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(投稿:by 僻地の産科医)
医療制度研究会の夏季研修会に参加してきましたo(^-^)o ..。*♡
というわけで、ご報告。
最近、体調のためか、イマイチ筆記能力等劣っているところがあって、
上手に伝えられないかもしれませんけれど、ごめんなさい。
メンバーがすごくって。
井上清成先生はMMJの連載から大ファンだったのですが、
きゃー(>▽<)!!!!実物っ!!!!
本田先生かっこいいい!!!
森田教授、はじめてみたっ!切れ者~って感じ。すごいメンバーでした。
(何一つ無駄な講演はなかったです!)
第Ⅰ部
【大野病院事件の教訓を活かせるかーメディアと共に医療の未来考えよう】
①野村麻実氏(国立病院機構名古屋医療センター産婦人科)
②真々田弘氏(日本電波ニュース社報道部)
③井上清成氏(井上法律弁護士事務所)
総合司会:松原要一氏(鶴岡市立荘内病院院長)
第Ⅱ部 【フリーディスカッション:医療崩壊から医療再生へ】
【指定発言】
①本田宏氏(済生会栗橋病院副院長)
②松原要一氏(鶴岡市立荘内病院院長)
③森田茂穂教授(帝京大学医学部麻酔科教授)
総合司会:中澤堅次氏(済生会宇都宮病院院長)
ではどうぞ ..。*♡
産科医療崩壊の現場から
大野病院事件によって浮き彫りにされた問題点
国立病院機構 名古屋医療センター 産婦人科
野村麻実
よく知られている経過ですけれど、
まずは事件の概要についてです。
後々詳細については分かることですけれど
主治医の加藤先生は手術中にエコーをやり
胎盤のないところを子宮体部U字切開しています。
前置胎盤で胎盤のないところを切るのは、
かなり勉強されている先生なんですね。
今でもほとんどの施設で胎盤のある所を
むにゅむにゅって入ってって赤ちゃんを
出す昔ながらの技法を使っている先生方の
方が多いくらいです。
これを聞いて、一人医長でいながらも、加藤先生は
私はかなり勉強されている先生だと感じました。
またそんな先生がお腹の上からではなく子宮に直接
エコーしてわからなかった後壁癒着の癒着胎盤が
業務上過失致死に問われるようなものだとは
未だ思えません。
子宮摘出後に心室細動、母体死亡にいたりました。
解剖がなされていないために、正確な死因は不明です。
逮捕までの経過です。
次の月には事故調査委員会が出来ました。
3月、報告書にてミスを認める見解を
出しています。
この問題については保険の関係があって
交通事故でお世話になった人とか分かると
思うんですが、悪くないと出し渋るんです。
というか、ミスがないと補償金が出ないんです。
つまり悪かったって何回も書いていないと、
特に癒着胎盤なんて亡くなるような病気、
絶対出してもらえないんです!
この点は後に認められて、検察側はこの報告書を
証拠として提出しないことになったのですが、
県がこの時点で和解なり示談なりを行おうとしていた形跡が認められます。
6月には先生方は処分までされていますが、
それでも丸く収まるならいいと思っていたのでしょう。
しかし皮肉なことにこの報告書によって警察が動き出したのです。
カルテや証拠物品の取押えが行われました。
1年3ヵ月たった2月18日。
突然電撃的な報道、逮捕という結果となりました。
ここまででの問題点なんですが、
これは後々問題になっているから
確かなことですが、
・届出は病院からしていない
・新聞記事によると遺族からの通報でもない
呼んでなくても警察はやってくるってことです!
それも正当な医療をしている、
結果は悪くても、医学的には正当な医療をしていると
思っている主治医・病院の所へ警察がやってくる。
第三次試案や大綱案についてごちゃごちゃ言われていますが、
結局21条をどうにかしたって大野事件って防げなかった事件なんです!!!
目的は自白調書を取るためだといわれて
いる、俗に言う「人質司法」の問題点です。
(これは医療だけの問題じゃありません)
住所不定でもなく、再犯の恐れもなく、
証拠はすでに保全され、口裏あわせもなにも
県の調査報告書が出来たあと!!
スライドを見ていただかなくても
「何で逮捕する必要があったの?」
「在宅起訴なら、そのまま医療ができたのに」
「こんな大事件にならなかったのに!」
と思ってしまいます。
逮捕ってそれだけ社会的影響が大きいのです。
それだけで犯罪者扱いになります。
逮捕のみで(起訴されなくとも)退職を迫られるケースがあるそうです。
逮捕から起訴への流れです。
逮捕から起訴までの間に、かなりの数の医療団体から抗議声明が上がりました。
しかしそれを無視した形で(実際には逮捕してから23日以内に起訴するか釈放するか決めなければならないのですが)3月10日起訴されてしまいます。
やっぱり一人医長は心配だということで、この辺りから一人医長はやめ
集約化の動きが出始めています。
この地区では、この3月に隣の双葉厚生病院から小児科医退職となり
すでにさまざまな市や郡で動きが広がり始めました。
福島地域医療崩壊が直後から始まっています。
医学以外にも共通する司法の問題点
じゃないかと思うのですが、いろんな事件で
問題になっているような事柄が、
大野事件でもおきています。
こういった司法の密室性については、
(とくに取調べ中の出来事なども含め)
声をあげていく必要があります。
(あとの質疑応答で、とにかく「訴えられそうかな?」という事例があった時点で弁護士さんと連絡を取っておくことが大切です、というような話が井上先生からありましたo(^-^)o ..。*♡)
これもよくわからないのですが、
なぜか富岡署が福島県警から表彰をうけています。
昔から、現職大臣・国会議員・知事などの逮捕などは
「ぐっじょぶ(o~-')b」
みたいな感じがあったんですが最近あんまりそんな感じがなくなって。
この頃の医師逮捕ってそんな感じだったのでしょう。
しかしもうこの頃には病院や市はかなり困りだしていたようです。
衆議院の厚生労働委員会がわざわざ現地へ出向き、公聴会を
開いていますし、首長さんたちは口々に医師不足と医療崩壊を
訴えています。
この空気の中、やはり県議会でも、
表彰したことについて否定的質問がなされています。
こうして事件は争点整理に入っていきます。
争点整理の結果がこちらですo(^-^)o!!
