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(投稿:by 僻地の産科医)
今日はちょっと趣向をかえてみました。
看護師さん等の人手不足・過労にも日々触れてはいるのですが、
なかなか真ん中にどーんとのっける感じにならないので。
医療、介護崩壊阻止訴えパレード
キャリアブレイン 2008年10月20日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/18732.html
社会保障費の拡充と安全で安心な医療、介護の実現を訴える「STOP!医療・介護崩壊、増やせ社会保障費10・19中央集会」が10月19日、東京の日比谷公会堂で開かれ、全国各地の医療関係者らが集まった。この集会は医療崩壊阻止を訴えて毎年開催され、今回で3回目。今回は介護分野まで裾野が広がった。集会終了後、医師や看護師ら約5000人が都内をパレードし、「医師、看護師を大幅に増やせ」「地域医療を守れ」と口々に訴えた。
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集会では、医療、介護現場へ提案する「10・19集会アピール」が読み上げられ
▽医師、看護師の増員
▽介護報酬の引き上げ、介護職員の処遇改善と増員
▽後期高齢者医療制度の廃止
▽患者負担の軽減
▽社会保障費総枠の増額、とりわけ国庫負担の拡大
―の5つの事項を国に求めた。
集会の冒頭、実行委員会を代表してあいさつした日本医療労働組合連合会の田中千恵子委員長は、昨年5月に亡くなった東京済生会中央病院の看護師、高橋愛依さん(当時24歳)の労災認定に触れ、「これは氷山の一角かもしれない。患者にとっても、利用者にとっても安全な医療、そして介護現場を一緒につくっていきたい」と述べた。
全国各地からの参加者が順に意見を述べる「リレー発言」では、愛知県みなと医療生協労組所属の看護師の福田真弓さんが、現在働いている病院では看護師不足のため病棟を一つ閉鎖している現状を紹介し、「もっと患者に寄り添う時間が欲しい、良い看護がしたいという思いは、新人もベテランも同じだと思う。患者のために、看護師を増やせるよう頑張りたい」と決意を語った。
新潟デイサービスセンター介護主任の今井伸二さんは、介護保険制度が始まってから2回の報酬改定で、介護施設は大幅減収になったと説明。「しわ寄せは人件費に来た。若い職員から次々辞めていき、新たな職員も集まらない」と訴えた。
全日本医学生自治会連合の執行委員長の宇敷萌さんは、「医師不足や経済的事情で、患者が医療を受けられないと聞いている。本当に自分たちがやりたい医療ができるのか、こんなに大変な仕事をやっていけるのかと不安を感じている」と述べた。
青森健生病院の竹内一仁医師は、「先生も体に気を付けて」と診察を待つ患者から逆に言われるほど疲弊した勤務医の現状を説明、「患者の医療費と待ち時間が増える一方、医療者は現場で辛い思いをしている」と訴えた。集会後、出席した医師や看護師ら約5000人が都内中心部をパレード、「医師、看護師を大幅に増やせ」「後期高齢者医療制度を廃止しろ」などと訴えた。
県看護協会60周年、医療現場の窮状訴え/秋田
読売新聞 2008年10月19日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20081018-OYT8T00882.htm
県看護協会の創立60周年記念式典が18日、秋田市で開かれた。
来賓の秋田市の佐竹敬久市長は「医療現場は今、岐路に立っている。医療格差、医師偏在の問題は何よりも優先される課題だ」と述べたほか、西村哲男副知事も「県も看護師の確保に取り組んでいきたい」とあいさつした。
県看護協会の佐藤潤子常務理事によると、協会非加盟の看護師も含めると県内に約1万3000人の看護師がいる。しかし、入院基本料の診療報酬が増額される「入院患者7人に対し看護師1人(7対1)」を満たしている病院(病床数20床以上)は、県内78病院のうち10病院程度で、ほとんどは「10対1」もしくは「13対1」以上と看護師不足が深刻化している。佐藤常務理事は「現場の実感として非常に厳しく、休みが取れない」と訴えている。
過労死:看護師を労災認定 残業1カ月100時間
毎日新聞 2008/10/17
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081018k0000m040019000c.html
東京都済生会中央病院(東京都港区、高木誠院長)に勤務していた看護師の高橋愛依さん(当時24歳)が亡くなったのは長時間の過重労働が原因だとして、東京・三田労働基準監督署は過労死の労災認定をした。17日に会見した代理人の川人博弁護士によると、看護師の過労死が認定されるのは極めてまれだという。過労死を認定されにくかった不規則勤務の労働者の労災認定に影響を与えると見られる。
代理人などによると高橋さんは06年4月に同病院に就職、手術室勤務になった。07年5月28日の当直明けの朝に手術室のストレッチャーで意識不明になっているのが見つかり、致死性不整脈で同日亡くなった。亡くなる約1カ月前にも倒れたのに翌日も勤務していたことなどから両親が労災を申請した。
代理人らの調べでは亡くなる前は、月4回の24時間以上拘束の当直を含め、4月が95時間、5月は100時間残業していた。「仕事量が私のキャパ超えている」「この忙しさ……絶対事故が起きるわよ」「もう無理だよ……」などと記した日記も残っていた。病院側の記録では残業は4月が32時間、5月が15時間とされていた。
三田労基署は今月9日、月80時間近い残業を認定し、連続勤務や休日の少なさなどから過労死と認めた。24時間以上拘束の当直を勤務時間と認定したと見られる。埼玉県在住の高橋さんの父は「病院は一貫して因果関係を認めようとしなかった。認定で医療関係者に限らず労働環境の改善が近づくものと信じている」とコメントした。済生会中央病院は「決定を真摯(しんし)に受け止め、再発防止など今後の対応を協議したい」と話した。
インドネシアから研修生 期待 外国人の看護・介護職 不安
西日本新聞 2008年10月6日
http://qnet.nishinippon.co.jp/medical/news/kyushu/post_654.shtml
病院や介護施設にインドネシアからのスタッフがお目見えする。経済連携協定(EPA)に基づく看護師と介護福祉士の候補者205人が第一陣として7月に来日した。6カ所の研修センターで半年間日本語を学び、来年2月から病院や老人ホームなどで働く。人手不足を補えると期待が寄せられる一方で、日本人の労働環境を脅かすのではないかと心配する声もある。
■人手不足を解消/条件は?技量は?
