いに五感を通して交流を行うことは、人間性発露の面から見ても、親子が育みあうという母子の当然の権利ともいえる。さらに、早期母子接触は科学的にその有効性が証明されているのみならず、一定の条件の下に安全に実施すれば決して危険ではない。
しかし昨今、早期母子接触中の呼吸停止などの重篤な事象およびその訴訟に関する報道が多く認められる。報道のなかには、明らかに原因が早期母子接触とは異なる事例が、早期母子接触が原因であり早期母子接触自体が危険であるかのような取り上げ方が目立つ。しかしながら、こうした危急事態は早期母子接触を行わなくとも生じ得るものである。
早期母子接触の有効性は、コクランのシステマティック・レビュー1)によると、生後1-4 ヵ月の母乳栄養率を向上させ、母乳期間を延長する効果がみられた。さらに、母親の児に対する愛着行動や母子相互関係の確立などに対する効果が証明されている。その効果はタッチングなど授乳中の効果だけでなく、退院後のキスなどの愛着行動の多さにも表れている。また、正期産児においての検討では、早期母子接触群はコントロール群に比べ、心拍数、呼吸数、血糖値、体温の安定化が認められた2)。反対に、生後早期の母子分離は、児の啼泣を強め、卵円孔を通しての右左シャントを増加させ、肺血流を減少させるため動脈血の酸素化が妨げられる3)。 したがって、早期母子接触には児の啼泣時間を短縮させる効果があることから、児の動脈血の酸素化にも寄与すると考えられる。
このように早期母子接触の利点は証明されているが、一方で早期母子接触が行われる出生後早期は、胎児から新生児へと呼吸・循環の適応がなされる不安定な時期でもある。特に、この時期の循環動態は卵円孔、動脈管などのシャントが残り、寒冷刺激、アシドーシス、低体温などで容易に肺高血圧から右左シャントが惹起され、危急事態が起こり得る。
したがって、早期母子接触の実施の有無にかかわらず、生後早期は不安定な時期であるとの認識は持たなければならない。
3)急変例の発症頻度の報告
早期母子接触中の急変例の発症率について、全国の「赤ちゃんにやさしい病院」を対象とした実態調査が2010 年行われた。その結果42 施設から回答を得(回答率87.5%)、23 施設(54.8%)で原因不明のチアノーゼや心肺停止、転落しそうになった(早期母子接触中の児の転落事故も報告されている)新生児の計57 例が経験された。このうち分娩数が記載された30施設を対象とした検討では、乳幼児突然死-乳幼児突発性危急事態(SID-ALTE)の事例は1例であり、その発症率は1.1/10 万出生であった。同一対象施設における分娩直後の早期母子接触導入前のそれは5例であり、発症率は5.5/10 万出生であった。このように、SID-ALTEなど心肺蘇生を必要とした事例の発症は、早期母子接触導入によって増加していなかった4)。
2009 年のドイツにおける小児科医に対するアンケート調査によれば、生後24 時間以内でのSID-ALTE の発症例は665,126 例中17 例で、発症率は2.6/10 万出生であった。17 例中7例が死亡し生存10 例のうち6 例が退院時に神経学的後遺症を有した。また17 例中12 例が早期母子接触中の急変であった(1.8/10 万出生)。さらに、9 例は最初の2 時間での発症で、このうち7 例は母親が睡眠していないにも関わらず児の急変に気づかず、スタッフにより発見された5)。2012 年のイギリスにおけるサーベイランス6)では、在胎37 週以上で、Apgar スコア5 分値8 点以上の正期産新生児のうち、生後12 時間以内の急変により陽圧換気による蘇生が必要か、死亡もしくは集中治療が必要となった児は、858,466 出生中45 例で12 例が死亡した(5.2/10万出生)。 45 例中24 例は臨床経過もしくは病理学的検査により、授乳中もしくは腹臥位の状態での気道閉塞と診断された。15 例は後に先天性疾患が判明し、残る6 例では急変の原因となる基礎疾患は見つからなかった。気道閉塞と診断された24 例は授乳中もしくは早期母子接触中の急変であった。
ほとんどの母親は初産婦で、スタッフによる見守りは行われていなかった。また、ドイツ、フランス、イギリスの状況を総括した2012 年の報告によると、出生時に問題を認めない正期産新生児が、出生後24 時間以内に急変して蘇生処置が必要な児は、10 万出生当たり2.6 から5.0 人となった7)。
4)我が国の全国調査結果
こども未来財団の研究「分娩室・新生児室における母子の安全性についての全国調査」8)で、2010 年の早期母子接触の全国調査が行われた。我が国の全分娩施設の約1/4 にあたる助産所(144 施設)、病院・診療所(308 施設)、周産期センター(133 施設)の585 施設から回答が得られた。ただし、ここでいう児の変化は、前述の命に関わる事態(児の急変)とは定義しておらず、施設の自己申告であり、軽症なものも含まれる。
早期母子接触は、
◆65.4%の施設で実施されていた。
◆実施基準の整備率は30.7%であった。
◆実施前の妊婦への十分な説明と同意取得率は48.2%であった。
◆分娩台の角度基準が設定されている施設は13.0%であった。
◆中断・中止基準が設定されている施設は39.9%であった。
◆開始時期は出生直後が35.5%、1-5 分が41.8%、6-10 分が7.8%、15 分以上が14.9%であり、約8 割の施設は出生後5 分以内に開始されていた。
◆実施時間は10 分間以内が28.5%、15-30 分間が27.7%、40-60 分間が19.7%、90 分間以上は19.9%であった。
◆医療従事者の常駐率は74.8%であったが、児の全身状態の記録率は28.3%であった。
◆各種モニタリング実施率は49.9%であり、パルスオキシメータは42.4%に装着されていた。
◆児の変化(これは前述のような重篤な状態に限らない)経験施設率は4.2%であった。
◆児の変化の発生率は138,534 例中21 例(15.2/10 万出生)であり、約1 万の早期母子接触中1.5 人、児の変化が発生したことが確認された。
以上の全国調査から、十分な説明と同意、実施方法の整備が行われず、約6 割の施設ですでに早期母子接触が導入されていることが判明し、早急な対策が必要なことが明らかとなった。
5)急変例の病態把握
現在までの事例において、危急事態の病因については、いくつかの原因疾患(遷延性肺高血圧、新生児呼吸障害、先天性心疾患等その他の先天異常、細菌感染症、代謝性疾患)などが診断されている例もあるが、実際には病因不明の場合も多く、今後の病態把握に関する研究が望まれる。
6)早期母子接触の適応基準、中止基準、実施方法
