【大野事件、これまでの日程と今後】
第1回公判 1月26日 冒頭陳述
第2回公判 2月23日 近隣の産婦人科医 前立ちの外科医
第3回公判 3月16日 手術室にいた助産師と麻酔科医
第4回公判 4月27日 手術室にいた看護師 院長
第5回公判 5月25日 子宮の病理鑑定医師
第6回公判 7月20日 田中憲一新潟大教授(産婦人科)
第7回公判 8月31日 加藤医師本人に対する尋問
第8回公判 9月28日 中山雅弘先生(胎盤病理の専門家)
第9回公判 10月26日 岡村州博東北大教授(産婦人科)
第10回公判11月30日 池ノ上克宮崎大教授(産婦人科)
第11回公判12月21日 加藤医師本人に対する尋問
第12回公判 08年1月25日 患者御遺族の証言
第13回公判 08年3月22日 論告求刑
最終公判 08年5月16日 弁護側の最終尋問 (←今ココ)
判決 08年8月20日
(投稿:by 僻地の産科医)
今回も川口さまは向かってくださったようです(>▽<)!!!
入れるかどうかが不安!とおっしゃっていましたけれど、
どうも入れたようで安心しました。
入れるかどうかが不安!とおっしゃっていましたけれど、
どうも入れたようで安心しました。
午後からは「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」の
鈴木寛議員も傍聴にいらっしゃるとのことです。
鈴木寛議員も傍聴にいらっしゃるとのことです。
福島県立大野病院事件公判(弁)0
ロハス・メディカルブログ 2008年05月16日
http://lohasmedical.jp/blog/2008/05/post_1204.php
ロハス・メディカルブログ 2008年05月16日
http://lohasmedical.jp/blog/2008/05/post_1204.php
福島県立大野病院事件◆Vol.11
「無罪」と最終弁論で弁護側が改めて主張
業務上過失致死罪と医師法違反ともに無罪主張、判決は8月20日
橋本佳子(m3.com編集長)
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080519_2.html
5月16日、福島地裁で福島県立大野病院事件の最終弁論が行われた。その冒頭、弁護側は「業務上過失致死罪および医師法違反の罪のいずれについても無罪である」と、改めて主張した(検察の論告求刑は、「検察の求刑は禁固1年、罰金10万円」、 「被告は医師の社会的信頼を低下させた」を参照)。
弁護側は、今回の事件は、薬の種類や量を間違えたり、誤って臓器を切るなどの明白な医療過誤事件とは異なるとし、「帝王切開手術で患者が死亡」という結果の重大性のみに依拠して責任を追及することを疑問視した。その上で、癒着胎盤についての産科医としての通常の医療行為と医師の裁量そのものが問題視されている事案であり、検察が医学的見地から過失の存否を立証する責任を負うが、明確な主張をせず、十分な立証もできなかったとした。本裁判はこの日で結審し、2008年8月20日午前10時から、判決が言い渡されることになった。
業務上過失致死罪と医師法違反ともに無罪主張、判決は8月20日
橋本佳子(m3.com編集長)
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080519_2.html
5月16日、福島地裁で福島県立大野病院事件の最終弁論が行われた。その冒頭、弁護側は「業務上過失致死罪および医師法違反の罪のいずれについても無罪である」と、改めて主張した(検察の論告求刑は、「検察の求刑は禁固1年、罰金10万円」、 「被告は医師の社会的信頼を低下させた」を参照)。
弁護側は、今回の事件は、薬の種類や量を間違えたり、誤って臓器を切るなどの明白な医療過誤事件とは異なるとし、「帝王切開手術で患者が死亡」という結果の重大性のみに依拠して責任を追及することを疑問視した。その上で、癒着胎盤についての産科医としての通常の医療行為と医師の裁量そのものが問題視されている事案であり、検察が医学的見地から過失の存否を立証する責任を負うが、明確な主張をせず、十分な立証もできなかったとした。本裁判はこの日で結審し、2008年8月20日午前10時から、判決が言い渡されることになった。
公判の最後に、加藤克彦医師は、「(死亡した女性に対して)ご冥福をお祈りします」と述べ、次のように語った(詳細は文末に掲載)。
「私は真摯(しんし)な気持ち、態度で、産婦人科医療の現場におりました。再び医師として働かせていただけるのであれば、また地域医療の一端を担いたいと考えております」
最終弁論は5時間半強、7人の弁護士が交代で
最終弁論は午前10時から開始、途中、合計で約1時間20分の休憩はさんで、午後4時40分まで続いた。A4判で157ページにも及ぶ「弁論要旨」を7人の弁護士が交代で読み上げた。
「私は真摯(しんし)な気持ち、態度で、産婦人科医療の現場におりました。再び医師として働かせていただけるのであれば、また地域医療の一端を担いたいと考えております」
最終弁論は5時間半強、7人の弁護士が交代で
最終弁論は午前10時から開始、途中、合計で約1時間20分の休憩はさんで、午後4時40分まで続いた。A4判で157ページにも及ぶ「弁論要旨」を7人の弁護士が交代で読み上げた。
弁論要旨は、以下の11項目から成る。
第1 結論
第2 はじめに
第3 本事件の事実経過について
第4 癒着の部位・程度およびその点についての被告人の認識
第5 出血部位、程度について
第6 因果関係
第7 予見可能性について
第8 剥離中止義務の医療措置の妥当性、相当性(結果回避義務について)
第9 被告人の供述調書の任意性
第10 医師法21条違反がないこと
第11 総括
第1 結論
第2 はじめに
第3 本事件の事実経過について
第4 癒着の部位・程度およびその点についての被告人の認識
第5 出血部位、程度について
第6 因果関係
第7 予見可能性について
第8 剥離中止義務の医療措置の妥当性、相当性(結果回避義務について)
第9 被告人の供述調書の任意性
第10 医師法21条違反がないこと
第11 総括
業務上過失致死罪に関する検察側の主張を要約すると、「癒着胎盤があると分かった時点で、胎盤の剥離を中止し、子宮摘出手術に切り替えるべきだった。しかし、剥離を中断せず、クーパーで無理に剥離を継続したことで大量出血を招き、それにより死亡した」というもの。
これに対する最終弁論が第4~第8。検察側の主張と対比すると、以下のようになる。
第4:胎盤の癒着は子宮前壁にはなく後壁のみ、その深度は一番深いところで5分の1程度。
(検察の主張:子宮前壁にも癒着があり、深度は2分の1程度)
第5:胎盤剥離直後の時点での出血量は、2555mL。胎盤剥離中の出血は最大555mLにすぎず、大量出血はなかった。
(検察の主張:胎盤剥離直後の時点での出血量は、約5000mL)
第6:死亡原因として、羊水塞栓の可能性があり、大量出血の要因として産科DIC発症が考えられる以上、大量出血と死亡との因果関係には疑問の余地がある。
(検察の主張:胎盤剥離行為による大量出血と、死亡には因果関係がある)
第7:術前と開腹直後の癒着胎盤の予見可能性、術中の大量出血の予見可能性はいずれもない。
(検察の主張:術前、遅くても開腹直後には癒着胎盤を予見することが可能。大量出血も予見可能)
第8:胎盤剥離を継続したことは、剥離後の子宮収縮と止血を期待したものであり、この判断は臨床医学の実践における医療水準にかなうものであり、妥当かつ相当。
(検察の主張:胎盤の剥離が困難になった時点で、剥離を中断し、子宮摘出術に切り替えるべきだったが、クーパーを利用して漫然と剥離を継続した過失がある)
これらは、過去13回の公判で、弁護側が繰り返してきた主張でもある。この日の弁論の特徴として、「医療水準」という言葉を多用したことが挙げられる。加藤医師の行為が医療水準に合致していたかを医学的見地から立証することが重要であり、その責任は検察が負うことを繰り返し強調した(「安易な刑事介入を牽制する弁論を展開」を参照)。
これに対する最終弁論が第4~第8。検察側の主張と対比すると、以下のようになる。
第4:胎盤の癒着は子宮前壁にはなく後壁のみ、その深度は一番深いところで5分の1程度。
(検察の主張:子宮前壁にも癒着があり、深度は2分の1程度)
第5:胎盤剥離直後の時点での出血量は、2555mL。胎盤剥離中の出血は最大555mLにすぎず、大量出血はなかった。
(検察の主張:胎盤剥離直後の時点での出血量は、約5000mL)
第6:死亡原因として、羊水塞栓の可能性があり、大量出血の要因として産科DIC発症が考えられる以上、大量出血と死亡との因果関係には疑問の余地がある。
(検察の主張:胎盤剥離行為による大量出血と、死亡には因果関係がある)
第7:術前と開腹直後の癒着胎盤の予見可能性、術中の大量出血の予見可能性はいずれもない。
(検察の主張:術前、遅くても開腹直後には癒着胎盤を予見することが可能。大量出血も予見可能)
第8:胎盤剥離を継続したことは、剥離後の子宮収縮と止血を期待したものであり、この判断は臨床医学の実践における医療水準にかなうものであり、妥当かつ相当。