福岡市早良区の福岡記念病院は、全国で最も多い五人を受け入れる。大塚量(はかる)理事長は「インドネシアの看護技能レベルが分からないという不安はありますが、国際的な人材育成に協力するため決断しました」と話す。5人は25歳から31歳の男性で、インドネシアで2年-4年、看護師として働いた経験をもつ。福岡記念病院は、5人の渡航費や研修費など300万円ほどを負担した。
黒崎淑子(としこ)看護部長は8月初旬、彼らが研修を受けている大阪市に出向いて面談した。5人とも日本語はほとんど話せなかったが「看護への熱意を感じました」と好印象を持ったという。「外国人ということで戸惑う患者さんもいるでしょうが、適性を考慮して担当を割り振りたい」という。
病院はイスラム教徒の五人のために礼拝する場所を設けるほか、近くに住むインドネシアからの留学生に困ったときは相談に乗ってほしいとお願いするなど、受け入れ態勢を整えつつある。九州・山口では、福岡記念病院を含む10施設が24人を迎え入れることになっている。
× ×
厚生労働省などによると、EPAの目的は「自由貿易の促進」にある。インドネシア側が関税引き下げなどとともに労働市場の一部開放を求め、日本政府が応じた。出稼ぎや安価な労働力にはしないという方針を掲げている。
第一陣の大半は20代で、6割強は女性。全員がインドネシアの看護師資格を持つ。半年間の研修で日本語と看護・介護の基礎を学んだあとは、病院や施設で日本人と同等の給与で働きつつ日本語による国家試験を目指す。看護職は3年以内、介護職は4年以内に合格すれば、いつまでも就労できる。ただし受験機会は看護職は3回、介護職は1回に限られる。関係者によると、インドネシアでは看護師資格を持っていても、病院や施設への就職は極めて狭き門という。日本では、母国の10倍の給与をもらえる。
× ×
日本側のメリットとして、人手不足の解消を期待する見方がある。九州大学アジア総合政策センターの大野俊教授(東・東南アジア学)は、介護現場の離職率が21・6%(2006年)に達するなど看護・介護現場の恒常的な人手不足を指摘し「外国人がカバーしてくれるかもしれない」という。インドネシアだけでなく、日本政府は06年にフィリピンともEPAを締結している。フィリピン上院での審議が遅れて発効されていないが、日本国内ではフィリピンからの人材受け入れにも期待する声が聞かれる。
ただ、大野教授が現地の学生らにインタビューしたところ、日本での就労には消極的な意見が多かった。フィリピンはインドネシアと異なり、同じ英語圏の米国や欧州に年平均1万人の看護師を送り出している。日本語を一から学び、国家試験に通らなければ帰国しなければならないという条件は「ハードルが高い」というのだ。
× ×
インドネシアからのスタッフを受け入れる日本国内の病院や施設も、歓迎の声ばかりではない。「日本人と同じ給与を払うメリットはない」「一通りの日本語は身につけても、患者さんが訴える体の痛みや孤独が理解できるだろうか」など批判や不安がある。ある介護福祉士は「離職率の高さや人手不足の原因は低賃金や過重労働なのに、そこを解決することなく外国からの労働力に頼るのは本末転倒。私たちの労働条件も改善されない」と憤る。
インドネシアからの看護・介護職候補者の受け入れ枠は、来年までの2年間で1000人。九大の大野教授は「グローバル化と国内の少子高齢化の進展で、今回に限らず、外国人スタッフを受け入れなければならないようになる。優秀なスタッフを集めつつ、患者とのトラブルが起きないよう、労働環境や受け入れ態勢を検証していく必要がある」と指摘している。
看護現場の課題、国会議員と意見交換 県民文化会館
MSN産経ニュース 2008年10月4日
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/wakayama/081004/wky0810040345007-n1.htm
看護の現場の状況と課題について、県選出の国会議員と県議、看護職員らが意見交換する勉強会が、和歌山市小松原通の県民文化会館で開かれ、約120人が参加した。県看護連盟の主催で、谷本龍哉、石田真敏衆院議員ら国会議員4人が参加した。和歌山労災病院(同市古屋)に勤務する峰平一二美看護師が、新卒看護師の約1割が1年以内に離職し、負担を受ける中堅看護師の離職も増えている現状を説明。「多様な勤務形態の導入や子育て支援が必要」と訴えた。
また、県立医大付属病院救急救命センター(同市紀三井寺)に勤務する高野裕子看護師は、病床が足りないために救急患者が受け入れられない「応需不能」の問題を解説。比較的軽度な患者が近隣の病院で受け入れを断られ、高度な医療を行う3次医療機関の同病院に搬送されているとして、「後方支援病院の協力体制の確立が必要」と主張した。
潜在看護師の復職がカギ
医療施設が就労環境や労働条件の整備すすめ復職を呼びかけ
タウンニュース 2008年9月25日
http://www.townnews.co.jp/020area_page/02_fri/01_naka/2008_3/09_26/naka_top1.html
全国的に深刻化している看護師の不足。川崎市も例外ではなく、市立病院や民間病院、看護師を必要とする福祉施設等もこの問題に頭を悩ませている。この不足を補おうと、各病院・市看護協会では結婚や出産等の理由で一度離職した“潜在看護師”の現場復帰の支援を行っている。
看護師の手が休まるときはない(井田病院)
看護師の充足は、より安心で安全な医療を市民らに継続的に提供することが可能となる。そこでカギとなるのが経験のある潜在看護師の復職だ。川崎市看護協会によると、結婚や出産等による離職に比べ復職は少ないといい、潜在看護師は全国で約55万人に上るという。その背景には、育児との両立の難しさや過酷な労働条件等も挙げられている。
市や民間病院等では、潜在看護師の復帰を支援するために就労環境の整備や労働条件の緩和などを進めている。市立井田病院では勤務時間に柔軟性を持たせたパート(非常勤)を積極的に採用する他、聖マリアンナ医科大学東横病院では看護師のニーズに合わせた日勤専任や自由な休暇取得体制、川崎幸病院では夜勤勤務の看護師を対象に24時間受入れ可能な保育室を設ける。
井田病院の池田看護部長は、「ひと昔前と比べ労働条件は改善され、ライフバランスに合った勤務が可能となってきた」と話し、「現場はどこも看護師が足りず苦労している。社会のためにもう一度」と願う。
活躍の場は多数
その一方で市看護協会では病院以外での看護職の活動の場を、ナースバンクなどを通じて提供している。手島会長は、「看護師を必要とする施設は多く、市内40ヵ所の訪問介護ステーションではいずれも看護師不足に悩んでいる。学校の保健室や看護の教育機関、助産院や老人福祉施設など条件に見合った職場を見つけることはできると思う。看護師の免許を持っている、もしくは身近にいるという人はぜひ前向きに考えて欲しい」と話している。
病院に保育施設相次ぐ・・・鳥取
読売新聞 2008年9月24日
http://osaka.yomiuri.co.jp/mama/society/ms20080924kk01.htm
元看護師の復帰促せ 待遇改善など課題解決必要
看護師不足の対策として、病院に保育施設を設ける動きが相次いでいる。子育て中も働きやすい環境をつくることで離職を防ぎ、いったん現場を離れた元看護師の復帰を促すのが狙いだ。1月に鳥取市立病院、4月に済生会境港総合病院(境港市)が開設し、準備中の智頭病院(智頭町)を加えると、県内46病院中11病院に整う。一方で「保育施設の整備だけでは、問題は解決できない」との声も。課題を探った。
鳥取市立病院の敷地の一角にある託児所「なないろキッズ」。現在、看護師8人が10人の子どもを預けている。長男(2)と二男(1)が通う同市内の尾島理恵さん(33)も、その一人だ。6月に同病院へパート職員として再就職した。二男を身ごもるまでは、当時住んでいた島根県東部の病院に勤務していた。夫の転勤で4月、鳥取市に移り、現場復帰を目指したが、公立保育所からは「今仕事をしていないと、すぐには入れない」と言われた。尾島さんは「院内託児所は渡りに船。後に続く人も増えるのでは」と話す。智頭町は、智頭病院に保育所を設ける事業費約200万円を一般会計補正予算案に盛り込み、9月議会に提案中だ。山間部にあり、新卒者の就職希望は少ない。看護師の平均年齢は40歳代後半で、若手の確保が急務という。担当者は「手をこまぬいていては病院が立ちゆかなくなる。保育所開設を新人や有資格者の確保につなげたい」と話す。