施設の物理的、人的条件等により、ここに推奨する基本的な実施方法を一部変更せざるを得ない場合がある。そのような場合にも、早期母子接触の効果と安全性について十分に吟味し、母子の最大の利益となるように実施方法を決定する。また、早期母子接触を実施しない選択肢も考慮すべきである。
以下に経腟分娩を対象とした各基準を示す。
<適応基準>
母親の基準
・本人が「早期母子接触」を実施する意思がある
・バイタルサインが安定している
・疲労困憊していない
・医師、助産師が不適切と認めていない
児の基準
・胎児機能不全がなかった
・新生児仮死がない(1 分・5 分Apgar スコアが8 点以上)
・正期産新生児
・低出生体重児でない
・医師、助産師、看護師が不適切と認めていない
<中止基準>
母親の基準
・傾眠傾向
・医師、助産師が不適切と判断する
児の基準
・呼吸障害(無呼吸、あえぎ呼吸を含む)がある
・SpO2:90%未満となる
・ぐったりし活気に乏しい
・睡眠状態となる
・医師、助産師、看護師が不適切と判断する
<実施方法>
早期母子接触は母子に対して種々の利点がある。したがって、早期母子接触を実施できない特別な医学的理由が存在しない場合は、周産期医療従事者として、その機会を設けることを考える必要がある。早期母子接触は医療ではなく、ケアであることから、母親とスタッフ間のコミュニケーションがスムーズに行われている必要があり、出産後の母子を孤立させない配慮が大切である。特に、早期母子接触を実施する時は、母親に児のケアを任せてしまうのではなく、スタッフも児の観察を怠らないように注意する必要がある。
◆バースプラン作成時に「早期母子接触」についての説明を行う。
◆出生後できるだけ早期に開始する。30 分以上、もしくは、児の吸啜まで継続することが望ましい。
◆継続時間は上限を2 時間以内とし、児が睡眠したり、母親が傾眠状態となった時点で終了する。
◆分娩施設は早期母子接触を行わなかった場合の母子のデメリットを克服するために、産褥期およびその後の育児に対する何らかのサポートを講じることが求められる。
母親
・「早期母子接触」希望の意思を確認する
・上体挙上する(30 度前後が望ましい)
・胸腹部の汗を拭う
・裸の赤ちゃんを抱っこする
・母子の胸と胸を合わせ両手でしっかり児を支える
児
・ドライアップする
・児の顔を横に向け鼻腔閉塞を起こさず、呼吸が楽にできるようにする
・温めたバスタオルで児を覆う
・パルスオキシメータのプローブを下肢に装着するか、担当者が実施中付き添い、母子だけにはしない
・以下の事項を観察、チェックし記録する
呼吸状態:努力呼吸、陥没呼吸、多呼吸、呻吟、無呼吸に注意する、冷感、チアノーゼ、バイタルサイン(心拍数、呼吸数、体温など)実施中の母子行動
・終了時にはバイタルサイン、児の状態を記録する
【参考文献】
1)Moore ER, Anderson GC, Bergman N. Early skin-to-skin contact for mothers and their healthy newborn infants: Cochrane Database Sys Rev. 2007;18.
2)Bystrova K, Widstrom AM, Matthiesen AS, et al. Skin-to-skin contact may reduce negative consequences of “the stress of being born”: a study on temperature in newborn infants, subjected to different ward routines in St. Petersburg. Acta Paediatrica 2003;92:320–6.
3)Anderson GC, Chiu SH, Dombrowski MA, et al. Mother-newborn contact in a randomized trial of kangaroo (skin-to-skin) care. Journal of Obstetric, Gynecologic and Neonatal Nursing 2003;32:604–11.
4)吉永宗義ら. 出生直後の母児接触のあり方に関する調査.財団法人こども未来財団.平成20 年度児童関連サービス調査研究等事業報告書「妊娠・出産の安全性と快適性確保に関する調査研究」p48-58,2010.
5)Poets A,Steinfeldt R, Poets CF et al. Sudden deaths and severe apparent life-threatening events in term infants within 24 hours of birth. Pediatrics. 2011;127:e869-73.
6)Becher JC, Bhushan SS, Lyon AJ. Unexpected collapse in apparently healthy newbornsa prospective national study of a missing cohort of neonatal deaths and near-death events. Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2012;97:F30-4.
7)Fleming PJ.Unexpected collapse of apparently healthy newborn infants: the benefits and potential risks of skin-to-skin contact. Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2012;97:F2–3.
8)久保隆彦. 分娩室・新生児室における母子の安全性についての全国調査、財団法人こども未来財団平成23年度児童関連サービス調査研究事業報告書.2012年3月.
9)堀内勁. 出生直後の皮膚と皮膚の接触の意義と安全性. 日本母乳哺育学会雑誌.2010;4:60-72.
(関連目次)→産科医療の現実 勤務医なんてやってられない!
なぜ産科医は減っているのか 医療安全と勤労時間・労基法 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
労働省系の方が厚生労働省事務次官となり、
何が変わるのかは全くわかりませんが、
すこしだけ、期待する声があるのも確かな今日この頃です。
人事:厚労省次官に金子氏 村木厚子氏が社会・援護局長に
毎日新聞 2012年09月03日
http://mainichi.jp/select/news/20120903k0000e060219000c.html
そんななか、
このような論文が発見されましたのでお伝えしますね!