(1)の中のa.は子宮の病理が残っていますので、
(一般には勘違いされていますが、病理って標本が必ず
残るので、解剖は証拠隠滅どころか、科学的な証拠です)
問題はb~dです!!!
つまりそこに居合わせた
「医師」の裁量権が、素人の検事に問われ、
素人の裁判官が裁くわけです。
それ以外の件については、たいしたことだとは思えません。
(2)は大野事件だけの問題ではなく、そもそも医療に問題がないと思っていたから(そして多くの産婦人科医ならそう思うでしょう)届出をしなかった。
(この事件後、意味なくみんなが届けるようになったら、
「ミスがあったんだから届けるんだろっ!」と
殴られる時代に突入しております。どうせいっちゅうんじゃ!)
また大野病院では院長が届けることになっていたわけで、
加藤先生に罪を問うのはどうかと思います。
(3)の問題はまさに人質司法の問題です。
検事側の証人ですね。
ここからについて、この後よく
「あんなにばばばーんとその道の
権威ばっかり用意して!」
「産科って庇いあいしてるんじゃない?」
とかいろいろといわれますけれど、
そもそも専門性について検事が理解していなかった。
証拠として提出した論文がことごとく却下されたので、
仕方なく弁護団はそれを書いた著名人を一人づつ集め、
証言台に立ってもらっています。
これからは鑑定医の専門性ということについて、
それから臨床でのカンファとか意見を言うとか、
教授なら何間違ったこと言っても、割とその場で
許されちゃうんですけれど、そういう違いを、
「鑑定書」の重みをこれからも医師が意識していくべき課題だと
いうことが残ったのではないかと思います。
懲役と禁固だと禁固の方が重そうですが、
実は禁固は本読んでてもいいし、仕事しなくてもいいし、
したかったらお手伝いしてもいいというものだそうです。
かなり軽い刑のようです。
これらのことは、加藤先生お一人を責めることで
解決されることではありません。
一般的にも裁判に対して多くの誤解があります。
裁判は戦う場所なのです。いわば公的に自分の正当性を
主張するために用意された場所なのです。
でもご遺族にとって
「自分は悪くなかった!」
と医師が主張(せねばならない)のをきいてどう感じられるでしょうか?
溝はますます深まるばかりです。
でもそれが裁判だというのが社会的ルールで、
この事件ではもしかしたら穏便に済んだかもしれないところへ
刑事が無理やり法廷に引きずり出し、双方に深い心の傷を
与え続けています。
裁判は社会的影響がかなり大きいものです。
今回の事件では福島をはじめとした日本全国の医療はめちゃくちゃになり、
産科医療は大きく音を立てて崩れ始めています。
裁判は過去にあったこと、個々の事例を考え、過去しか見ませんが、
その裁判の影響について検証することがありません。
医学的にその裁判の判定結果が正しかったかどうか、
裁判官は永遠に勉強することが出来ません。
今回は有志の方が裁判傍聴に行かれ、新聞等では字数制限があって
報じられなかった裁判の様子を報じてくださっています。
しかし個人的努力に頼らず、医療界はシステムとして裁判官に
その裁判結果が医学的にどうだったのか示していかねばなりません。
今回、私たちは福島の地で、
この逮捕に始まる一連の出来事から、
どんな社会現象が起こったのか。
地方医療がどうなったのか。
考えていこうと思っています。
シンポジウム
「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」
参加のお申込
お名前とご所属を、[email protected]までメールでお送りください
会場は福島グリーンパレス
http://www.fukushimagp.com/
〒960-8068 福島市大田町13番53号
(福島駅西口より徒歩2分)
TEL 024-533-1171 FAX 024-533-1198
また当日参加できない方々からのメッセージを
受け付けることにしました。
当日読ませていただくか、配布させていただきます。
「コメントのみですが」と入れていただいて、
[email protected] までメールでお送りください!
都道府県、年齢と性別お願いします。
産科の崩壊、医療刑事事件の問題など、
地域医療の問題でも、困っていることでもなんでもいいです。
加藤先生への応援メッセージはご本人の手元に必ず届くようにします。
(こちらは公開しません)
とのことでした!
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