看護師不足は深刻化している。2006年の診療報酬改定で、「入院患者7人に看護師1人」の基準を満たせば、診療報酬が増額されるようになり、経営改善と看護師の負担軽減につながるとして、各病院が増員を進めているためだ。県が同年にまとめた看護職員の需給見通しでは、10年には県内で200人が不足する見込み。一方で、県内45病院が回答した県の調査では、06年度に退職した看護師は518人。パート職員などを除く正職員407人の離職時期を見ると、採用後15年以内が313人(77%)を占めた。結婚後、育児との両立が難しくなる時期に辞める例が少なくないという。
鳥取市立病院の担当者は「託児所を設けるだけでは、必要数は確保できない」。より一層の待遇改善へ、正職員の看護師を20人以上増やす方針で、関連条例の改正案が9月市議会で可決された。パート職員の確保も進めるため、週当たりの勤務時間数や勤務時間帯を選べるようにすることも検討するという。
県の06年度の離職時期の調査では、採用後1年以内が60人(15%)に上り、県看護協会の塩沢洋子会長は「長時間勤務の負担、医療技術の高度化に伴う専門教育の不足など、看護師の離職の背景は多岐にわたる」と指摘。「養成期間の充実や雇用形態の多様化などを進めることが必要だ」と話している。
看護師の新卒離職率、兵庫が全国最悪 対策急ぐ看護協会
神戸新聞 2008年9月18日
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001455749.shtml
近年、医療機関で医師不足とともに看護師不足が深刻化している。高齢社会で介護施設や在宅治療など病院以外での需要が広がる半面、少子化などで供給が追いつかず、さらには看護師を手厚く配置すれば報酬が加算される国の診療報酬改定で病院間の争奪が激化。家庭や過重労働を理由に辞める人も少なくない。特に兵庫では病院で働く新卒看護職員の離職率が全国最悪となるなどしており、対策が急がれる。
厚生労働省によると、看護職員の就業者は毎年増加し、二〇〇六年で約百三十三万人。うち、六割強の約八十三万人が病院に勤務している。しかし、供給数は需要に追いつかないのが現状だ。厚労省が〇五年末発表した需給調査では今年は約三万七千人、一〇年は約一万六千人が不足する見通し。日本医師会が全国三千余りの病院を対象に実施したアンケートでも、看護師・准看護師の必要数が今年四月で調査時(〇六年十月)より約七万人増えると試算。「近年の増加ペース(年三万人)では深刻な不足になる可能性が高い」と指摘した。
不足の要因として挙げられるのが、〇六年の診療報酬改定で始まった「七対一基準」だ。入院患者七人に対し、看護師一人を配置した病院に入院基本料を上乗せする制度で、これにより多くの病院が限られた人材を奪い合う事態に。県内でも予定数を確保できない病院が相次ぎ、三田市民病院(三田市)では昨年四月から病床の一部閉鎖を余儀なくされた。こうした現状を受け、兵庫県看護協会は全国に五十五万人ともいわれる結婚を機に退職するなど、働いていない「潜在看護師」の復帰支援など、人材不足解消に向けた取り組みを強化。本年度は、病院に勤務する看護職員の離職防止対策で県と検討委員会を設置した。
日本看護協会の実態調査によると、県の〇六年度新人看護職員の離職率は都道府県別で最悪の14・1%(全国平均9・2%)。常勤看護職員も14・8%(同12・4%)と高かった。県協会の小田美紀子常務理事は「明確な理由は分からない」としながらも「長時間勤務や夜勤による負担、医療事故への不安など過酷な労働環境に疲れ、続けたいけど、あきらめる人も多いのでは」と分析する。
そこで、県協会は自分に合った職場探しを手助けしようと、多様な勤務条件に応じて再就職先を紹介する「ナースセンター」をはじめ、今年六月には県内百二十三施設の求人情報を集約した就職ガイドを作製。看護技術など現場を離れていたブランクを補うための研修プログラムも充実させた。一方で、病院側にも「働きがいのある職場として選ばれる努力を」と、就業管理などに関して支援する本を配るなどして理解を呼びかける。こうした中、最近は病院側にも院内保育所を設置したり、新人が仕事に慣れるまで夜勤の開始時期を遅らせたりと、労働環境を改善する動きが徐々に広がっている。
神戸市立医療センターは、資格取得のための留学・研修制度を充実させたほか、現場の要望を受けて昨年十月から中央市民病院(神戸市中央区)の複数病棟で試行的に、勤務を「三交代制」から「二交代制」に変更。夜勤の拘束が少ないというメリットが好評といい、西市民病院(同市長田区)でも早ければ来月には導入予定という。同協会の神田章代専務理事は「せっかく取った看護師免許を人生のどの段階でも生かせるよう、看護職の地位向上なども含め引き続き対策を進めたい」と話している。
まちかど:職場環境改善を、看護師らが訴え /山口
毎日新聞 2008年5月17日
http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20080517ddlk35040534000c.html
県内の病院などに勤務する看護師らが15日、職場環境の改善などを求め山口市で座り込みやデモ行進をした。県医労連など主催の「08県ナースウェーブ」で約60人が参加した。市民会館では「白衣の座り込み集会」を実施。看護師が少ない上に夜勤が多いため、お年寄りの看護に十分手が回らず、子育てにも支障が出ている実情などを発表した。
デモ行進では中心商店街など1キロ余りを回り、医師、看護師の増員や後期高齢者医療制度の中止、撤回などを求めシュプレヒコールを上げた。このほか、二井関成知事あてに「医療・看護の充実・改善を求める要請書」を提出した。岩国市の女性看護師(46)は「仕事と子育てを両立できず離職する看護師は多い。子育てのしやすい勤務時間を選べるようにしてほしい」と話した。
信大が離職看護師の「復帰支援トレーナー」育成へ
信濃毎日新聞 2008年9月6日
http://www.shinmai.co.jp/news/20080906/KT080905ATI090011000022.htm
大阪府立病院の看護師採用試験、地方都市で始まる 受験者急増
MSN産経ニュース 2008年9月6日
(1)http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080906/lcl0809061212004-n1.htm
(2)http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080906/lcl0809061212004-n2.htm
看護師不足が深刻化するなか、試験直前になっても応募者が10人と低迷し受験者確保に苦しんでいた大阪府立病院の看護師採用試験が6日、京都市や高松市などで始まった。地方試験は約30年ぶりの復活で6、7日の両日にわたり計7都市で開催される。締め切り直前に応募者が相次ぎ、受験者は114人にまで急増した。看護師不足は全国的な傾向だが、採用人数の多い大都市病院が各地で試験開催することに、会場となった地方都市の関係者は危機感を募らせている。看護師不足の背景は平成18年の診療報酬改定とされる。看護師を手厚く配置した病院に高い診療報酬が支払われる仕組みとなり、看護師確保競争が激化。勤務条件の良い一部の病院に人材が集中する傾向が強まっているという。
大阪府立5病院を運営する府立病院機構によると、今回行われる2次募集には約230人の採用予定に対し計114人が応募。このうち地方試験は京都、広島、高松、福岡など7都市で行われ、それぞれ1~10人の計29人が受験、13日には大阪府内の会場で85人が受験する。京都市内で行われた京都会場ではこの日、10人が受験。控室から1人ずつ呼び出されると、緊張した表情で試験会場に入り、15分程度の面接に臨んでいた。今月下旬に行われる京都市立病院の試験も受けるという京都府医師会看護専門学校の女子学生(23)は「京都には専門病院が少ないが、大阪府立病院には自分のやりたい仕事があって魅力的」と話していた。