(検察の主張:胎盤の剥離が困難になった時点で、剥離を中断し、子宮摘出術に切り替えるべきだったが、クーパーを利用して漫然と剥離を継続した過失がある)
これらは、過去13回の公判で、弁護側が繰り返してきた主張でもある。この日の弁論の特徴として、「医療水準」という言葉を多用したことが挙げられる。加藤医師の行為が医療水準に合致していたかを医学的見地から立証することが重要であり、その責任は検察が負うことを繰り返し強調した(「安易な刑事介入を牽制する弁論を展開」を参照)。
医師法21条は憲法違反、広尾病院事件とは異なる
さらに、異状死の届け出を定めた医師法21条については、憲法31条と憲法38条に違反するとした。医師法21条に関しては、様々な学会が異なるガイドラインを策定しており、「何が法医学的に異状死に該当するか」の基準は明確ではなく、「明確性の原則」を定める憲法31条に反するとした。また医師法21条は、異状の有無だけではなく、犯罪構成要件に該当する事実の供述の強制にもつながることから、黙秘権を定める憲法38条にも反するとした。
この際、病院長が医師法21条違反で有罪とされた、「都立広尾病院事件」の2004年の最高裁判決を引用している。同判決は、医師法21条は憲法38条違反ではないとしているが、これは「特殊な事例に対する事例判決」であり、このまま大野病院事件には適用できないとした。広尾病院事件は、
(1)誤って消毒薬を投与した明白な医療過誤に関する事件
(2)過失を問われたのは看護師であり、この場合に黙秘権が問題となるのは看護師と死体を検案した主治医である
(3)病院長は主治医との共謀について21条の責任が問われた
――という事例であるとした。これに対して、大野病院事件は、加藤医師本人の過失の有無が問われている事案であり、加藤医師が主治医かつ死体を検案医師として、業務上過失致死罪と医師法21条違反の両方で起訴されており、黙秘権の重要性が厳しく異なるとした。
その上で、仮に医師法21条が違憲でないとしても、
(1)加藤医師には異状死であるとの認識がなかった
(2)院長と相談し、「届け出はしなくてもよい」と指示された
――ことなどから、医師法21条違反に該当しないと主張した。
「再び医師として働けるのであれば地域医療の一端を担いたい」
この日、加藤医師は終始、机に置かれた「弁論要旨」を見ながら、弁護人の言葉に耳を傾けていた。公判の最後に加藤医師は、次のように意見を述べた。
(1)誤って消毒薬を投与した明白な医療過誤に関する事件
(2)過失を問われたのは看護師であり、この場合に黙秘権が問題となるのは看護師と死体を検案した主治医である
(3)病院長は主治医との共謀について21条の責任が問われた
――という事例であるとした。これに対して、大野病院事件は、加藤医師本人の過失の有無が問われている事案であり、加藤医師が主治医かつ死体を検案医師として、業務上過失致死罪と医師法21条違反の両方で起訴されており、黙秘権の重要性が厳しく異なるとした。
その上で、仮に医師法21条が違憲でないとしても、
(1)加藤医師には異状死であるとの認識がなかった
(2)院長と相談し、「届け出はしなくてもよい」と指示された
――ことなどから、医師法21条違反に該当しないと主張した。
「再び医師として働けるのであれば地域医療の一端を担いたい」
この日、加藤医師は終始、机に置かれた「弁論要旨」を見ながら、弁護人の言葉に耳を傾けていた。公判の最後に加藤医師は、次のように意見を述べた。
【加藤医師の意見陳述】
信頼して受診してくださったのにお亡くなりになるという最悪の結果になりましたことに、本当に申し訳ないと思っています。初めて病院を受診されたときから、お見送りをさせていただいたときのいろいろな場面が現在も頭に浮かび、離れません。
あの状況でもっといい方法はなかったのかと思いますが、どうしても思い浮かばずにいます。ご家族の方に分かっていただきたいと思っているのですが、なかなか受け入れていただくことは難しいと考えております。
亡くなられたという事実は変えようない結果です。私も、非常に重い事実として受け止めています。ご家族の皆様には、大変つらい思いをさせてしまい誠に申し訳ありません。
あの状況でもっといい方法はなかったのかと思いますが、どうしても思い浮かばずにいます。ご家族の方に分かっていただきたいと思っているのですが、なかなか受け入れていただくことは難しいと考えております。
亡くなられたという事実は変えようない結果です。私も、非常に重い事実として受け止めています。ご家族の皆様には、大変つらい思いをさせてしまい誠に申し訳ありません。
今回、できる限りのことは一生懸命行いました。精一杯できることは行いましたが、悪い結果になり、一医師として非常に悲しく、悔しい思いをしています。
私は真摯(しんし)な気持ち、態度で、産婦人科医療の現場におりました。再び医師として働かせていただけるのであれば、また地域医療の一端を担いたいと考えております。
裁判所に対しましては、私の話に耳を傾けてくださり、また真剣に審理していただきましたことに、深く感謝しております。改めまして、○○さんのご冥福をお祈り申し上げます。
私は真摯(しんし)な気持ち、態度で、産婦人科医療の現場におりました。再び医師として働かせていただけるのであれば、また地域医療の一端を担いたいと考えております。
裁判所に対しましては、私の話に耳を傾けてくださり、また真剣に審理していただきましたことに、深く感謝しております。改めまして、○○さんのご冥福をお祈り申し上げます。
福島県立大野病院事件◆Vol.12
安易な刑事介入を牽制する弁論を展開
「医療水準」の検証求め、立証責任を検察に課す
橋本佳子(m3.com編集長)
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080519_3.html
5月16日行われた福島県立大野病院事件の最終弁論(『「無罪」と最終弁論で弁護側が改めて主張』を参照)において弁護側は、医療事故と刑事事件として扱う以上、臨床医学の現実を踏まえ、かつ医学的見地に基づく立証の重要性を繰り返し強調した。この事件が医療界に与えた影響は大きく、昨今の“医療崩壊”の一因とされる中で、安易な刑事介入を牽制する弁護側の姿勢の現れだろう。
まず弁護側が指摘したのは、この事案の位置付けだ。「クーパーを使って胎盤剥離を無理に継続したことが大量出血を招き、それにより死亡した」という加藤克彦医師の裁量そのものが問われている事案であるとし、「薬の種類や量を間違えたり、誤って臓器や血管を切ったり、あるいは医療器具を体内に残置したというような明白な医療過誤事件ではない」とは性格が異なるとした。
したがって、「患者の死亡」という結果の重大性から、加藤医師の行為の是非を問うことはできず、「死亡に至る過程」を医学的見地から詳細に検討を行うことが不可欠だとした。具体的には、
(1)どの時点のいかなる行為に問題があるのか
(2)取り得る回避措置があったのか、あるとすればその具体的内容(回避可能性と結果回避義務の内容)――について立証することが必要で、その責任は弁護側ではなく、検察側にあることを強調した。しかしながら、実際には検察は立証責任を果たさず、「立証責任がある事実については、その十分な論述を避けつつ、推論と断定を繰り返し、自らの主張が立証されたかのように述べ、一方で、弁護人の反証に対する論難に紙幅を費やした」と指摘した。
「医療水準」を多用し、証拠と証言で検証
次に挙げられるのは、「医療水準」という言葉を多用した点だ。前述のように、医師の裁量が問われる事案であれば、その当時の医療水準は何か、それに合致した医療を行っていたか、それを検証するのが重要であるという論理からだと推測される。「いうまでもなく、検察官は医師でも医療の専門家でもない」とし、「本件施術時点において、何が診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準であるのかを慎重に見極めなければならない」とした。 例えば、検察が主張する「胎盤の剥離が困難になった時点で、剥離を中断して子宮摘出術に切り替えるべきだったが、それをしなかった過失がある」とする点。
安易な刑事介入を牽制する弁論を展開
「医療水準」の検証求め、立証責任を検察に課す
橋本佳子(m3.com編集長)
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080519_3.html
5月16日行われた福島県立大野病院事件の最終弁論(『「無罪」と最終弁論で弁護側が改めて主張』を参照)において弁護側は、医療事故と刑事事件として扱う以上、臨床医学の現実を踏まえ、かつ医学的見地に基づく立証の重要性を繰り返し強調した。この事件が医療界に与えた影響は大きく、昨今の“医療崩壊”の一因とされる中で、安易な刑事介入を牽制する弁護側の姿勢の現れだろう。
まず弁護側が指摘したのは、この事案の位置付けだ。「クーパーを使って胎盤剥離を無理に継続したことが大量出血を招き、それにより死亡した」という加藤克彦医師の裁量そのものが問われている事案であるとし、「薬の種類や量を間違えたり、誤って臓器や血管を切ったり、あるいは医療器具を体内に残置したというような明白な医療過誤事件ではない」とは性格が異なるとした。