勤務医の4割が週60時間以上の労働
~「勤務医の就労実態と意識に関する調査」調査結果~
http://www.jil.go.jp/press/documents/20120904.pdf
独立行政法人労働政策研究・研修機構
(理事長山口浩一郎)
調査・解析部 郡司 正人、 新井 栄三、 奥田 栄二
労働政策研究・研修機構(JILPT)では、長時間労働をはじめとして大変厳しい勤務環境に置かれている医療従事者のなかでも、勤務実態などを把握できる調査が比較的少ない勤務医を対象とするアンケート調査を実施しました。
その結果を速報版としてとりまとめ、公表します。
<医師不足を7 割弱が認識。とくに「麻酔科」「救急科」「小児科」等で不足。「過疎地域」では8 割弱が不足を認識>
1.職場の医師の不足感では、68.6%が「感じる」(「非常に感じる」「まあ感じる」の合計)と回答。「感じない」(「ほとんど感じない」「あまり感じない」の合計)は14.2%となっている。
診療科別にみると、「麻酔科」「救急科」「小児科」「整形外科」などで「感じる」とする割合が高い(2 頁、図表1)。過疎地域かどうかの別にみると、過疎地域に所在する病院で働いている者のほうが「感じる」とする割合が高く、その割合は78.5%となっている(2 頁、図表2)。
<週当たり全労働時間は、4 割が「60 時間以上」。約半数が年休取得日数「3 日以下」>
2.主たる勤務先の1 週間当たりの実際の労働時間は、平均で46.6 時間(8 頁、図表14)。
他の勤務先を含めた1 週間当たりの全労働時間の平均は53.2 時間で、「60 時間以上」(「60~70時間未満」「70~80 時間未満」「80 時間以上」の合計)の割合は40.0%となっている(9 頁、図表15)。昨年1 年間に実際に取得した年次有給休暇の取得日数は、「4~6 日」が25.8%ともっとも割合が高く、次いで「1~3 日」(24.9%)、「0 日」(22.3%)などとなっており、約半数(47.2%)が「3 日以下」(「0 日」「1~3 日」の合計)となっている(10 頁、図表17)。
<宿直がある者の平均睡眠時間は4 時間未満が半数弱。翌日は通常勤務が86.2%>
3.主たる勤務先で1 カ月間に「日直あり」(日直1 回以上の合計)は61.8%、「宿直あり」(宿直1 回以上の合計)は67.4%(4 頁、図表5、図表6)。宿直1 回当たりの平均睡眠(仮眠)時間は、「4 時間以上」が52.7%ともっとも割合が高いものの、次いで「3~4 時間未満」(27.7%)、「2~3 時間未満」(10.4%)、「2 時間未満」(5.8%)となっており、「ほとんど睡
眠できない」の3.5%を合わせると、半数弱が、平均睡眠時間が4 時間未満である。これを宿直1回当たりの平均患者数別にみると、患者数が増えるほど、「ほとんど睡眠できない」とする割合が高くなっている(5 頁、図表8)。宿直翌日の勤務体制は、「通常どおり勤務する」が86.2%となっている(6 頁、図表9)。
えーっと、本文に興味がある方は見てください。
なかなか興味あるので、表と図のみ載せていきます。
(関連目次)→助産師分娩について考える 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
昨日は当直でして、ようやくブログを上げることができました。
一日遅れで申し訳ありません!!
祝!! 「助産院は安全?」 再開!!!
みなさまもご一読いただければと思います。
これからもよろしくお願いいたします!!!琴母様!!
NATROM先生の記事
Yosyan先生の記事
(関連目次)→助産師分娩について考える 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
骨盤医の助産院分娩で、お子さんが亡くなった、
「助産院は安全?」ブログが今の所、
なんらかのトラブルによって閉鎖されています。
経過に関しては、詳しくないのですが、
琴子の母様のトラブルから2週間
新小児科医のつぶやき 2012-08-09
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120815
アレレレ、石村あさ子氏に何があったのだろうか?
新小児科医のつぶやき 2012-08-24
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120824
や、
助産婦石村研究
1)http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120811
2)http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120815
NATROM先生の
石村あさ子助産師の「奇蹟」の体験談
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20120804
そもそもの勃発はどこなんでしょう???
やはりNATROM先生の
2012-05-18 「非常に感染力の強い方のお産」を扱う助産師
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20120518
が事の発端かと思われます。
B型肝炎の話は助産師がどうであったのであれ、
(まぁ、本人がB肝にかかったなら自業自得でしょう。
衛生観念はよくわからないですが。)
医療者としては赤ちゃんのB型肝炎ワクチンが
適切に打たれたのかどうかが気になります。
あとは、心霊教なるものとの結びつきが、
どうしても気になりますね。
多くの意見が日本助産師会(お問合せフォーム)
https://midwife.sakura.ne.jp/midwife.or.jp/ssl/inquiry/
には寄せられている状態だと漏れ聞きました。
(東京都助産師会かな???でも会長さんですし)
琴母さまのブログ再開が待たれるばかりです。
えーっと、まずはこちらから。
演題の「NICUにおける「電気」の話(仮題)」
が現状を表していて切実です。。。
もう一つお願い!
もしも
「輸血の供給体制が以前より悪化したと感じるような事例」
があったらお知らせいただきたいとの事です。
@NobuyaUnno までお願いします。
■第16回千葉県新生児・周産期・新生児看護合同研究会
■日時:2012(h24)年6月9日(土),午後3時開演
■場所:順天堂大学附属浦安病院 外来棟3F講堂
〒279-0021 千葉県浦安市富岡2-1-1,電話047-353-3111
15:00より 一般演題
16:40-17:20 ■教育講演
座長:東京女子医大周産期センター
「NICUにおける「電気」の話(仮題)」
埼玉県立小児医療センター医療機器職員研修担当シュミレーションラボセンター設立準備担当/松井晃先生
17:20-18:20 ■特別講演
座長:順天堂大学浦安病院院長・周産期センター長/吉田幸洋
「胎児サイトメガロウイルス感染症の診断と管理(仮題)」
神戸大学産婦人科教授/山田秀人先生
■研究会終了後,順天堂大学浦安病院地下食堂にて懇親会があります。
ふるってご参加ください。会費:医師6000円看護師3000円
もうひとつ。
個人的にはとても興味を持っているのですが、
残念ながら脳外科主催で産婦人科シールはでないみたいw。
産婦人科シールが出ると
産婦人科医ももっと来ると思うんですけれど~。
■第31回 The Mt.Fuji Workshop on CVD
「妊娠分娩と脳卒中」
http://www.mtfuji2012.jp/program.html
2012年8月24(金)-25(土) 大阪国際会議場
Ⅰ シンポジウム 「脳血管疾患をもつ女性の妊娠分娩」
Ⅱ 教育セミナー 「妊娠分娩~脳卒中専門医がしっておきたい知識~」
① 妊娠分娩に関する基礎知識
池田 智明 (三重大学 産婦人科)
② 画像診断~ハイリスク病変や子癇などのMRI所見
岡田 知久 (京都大学 放射線診断科)
③ 脳卒中を発症した妊産婦の帝切・分娩時期について ~胎児発育との関連から~
板倉 敦夫 (埼玉医科大学 産婦人科)
④ 妊産婦脳卒中における術中麻酔管理
吉谷 健司 (国立循環器病研究センター 麻酔科)
⑤ 妊娠中の薬物管理
抗血栓療法
豊田 一則 (国立循環器病研究センター 脳血管内科)
抗てんかん薬
池田 昭夫 (京都大学 神経内科)
⑥ 胎児の人権
胎児脳神経外科手術の現状・緊急時母胎救命優先の原則・法的考察 (仮題)
山﨑 麻美 (大阪医療センター 脳神経外科)
位田 隆一 (京都大学大学院 法学研究科)
Ⅲ パネルディスカッション 「妊産婦脳卒中~救急連携システムの現状と問題点~」
① 事例報告 「いわゆる“町立大淀病院事件”について」
高橋 淳 (京都大学 脳神経外科)
② H22・H23年 日本産婦人科学会による悉皆調査報告
池田 智明 (三重大学 産婦人科)
③ H22・H23年 日本脳神経外科学会による悉皆調査報告
宮本 享 (京都大学 脳神経外科)
④ 基調講演
大野 泰正 (大野レディスクリニック)
丹正 勝久 (日本大学 救急集中治療医学分野)
⑤ パネルディスカッション
Ⅳ Sponsored Evening Poster Session (公募演題) 2012年8月24日(金) 【予定】
16:00-18:00 Evening Poster Session
18:00-18:20 教育講演「抗てんかん薬と催奇形性」
18:20~ 情報交換会
(関連目次)→性教育について考える
(投稿:by 僻地の産科医)
ピル飲んでると、子宮頸癌が増えるってホント?