大阪府立病院機構によると、7月実施の1次募集では約280人を採用予定だったが、受験者が集まらず合格者は159人に。2次募集は、採用数を確保するために実施されたが、締め切り1週間前の時点で応募者はわずか10人だった。その後、志願者不足がマスコミに報じられ、100人以上の駆け込み応募があったが、病院機構は「今回の試験でも採用予定者が確保できない」とし、10月下旬にあらためて3次募集試験を行う計画という。
大都市病院の地方試験の開催は、同じく看護師不足に悩む病院関係者にとっては懸念材料。京都府立医大病院では6日から採用試験が始まり、大阪府の試験とバッティング。今回は前回並みの受験者が確保できたというが、採用担当者は「大阪府は採用人数も多いし、来年以降もやられると怖い」と警戒感を強める。
医療行政関係者も戸惑っており、京都府医療課の担当者は「試験日については今後、大阪府と協議する必要があるかも」。広島県の内山博文医務課長は「県外の大病院が広島(での看護師獲得)に力を入れるのは歓迎できない」と危機感をあらわにした。
一方、福井県医務薬務課の持田真理子参事は「看護師養成学校への勧誘は大阪だけでなく石川や京都、滋賀からも増えている。今さら大阪が地方で採用試験を実施しても状況は変わらない」と事態を静観する構え。香川県の山下祐司医務国保課長は「行政としてできるのは、地元での優秀な人材の養成と確保に力を入れることだけかもしれない」と話していた。
那覇市立病院「7対1看護」導入遅れ 採用辞退増、基準確保急ぐ
琉球新報 2008年8月29日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-135719-storytopic-1.html
今年4月の独立行政法人化に伴い、患者7人に看護師1人を配置した病院に診療報酬が加算される「7対1看護」の7月実施を目指していた那覇市立病院(與儀実津夫院長)は、看護師確保などの条件整備が遅れ、導入が早くても10月にずれ込む事態となっている。導入が3カ月遅れることで、当初見込んでいた1億500万円の収入が得られず、早期に基準を満たす必要に迫られる病院側は、看護師に年休や夏期休暇取得を10月以降にずらすよう協力を求め、基準確保に必死だ。
「7対1看護」の申請には、過去1年間の入院患者数に対して現在の実働看護師数が「7対1」であることなどが条件。「7対1」導入に向け、同院は4月に100人近くの看護師を採用したが、予想以上の採用辞退者や独法化移行に伴う退職者があり、看護師不足なども影響して、7月までに必要な人数が確保できなかった。
同院はその後も継続して募集や採用を行い、派遣会社からの短期応援看護師を受け入れるなどした結果、必要な人員確保が見込める状況になったが「計算上、基準ぎりぎりの人数」と流動的な要素も残ることから、今月初めには「院長通知」で年休や夏期休暇取得をできるだけ10月以降にずらすよう看護師に協力を呼び掛けた。
「7対1」導入による診療報酬の増収分は月額3500万円。8月の実績で基準を満たした場合でも、申請などの手続きを経て正式に認定されるのは10月で、9月にずれ込めば、さらに予定より4カ月遅れで1億4000万円の収入を取り損ねることになる。宜保哲也事務局長は「これ以上の遅れは経営上の痛手。7対1が実現すれば、看護師の負担も軽減される」と早期実現の必要性を強調。夏期休暇を12月まで取得できるように措置し、理解を求める。
院長通知を受け、那覇市立病院労働組合(舟浮和子委員長)と那覇市職員労働組合(下地敏男委員長)は今月中旬に連名で団体交渉を申し入れた。舟浮委員長は「独法化前の交渉でも、病院側が示した看護師数では足りないと指摘していた。職員の声にもっと真摯(しんし)に耳を傾けるよう要望したい」と話す一方、「減収が続けば、安心して働けない環境に陥る。協力しなければならないところはやっていく。早期に7対1を実現し、正規の看護師を確保して働きやすい環境をつくってほしい」と話した。
半日勤務でも正職員 聖隷浜松病院、看護師確保へ
静岡新聞 2008年8月26日
http://www.shizushin.com/news/social/shizuoka/20080826000000000054.htm
半日勤務でも正職員として働けます―。聖隷浜松病院(浜松市中区)は9月から、看護師が辞めずに働ける環境を整えるため、勤務時間が通常より短くても福利厚生が充実する正職員になれる「短時間正職員制」など、多様な勤務形態の導入に向けたモデル事業に取り組む。
事業は日本看護協会が本年度、厚生労働省の補助を受け、同病院を含む東京、石川、鳥取、徳島などの全国5病院で実施する。「看護師にとって最も理想的な勤務形態を見つけ出し、全国に広げたい」(同看護協会)との方針だ。事業は来年2月末まで実施し、体験した看護師や病院の感想を報告書にまとめる。
看護師は夜勤など変則勤務が多く仕事がハードなため、離職率は新卒で9・2%、全常勤で12・4%(いずれも2006年度)と高い水準で推移。免許があるのに仕事に就かない「潜在看護師」も55万人いるとされる。医療現場の人出不足解消のため、看護師の確保と定着が課題となっている。
聖隷浜松病院では、正職員の勤務形態として
▽1日原則5時間週4日勤務の週20時間制
▽1日原則7・5時間週3日勤務の週22・5時間制
▽1日原則4・75時間週5日勤務の半日制
▽週30時間勤務制―の4つの中から毎月、各種パターンを選べる制度を運用する
既に今年4月から就学前の子どもを持つ看護師を対象に多様な勤務形態の導入を検討していたことから、モデル事業の開始を本格導入の契機とする考え。
同病院の勝原裕美子副院長兼総看護部長は「すぐに効果は期待できないが、4―5年後の医療体制の充実を視野に、安心して仕事にも子育てにも取り組める職場環境を整えたい」と話す。
同病院の看護師は計760人で平均年齢は30歳。約150人程度が就学前の子どもを持っているという。短時間正職員制をとった場合、給料は減額となるが退職金や福利厚生への影響はない。現場からは「昭和50年から院内保育所が整っているが、柔軟制のある勤務形態への期待は大きい」(看護師の1人)との声が目立つ。
同看護協会が全国約9千の病院を対象に行った調査では、看護師の勤務形態多様化に積極的に取り組んでいる施設は06年度で41・7%にとどまっている。
潜在看護師掘り起こし 県立病院、確保へ全力
沖縄タイムス 2008年8月21日
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808211700_04.html
県立病院の看護師不足解消に向け県病院事業局は、看護師資格を持ち医療現場から離れている「潜在的看護師」の掘り起こしに乗り出している。七月から民間求人誌に求人広告を掲載したほか、ラジオで県立病院の現状を紹介する。また、大型スーパーなどで看護師再就職相談会イベントを開催する。いずれも県立病院では初の試みで、年度途中の看護師の休職や退職に対応する。
県立病院の看護師は七月一日現在、計九十五人不足している。
同事業局は、今年から看護師新採用の年齢制限を撤廃、看護師確保に取り組んでいる。知念清局長は「〝お役所仕事〟の範疇を超え、真剣に看護師確保に取り組む県立病院の姿勢をPRしていきたい」と意気込む。
民間求人誌「アグレ」に九月末まで看護師募集の求人広告を掲載するほか、今月二十二日には「ナースのお仕事再発見」と題した看護師再就職相談会を、那覇市おもろまちのサンエー那覇メインプレイスで開催。現場医師や看護師によるトークライブのほか、再就職相談コーナー、県立病院の看護師の仕事を映像で紹介する。知念局長は「多くの県民に県立病院の役割や看護師の仕事について理解を深めてほしい」と呼び掛けた。
看護師:職員離職率16% 大阪に次ぐ全国2位--地域医療対策協 /奈良
毎日新聞 2008年8月21日
http://mainichi.jp/area/nara/news/20080821ddlk29040543000c.html
