中南米から日本に働きに来ている人たちの中で、自覚しないままシャーガス病病原体(アメリカ・トリパノゾーマという寄生虫)の保虫者であったため、日本で発病する人が現れている。シャーガス病病原体の保虫者であっても、発病するのは二十年から三十年後のため保虫しているという意識がなく、発病しても日本では診断できる医師が少なく、治療も出来ないのが実状。さらに問題なのは、病原体に感染した人が輸血すると、輸血を受けた人も病原体に感染すること。感染した在日日系ボリビア人の中にはすでに献血した人もいた。在日日系人の間のシャーガス病問題をこのまま放置すれば、日本国内への病原体の拡散が心配され、今後大きな社会問題になる可能性がある。 中南米各国からデカセギに来ている人は四十万人近くおり、この人たちの母国での生活環境を考慮に入れると、このうちの一〇%、約四万人が保虫者と考えられるという。この人たちが善意から献血した場合、日本では血中のシャーガス病原体の検査態勢が完備していないこともあり、輸血を受ける人に感染する大きな危険をはらんでいる。 日本でただ一人のシャーガス病研究者である慶応大学医学部熱帯医学寄生虫学の三浦左千夫助手の調査によると、中南米出身の在日日系人でシャーガス病ではないかと疑われ検査(一九九九年~二〇〇六年)をした二十九人の内十二人(四一・三八%)からシャーガス病病原体の陽性反応が出た。この十二人の内六人の家族からシャーガス病患者が出ている。これは同じ環境下で生活していたためか、あるいは母子感染(出産で母子感染する)したのかははっきりしないが、同じ地区で生活していたことで保虫者になった可能性が大きい。 シャーガス病病原体を媒介するのはサシガメ(吸血性のカメムシ)で、病原体はサシガメの糞の中にいる。サシガメに刺されたとき傷口をこすり、刺し傷に糞(サシガメは吸血すると満腹し脱糞する)をすり込んでしまうことで感染する。もちろん、保虫者から輸血、臓器移植された場合も感染する可能性が高い。 サシガメは土壁などに生息し、日本移民が多く入植した、マリンガ、ロンドリーナなどのパラナ州の内陸部一帯、サンパウロ州の奥地のプレジデンテ・プルデンテ、リンス、リベイロンプレット辺りも生息地域。ブラジル政府はサシガメの撲滅宣言をしており、シャーガス病は克服したとしているが、輸血や新生児感染以外では新たな感染者は出なくても、すでに感染していることもある。この人たちは二十年後、三十年後、あるいは高齢になり免疫力が低下したころに発病することが十分に考えられる。 三浦助手は、生息地域とされているところで生活していた日本人、日 系人は、一度検査を受けた方がいいという。また、日本へデカセギに行く人も検査をし、陽性反応が出たらそれを覚えておき、日本で心臓などに不具合を感じたら、診断した医師にシャーガス病の保虫者の可能性を伝え、適切な治療を受けることが大切という。 また三浦助手は、最近になってシャーガス病の病原体がアサイ、サトウキビの生ジュースの中にいることが分かったことから、南米への旅行者は美味しいからといってみだりに新鮮なアサイジュース、サトウキビジュースなどを飲まないようにと注意を促している。 三浦左千夫助手の話 日本ではシャーガス病の診断や治療法が確立されていなく、南米のデカセギの人たちが発病したら困ったことになる。それ以上に、輸血、あるいは保虫者が出産することで母子感染などによって日本国内に拡散する可能性もある。なるべく早く、デカセギの人たちのシャーガス病原体の有無の検査を行うべきだろう。また、デカセギ希望者は日本に来る前、自主的に検査を受け、病原体の有無を検査するべきだ。それが自分の命を守ることでもあり、日本で新たな感染者を出さないことにもつながる。 記事に載っている専門の先生からコメントをいただきました。 なんとなく文面をみた限りでは、症状はトキソプラズマに似ている感じがしますが、当然私も疑った事もなければ診たこともなく、病気を疑うにはまず知識があることが前提ですので、みなさまにお報せいたします! 以下、いただいたコメントです!ありがとうございます..。*♡ なお、以下記事より引用です! (記事がリンクできなくなっていた場合は、ウェブ魚拓http://megalodon.jp/?url=http://www.spshimbun.com.br/content.cfm%3fDO_N_ID%3d16058&date=20070404041924にてご覧下さい) 記事によりますと、 中南米出身の在日日系人でシャーガス病ではないかと疑われ検査(一九九九年~二〇〇六年)をした二十九人の内十二人(四一・三八%)からシャーガス病病原体の陽性反応が出た。 とのことですので、気をつけなければならないみたいです。 ということでお願いします!日本にシャーガス病が発生 出稼ぎ者が持ち込む ぽち→
サンパウロ新聞 2007年4月3日
http://www.spshimbun.com.br/content.cfm?DO_N_ID=16058 診断法、治療法もお手上げ
【シャーガス病】
中南米に分布。サシガメの刺し傷から病原体が侵入する。感染一,二 週間で風邪のような症状が出るが、重症の場合は急性心不全で死亡することもある。この初期症状を乗り切っても病原体は体内に残り、腸管や心臓の細胞内に侵入、二十年から三十年後に活動を再開、心臓拡大、不整脈、巨大結腸症などを引き起こし、最悪の場合は死亡する。
先天性シャガース病というのがあるんですね。知らなかったです!
