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(投稿:by 僻地の産科医)
アメリカの医学生は、
日本の研修医に相当すると考えていただいていいようですo(^-^)o ..。*♡
医学生のバーンアウトと自殺企図に関するコホート研究
MTpro 記事 2008年9月10日掲載
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米・メイヨークリニックのLiselotte N. Dyrbye氏らは,4,000人以上を対象とした調査から,多くの医学生がバーンアウトに陥っており,自殺リスクも高まっていることを報告した(Ann Intern Med 2008; 149: 334-341)
医学生の半数近くがバーンアウト
米国内のいくつかの多施設共同調査において,医学生は同じ年齢層の人に比べ,精神的QOLが低い実態が明らかにされており,半数近くがバーンアウトに陥っているとも言われている。Dyrbye氏らは,医学生たちのバーンアウトと,重圧による極度の疲労の終末像とも言える自殺企図の関連を明らかにするため,2006年から07年にかけて調査を実施した。調査対象はメイヨークリニックのほか,アラバマ,ミネソタ,シアトル,シカゴ,メリーランド,カリフォルニアの7つの医育機関に所属する4,287人の医学生。
バーンアウトに関する調査項目(Maslash Burnout Inventoryを使用)に回答した医学生の49.6%(2,154人中1,069人)が診断基準に合致した。そのうち,極度の精神的疲労,高度の離人症状,個人的な達成感の欠如を訴えた人はそれぞれ約30~40%に上っていた。
また,SF-8によるQOL調査からは,同年齢層,あるいは米国の一般人口との比較において,医学生は精神的QOLが有意に低い(各グループにおけるスコア中央値:医学生43.5 vs. 同年齢層47.2,一般人口49.2,各P<0.001)一方で,身体活動QOLが有意に高いこと(各スコア中央値:52.2 vs. 51.4,49.2,各P<0.001)も示された。
バーンアウト,精神的QOLの低下が
自殺企図の独立した予測因子
また,自殺企図に関する調査からは,医学生の11.2%(2,230人中249人)に自殺企図の経験があることがわかった。
さらに,バーンアウトがある医学生では,自殺企図を経験したと回答する割合がバーンアウトのない医学生に比べ明らかに高かった(オッズ比3.46,CI2.55~4.69,P<0.001)。また,2006~07年の縦断研究における多変量解析からは,06年(ベースライン時)のバーンアウト,精神的QOLが,その後の自殺企図の独立した予測因子であることが示された。
なお,2006年当時バーンアウトの基準に当てはまった370人のうち,症状が回復した26.8%(99人)では回復していない人(271人,73.2%)に比べ調査前年における自殺企図の率が軽減し(7.2% vs 18.2%,P=0.001),その割合は一度もバーンアウトになったことがない人と比べ,有意差が消失する程度まで回復していた(7.2% vs 4.9%,P=0.38)。
Dyrbye氏らは米国の医学生における自殺企図の割合は高く,従来報告されている医師の自殺リスクは医学部時代から始まっており,抑うつ症状が見られなくてもバーンアウトがあれば,その後の自殺企図につながる重大な予兆と考えるべきとしている。また,医育機関が実施すべきこととして,自殺リスクの高い学生を特定するシステムの構築や,学生サポートやウェルネスプログラムの実行,研修システムの工夫などを挙げている。
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