医療、介護、福祉の総合的な体制を検討する県の地域医療等対策協議会の2回目の会議が20日、県庁であった。県内の看護師の離職率が、全国で最も高い水準にあることなどが報告された。会議では、各部会がこれまでの検討状況を報告。看護師等確保部会は、日本看護協会の調査結果として、06年度の県内看護職員の離職率が16・0%に達していることを示した。全国最悪の大阪府(16・8%)に次いで高いという。全国平均は12・4%。
同部会は、県内の看護師養成機関の07年3月の卒業生のうち、県内就業が57・7%にとどまっていることも報告した。同部会は、出産・子育て後の復職支援や、養成機関と実習病院の連携など対応策についての議論を続けるという。
安岡病院で看護師復帰支援セミナー 慢性的な看護師不足を解消めざす/山口
読売新聞 2008年8月19日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamaguchi/news/20080818-OYT8T00718.htm
子育てや親の介護、夫の転居などを機に現場を離れた看護師に職場復帰のきっかけにしてもらおうと、下関市の安岡病院で18日から、「復帰支援セミナー」が始まり、“元看護師”と“元准看護師”の計4人が参加した。慢性的な看護師不足を解消するために、同病院が今年2月に次いで企画。2月の時は、参加した5人のうち3人が、同病院への再就職を果たした。
4人は離職期間1~15年、20~50歳代。5日間の日程で、初日は、病院内を見学した後、現役の看護師を講師に、医療事故や感染防止の講義を受講。模型を相手に採血や吸引を練習するなど、実践的なプログラムにも挑戦した。自身も8年間の離職期間を経験している水野佳代子・看護師長(48)は「ブランクはあっても、離職中の人生経験は必ず看護の現場でもプラスになるはず」と話す。出産で1年間離職した参加者の一人、吉田美智子さん(29)は「わずかでもブランクがあると、患者さんに苦痛を与えてしまうのではないか、とても不安。家族の理解もあるので、勤務時間などの条件が合えば復帰を考えたい」と述べた。
資格が有りながら業務についていない、いわゆる“潜在看護師”は全国で55万人とも言われ、日本看護協会(東京)の調査によると、看護職員の離職率は全国で12・4%にのぼる。県が2005年に策定した「県看護職員需給見通し」では、08年は県内でも335人の不足が見込まれており、対策の柱の一つに潜在看護師の活用を掲げる。
看護師復帰後押し 人材確保し質の向上へ/JA神奈川県厚生連 2病院で研修
日本農業新聞 2008年8月16日
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin7/article.php?storyid=1085
JA神奈川県厚生連の2つの病院が、看護師不足を補うため、免許を持ちながら就業していない「潜在看護師」の復帰支援に力を入れる。病院内で研修会を開き、最近の医療情勢や技術を教える。休職期間が長く復帰に自信がない看護師を手助けすることで、即戦力になり得る人材を確保する取り組みだ。
伊勢原協同病院は9月26日から12日間、研修会を開く。10人程度を募集する。参加料は3000円。小さな子どもがいる人は、院内の保育所を利用できる。同病院は昨年、2日間の日程で初めて開いた。
未来の看護師 留萌に来て 無料ツアー、留萌市民が企画 23日札幌発
北海道新聞 2008年8月6日
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/109454.html
留萌市立病院の看護師確保対策に-と、市民有志が二十三日、札幌の看護学生を対象に、留萌への日帰りバスツアーを初めて開催する。病院見学に加え、同市の自然、食、交通の便などの住環境を伝え、同病院就職を卒業後の選択肢にしてもらう。
市民でつくる「留萌がんばるかい」(沢田知明代表)主催。参加無料で、参加者の昼食代など約十万円の経費は同病院が負担する。当日は午前九時にJR札幌駅北口をバスで出発。参加者は同病院の病棟を見学、奨学金制度や研修助成などの説明を聞いた後、留萌の海産物を主にした昼食を味わい、市内観光し、札幌に戻る。同病院の看護師の正職員は現在百七十四人で、「あと十五人必要」(総務課)という。二〇〇六年秋からは、札幌と旭川で看護師採用試験を実施しているが、応募者が少なく、採用はこの二年間で計四人にとどまる。
沢田代表は「肩ひじを張らず山と海に囲まれた自然環境や、食の恵みを感じてほしい」と話す。学年不問。申し込みは十九日までに、電子メールsoumu@rumoi-hp.jpかファクス0164・43・0337で。
外国人看護師 大切な人材として育てたい
読売新聞 2008年8月3日付・読売社説
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080802-OYT1T00837.htm
専門的な技能を持つ外国人労働者の受け入れの一つのテストケースとも言えるだろう。日本とインドネシアの間で締結された経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシア人の看護師・介護士約200人が、今月7日に来日する。
EPAにより医療や福祉分野の人材を受け入れるのは、初めてのことだ。言葉の問題をはじめ様々な課題が山積している。数多くの優秀な人材を集め、その能力を十分に発揮してもらうためには、国や自治体の積極的な支援が欠かせない。
半年間の日本語研修などを経た上で、看護助手や介護職員として病院や施設で働く。看護師希望者は来日から3年以内、介護士の場合は4年以内に資格を取得しなければ、帰国を余儀なくされる。来日する全員がインドネシアの看護師資格を持っているが、わずか3、4年の滞在で、日本語による国家試験に合格出来るのか、疑問視する声もある。東京都では、インドネシア人向けの国家試験に向けた教材の開発など支援策の検討を始めた。自治体の積極対応は望ましいが、それだけでは限界がある。政府も早急に、具体策を示すべきだ。
日本の医療、福祉の現場では、看護師や介護職員の人手不足が深刻化している。労働条件が厳しいために離職する人が多い。資格があるのに働いていない“潜在看護師”は55万人に上る。そのため、外国人を受け入れるよりも、日本人の看護師や介護職員への待遇改善に努めるべきだとする議論も根強くある。
政府も「EPAの外国人労働者受け入れは、人手不足解消のためではない」との立場だ。しかし、日本社会の少子高齢化が進む中で、いずれ医療、介護の現場に外国人の働き手が必要となる時代が訪れる可能性は高い。
EPAは、2年間で計1000人を受け入れるとしている。今年は、半数の500人を予定していたが、インドネシア側の応募者はこれを大幅に下回った。男性看護師が予想以上に多く、日本側の医療機関が受け入れを敬遠した。このために組み合わせがうまくいかず、来日を取りやめた事例も少なくない。政府はフィリピンとの間でもEPAの調印を済ませており、発効すれば、2年間に1000人の看護師・介護士が来日する。長期的視野に立って、外国人看護師・介護士の受け入れ策を検討していく必要がある。
看護師:離職ゼロへ勤務形態を多様化、モデル事業に鳥取の病院 制度化目指す /鳥取
毎日新聞 2008年8月2日
http://mainichi.jp/area/tottori/news/20080802ddlk31040485000c.html
鳥取市覚寺のウェルフェア北園渡辺病院が、日本看護協会が進める看護師の勤務形態多様化のモデル事業に選ばれた。同病院は、看護師が離職せずに働ける環境を目指して柔軟な勤務形態を既に取り入れており、モデル事業では制度化を目指す。
全国的な課題になっている看護師の離職は県内でも深刻。県医療政策課によると、県内43病院の本採用の看護師の離職率は06年度に9・5%に上る。結婚・育児・介護・家事を理由にする離職が約3割を占めている。同病院を経営する医療法人は、看護師定着のため98年ごろから個人の事情を考慮して柔軟な勤務形態を取り入れている。