したがって、「患者の死亡」という結果の重大性から、加藤医師の行為の是非を問うことはできず、「死亡に至る過程」を医学的見地から詳細に検討を行うことが不可欠だとした。具体的には、
(1)どの時点のいかなる行為に問題があるのか
(2)取り得る回避措置があったのか、あるとすればその具体的内容(回避可能性と結果回避義務の内容)――について立証することが必要で、その責任は弁護側ではなく、検察側にあることを強調した。しかしながら、実際には検察は立証責任を果たさず、「立証責任がある事実については、その十分な論述を避けつつ、推論と断定を繰り返し、自らの主張が立証されたかのように述べ、一方で、弁護人の反証に対する論難に紙幅を費やした」と指摘した。
「医療水準」を多用し、証拠と証言で検証
次に挙げられるのは、「医療水準」という言葉を多用した点だ。前述のように、医師の裁量が問われる事案であれば、その当時の医療水準は何か、それに合致した医療を行っていたか、それを検証するのが重要であるという論理からだと推測される。「いうまでもなく、検察官は医師でも医療の専門家でもない」とし、「本件施術時点において、何が診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準であるのかを慎重に見極めなければならない」とした。 例えば、検察が主張する「胎盤の剥離が困難になった時点で、剥離を中断して子宮摘出術に切り替えるべきだったが、それをしなかった過失がある」とする点。
これに対して、弁護側は、
(1)この裁判に提出された証拠の中には、1件も子宮摘出術に切り替えた症例はない
(2)この裁判に出廷した弁護側、検察側の証人のいずれも、胎盤剥離を開始したら完遂すると証言している
――などの点を挙げ、加藤医師の判断は「臨床医学の実践における医療水準にかなうものであり、術中の医療処置は、医師の裁量として合理的であり、妥当かつ相当」と述べた。
(1)この裁判に提出された証拠の中には、1件も子宮摘出術に切り替えた症例はない
(2)この裁判に出廷した弁護側、検察側の証人のいずれも、胎盤剥離を開始したら完遂すると証言している
――などの点を挙げ、加藤医師の判断は「臨床医学の実践における医療水準にかなうものであり、術中の医療処置は、医師の裁量として合理的であり、妥当かつ相当」と述べた。
鑑定人の専門性も徹底的に問題視
その上、鑑定人や証人の専門性を重視し、さらには捜査官・検察官の医学的知識を問題視した点も散見された。この公判において、直接的な関係者以外で証言した医師は計5人。検察側2人、弁護側3人という内訳だ。検察側の証人は、地元の福島県立医科大学の病理医(患者の死亡直後の病理検査や鑑定などを実施した病理医)と、腫瘍学が専門の大学教授(鑑定を実施)。一方、弁護側の証人は、胎盤病理を専門とする病理医1人(鑑定を実施)と、周産期医療の第一人者である大学教授2人だ。
今回の事件は、「胎盤の癒着部位と程度」が重要な争点であり、それを判断するために鑑定が行われた。弁護側が依頼した鑑定人は非常に経験が豊富(26年間で5万例を超す胎盤の病理診断を実施。うち癒着胎盤は24例)である一方、検察側が鑑定を依頼した病理医は癒着胎盤の経験は1例のみだった。
「(弁護側鑑定人の)病理鑑定の結果の信頼性、信用性は、検察側鑑定人のそれと比較して極めて高い」とした一方で、検察側の鑑定人については「自己の鑑定結果に固執しており、同医師の一連の鑑定は極めて信用性が低いと言わざるを得ない」「鑑定書および証言は、浅薄な知識経験に基づくずさんなもので、しかも数度にわたり変遷を繰り返しているのであって全く信用できないことは明らか」などと手厳しく批判した。
その上、鑑定人や証人の専門性を重視し、さらには捜査官・検察官の医学的知識を問題視した点も散見された。この公判において、直接的な関係者以外で証言した医師は計5人。検察側2人、弁護側3人という内訳だ。検察側の証人は、地元の福島県立医科大学の病理医(患者の死亡直後の病理検査や鑑定などを実施した病理医)と、腫瘍学が専門の大学教授(鑑定を実施)。一方、弁護側の証人は、胎盤病理を専門とする病理医1人(鑑定を実施)と、周産期医療の第一人者である大学教授2人だ。
今回の事件は、「胎盤の癒着部位と程度」が重要な争点であり、それを判断するために鑑定が行われた。弁護側が依頼した鑑定人は非常に経験が豊富(26年間で5万例を超す胎盤の病理診断を実施。うち癒着胎盤は24例)である一方、検察側が鑑定を依頼した病理医は癒着胎盤の経験は1例のみだった。
「(弁護側鑑定人の)病理鑑定の結果の信頼性、信用性は、検察側鑑定人のそれと比較して極めて高い」とした一方で、検察側の鑑定人については「自己の鑑定結果に固執しており、同医師の一連の鑑定は極めて信用性が低いと言わざるを得ない」「鑑定書および証言は、浅薄な知識経験に基づくずさんなもので、しかも数度にわたり変遷を繰り返しているのであって全く信用できないことは明らか」などと手厳しく批判した。
捜査官、検察官の医学的知識を問題しされたのは、例えば起訴前の加藤医師の供述調書の任意性との関連においてだ。取り調べは、捜査官と加藤医師との問答で行われるため、捜査官の医学的知識が不十分であれば、結果として調書も医学的常識に反するものになるとした。「被告人は、取り調べを受ける立場にあるから、捜査官が発問した内容について返答をするものであるけれども、発問をする捜査官の医療知識が不十分であると、その質問は本件事案の解明から的外れなものとならざるを得ない。このことは、本件調書中には、自然科学者である医師の被告人が供述したとは到底考えられない基礎的医学的知識の誤りが公然と存するなどの事実からして、被告人が任意に供述したものではないことが明らか」などと指摘した。
「医療事故の届け出制度を変えること自体は支持」
公判後の記者会見で、主任弁護人の平岩敬一氏は、「今回の逮捕・起訴は、産科医療だけではなく、外科、救急医療までにも大きな影響を与えた。はっきりと裁判所が無罪と言うことで、医療現場の混乱が収束し、不安を抱えたままで仕事をしなければならない事態が改善することを期待する」と述べた。
厚生労働省は現在、診療関連死の死因究明や再発防止などを行う「医療安全調査委員会」の設置に向けた検討を進めており、この4月の初めに「第三次試案」をまとめた(『21条改正で前進だが「警察への通知」残る』)。この議論の契機となったのが、この福島県立大野病院事件だ。医師法21条の届け出、さらには前述のように医療に精通していない捜査官が取り調べを行うことが問題視されたからだ。
公判後の記者会見で、主任弁護人の平岩敬一氏は、「今回の逮捕・起訴は、産科医療だけではなく、外科、救急医療までにも大きな影響を与えた。はっきりと裁判所が無罪と言うことで、医療現場の混乱が収束し、不安を抱えたままで仕事をしなければならない事態が改善することを期待する」と述べた。
厚生労働省は現在、診療関連死の死因究明や再発防止などを行う「医療安全調査委員会」の設置に向けた検討を進めており、この4月の初めに「第三次試案」をまとめた(『21条改正で前進だが「警察への通知」残る』)。この議論の契機となったのが、この福島県立大野病院事件だ。医師法21条の届け出、さらには前述のように医療に精通していない捜査官が取り調べを行うことが問題視されたからだ。
平岩氏は、「微妙な問題」と前置きした上で、「今回の事件は、まず起訴が誤っていたと思う。専門家の意見をきちんと聞かなかったからだ。聞いていれば、起訴はなかったのだろう。こうした意味からすれば、医療の素人の警察に届け出する現在の制度はやはり誤りだと思っている。今検討されているように、医療の専門家で構成する調査委員会に届け出を改めること自体は正しい方向性だ。21条が改正されて、制度が大きく変わること自体は支持したい。ただ今、様々な学会がシビアな意見を出している。それは制度を変えるのだったら、最善のものにしたいという意向からだろう」と述べ、制度の細部はまだ検討の余地があるとしながらも、制度を変更する方向性は支持した。
軸丸さまも参加してくださいました(>▽<)!!!!
いつもありがとうございます!!!
弁護側は全面無罪を主張
福島県立大野病院事件最終弁論、判決は8月20日に
オーマイニュース 軸丸 靖子 2008-05-17
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080516/25149
福島県立大野病院事件最終弁論、判決は8月20日に
オーマイニュース 軸丸 靖子 2008-05-17
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080516/25149
(抜粋)
女性の死亡から4年半。これまで14回、毎回6~8時間に及んだ公判はこの日、全審理終了の節目を迎えた。最初から傍聴してきた女性の遺族らは、公判終了後、周りが退室してからも、しばらく傍聴席に座ったままだった。
<結審後の報道>