というお問い合わせに答える気になりましたので、
チョット探してみましたo(^-^)o..。*♡
仕事では死んでます。ご留意ください。
子宮頸癌についてはDr北村も
論文3や8により増えないとの結論をお持ちのようです。
(どうも検討中っぽい)
全体的には癌を増やすことはないのではないかという
結果に収まっております。
では、どうぞ。
眠くってグチャグチャなのでごめんなさい。
でも明日も仕事なのでw。
知っておきたい婦人科がんのリスク
経口避妊薬と婦人科がんのリスク
北村邦夫
(社)日本家族計画協会家族計画研究センター所長
(産科と婦人科・2010年1月号 p49-54)
わが国では低容量経口避妊薬(OC)の服用者だけではなく専門家の間にもOCの服用が癌発生率を高めるような誤解がある.しかし,最新の知見によれば,OCは乳癌リスクにはならないこと,子宮頸癌については現段階ではOCとの直接的な因果関係はなくHPV感染が大きな要因であること,OCの服用により卵巣癌,子宮体癌など代表的な婦人科がんの生涯リスクを減少させることになっている.
経口避妊薬は,英語圏ではthe pillあるいはthe Pill(ピル)とよばれ,論文などではOC(oral contraceptive)と記載されているが,日常的にはピルという言葉が使われることが多い.
米国でエストロゲンとプロゲストーゲンの配合剤が避妊薬,すなわちOCとして承認されたのは1960年であり,初期のOCの開発に多大な貢献をした動物学者であるGregory Pincusらは,当事,長期に服用した場合において,潜在的なリスクとしての癌の増加について一抹の不安を抱いていたとされる.というのは,すでに長年にわたって乳がんと卵巣の関係が疑われていたからである1).
そのような開発者の不安をよそに米国では1962年には120万人が,1963年には230万人が,そして1965年には650万人がOCを服用するようになっていた.当事,米国では中絶は違法であり,望まない妊娠をした場合には闇中絶を受ける以外になく,確実に避妊ができるというだけで,その意義は女性にとって大きかった.今日,OC以外にも効果の高い避妊法,例えば注射法,貼付剤,IUD等が利用できるようになっているが,性ホルモンを利用する場合が多く,副作用に対する関心も高くなり,エビデンスが求められるようになっている.特にわが国ではOCが普及する前にEBMの時代に突入したこともあり,米国以上にOCのリスクや副作用に神経質になっている様子が窺える.本稿では,OCと婦人科がんについて最新の知見を交えながら考察した.
OCと乳がん
乳房は有史以来様々に語られ続け,ヤーロムは政治的,医学的,文学的な乳房について話題
にするが1),男性にとっても,女性にとっても関心の的となっている乳房であるだけに,OCと乳がんの関係を論じる研究は極めて多い.
2005年におけるわが国の乳がん患者数は15万4千人で,乳がん死亡率は10万人当たり11.4人であった.国立癌センター調べによれば,1975年から2001年までの問,乳がんは年々増加し,2001年では10万人当たり51人程度で,5年間で51人から230人まで増加している.
米国でのGraham A Colditzらの看護師研究(NHS)によれば2),家族歴があるほど乳がん発症率の高いことが示唆される.本研究は1976年に登録された30~55歳の看護師121,700人を2年ごとに追跡調査するもので,いわゆる無作為比較試験ではないが,大規模調査としての評価は高い.これによれば,OC服用は家族歴なしで相対危険度(RR)1.56(1.01-2.41),家族歴あり2.47(0.88-6.94)であり,OCを現在服用していることが有意なリスク因子となっていた.
日本産科婦人科学会誌として1999年に発刊された「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」では,25力国で実施された54の疫学研究の成果を紹介している3).それによれば,現在服用中である場合,乳がんのRRは1.24,服用中止後5~9年で1.07であるが,中止後10年以上経過すると1.01と報告されている(表1).わが国ではこの1.24が一人歩きをし,OCを飲むと乳がんになると漠然と信じられてきた.
しかし,最近,1968年に開始したRoyal College of General Practitioner’s Oral Contraception 研究により蓄積されたデータを用い,OCと様々な癌との関連性を分析した大規模試験の結果が注目を集めている4)(表2).これによれば,乳がんに関してRRは0。98であり,服用期間に関して,48カ月未満1.00,49~96カ月0.95および97カ月以上1.22で,いずれも有意差はなく,明らかなリスクのないことが示唆される.
乳がんの発症要因についてはOCに限らず種々議論されている.例えば,WHI研究は長期のNSAID使用は乳がんリスクを下げること5),乳製品と乳がんリスクとの関係も,関連業界からの批判があるものの指摘がある6).報告によれば,単純な相関図であるが,乳製品の消費量の多い国ほど乳がんが高いという結果が得られている.ちなみに,牛乳には17βエストラジオール(E2)1.4±0.2 pg/mしが含まれており不安を煽っている.いずれにしても,われわれの日常生活は様々な影響因子に囲まれており,まだまだ乳がんリスクに関係のある因子が潜在的に存在するかもしれない.それにもかかわらずOCだけが注目され,あたかも有力なリスク因子であるかのような印象を世間に与えている.この背景には女性のエストロゲンは乳がんのリスク因子であるとする癌研究の成果などが影響していると思われる.
なお,OCではないが,レボノルゲストレル子宮内放出システム(LNG-IUS:ミレーナR)に関して付言すれば,フィンランドで行われた市販後調査の結果では,乳がん発症との関連性は否定されている7).ホルモン剤を用いた避妊法は,しばしば副作用との関係で論じられるが,避妊以外のメリットも存在することも伝えられるべきである.