通常は月6~8回の夜勤を月4回以内にする「夜勤免除」▽勤務を週4回にする「勤務日数短縮正社員」▽介護などの理由で平日でも特定の曜日が休める「勤務曜日選択」▽「二交代勤務」と「三交代勤務」の選択--などを既に導入。医療法人全体の常勤看護師約240人のうち約30人が利用している。
課題は人件費がかさむことと現場の理解。人員が増えるため人件費が高くつき、経営を圧迫する可能性がある。同病院では、勤務制限の有無で賞与に差をつけることで経営と現場のモチベーションの両立を図っているという。モデル事業には全国から13件の応募があり、5病院が選ばれた。期間は9月から来年2月まで。同病院は、多様な勤務形態を制度化することで介護や育児などによる離職ゼロを目指す。同病院の竹中君夫人事主幹は「看護師は患者さんのために働きたいという純粋な動機を持っている。働き続けられる環境作りが定着に必ず結びつく」と話している。
看護学生に奨学金 旭医大 付属病院勤務で返還免除
北海道新聞 2008年7月3日
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/education/102672.html
【旭川】旭川医科大(吉田晃敏学長)は、医学部看護学科の学生を対象に、卒業後すぐ同大病院に常勤すれば返還を免除する条件で、奨学金制度の導入を決めた。希望者全員に最長で大学在籍中の四年間、無利子で月三万五千円を貸与する。不足する看護師を確保するため自治体や一般病院が奨学金制度を設ける例はあるが、同大によると、付属病院を持つ国公立大独自の取り組みとしては珍しいという。
同大病院は、看護師配置の基準で診療報酬が最も高い、入院患者七人に対し看護師一人を配置する「七対一」体制を五月に導入した。この体制を維持するには看護師の安定確保が不可欠だが、道内第二の都市にある同大でも札幌圏などへの人材流出が深刻化しており、奨学金で歯止めをかけたい考えだ。
貸与は、今年四月にさかのぼって実施する。同大病院に常勤した月数と同じ月数分の返還を免除し、中退や同大病院に勤務しない場合は一括または分割での返還を求める。
同大によると、例年、看護学科を卒業する七十人のうち、同大病院に勤める学生は十人前後。今春は吉田学長自ら呼び掛けるなどして約二十人を確保したが、大半は札幌圏や道外に就職する。都会志向が強いうえ、約半数を占める札幌圏出身の学生には「実家に戻って働きたい」との希望者が多いという。福田耕司教務部長は「経済的理由で大学進学をあきらめる高校生もいるはず。奨学金を役立ててほしい」と話す。
返還免除の規定がある看護学生向けの奨学金としては、道内の看護学生を対象に月三万二千円貸与し、一定の条件の医療機関で五年以上勤め続けた場合に免除する道の制度や、各地の病院を運営しているJA北海道厚生連、日本赤十字社北海道支部の制度などがある。
県立中央病院看護職募集で危機感定員50人、応募まだ3人/富山
読売新聞 2008年7月12日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/toyama/news/20080712-OYT8T00023.htm
全国的に看護師不足が続くなか、来年4月採用予定の県立中央病院の看護職員募集が、50人の定員に対し、11日現在で応募が3人と低迷している。締め切りは18日の消印までで、来春卒業予定の看護学校の生徒の応募は来週以降とみられるが、県医務課は「看護師不足のなか、予断は許されない」と危機感を強めている。
県立中央病院は来春採用の看護職員、助産師計50人を6月27日から募集を開始。18日の消印まで有効だが、応募は3人にとどまっている。看護師不足が続くため、昨年の募集時期より開始を半月も早めたが、出足はいまいちだ。試験は8月5、6日に行われる。県内のほかの病院でも採用を前倒ししたり、通年での採用したりしているため、こうした事情も影響しているとみられる。県医務課は「以前は県立中央病院という名前で、看護師も来てくれたが、今年は危機感が強い」と打ち明ける。昨年は55人の定員に対し、最終的に86人が応募したが、「今年は分からない」と同課も不安そうだ。
富山市民病院は10月採用の試験を、今月に実施しているが、10人の定員に対して応募者が定員に満たなかった。年度途中で、来春卒業予定の看護師の応募がなかったことが原因とみられるが、同病院は「来年4月採用の募集も今後行うので、多くの人に応募してほしい」と期待をかけている。
看護パワーを引き出せ
タウンニュース 2008年7月3日
http://www.townnews.co.jp/020area_page/02_fri/02_oiso/2008_3/07_04/oiso_top1.html
産科や小児科などの医師だけでなく看護師の不足も全国的に深刻な問題となっているなか、資格を持ちながら結婚や育児などで仕事に就いていない「潜在看護師」の職場復帰を促す取り組みが行われている。東海大学医学部付属大磯病院(大磯町月京)では6月、復帰支援の研修を開催した。地域医療における看護の質を低下させないためにも、同病院への就職に限らず、「再就職の足がかりになれば」と、今後も研修を実施していくという。
研修には地元や近隣地域から正・准看護師、保健師、助産師の資格を持つ7人が参加した。6月23日から27日まで5日間にわたり、現在の医療動向や感染対策、採血や医療機器の取り扱い方などを学んだ。講師は大磯病院の現職の医師、看護師らが務めた。
「胸を圧迫する部分は乳頭と乳頭を結んだ線の真ん中です」。心臓マッサージのポイントを講師が語る。研修4日目の実技のテーマは人工呼吸や、自動体外式除細動器を使った急変時の対処法。「昔は肋骨に沿って指を動かして圧迫部を確認していましたが、1秒でも早く始めるためには、この方が早いです」という説明に受講者が頷いていた。
厚生労働省の検討会が報告した看護職員の需給見通しによると、平成22年に全国で約140万6千人が必要であるのに対し、供給は139万1千人。神奈川県では約1,300人が不足するとの予測だ。
看護師不足の背景には平成18年4月の診療報酬改定がある。「患者7人対看護師1人」の配置基準を満たした病院は増収につながるため、各病院では看護師確保が課題に。国や自治体は全国に約55万人いるといわれる潜在看護師の職場復帰を促す取り組みに動き始めた。しかし、医療は日進月歩。一度現場から離れてしまうと、技術や知識がついていけるか不安があって再就職をためらう人も多い。大磯病院ではこれまで3回の研修を実施。研修を受けて実際に復職した人もおり、次回は秋に予定しているという。
県立厚生病院:4年連続の赤字 過去最悪、看護師不足響く--07年度決算 /鳥取
毎日新聞 2008年6月25日
http://mainichi.jp/area/tottori/news/20080625ddlk31040647000c.html
県立厚生病院(倉吉市東昭和町)が07年度決算で4年連続の赤字となったことが24日、明らかになった。赤字額は6億6500万円で、前年度より3億9000万円増え、過去最悪という。看護師不足で昨年3月から1病棟が閉鎖されていることに加え、病院の増改築費が経営を圧迫している。今年度予算でも7億5800万円の赤字が見込まれている。
24日に県庁であった県立病院運営評議会で報告された。07年度は、入院患者数が前年度に比べ1日あたり17人減の226人。入院収益が1億6700万円減った。また、増改築費55億円など多額の設備投資に伴う金利負担も響いた。病院によると、看護師は現在206人いるが、二十数人足りていない。このため300床のうち50床が使えない状況が続いている。また脳外科など7科で医師1人体制となっており、医師不足も深刻。現状のままでは、5年後に貯蓄が底をつくという。県立厚生病院は委員会を設置して経営改善を進めており、前田迪郎院長は「医師と看護師を確保して病床数を増やし、赤字を解消したい」と話している。
医師・看護師不足で病床再編 境港済生会病院
日本海新聞 2008年6月21日
http://www.nnn.co.jp/news/080621/20080621003.html
鳥取県境港市の中核病院・鳥取県済生会境港総合病院(稲賀潔院長)が医師・看護師不足を受け、七月一日から病床を再編し、現在の二百五十九から二百二十四に減らすことが二十日分かった。一般病床や療養病床を減らす一方で亜急性期(回復期)病床や転換型老人保健施設を新設していく。