福島・大野病院事件が結審、判決は8月20日に
読売新聞 2008年5月16日23時56分
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080516-OYT1T00948.htm
福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)(求刑・禁固1年、罰金10万円)の公判が16日、福島地裁で結審した。医師が決めた治療方針の結果として起きた事故の過失責任がどこまで問われるのかを争点にした裁判は、8月20日に判決が言い渡される。
読売新聞 2008年5月16日23時56分
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080516-OYT1T00948.htm
福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術で女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)(求刑・禁固1年、罰金10万円)の公判が16日、福島地裁で結審した。医師が決めた治療方針の結果として起きた事故の過失責任がどこまで問われるのかを争点にした裁判は、8月20日に判決が言い渡される。
無罪を主張する加藤被告は「精いっぱいのことをしたが悪い結果になり、一医師として非常に悲しく悔しい思い。再び医師として働かせて頂けるのであれば、地域医療の一端を担いたい」と述べた。
弁護側は最終弁論で、加藤被告の起訴が医師の産科離れを加速させたとの指摘に触れ、「お産難民という言葉さえ生まれた実態が生じたのは、わが国の医療水準を超える注意義務を課したため」と批判した。検察側の論告では、加藤被告は04年12月17日、妊娠37週の県内の女性に対する帝王切開手術で、子宮に癒着した女性の胎盤をはがして大量出血を引き起こして、約4時間後に失血死させたとされる。また、死体検案で異状を認めたにもかかわらず、24時間以内に警察に届け出なかったとして医師法違反にも問われた。子どもは無事生まれた。
弁護側は最終弁論で、加藤被告の起訴が医師の産科離れを加速させたとの指摘に触れ、「お産難民という言葉さえ生まれた実態が生じたのは、わが国の医療水準を超える注意義務を課したため」と批判した。検察側の論告では、加藤被告は04年12月17日、妊娠37週の県内の女性に対する帝王切開手術で、子宮に癒着した女性の胎盤をはがして大量出血を引き起こして、約4時間後に失血死させたとされる。また、死体検案で異状を認めたにもかかわらず、24時間以内に警察に届け出なかったとして医師法違反にも問われた。子どもは無事生まれた。
公判で争点となったのは、子宮に癒着した胎盤をはがす際の出血が、死亡するほどのものかを予測できたかという予見可能性と、死に至るほどの大量出血を回避する注意義務。検察側は「胎盤をはがすために子宮と胎盤の間に手を入れた時点では癒着を認識しており、子宮摘出手術などに移って生命の危険を避ける必要があった」と、予見可能性と注意義務がともにあったと主張した。
これに対し、弁護側は「手ではがし始めた際に癒着を認識することはあり得ない。はがし終えれば子宮が収縮して出血が収まることが期待でき、判断は妥当で標準的な医療」と反論。医師法違反について弁護側は、「院長の判断で届け出を行わなかった。異状死には当たらない」としている。
これに対し、弁護側は「手ではがし始めた際に癒着を認識することはあり得ない。はがし終えれば子宮が収縮して出血が収まることが期待でき、判断は妥当で標準的な医療」と反論。医師法違反について弁護側は、「院長の判断で届け出を行わなかった。異状死には当たらない」としている。
大野病院事件が結審、8月20日に判決
キャリアブレイン 2008/05/17 00:19
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16069.html
福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた当時の産婦人科医長、加藤克彦被告(40)の最終弁論が5月16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、弁護側が無罪を主張して結審した。判決は8月20日。
キャリアブレイン 2008/05/17 00:19
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16069.html
福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた当時の産婦人科医長、加藤克彦被告(40)の最終弁論が5月16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であり、弁護側が無罪を主張して結審した。判決は8月20日。
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勤務医の疲弊、患者にも原因
起訴状によると、加藤被告は同年12月17日、女性=当時(29)=の帝王切開手術をした際、胎盤と子宮の癒着を認識。子宮に癒着している胎盤を無理にはがせば大量出血する恐れがあるにもかかわらず、子宮摘出術に移行するなど危険回避の措置を怠り、剥離(はくり)を続けて女性を失血死させた。また、異状死を24時間以内に警察に届けなかったとして、医師法21条違反にも問われた。
検察側は3月21日の論告求刑公判で、禁固1年、罰金10万円を求刑している。
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起訴状によると、加藤被告は同年12月17日、女性=当時(29)=の帝王切開手術をした際、胎盤と子宮の癒着を認識。子宮に癒着している胎盤を無理にはがせば大量出血する恐れがあるにもかかわらず、子宮摘出術に移行するなど危険回避の措置を怠り、剥離(はくり)を続けて女性を失血死させた。また、異状死を24時間以内に警察に届けなかったとして、医師法21条違反にも問われた。
検察側は3月21日の論告求刑公判で、禁固1年、罰金10万円を求刑している。
最終弁論で弁護側は、臨床の実践にはそのような施術例は一例もなく、胎盤の剥離を中止することは「非現実的な処置」などと反論し、改めて無罪を主張した。また、医師法21条に基づく届け出について、
▽死体に客観的な異状が認められない
▽被告の医療行為にも過失が認められない
―ことなどから、届け出の対象に該当しないと主張。医師法違反についても無罪を求めた。
弁護側はまた、産科医の減少や相次ぐ産科の閉鎖、委縮医療による弊害など、この事件が「わが国の医療界全体に大きな衝撃を与えた」と指摘。こうした事態が生じたのは「検察官が公訴事実で、臨床医学の実践における医療水準に反する注意義務を医師である被告人に課したからにほかならない」とした。
最終弁論後の意見陳述で加藤被告は、「できる限りのことは一生懸命行いました。精一杯できるだけのことを行いましたが、悪い結果になり、一医師として非常に悲しく、悔しい思いをしております。再び医師として働かせていただけるのであれば、また地域医療の一端を担いたいと考えております」などと述べた。
最終弁論後の意見陳述で加藤被告は、「できる限りのことは一生懸命行いました。精一杯できるだけのことを行いましたが、悪い結果になり、一医師として非常に悲しく、悔しい思いをしております。再び医師として働かせていただけるのであれば、また地域医療の一端を担いたいと考えております」などと述べた。
よくまとまっています。
大野病院医療事故:公判結審(その1) 過失か、通常医療行為か /福島
毎日新聞 2008年5月17日
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20080517ddlk07040225000c.html
大野病院医療事故:公判結審(その1) 過失か、通常医療行為か /福島
毎日新聞 2008年5月17日
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20080517ddlk07040225000c.html
大野病院医療事故:公判結審(その2止) 論告・最終弁論要旨 /福島
毎日新聞 2008年5月17日
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20080517ddlk07040276000c.html
毎日新聞 2008年5月17日
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20080517ddlk07040276000c.html
産科医「過誤ない」 福島・大野病院事件結審
河北新報 2008年05月17日土曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/05/20080517t63027.htm