OCと子宮頸がん
子宮頸がんは,わが国における20~29歳の女性に発症する癌のなかではトップを占めている.近年,その要因としてヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)による感染が指摘されている.わが国でも2009年10月にHPVワクチンが承認されたが,筆者もその治験に参加してきた.今後は,HPVワクチンと子宮頸がん検診の併用により子宮頸がん死亡を劇的に減少させられることが期待される.
その一方で,子宮頸がんについては喫煙,性交開始年齢,パートナーの数,コンドーム使用の有無など環境因子との関係が取り上げられることが少なくない.なかでも,ひときわ注目されているのがOCの服用が子宮頸がんリスクとなるかという点である.というのは,HPVが性行為によって感染するとなれば,コンドームなどバリア法なしに避妊できるOCが標的になるのは当然といえるのかも知れない.
イギリスの患者データベースを用いたPhilip C.Hannafordらは,子宮頸がんに関して, RRは1.33で,OC服用者の場合,10万人当たり5.1人増える計算になると述べている4)(表2).
International Agency for Research on Cancer(IARC)はOCをヒトの 子宮頸がんのリスク因子に分類しており,彼らの研究によればOC服用者の浸潤性子宮頸がんリスクは,5年以上の服用で1.90(1.69-2.13)であった8).しかし,この研究ではOC服用中止後10年以上経過すると非服用者レベルにまで低下するとしている.
このようにOCと子宮頸がんとの関係を論じた報告のほとんどが両者の関連性を示唆しているが,これらの研究は関連性の有無を論じるのみで,OCがリスクにどのようなメカニズムを介して関係しているのかが論じられていない.
1992年,WHOは性的活動パターンと子宮頸がんリスクとの間には深い関係があると指摘している9).OC服用者,非服用者および避妊しない者とで,性的活動に違いのあることは明らかであり,疫学研究の多くはこうした違いを考慮していないことが少なくない.つまり,OC服用者は,服用しない女性に比べて性行動にも違いがあり,コンドームを併用しないセックスを介して,性的に不活発な女性よりも感染リスクが高いことが考えられる.つまり,OCを服用していることが問題ではなく,性交自体がリスク因子である可能性が高い.OCが何らかの生化学的メカニズムにより感染を促す可能性,あるいは感染後の癌化メカニズムに関わっている可能性があるが,現段階では十分な証拠があるとは言い難い.一連の疫学研究も根本的な部分に関する情報を欠いていることから,さらなる検討が必要である.OCと子宮頸がんとの間にいかなる関連性もない可能性も依然として存在する.
OCと子宮体がん
卵巣がんと同様OCの服用によりリスクが低下する婦人科がんの一つで,OCの潜在的副効用の一つとして考えられている.1983年に米国疾病管理センター(CDC)が行った症例対照研究(Case-Control Study:CCS)で,未産婦がOCを服用した場合の効果が最も顕著で,非服用者に比べてオッズ比(OR)は0.4(0.2-0.9)であり,米国のOC服用者は毎年2,000人が子宮体がんを免れていると結論づけている1。).なお,1982年の米国の統計では毎年新規に39,000人が子宮体がんと診断され3,000人が亡くなっている.MP Vesseyらは従来の多くの研究がCCSであったことを指摘し,Oxford Family Planning Association Contraceptive StUdyの結果を報告している1’).本研究は1968年から1974年にかけて25~39歳の17,032人がリクルートされ,45歳になるまで15,292人について観察された結果をまとめたものである.非服用者と比較して子宮体がんのRRは0.1(0.O-O.7)で,卵巣がんのRRは0.4(0.2-O.8)であった.そして48カ月までの服用によるRRは1.0(0.4一2.5)で,97カ月間以上の服用によるRRは0.3(0.1-0、7)であった.なお,本研究はOCの卵巣がんに対する利点を前向きコホート研究で検討した代表的報告でもある.このような疫学研究はOCでは多くないことを改めて強調しておきたい.相対リスクのみならず,絶対リスクも示すことができるのは投与群と非投与群とに分けて前向きに観察する研究だけであり,CCSだけではリスクあるいは有益性の大きさを十分に示すことはできない.CCSでリスク因子か否かを調べ,リスクごとに前向きコホート研究でリスクの大きさを調べるのが適切なプロセスであるが体系的な研究は少ない.
レボノルゲストレル子宮内放出システム(ミレーナRは,局所に大量のプロゲストーゲンを放出することから,子宮内膜症,子宮腺筋症あるいは初期子宮体がんの治療に対する効果が期待されているが,リスク低減を証明する疫学研究は行われていない.
OCと卵巣がん
卵巣がんと乳がんとの間には一定の関連性が存在する.乳がんを発症した者は卵巣がんを発症するかもしれないし,逆もしかりである.しかし,OCとの関係では卵巣がんのリスクは下がるが,乳がんに関しては少なくともリスクを下げるということはない.
1977年頃から様々な研究者がOCによる卵巣保護の可能性を示唆しているが,CDCは米国のデータベースを用いて両者の関係を分析し,上皮性卵巣がんのリスクを下げる可能性があると報告しているユ2).少なくとも3~6カ月服用することでRRが0.6(0.4-0.9)となり,10年以上では0.2(0.1-0.4)と低下する(表3).しかも少なくとも3カ月服用すれば,中止後15年効果が持続する可能性を示唆していることは朗報といえる.また,米国で流通している中用量・低用量を層別解析し,いずれのブランドでもリスク低減効果の可能性が示唆されるとの報告もある.卵巣がんとOCとの関係でも,中高用量の効果が強いのではないかといわれていたが,CDCの報告同様に,別のグループもCCSではあるが,low-estrogen/low・progestin群のオッズ比はO.5 (0。3-0.6),high-estrogen/high-pro9-estin群のオッズ比は0.5(0.3-0.7)であり,OCの種類に関係なく同等の効果を発揮することを再確認している13).
乳がん同様にBRCA1およびBRCA2突然変異は卵巣がんの発症に影響するが,この突然変異とOCとの関係が一時期注目された.対照群での突然変異を有する比率は751人中13人で1.7%,症例群では840日中244人で29%であった.この突然変異はユダヤ人では特別に多いといわれているが,本研究もユダヤ人のコホート研究でのCCSである14).未産婦を対照とした場合,産婦の卵巣がんのオッズ比は0.47~0.56で有意差を以ってリスクを下げていることが示唆される.他方,OCの場合,0.1~1.9年では非服用者との間で有意差はなかったが,オッズ比は1.15で,5年以上の服用で初めて有意にリスク低下を示した.一方,V. Beralらが中心になって行われた卵巣がん患者23,257人,対照87,303人を含むメタアナリシスの分析結果によれば,OC服用の5年ごとに29項目スクが低下し,服用を止めても30年以上にリスク低減効果があり,高所得国においては,10年間のOC服用は75歳以前の発症を100人当たり1.2人から0.8人に減らし,死亡率を100人当たり0.7人から0.5人に減らす.75歳以前で,5,000人の女性のうち1年間で2人が卵巣がんから守られ,1人が卵巣がんによる死を免れたとしている15}.多くはCCSによるものであるが,コホート研究によっても,RRは0.54となっている4).