同病院では二〇〇四年四月には二十八人の常勤医師がいたが、その後徐々に減少。昨年は産婦人科、脳神経外科の常勤医師がいなくなったほか、今年一月からは神経内科の医師も不在となり、医師総数は二十二人に減り、病床を再編して対応することとした。現在、一般病床百九十九、療養病床六十があるが、七月からは一般病床を百五十一に減らす一方、亜急性期病床を十四新設。療養病床については現在の六十を半分の三十に減らし、二十九床を転換型老人保健施設に転用する。
同病院の早川健一事務部長は「再編に当たっては病床の削減にとどまらずより効率的な医療の提供を心掛けた」といい、急性期から回復期、慢性期と、それぞれの段階に応じた対応の円滑化を図った。また、転換型老人保健施設への転用により、既存の老人保健施設では十分に対応できない「経管栄養」と呼ばれるチューブを使った栄養補給などのニーズにも幅広く対応できるようにした。
NICUの看護師、新たな応募者はゼロ/富山
北日本放送 2008年6月19日
http://www2.knb.ne.jp/news/20080619_16201.htm
県立中央病院は、NICU・新生児集中治療室の看護師と助産師の応募が少ないため19日まで再募集していましたが、新たな応募者は夕方までに1人もいませんでした。
NICUをめぐっては富山市民病院が小児科医不足などで今年4月から休止していることを受け、県立中央病院は来月1日からNICUを新たに5床増やして23床にする予定です。 このため看護師と助産師8人程度を新たに募集していましたが、今月2日までに4人の応募しかなく、19日まで2次募集をしていました。
しかし、夕方までに新たな応募はないということです。
応募は19日の消印有効としているため、病院側は来週月曜日まで待つことにしていますが、募集人数に満たなければ院内の看護師をまわして対応する考えです。 担当者は「どの病院も看護師不足で、新たに確保するのは難しい」と話しています。
看護師不足が深刻化 自治体病院
宮崎日日新聞 2008年5月10日
http://www.the-miyanichi.co.jp/contents/index.php?itemid=7773&catid=74
県内の自治体病院で看護師不足が深刻だ。高度医療を担う県北唯一の拠点病院である延岡市の県立延岡病院(楠元志都生院長)でも11人足りない状態となっている。看護師数が基準を下回れば診療報酬は大幅にカットされ財政改革が滞る恐れもある。県全体では離職率も全国平均より高い。県は10日、県立病院の看護師確保のため宮崎市で「ナースガイダンス」を開き、県内労組はデモ行進で職場環境の改善を訴えた。延岡病院の看護師定員は331人だが、育休や産休で30人が休職している。このうち19人は臨時職員で対応しているが11人は補充できていない。特に夜勤勤務の負担が増加し、月平均1人8回だった夜勤が10回以上となることもあるという。
病院側もハローワークなどを通じ募集しているが、ほとんど応募がない。看護師個人のネットワークを使い、県職員の採用対象ではない准看護師にも頼らざるを得ない状況だ。
看護師不足は、高齢化社会が進み心臓疾患や脳梗塞(こうそく)などの重症患者が増え、負担が増加したことが背景にある。県看護協会(串間秀子会長)によると、県内全体では昨年、新卒看護職員の約12%(全国平均約9%)が1年以内で離職した。
シンポジウム:医療現場の窮状報告 看護師ら80人参加--県医労連 /熊本
毎日新聞 2008年5月18日
http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20080518ddlk43040324000c.html
人手不足が深刻な医療現場の問題点を考えるシンポジウム(県医療労働組合連合会主催)が17日、熊本市水道町の県婦人会館であった。県内の病院に勤める看護師ら約80人が参加した。県医労連によると、過酷な労働環境で医師や看護師の早期離職が後を絶たず、いつ医療事故が起きてもおかしくない危機的な状況にあるという。
厚生労働省は06年から「患者7人に看護師1人」の看護配置基準を満たす医療機関への優遇措置を導入した。しかしパネリストの一人で熊本市神水のくわみず病院の岡靖子看護師は「患者のケアは充実したが、人数の確保が難しい。看護師が離職すると新しい人が来るまで休みを削って態勢を維持することもある」と指摘した。
国立病院機構熊本医療センターの斉藤まり子看護師は救急医療の問題を報告し「急患受け入れは限界だ。患者が多いため臨時ベッドを入れ、当直医と日勤を終えた研修医がボランティアで対応している」と話した。また、熊本市龍田のくすのきクリニックの板井八重子院長は「女医が妊娠・出産を機に仕事を辞めざるを得ないケースが多い」と話し、働き続けられる病院環境の整備を求めた。
鳥取市:鳥取環境大に看護学科の新設検討 若者の県外流出防止へ /鳥取
毎日新聞 2008年5月15日
http://mainichi.jp/area/tottori/news/20080516ddlk31010364000c.html
ナースパレード:医師・看護師増やして 100人が参加--和歌山 /和歌山
毎日新聞 2008年5月23日
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20080523ddlk30040665000c.html
看護師不足の実態を広く知ってもらおうと、県医療労働組合連合会などでつくる「和歌山ナースウエーブ実行委員会」は和歌山市内で「ナースパレード」を行い、県内の看護師ら約100人が参加した。パレードは06年に続き2回目。参加者は「医師・看護師不足を解消し、安全でゆきとどいた医療を」などと書かれたゼッケンをつけ、和歌山市役所を出発。「医療改悪許すんか、許せやん」と訴えながらJR和歌山駅前まで約2キロを歩いた。
田辺市の病院に看護師として勤務する全日本国立医療労働組合南和歌山支部長、高田喜久代さん(46)は「夜間は約50床をみる看護師がたった2人。過酷な労働で看護師の離職が相次いでいる。安全安心な地域医療を維持するため、行政はもっと真剣になるべきだ」と語った。
看護師:「増員へ法改正を」京都医労連など5団体、署名やチラシ配布--中京 /京都
毎日新聞 2008年5月11日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080511-00000272-mailo-l26
「人員不足で患者に寄り添う看護ができない」として、府内の看護師らでつくる京都医療労働組合連合会など5団体が10日、中京区の四条河原町で、増員のための法律改正を求める署名活動やチラシ配りをした。過密労働や低賃金で退職する医師や看護師も多く、国が医療・社会保障に多くの財源を使うことも訴えた。
看護師の労働環境を定めた看護職員確保法(92年制定)は「夜勤は月8回」と決めているが、努力義務のため実効性に乏しかった。また看護師の配置基準についても定められていない。
このため全国の看護師らが、同法で夜勤日数を明確に規制することや「日勤時は患者4人に対して1人以上」とする配置基準も盛り込むよう訴えている。昨年の国会では「医師・看護師など医療従事者を大幅に増員すること」とする請願が全会一致で採択された。
この日は看護師ら50人が市役所前から四条河原町まで行進。のぼりを掲げながら「成果主義賃金、ノーサンキュー(いらない)」「ヒヤリ・ハットはノーサンキュー」とシュプレヒコールを上げた。
活動に参加した近畿高等看護専門学校(中京区)の野中知栄・副校長は「人手が足りないために、手厚く安全な看護ができない。そんな現実を見て、卒業したばかりの看護師がどんどん辞めている」と話していた。
「医師・看護師不足解消を」県医労連 松江で集会、署名活動も
2008年5月12日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20080511-OYT8T00477.htm