福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤を剥離(はくり)した判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の最終弁論が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。弁護側が「患者が亡くなったのは重い事実だが、施術に過誤はなく、可能な限りの医療を尽くした」とあらためて無罪を主張し、結審した。判決は8月20日に言い渡される。
河北新報 2008年05月17日土曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/05/20080517t63027.htm
福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤を剥離(はくり)した判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の最終弁論が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。弁護側が「患者が亡くなったのは重い事実だが、施術に過誤はなく、可能な限りの医療を尽くした」とあらためて無罪を主張し、結審した。判決は8月20日に言い渡される。
弁護側は「医師の裁量権そのものが問題とされた事件。医師は時々刻々と変化する病状を判断して処置するしかなく、結果から是非は判断できない」と、起訴した検察を批判。「周産期医療の専門家の意見に耳を傾けずに立件し、医療界全体に大きな衝撃を与えた」と事件化したことの影響を強調した。最大の争点の「剥離を続けた判断の正否」については、「検察側証人の医師も公判で、剥離を続けるのが通常と証言した」と指摘。剥離をやめて子宮摘出に移るべきだったとする検察側主張を「非現実的な処置で、机上の空論」と切り捨てた。
胎盤剥離時にクーパー(医療用はさみ)を使用したことの可否に関しては、専門家の証言を引用しながら「剥離を急ぎ、子宮筋層を傷つけないために使った」と妥当性を主張した。手術前、癒着胎盤と大量出血を予見できたかどうかについては、加藤被告が手術前と手術中に超音波検査を行うなど慎重な処置を繰り返したことを挙げ、予見は不可能だったとした。公判では加藤被告が最終意見陳述を行い、「最悪の結果になり申し訳ない。ご家族にはつらい思いをさせてしまった」と謝罪。その上で「再び医師として働かせてもらえれば、地域医療の一端を担いたい」と語った。
検察側は禁固1年、罰金10万円を求刑した3月の論告で「継続すれば生命に危険が及ぶ状況でも漫然と剥離を続けた。安易な判断で被害者を死亡させた過失は重大」と述べた。起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、女性の帝王切開手術で胎盤と子宮の癒着を確認し、剥離を開始。継続すれば大量出血すると予見できる状況になっても剥離を続け、女性を失血死させた。
検察側は禁固1年、罰金10万円を求刑した3月の論告で「継続すれば生命に危険が及ぶ状況でも漫然と剥離を続けた。安易な判断で被害者を死亡させた過失は重大」と述べた。起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、女性の帝王切開手術で胎盤と子宮の癒着を確認し、剥離を開始。継続すれば大量出血すると予見できる状況になっても剥離を続け、女性を失血死させた。
医療過誤に問われた医師、無罪主張 結審 福島地裁
MSN産経ニュース 2008.5.16 23:31
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080516/trl0805162330015-n1.htm
福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反(異状死の届け出義務)の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の最終弁論が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。弁護側は無罪を主張し結審した。判決は8月20日。加藤被告は最終陳述で、「全力を尽くしたが悪い結果になり非常に悲しく悔しい。ご冥福(めいふく)をお祈りしている」とした上で、「もし医師に復帰できるなら、これからも地域医療の一端を担いたい」と述べた。
MSN産経ニュース 2008.5.16 23:31
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080516/trl0805162330015-n1.htm
福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反(異状死の届け出義務)の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の最終弁論が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。弁護側は無罪を主張し結審した。判決は8月20日。加藤被告は最終陳述で、「全力を尽くしたが悪い結果になり非常に悲しく悔しい。ご冥福(めいふく)をお祈りしている」とした上で、「もし医師に復帰できるなら、これからも地域医療の一端を担いたい」と述べた。
弁護側は「胎盤剥離(はくり)中に子宮と胎盤の癒着が判明した場合は、剥離を完遂させるのが現場での通例」などとし、「胎盤剥離を中止して子宮摘出手術を行うべきだった」とする検察側に反論した。また医師法違反についても「被告は異状死と認識していなかった」などと無罪を主張した。
論告によると、被告は16年12月17日、子宮と胎盤が癒着する「癒着胎盤」だった女性に対し、無理に胎盤剥離を継続すれば大量出血する恐れがあると知りながら、剥離を中止し子宮摘出などの適切な措置を取らず、出血性ショックで女性を死亡させた。また異状死と認識していたにもかかわらず24時間以内に警察署に届けなかった。検察側は、加藤被告に禁固1年、罰金10万円を求刑している。
論告によると、被告は16年12月17日、子宮と胎盤が癒着する「癒着胎盤」だった女性に対し、無理に胎盤剥離を継続すれば大量出血する恐れがあると知りながら、剥離を中止し子宮摘出などの適切な措置を取らず、出血性ショックで女性を死亡させた。また異状死と認識していたにもかかわらず24時間以内に警察署に届けなかった。検察側は、加藤被告に禁固1年、罰金10万円を求刑している。
大野病院公判、無罪改めて主張 最終弁論 判決8月20日
福島民報 2008/05/17 08:57
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147&blockId=1088415&newsMode=article
福島県大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた大熊町下野、産婦人科医加藤克彦被告(40)の第14回公判は16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。禁固1年、罰金10万円を求めた検察側の論告求刑に対し、弁護側は最終弁論で「患者が亡くなったことは重い事実ではあるが、加藤被告はわが国の臨床医学の医療水準に即して可能な限りの医療を尽くした」とあらためて無罪を主張。加藤被告が意見陳述し結審した。判決公判は8月20日午前10時から。
福島民報 2008/05/17 08:57
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4147&blockId=1088415&newsMode=article
福島県大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた大熊町下野、産婦人科医加藤克彦被告(40)の第14回公判は16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれた。禁固1年、罰金10万円を求めた検察側の論告求刑に対し、弁護側は最終弁論で「患者が亡くなったことは重い事実ではあるが、加藤被告はわが国の臨床医学の医療水準に即して可能な限りの医療を尽くした」とあらためて無罪を主張。加藤被告が意見陳述し結審した。判決公判は8月20日午前10時から。
大野病院医療過誤公判が結審/8月判決
福島放送 2008年05月17日 09時22分
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=200805179
大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた、大熊町の産婦人科医加藤克彦被告の第14回公判は16日、福島地裁で開かれた。
福島放送 2008年05月17日 09時22分