子宮内膜症があると卵巣がんのリスクが上昇することが知られている(OR 132:1.06-1.65).人口ベースのCCSであるが, OCにより子宮内膜症の疹痛管理を行っている場合で,10年以上の服用が,子宮内膜症の存在下でも卵巣がんの発症リスクを抑制すると報告されている(0.21:0.08-0.58)16).これによれば,子宮内膜症が存在する場合にOCが卵巣がんのリスクを下げるかどうかはわかっていなかったのであるから朗報といえるだろう.
OCの普及している国では国家レベルで卵巣がんのリスクが下がるか否かであるが,最近の20年間に関して若い女性における卵巣がんの発症率および死亡率の低下は,OCの普及している国ほどはっきりしている.ヨーロッパでは,OC普及の結果として,1年当たり3,000~5,000人が卵巣がんを免れているという報告がある17}.
おわりに
関連する重要な論文すべてに目を通せたわけではないが,臨床上,乳がんに関してOCは明らかなリスク因子とはいえない.子宮頸がんに関しては,現段階では直接の因果関係はなく,HPV感染が大きな要因であり,ワクチンの開発はウィルスを退治し子宮頸がんを減らすかもしれないが,その感染は性交に伴うので,性交という生殖に必要な行為が最大のリスク因子であることは明らかであり,現実的でないことを承知で極論すれば性交しないことが最大の予防策だということになる.子宮体がんおよび卵巣がんは,OC服用により生涯リスクが減少することは明らかである.この点に関しては疑いようがない.メカニズムは不明であるが,OCの服用者は大腸直腸がん,肺がん,腎がんを免れるかもしれない.肝がんに関しては,因果関係は明らかではない.
再度,強調するが,OCと癌の関係は,世間で騒がれているほどには大きくなく,望まない妊娠をすることについて,真剣に考えた場合,そのことによって抱える問題のほうが大きいのではないだろうか.これは本人の考え方の問題でもあるが,OCの安全性に関しては,更新されない古い情報に惑わされていることも多く,われわれ専門家が,日進月歩の研究成果の入手に努め,それをメディアや一般の女性に積極的に提供することが重要ではないだろうか.
文 献
1)マリリン・ヤーロム:乳房論,筑摩書房,2005;p340.
2) Graham A Colditz, et al:Risk Factors for Breast Cancer According to Family History of Breast Cancer. Joumal of the National Cancer lnstitute 1996;88:365-371.
3) Collaborative Group on Hormonal Factors in Breast Cancer: Breast cancer and hormonal contraceptives:collaborative reanalysis of individual data 53,297 women with breast cancer and 100,239 women without breast cancer from 54 epidemiological studies. Lancet 1996;347:1713-1727.
4) Philip C Hannaford, et al:Cancer risk among users of
oral contraceptives:cohort data from the Royal College of General Practitioner’s oral contraception study. BMJ online 2007;11.
5) Randall E. Harris, et al:Breast Cancer and Nonsteroidal Anti-lnflammatory Drugs:Prospective Results from the Women’s Health initiative. Cancer Research 2003 ; 63: 6096-6101.
6) Davaasambuu Ganma, Akio Sato:The possible role of female sex horrnones in milk from pregnant cows in the development of breast, ovarian and corpus uteri cancers. Medical Hypotheses 2005;65:1028-1037.
7) Tiina Backinan, et al:Use of the LevonorgestrelReleasing Intrauterine System and Breast Cancer. Obstet Gynecol 2005;106:813-817.
8) lnternational Collaborative Group on Hormonal Factors in Breast Cancer:Cervical cancer and hormonal contraceptives :collaborative reanalysis of individual data for 16573 women with cervical cancer and 35509 women without cervical cancer from 24 epidemiological studies. Lancet 1996;347:1713-1727.
9) WHO Scientific Group:Oral Contraceptives and neoplasia.
WHO Technical Report Series 1992 ; (817) : i-vi, 1-46.
10) The Centers for Diseases Control Cancer and Steroid Hormone Study:Oral Contraceptive Use and the Risk of Endometrial Cancer. JAMA 1983;249 : 1600-1604.
11) MP Vessey, et al:Endometrial and ovarian cancer and oral contraceptives-findings in a large cohort study. British Journal of Cancer 1995;71:1340-1342.
12) The Cancer and Steroid Hormone Study of the Centers for Disease Control and the National lnstitute of Child Health and Human Development:The Reduction in Risk of Ovarian Cancer associated with Oral-Contraceptives Use. N Engl J Med 1987;316:650-655.
13. ) Roberta B Ness, et al:Risk of Ovarian Cancer in Relation to Estrogen and Progestin Dose and Use Characteristics of Oral Contraceptives. Am J Epidemiol 2000; 152:233-241.
14) Baruch Modan, et al:Parity, Oral Contraceptives, and the Risk of Ovarian Cancer among Carriers and Noncarriers of a BRCAI or BRCA2 Mutation. N Engl J Med 2001;345:235-240.
15) V. Beral, et al:Ovarian cancer and oral contraceptives:collaborative reanalysis of data from 45 epidemiological studies including 23 257 women with ovarian cancer and 87303 controls. Lancet 2008;371:303-314.
16) Francesmary Modugno, et al :Oral contraceptive use, reproductive history, and risk of epithelial ovarian cancer in women with and without endometriosis. American Obstetrics Gynecology 2004; 191 :733-740.
17) Carlo La Veccia:Oral contraceptives and ovarian cancer: an update, 1998-2004. European Journal of Cancer Prevention 2006;15:117-124.
(投稿:by 僻地の産科医)
産科補償制度というのがあります。
主に脳性まひに関しての補償制度ですが、
まぁ、何がなにやらわからない、
どうなってんのかな~という制度でして。
多分患者さんへの補償を主眼としたシステムのはずなのに、
再発防止に重点を置いた(っぽい)審査が公開されます。
そのうちのひとつの報告書です。
学会内でのカンファならともかく。。。という感じの
この調子で裁判とかの結果が左右されたりすると
たまらないな
という報告書になっています。
【とにかくおススメブログo(^-^)o..。*♡】
ググってビックリ セブンネットの「ベビ旅&マタ旅」サイト
「赤ちゃん連れでも妊婦さんでも旅に出よう」本気か
天漢日乗 2012-04-10
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2012/04/post-00ce.html
妊娠中の旅行 大丈夫?