「看護の日」(5月12日)を前に11日、県内で深刻化している医師・看護師不足の解消を訴える集会が松江市殿町の県庁前で開かれ、城山公園など市内3か所で署名活動もあった。看護師ら医療従事者で組織する県医療労働組合連合会(有田周二執行委員長)が開催した。亀井亜紀子参院議員や民主、共産県議、看護師ら約50人が参加。有田執行委員長が「慢性的な人手不足による劣悪な労働条件の下、医療従事者は医療事故の不安にさいなまれ、働き続けることが難しくなっている」と厳しい現状を訴えた。
現状の改善に向け、県医労連は、
▽看護師の夜勤を月8日以内に規制するなどの看護職員確保法の改正
▽医師確保のための法律制定
▽医療・社会保障予算の大幅引き上げ
――などを国会に請願する署名活動を昨年7月から始め、県内で約1万人分を集めた。
同様の署名は日本医療労働組合連合会の傘下組織などが全国で約50万人分を集めており、さらに上積みし、今月27日に衆参両院に提出する予定。松江赤十字病院精神科看護師の斉藤冨子さんは「県内でも医師、看護師の不足で診療科や病棟を閉鎖しているところがある。この運動をもっと盛り上げていきたい」と話していた。
筑波大:職員にサービス残業 労基署が改善指導 /茨城
毎日新聞 2008年5月15日
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20080516ddlk08040102000c.html
筑波大が付属病院看護部職員の残業手当の一部を支払わず「サービス残業」させていたとして、土浦労働基準監督署が昨年12月、改善措置をとるよう指導していたことが分かった。同大は指導を受けて06年4月から今年3月までの2年分を調査しており、未払い残業代が判明した分は順次支払いを始めているという。同大は04年と06年の2回、サービス残業に関して是正勧告を受けた。
同大によると、労基署が昨年8月に立ち入り調査した結果、看護師らが自主研修したり休憩がとれなかったりして、勤務と認定される場合でも残業手当などが適正に払われていないケースがあった。同大は「一部病棟や看護師個々の判断で勤務ではないとして申請しないケースがあった。システムなどの改善を図りたい」としている。
コメディカル不足を訴える 東京大学医科学研究所の上昌広・特任准教授
産経新聞 2008.5.8
(1)http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080508/trd0805082115016-n1.htm
(2)http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080508/trd0805082115016-n2.htm
医師不足がマスコミで大きく取り上げられているが、医師以外の医療スタッフを指す「コメディカル」の人材不足も同様に深刻だ。
病院の看護師や薬剤師などコメディカルの人数が少ないほど、医療の質の確保が困難なことは国際的な常識である。にもかかわらず、日本の病院の看護師数は欧米に比べて圧倒的に少なく、100床当たりの看護師数は英・米・独・伊の平均138人に対し、わずか34人(平成15年)で、その格差は拡大傾向にある。同様に薬剤師数が多いほど患者の安全性は高いが、100床当たりの薬剤師数は米国の平均9・8人に対し、日本は2・5人。日本では欧米ほど安全性の高い医療が期待できないのは当然といえるだろう。ただコメディカルが医師と違う点は、その養成数は十分だが就業数が不足していることだ。WHO(世界保健機関)によると、日本の看護師の登録数はOECD加盟国中2位(平成18年)。養成数は飽和状態に近づいているが、人口1000人あたりの看護師就業数は19位にとどまっている。
この乖離(かいり)について、看護師の国家試験合格者数は毎年約4・6万人に対し、病院に勤務する看護師数はピークの25~29歳でも1歳あたり平均2・7万人しかいない。病院に就職した新卒看護師の約11人に1人が1年以内に退職すると指摘されている。特に30代での離職が多く、病院への復帰はごくまれという。また、薬剤師は離職率は高くないものの、毎年の国家試験合格者約8000人のうち病院に就職するのは約1300人で、病院の採用が限定されている。
このように、日本のコメディカル不足の真相は免許保有者の不足ではなく、現場就業率が低い点にある。原因は、看護師の場合は結婚や出産で変化するライフスタイルに勤務形態が合わずに離職し、復職も困難な状況にある。薬剤師の場合は雇用数が少ないことが大きい。いずれも根本的な問題は、コメディカルの雇用に充てられる財源が少なく、雇用できる人数が制限されている点にある。
コメディカル不足は医療の安全や保健医療体制の存続に直結する問題である。医療現場における分業が進み、資格を有するコメディカルが恒常的に増えなくては解決にはならない。このことを念頭に置き、国民的議論を経た効果的な介入が必要だろう。
医療従事者の5割「辞めたい」 県医労連アンケート 業務多忙、休暇取れず 医師・看護師の増員求める
西日本新聞 2008年4月17日
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/17012
医師・看護師不足による多忙などを理由に、県内の医療機関で働く看護師や事務員の5割が「職場を辞めたい」と考えていることが、県医療労働組合連合会(県医労連、寺田泉委員長)が組合員に実施したアンケートで明らかになった。県医労連は医師・看護師増員や待遇改善に向け、国への働き掛け強化などを求める要請書を県に提出した。アンケートは、県内の医療従事者らでつくる県医労連が昨秋から今年にかけ、県内12病院5診療所に勤める看護師など約2300人に対し実施。742人から回答を得た。
職場を辞めたいと思うかとの問いに、18.6%が「いつも思う」、31.2%が「時々思う」で計約5割に達した。また、32.3%も「たまに思う」と回答。「ほとんどない」「全くない」は合わせて2割以下だった。複数回答で聞いた看護師の退職率が高い理由では、「仕事全般が忙しすぎる」が80.3%、「時間外の半強制的な院内研究が多い」が65%と続いた。「賃金・手当が低い」「休暇が少ない」も5割を超えた。事務職や検査技師、調理師らでも「賃金・手当が低い」「仕事全般が忙しすぎる」が上位だった。
県医労連の岩井吉博書記次長は「辞めたいと思う最大の要因は、慢性的な医師・看護師不足にある。このままでは長寿・高齢社会に対応できず、医療の崩壊が進む」として、行政や医療機関に環境改善を求めている。
セクハラや暴力、4割超が経験 県が介護士・看護師意識調査
中日新聞 2008年4月29日
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20080430/CK2008043002007560.html
介護福祉士や看護師を対象にした県の調査がまとまり、勤続年数が短く、4割以上が利用者やその家族からセクハラ(性的嫌がらせ)や暴言、暴力を受けた経験があることが分かった。調査は、女性が多い介護や看護の職場状況を把握し、女性が働きやすい環境整備に必要な改善策の検討資料にするのが目的。昨年8月、県内の介護福祉士2535人と訪問看護ステーション事業所の看護師610人に調査票を配布し、858人から回答を得た。女性が821人、男性が37人だった。勤続年数は5年未満が46・3%で、平均は勤続6年3カ月。月額賃金は25万円未満が全体の63・9%を占め、平均は20万2900円余だった。
「利用者やその家族からセクハラを受けた」は40・9%。そのうち「身体に触られた」が75・2%、「性的な言葉を掛けられた」が67・0%と多く、「手を握らせてくれと言われた」21・1%、「抱きつかれた」18・2%だった。「利用者やその家族から暴言や暴力を受けた」は47・3%。内訳は「罵声(ばせい)や叱責(しっせき)を浴びせられた」が80・5%で、「介護を拒否された」43・3%、「殴られた」36・7%と続いた。自由意見では「精神的、体力的に重労働の割には賃金が見合っていない」「利用者からのセクハラや暴力にはただ我慢している」「恒常的に人手不足」などの声が寄せられた。
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