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=200805179
大熊町の県立大野病院医療過誤事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた、大熊町の産婦人科医加藤克彦被告の第14回公判は16日、福島地裁で開かれた。
禁固1年、罰金10万円を求めた検察側の論告求刑に対し、弁護側は最終弁論で「患者が亡くなったことは重い事実ではあるが、加藤被告はわが国の臨床医学の医療水準に即して可能な限りの医療を尽くした」とあらためて無罪を主張。
加藤被告が意見陳述し結審した。
判決公判は8月20日午前10時から。
加藤被告が意見陳述し結審した。
判決公判は8月20日午前10時から。
大野病院事件 判決は8月
NHK 2008年5月16日
http://www.nhk.or.jp/fukushima/lnews/01.html
県立大野病院の産婦人科の医師が、帝王切開の手術で女性を死亡させたとされる事件の裁判で弁護側は15日、最終弁論をおこない、「被告の医師はわが国の医療水準に即して可能な限りの医療を尽くした」と述べてあらためて無罪を主張しました。裁判はすべての審理が終わり判決はことし8月20日に言い渡されます。大熊町にある県立大野病院の産婦人科の医師、加藤克彦被告(40歳)は、4年前、帝王切開の手術の際に女性の胎盤を無理にはがし、大量出血を引き起こして死亡させたとして、業務上過失致死などの罪に問われています。
裁判で、検察側は、「産婦人科医としての基本的な注意義務を怠った」と指摘して禁固1年、罰金10万円を求刑しています。
15日、福島地方裁判所で開かれた裁判では、弁護側による最終弁論がおこなわれました。
NHK 2008年5月16日
http://www.nhk.or.jp/fukushima/lnews/01.html
県立大野病院の産婦人科の医師が、帝王切開の手術で女性を死亡させたとされる事件の裁判で弁護側は15日、最終弁論をおこない、「被告の医師はわが国の医療水準に即して可能な限りの医療を尽くした」と述べてあらためて無罪を主張しました。裁判はすべての審理が終わり判決はことし8月20日に言い渡されます。大熊町にある県立大野病院の産婦人科の医師、加藤克彦被告(40歳)は、4年前、帝王切開の手術の際に女性の胎盤を無理にはがし、大量出血を引き起こして死亡させたとして、業務上過失致死などの罪に問われています。
裁判で、検察側は、「産婦人科医としての基本的な注意義務を怠った」と指摘して禁固1年、罰金10万円を求刑しています。
15日、福島地方裁判所で開かれた裁判では、弁護側による最終弁論がおこなわれました。
このなかで弁護側は、「患者の症状はきわめてまれなケースであり、手術の前に危険な状態だと予測することは不可能だった」と述べました。そのうえで弁護側は、「加藤医師は、胎盤をいったんはがし始めた場合は、完全にはがした方が出血が止まると考えた。これはわが国の医療の水準に即した判断であり過去の症例でもそうした処置が行われている。加藤医師は可能な限りの医療を尽くしており、医療ミスにはあたらない」と述べ、あらためて無罪を主張しました。
この事件の裁判はすべての審理が終わり、判決はことし8月20日に言い渡されます。
この事件の裁判はすべての審理が終わり、判決はことし8月20日に言い渡されます。
大野病院の裁判 弁護側最終弁論結審へ
福島中央テレビ 2008年05月16日 18:34
http://www.fct.co.jp/news/#200805165183455
2004年に大熊町の県立大野病院で帝王切開の手術を受けた女性が死亡し、産婦人科の医師が逮捕・起訴された事件の公判が、福島地方裁判所で開かれています。
きょうは、弁護側が最終弁論を行い、さきほど結審しました。
業務上過失致死と医師法違反の罪に問われているのは、県立大野病院の産婦人科医、加藤克彦被告です。
加藤被告は、2004年に、当時29歳の女性の帝王切開の手術をした際、無理にゆ着した胎盤を引き剥がして死亡させたとされています。
裁判は、被告・弁護側が一貫して無罪を主張し、検察側と真っ向から対立する構図となっていて、前回、3月の公判で、検察は、被告に禁固1年、罰金10万円を求刑していました。
この裁判は全国からも注目を集めていて、きょうも地裁前には、傍聴券を求める長い列ができました。
きょうの公判では、弁護側が最終弁論を行い、「検察側の主張は合理性がなく、あいまいで立証責任を果たしていない」と非難した上、「被告人の医療行為は現在の医療水準を満たしたもので、判断に誤りはなかった」として改めて無罪を主張しました。
また、この後、加藤被告本人も最後の意見陳述に立ち、こちらも無罪を主張しました。
裁判は、きょうで結審し、判決は8月20日に言い渡されます。
福島中央テレビ 2008年05月16日 18:34
http://www.fct.co.jp/news/#200805165183455
2004年に大熊町の県立大野病院で帝王切開の手術を受けた女性が死亡し、産婦人科の医師が逮捕・起訴された事件の公判が、福島地方裁判所で開かれています。
きょうは、弁護側が最終弁論を行い、さきほど結審しました。
業務上過失致死と医師法違反の罪に問われているのは、県立大野病院の産婦人科医、加藤克彦被告です。
加藤被告は、2004年に、当時29歳の女性の帝王切開の手術をした際、無理にゆ着した胎盤を引き剥がして死亡させたとされています。
裁判は、被告・弁護側が一貫して無罪を主張し、検察側と真っ向から対立する構図となっていて、前回、3月の公判で、検察は、被告に禁固1年、罰金10万円を求刑していました。
この裁判は全国からも注目を集めていて、きょうも地裁前には、傍聴券を求める長い列ができました。
きょうの公判では、弁護側が最終弁論を行い、「検察側の主張は合理性がなく、あいまいで立証責任を果たしていない」と非難した上、「被告人の医療行為は現在の医療水準を満たしたもので、判断に誤りはなかった」として改めて無罪を主張しました。
また、この後、加藤被告本人も最後の意見陳述に立ち、こちらも無罪を主張しました。
裁判は、きょうで結審し、判決は8月20日に言い渡されます。
医療過誤:帝王切開執刀医、改めて無罪主張 福島地裁
毎日新聞 2008年5月16日 21時31分
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080517k0000m040116000c.html
福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第14回公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。弁護側は「施術に過誤はなく、わが国の臨床医学の医療水準に即して可能な限りの医療を尽くした」と改めて無罪を主張。加藤被告は「精いっぱいできるだけのことを行ったが悪い結果になり、悲しく悔しい思い」と意見陳述し、結審した。判決は8月20日。
毎日新聞 2008年5月16日 21時31分
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080517k0000m040116000c.html
福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第14回公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。弁護側は「施術に過誤はなく、わが国の臨床医学の医療水準に即して可能な限りの医療を尽くした」と改めて無罪を主張。加藤被告は「精いっぱいできるだけのことを行ったが悪い結果になり、悲しく悔しい思い」と意見陳述し、結審した。判決は8月20日。
起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、帝王切開の手術中、はがせば大量出血する恐れのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかった。福島地検は「基本的な注意義務に著しく違反した悪質なもの」として禁固1年、罰金10万円を求刑している。医療行為を巡り医師が逮捕、起訴されるのは異例で、日本医学会や日本産科婦人科学会などが「結果責任だけで犯罪行為とし、医療に介入している」と抗議声明を出した。
産科医側、改めて無罪主張=帝王切開死亡、8月判決-福島地裁
時事通信 2008/05/16-21:21
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008051601166
福島県立大野病院で2004年、帝王切開を受けて出産した女性=当時(29)=が大量出血して死亡した事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。弁護側が最終弁論を行い、「大量出血は予見不可能で、処置は適切だった」と改めて無罪を主張、結審した。判決は8月20日。