宋美玄のママライフ実況中継 2012年3月21日
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=56272
働くのは母親のわがままか
宋美玄のママライフ実況中継 2012年4月11日
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=57217
放射脳を切る千葉市長のツイートが凄すぎる!とTwitterで話題
http://htn.to/wAVGXh
ブライアン・ゴールドマン:
医師も失敗する。そのことを語ってもよいだろうか?
http://www.ted.com/talks/lang/ja/brian_goldman_doctors_make_mistakes_can_we_talk_about_that.html
母体保護法 杉浦真弓(名古屋市立大産科婦人科教授)
中日新聞 2012年4月9日
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120409170455374
【日本産科婦人科学会新規入会医師数の減少について】
2012年3月31日現在の 日本産科婦人科学会 新入会員数の推移
http://shusanki.org/theme_page.html?id=176
事例番号:220004
原因分析報告書要約版
産科医療補償制度
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/pdf/220004.pdf
原因分析委員会第五部会
1.事例の概要
1回経産婦であり、前回の分娩は横位のため帝王切開を行っている。今回妊娠中は、前回帝王切開例として分娩前日まで特に問題なく経過していた。妊娠37週に帝王切開予定であったが、妊娠36週3日に陣痛様の強い子宮収縮が起こり、病院に向かう車中で子宮破裂が起きた。緊急帝王切開術が施行されたが、アプガースコアは1分後0点、5分後2点の新生児仮死であった。出生後、児は直ちに蘇生処置が行われ、気管挿管の上、NICUに入院となった。
本事例は、病院における事例であり、経験年数4~12年の産婦人科専門医3名、経験年数3年~16年の小児科医3名、経験年数23年の脳神経外科医1名と経験年数3年~15年の助産師3名、10~22年の看護師4名がかかわった。
2.脳性麻痺発症の原因
本事例における脳性麻痺発症の原因は、子宮破裂、それによる子宮胎盤循環の障害、そのために生じた胎児低酸素性虚血性脳症の可能性が高い。前回帝王切開の子宮創部に陣痛様の強い子宮収縮による圧力がかかり、子宮破裂が起きたものと推察される。
3.臨床経過に関する医学的評価
1)既往歴
帝王切開既往妊娠でハイリスク妊娠であるが、前回帝王切開創部に関する当該分娩機関の認識について、診療録への記録が明確でない。また、前回帝王切開を行った医療機関に、術式等の問い合わせを行ったかどうか記録上は不詳であり、その記載がないとすれば、妊娠37週以降の陣痛発来前の帝王切開を予定する場合であっても、前回の帝王切開創が通常の創ではないとの情報が妊婦本人などから得られた場合、前医に前回帝王切開の方法について問い合わせ等をして、子宮破裂の危険について評価しておくことが望ましく、本事例においてはそのような配慮が欠けていると思われる。
2)妊娠経過
(1)妊婦健診について
胎盤が前壁付着の場合、癒着胎盤のリスクがあるが、初診担当医に、胎盤付着部位に注意をすべきとの認識があったことは妥当である。
また、通院所要時間等を考慮すれば、前回帝王切開創部と胎盤付着部位のチェックなど緊密な連携のもと、紹介元での妊婦健診管理の選択は問題ない。
(2)妊娠35週以降の妊娠経過について
妊娠9ヵ月末に紹介元から異常なく再紹介となっており、セミオープンシステムとして問題なく機能している。
前置胎盤・低置胎盤の場合に、帝王切開の既往があるときは癒着胎盤の合併に注意することが産婦人科診療ガイドラインでは勧められているが、前置胎盤がないことが確認されており、ガイドラインからは外れていない。
子宮破裂のリスクをできるだけ回避するため、帝王切開を妊娠37週に予定したことは標準的である。術前検査、貧血の治療、助産師外来での保健指導等も適確である。
3)分娩経過
(1)陣痛発来から入院まで
妊娠36週3日に、妊産婦が腹痛を自覚し、当該分娩機関に電話で連絡を行った際、医師が救急車での来院を指示し、手術準備を開始し、妊産婦の到着に備えたことは適確である。
その後、看護スタッフが妊産婦に電話をして状況を確認したことも適確かつ丁寧な対応である。
(2)入院から帝王切開まで
入院後の対応は極めて迅速で適確である。
母体救命、胎児救命という観点から麻酔科管理の下での緊急帝王切開の決定は妥当である。妊産婦の意識障害、痙攣発作の原因として、脳出血を鑑別するために脳神経外科医の診断を仰いだことは適確である。来院から10分間で帝王切開を決定し手術室に移動したが、超音波検査で胎児徐脈が確認され、胎児機能不全の適応にて帝王切開を急いだことは妥当な判断であった。緊急帝王切開で、妊産婦もショック状態であるため全身麻酔を選択したことは適確であった。来院から18分という短時間で児が娩出されており、極めて迅速に処置され、優れた対応であった。
(3)児娩出後
出生直後から小児科医により蘇生処置は施され、適確に治療されている。
4.今後の産科医療向上のために検討すべき事項
1)当該分娩機関における診療行為について検討すべき事項
(1)前回の妊娠分娩経過の情報収集を行う
前回の帝王切開の子宮切開創が縦切開であったか否かは別にして、少なくとも「大きく切開した」との情報があったわけであり、遅くとも帝王切開を実施する前までには分娩担当医療機関、妊娠中の診療担当医療機関は前既往帝王切開担当医に問い合わせて前回の手術時の情報を収集し、情報を共有しておく必要がある。
(2)前回手術の情報等を診療録に記載する
本事例は、前回帝王切開が縦切開であったか否かの診療録への記載が不詳であるが、十分な情報の共有確認がなされるためには、診療録にも記載が行われることが重要であり、より適切なリスク管理を行い得ることとなるため、前回の手術時の情報を、診療録に記載し、明示しておく必要がある。
また、救急搬送時の超音波検査における胎児所見、胎盤所見、手術時における子宮の所見(子宮の変色の有無、胎児•胎盤の所見、破裂創部位の状況)等についても、時間のある事後に整理して、診療録に詳しく記載することが望まれる。
2)当該分娩機関における設備や診療体制について検討すべき事項
リスクを有する妊産婦に対する共同管理の体制を整える