先天性シャガース病
紛れもなくシャーガス病の病原体Trypanosoma cruziが慢性感染妊婦の血液を通じて、胎児へと移行、出産を迎えた場合に低体重児、肝臓、脾臓がはれている、虫血症が見られる等で診断されます。
南米ボリビアでは妊婦でT.cruzi抗体陽性者の約く5%に先天性シャーガス病児の出産を見ます。
在日ラテンアメリカ人の妊娠適齢期の方たちが母国で感染をしていた場合、本疾患感染児の出産の可能性は否定できません。
当然のごとく血液を介しての感染予防に対する対策は必要です。ラテンアメリカからの人口集中地域の医家の方々はもしや??と思われた場合は連絡いただければ検査診断など、相談に応じます。
慶大医学部熱帯医学寄生虫学教室
三浦左千夫日本にシャーガス病が発生 出稼ぎ者が持ち込む
サンパウロ新聞 2007年4月3日
http://www.spshimbun.com.br/content.cfm?DO_N_ID=16058 疑ったら検査!感染予防!!!
こんにちは はじめてメールさせていただきます ネットでシャーガス病のことを調べていまして、当ホームページを興味深く読ませていただきました というのは妻の母がシャーガス病と診断され、妻も心臓が痛いとよくいいます 妻は南米出身なので感染確率が高いかなと それで診察してくださるとこを探していますが、なにぶん素人なのでわかりません よろしければ診察してくださる病院を教えてくださえばうれしいです 当方福井県に住んでいます あつかましいお願いですが、なにとぞよろしくおねがいいたします
投稿情報: ナカムラ | 2009年7 月14日 (火) 09:11
慶応大学でしょうか。。。。
主治医に、三浦左千夫先生を探して相談してもらってくださいませ。よろしくお願いします。
日本全国どこでも治療や助言が得られるような病気ではないと思います。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2009年7 月17日 (金) 21:54
ほんとうにありがとうございました 機会をつくっていきたいと思います ありがとうございます
投稿情報: ナカムラ | 2009年8 月17日 (月) 07:51
旧慶應大学医学部・熱帯医学寄生虫学教室におりました三浦です、定年退職後、日本赤十字中央血液研究所・感染症解析部に移りシャーガス病に関する対策に関連しています。 警鐘を鳴らしてから6年も経ちましたが、ついに2例先天性感染シャーガス病を示唆する症例に出くわしました。1例目については母子手帳などから
関係機関が判明し、出産に立ち会った医師など医療関係者の二次感染の有無について抗体検査を実施いたしましたが、幸い全員陰性でした。その子は既に16歳に成長し無症状で元気に通学をしておりますが、予防治療をいたしました。
第ニ例目に関しては母子ともに抗体陽性で13歳(日本生まれ)になろうとしていますが未治療です、
いずれも日系ボリビア人の母親です。ご心配の方は相談に応じますご連絡ください。
投稿情報: 三浦左千夫 | 2013年7 月31日 (水) 00:41