弁護側は、女性の胎盤癒着は予期できず、加藤被告が胎盤の剥離(はくり)を続けた処置は「医療現場における医師の裁量として合理的かつ妥当」と主張。検察側の「剥離を中止し、大量出血による生命の危険を回避する注意義務があった」との指摘についても「非現実的」と批判した。
時事通信 2008/05/16-21:21
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008051601166
福島県立大野病院で2004年、帝王切開を受けて出産した女性=当時(29)=が大量出血して死亡した事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)であった。弁護側が最終弁論を行い、「大量出血は予見不可能で、処置は適切だった」と改めて無罪を主張、結審した。判決は8月20日。
弁護側は、女性の胎盤癒着は予期できず、加藤被告が胎盤の剥離(はくり)を続けた処置は「医療現場における医師の裁量として合理的かつ妥当」と主張。検察側の「剥離を中止し、大量出血による生命の危険を回避する注意義務があった」との指摘についても「非現実的」と批判した。
<午後の報告>
福島の帝王切開失血死、医師側「処置は適切」と無罪主張
読売新聞 2008年5月16日14時45分
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080516-OYT1T00369.htm?from=main4
福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術のミスで女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の公判の最終弁論が16日午前、福島地裁(鈴木信行裁判長)で始まった。
検察側は3月に禁固1年、罰金10万円を求刑したが、弁護側は「当時の医療水準に照らして、処置は適切だった」と無罪を主張した。加藤被告の逮捕、起訴には、日本産科婦人科学会などが抗議を表明。医師の産科離れを加速させたとの指摘もあり、判決が注目されている。
<午前中までの報告>
罪に問われた医師 最終弁論、結審へ
福島中央テレビ 2008年05月16日 11:48
http://www.fct.co.jp/news/#200805165114819
県立大野病院で帝王切開の手術を受けた女性が死亡し、産婦人科の医師が逮捕・起訴された事件の公判が、福島地方裁判所で開かれ、弁護側が最終弁論を行っています。
業務上過失致死などの罪に問われているのは、県立大野病院の産婦人科医、加藤克彦被告です。
加藤被告は、2004年に、当時29歳の女性の帝王切開の手術をした際、無理にゆ着した胎盤を引き剥がして死亡させたとされています。
裁判は、被告・弁護側が無罪を主張していて、3月の公判で検察は、被告に禁固1年、罰金10万円を求刑していました。
きょうは弁護側が最終弁論を行っていて、「被告人の医療行為は現在の医療水準を満たしたもので、判断に誤りはなかった」などと改めて無罪を主張しました。
裁判はきょうで結審し、判決は、夏ごろに言い渡されると見られています。
医療事故:帝王切開執刀医、改めて無罪主張 福島地裁
毎日新聞 2008年5月16日 12時18分
http://mainichi.jp/select/science/news/20080516k0000e040053000c.html
福島県立大野病院(同県大熊町)で04年、帝王切開手術中に妊婦(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第14回公判が16日午前、福島地裁(鈴木信行裁判長)で始まった。弁護側は最終弁論で「通常の医療行為と医師の裁量が問題にされている。単なる結果責任を追及するものに過ぎない」などと述べ、改めて無罪を主張した。
毎日新聞 2008年5月16日 12時18分
http://mainichi.jp/select/science/news/20080516k0000e040053000c.html
福島県立大野病院(同県大熊町)で04年、帝王切開手術中に妊婦(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第14回公判が16日午前、福島地裁(鈴木信行裁判長)で始まった。弁護側は最終弁論で「通常の医療行為と医師の裁量が問題にされている。単なる結果責任を追及するものに過ぎない」などと述べ、改めて無罪を主張した。
午後には加藤被告も意見陳述し、結審する見込み。
起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、帝王切開の手術中、はがせば大量出血するおそれのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかった。福島地検は「基本的な注意義務に著しく違反した悪質なもの」として禁固1年、罰金10万円を求刑している。
医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の裁判で、日本医学会や日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし医療に介入している」と抗議声明を出すなど、医学界を巻き込んで論議を呼んだ。これまでの公判で検察側、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、看護師ら計11人が証言に立った。
起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、帝王切開の手術中、はがせば大量出血するおそれのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかった。福島地検は「基本的な注意義務に著しく違反した悪質なもの」として禁固1年、罰金10万円を求刑している。
医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の裁判で、日本医学会や日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし医療に介入している」と抗議声明を出すなど、医学界を巻き込んで論議を呼んだ。これまでの公判で検察側、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、看護師ら計11人が証言に立った。
弁護側、無罪主張し結審へ 福島の帝王切開死亡訴訟
産経新聞 2008.5.16 11:02
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080516/trl0805161102005-n1.htm
福島県大熊町の県立大野病院で平成16年12月、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、弁護側が最終弁論であらためて無罪を主張した。午後に結審する。
産経新聞 2008.5.16 11:02
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080516/trl0805161102005-n1.htm
福島県大熊町の県立大野病院で平成16年12月、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、弁護側が最終弁論であらためて無罪を主張した。午後に結審する。
弁護側は「明白な医療過誤があったわけではなく、現場で医師が最良とする判断をしたものだ」と強調した。公判は、子宮に癒着した胎盤をはがす「剥離(はくり)」を続けた行為の是非や剥離に手術用はさみ(クーパー)を使用したことの妥当性などが争われ、検察側と弁護側が全面的に対立してきた。検察側は「安易な判断で医師への社会的信頼を害した」として禁固1年、罰金10万円を求刑している。
弁護側あらためて無罪主張 福島の産科医公判、結審へ
東京新聞 2008年5月16日 11時08分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008051601000244.html
福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、弁護側が最終弁論であらためて無罪を主張した。午後に結審する。弁護側は「明白な医療過誤があったわけではなく、現場で医師が最良とする判断をしたものだ」と強調した。
公判は、子宮に癒着した胎盤をはがす「はく離」を続けた行為の是非や、はく離に手術用はさみ(クーパー)を使用したことの妥当性などが争われ、検察側と弁護側が全面的に対立してきた。検察側は「安易な判断で医師への社会的信頼を害した。基本的な注意義務に反し過失は重大」として禁固1年、罰金10万円を求刑している。
論告によると、加藤被告は04年12月17日、手術の際、無理に胎盤をはがせば大量出血する恐れがあったのに、子宮摘出など危険回避の措置を怠り、はく離を続けて大量出血で女性を死亡させた。(共同)