セミオープンシステムの連携にあたって、リスクを有する妊産婦を診療所で管理する場合、分娩担当医療機関は妊婦健診を分担して行う診療所での妊婦健診上の留意点、リスクの把握を共有し、分娩担当医療機関を受診させる時期、分娩担当医療機関との間で円滑に受診、コンサルトできる診療体制を構築することが望まれる。また、正常妊娠経過をたどっていた妊産婦が、突然急変することも想定し、その際の細かい対応策を協議しておくことが望まれる。紹介元、分娩担当医療機関の両者が責任をもってリスクを共有し、対応を行うという体制作りが強く勧められる。
さらに、セミオープンシステムの連携体制において、受診回数が少ない分娩担当医療機関では、ハイリスク妊婦の定期健診を助産師外来で扱うこともあるため、その際の診療体制の検討を十分に検討しておく必要がある。また、妊産婦からの情報収集は助産師も含め医療に当たるものが協力して行うことが勧められる。
3)わが国における産科医療体制について検討すべき事項
(1)学会・職能団体に対して
ア.子宮破裂の発症を防ぐため、帝王切開術後瘢痕創を有する子宮の妊娠管理についての管理ガイドラインの作成が望まれる(超音波検査による前回帝王切開創部の子宮筋層の厚さの測定の有効性の有無や、既往帝王切開が子宮壁縦切開の場合、陣痛発来前にも子宮破裂が発症することも指摘されていることから、入院管理も含めた予定帝王切開前の管理方法、予定帝王切開の時期設定などの再検討が望まれる)。
イ.学会・職能団体は、オープンまたはセミオープンシステムを構築している分娩担当医療機関に対して、リスクを有する妊産婦の管理における診療所との連携において、そのリスクの共有、対応策の共有をするよう、なお一層の提言、推進をすることが望まれる。
(2)国・地方自治体に対して
ア.国•地方自治体は、オープンまたはセミオープンシステムを構築している分娩担当医療機関に対して、リスクを有する妊産婦の管理における診療所との連携において、そのリスクの共有、対応策の共有をするよう、なお一層の提言、推進をすることが望まれる。
イ.妊産婦の記憶に頼った既往診療情報の聴取のみでは、その正確性に限界があるため、母子手帳等に次回の妊娠・分娩時にむけて、留意する点を記載する特記項目欄を設けるなどの工夫をすることが望まれる。
ウ.帝王切開分娩が増加する現在の産科診療の中では、全国の妊産婦に既往帝王切開妊娠のリスクについて正しく、また、広く啓発することが望まれる。
(関連目次)→妊娠したら気をつけること 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
なんだか最近、ワクチンの話が活発化してきました。
昨日ご紹介した雑誌のインタビューも良かったので、
あげようと思っているのですが、たまたま産経から
こんな記事が出ていたから、旬のうちにご紹介o(^-^)o..。*♡
と思って。
他にも気になる最近のブログなどいくつか。
【ちょっと気になる記事..。*♡】
326グラムの奇跡
中日新聞 2012年4月5日
http://iryou.chunichi.co.jp/medical_column/leaf/20120404162102825
遺伝性がん、検査し予見 乳がん、早期発見で治療に選択肢
卵巣がん、予防切除も
朝日新聞 2012/04/05
https://aspara.asahi.com/blog/mediblog/entry/FXUeiKNdzs?utm
「『大往生したけりゃ 医療とかかわるな』の読み方」
がんになってもあわてない 2012/3/29
http://air.ap.teacup.com/awatenai/1636.html
明日の記事、どうしようかなぁ?と考え中です。
Yosyan先生とかぶっちゃうかもw。
というか最近、当直室のPCの調子悪くて、
イマイチなので記事を上げられない可能性も高いです。
Yosyan先生と相談してみよう。
大人の水ぼうそう ワクチンで予防・重症化回避
産経新聞 2012.4.4
(1)http://sankei.jp.msn.com/life/news/120404/bdy12040407380001-n1.htm
(2)http://sankei.jp.msn.com/life/news/120404/bdy12040407380001-n2.htm
歌手の鈴木亜美さん(30)が2月、水ぼうそう(水痘)のため、北京で開催されたライブへの出演を辞退した。水ぼうそうは5歳以下で感染し軽症で済む人がほとんどだ。しかし、大人になってからかかると重症化することが多く、妊婦の場合は胎児にも悪影響を与えることがある。東京慈恵会医科大学葛飾医療センター(東京都葛飾区)の本田まりこ教授(皮膚科)に聞いた。(豊田真由美)
感染細胞が多い
水ぼうそうはウイルス性の伝染病で、「水痘・帯状疱疹(ほうしん)ウイルス(VZV)」というヘルペスウイルスの一種が、へんとうや咽頭にある特殊な細胞(リンパ球)に感染し発症する。血液を介して皮膚に到達すると全身に発疹ができて水ぶくれになり、かゆみ・発熱・倦怠(けんたい)感などの症状が表れる。本田教授は「大人はVZVに感染する細胞を子供より多く持っているため、水ぼうそうが重症化しやすい」と解説する。
VZVは感染力が強く、くしゃみ・せきなどによる飛沫(ひまつ)感染、発疹を触ることによる接触感染のほか、空気感染でもうつる。本田教授によると、ほとんどは5歳までに水ぼうそうになり、免疫を得るという。
しかし、「昔は大人の99%が感染済みとされていたが、今では88%しか抗体を持っていない」(本田教授)。水ぼうそうにかかっていない1割強の大人には、肺炎などの合併症を起こして命を落とすことさえある「怖い病気」(同)になり得る。妊婦の場合は、失明・脳障害・流産など胎児にも深刻な影響が及ぶ可能性があるという。
薬で軽症化も
水ぼうそうに罹患(りかん)しないまま大人になった人は、水痘ワクチンを接種すると、予防できるか、重症化を防げる。本田教授によると、水ぼうそう患者と接触したとしても3日以内に水痘ワクチンを接種するか、10日後ぐらいから抗ウイルス薬を5日間ほど飲めば、高い確率で発症を予防でき、発症したとしても軽症で済む。ただ、妊婦は接種できない。VZVは、回復後も神経細胞などが集まる神経節に潜伏。水ぼうそうにかかったことがある人は、疲労・ストレス・加齢などで免疫力が低下すると、VZVが再活性化して顔や胴体などに帯状の発疹(帯状疱疹)ができることがある。
特に高齢者は、帯状疱疹が治った後も神経痛が長引いたり、再び水ぼうそうになったりする。脳炎を起こして死に至るケースもあるという。本田教授は「免疫は20年たつと落ちる。『水ぼうそうは一生に一度』といわれるが、水痘ワクチンを接種し、帯状疱疹を防いで」と勧めている。