東京新聞 2008年5月16日 11時08分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008051601000244.html
福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれ、弁護側が最終弁論であらためて無罪を主張した。午後に結審する。弁護側は「明白な医療過誤があったわけではなく、現場で医師が最良とする判断をしたものだ」と強調した。
公判は、子宮に癒着した胎盤をはがす「はく離」を続けた行為の是非や、はく離に手術用はさみ(クーパー)を使用したことの妥当性などが争われ、検察側と弁護側が全面的に対立してきた。検察側は「安易な判断で医師への社会的信頼を害した。基本的な注意義務に反し過失は重大」として禁固1年、罰金10万円を求刑している。
論告によると、加藤被告は04年12月17日、手術の際、無理に胎盤をはがせば大量出血する恐れがあったのに、子宮摘出など危険回避の措置を怠り、はく離を続けて大量出血で女性を死亡させた。(共同)
最終弁論でも無罪主張へ 大野病院失血死、きょう公判
読売新聞 2008年5月16日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20080516-OYT8T00020.htm
大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開手術中のミスで女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の第14回公判が16日、福島地裁で開かれる。弁護側の最終弁論が行われ、初公判から1年4か月で結審する見通し。
読売新聞 2008年5月16日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20080516-OYT8T00020.htm
大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開手術中のミスで女性(当時29歳)を失血死させたなどとして、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の第14回公判が16日、福島地裁で開かれる。弁護側の最終弁論が行われ、初公判から1年4か月で結審する見通し。
検察側は3月の論告求刑で「基本的な注意義務に著しく違反した」などとして、加藤被告に禁固1年・罰金10万円を求刑している。弁護側は初公判以降、一貫して無罪を主張しており、最終弁論でも検察側の主張に真っ向から反論する考えだ。女性は胎盤の一部が子宮と癒着して出産後もはがれにくい特殊な疾患だった。検察側は、加藤被告が胎盤を無理にはがし、大量出血を招いて女性を死に至らせたと主張している。
最大の争点は、胎盤が子宮に癒着しているのを認識した時点で胎盤をはがす処置を中止し、子宮摘出に移る義務があったかどうか。弁護側は「子宮の収縮で止血が期待できるため、いったん胎盤のはく離を始めたら完了するのが一般的な処置で誤りはない」と主張し、胎盤をはがした行為と大量出血との因果関係も否定。証人として法廷に立った専門家の意見も割れている。一方、医師法違反については弁護側が「憲法違反。客観的に異状死にも当たらない」などと主張しているが、踏み込んだ議論は行われていない。
論告では、加藤被告は04年12月17日、楢葉町の女性に対する帝王切開手術で、子宮に癒着した胎盤をはがして大量出血させ、約4時間後に失血死させたと、としている。また、死体検案で異状を認めたにもかかわらず、24時間以内に警察に届け出なかったとされる。
論告では、加藤被告は04年12月17日、楢葉町の女性に対する帝王切開手術で、子宮に癒着した胎盤をはがして大量出血させ、約4時間後に失血死させたと、としている。また、死体検案で異状を認めたにもかかわらず、24時間以内に警察に届け出なかったとされる。
<昨日の報告>
大野病院医療事故:最終弁論で無罪主張へ--あす結審 /福島
毎日新聞 2008年5月15日
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20080515ddlk07040250000c.html
県立大野病院で04年、帝王切開手術中に女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第14回公判が16日、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれる。弁護側は最終弁論で改めて無罪を主張し、加藤被告も意見陳述する。医療行為の刑事責任を巡り、医療界を中心に全国の注目を集める裁判は、昨年1月の初公判から約1年4カ月を経て結審する。
起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、帝王切開手術中、はがせば大量出血するおそれのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかった。
検察側は前回公判の論告で、加藤被告が「安易かつ短絡的な判断で大量出血を生じさせた」と指摘し、「基礎的な知見による基本的な注意義務に著しく違反した悪質なもの」と禁固1年、罰金10万円を求刑した。
弁護側はこれまで、「胎盤はく離を始めたら、止血するため、はく離を完了するのが当然」とし、「検察側は現実の診療行為をまったく理解していない」と批判。加藤被告も公判で「最善を尽くした」と述べた。16日は、
検察側は前回公判の論告で、加藤被告が「安易かつ短絡的な判断で大量出血を生じさせた」と指摘し、「基礎的な知見による基本的な注意義務に著しく違反した悪質なもの」と禁固1年、罰金10万円を求刑した。
弁護側はこれまで、「胎盤はく離を始めたら、止血するため、はく離を完了するのが当然」とし、「検察側は現実の診療行為をまったく理解していない」と批判。加藤被告も公判で「最善を尽くした」と述べた。16日は、
▽胎盤はく離継続の妥当性 ▽大量出血が予見できなかったこと
▽クーパー使用の妥当性--などを挙げ、無罪を求める見通し。一般傍聴は27席で、16日午前8時50分~9時15分に整理券が配布され、抽選が行われる。
県立大野病院の医療事件であす最終弁論
2008年5月15日 福島民友ニュース
http://www.minyu-net.com/news/news/0515/news6.html
大熊町の県立大野病院で2004(平成16)年12月、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡した医療事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)=大熊町下野上=の第14回公判は16日午前10時から、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれる。弁護側の最終弁論などが行われ、結審する見込み。
検察側は3月に開かれた論告求刑公判で「安易で短絡的な判断で注意義務を怠り、女性を失血死させた」として、加藤被告に禁固1年、罰金10万円を求刑している。一方、加藤被告と弁護側はこれまでの公判で「癒着胎盤の予見は不可能で、手術にミスはなかった」などとして無罪を主張している。
2008年5月15日 福島民友ニュース
http://www.minyu-net.com/news/news/0515/news6.html
大熊町の県立大野病院で2004(平成16)年12月、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が死亡した医療事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)=大熊町下野上=の第14回公判は16日午前10時から、福島地裁(鈴木信行裁判長)で開かれる。弁護側の最終弁論などが行われ、結審する見込み。
検察側は3月に開かれた論告求刑公判で「安易で短絡的な判断で注意義務を怠り、女性を失血死させた」として、加藤被告に禁固1年、罰金10万円を求刑している。一方、加藤被告と弁護側はこれまでの公判で「癒着胎盤の予見は不可能で、手術にミスはなかった」などとして無罪を主張している。
m3.comに全く同じことを書きましたが、無罪判決が出るまで時間があります。
この間に、検察に控訴させないための、戦略を立てるべきだと思います。
弁護士さんにいわせると、「無罪判決がでて、控訴しない検察はいない」とのことです。
私の場合は、
2002年7月 起訴
2005年11月 無罪
2006年12月 控訴
2006年7月 検察 控訴趣意書提出
2006年10月 弁護側 控訴趣意書に対する答弁書提出
2007年1月 検察 証拠調請求書提出予定
2007年3月 検察 実際に証拠調請求書提出
2007年5月 弁護側 証拠調請求書に対し意見書提出
2007年6月 控訴審初公判
2007年7月 検察側証人1出廷 1回目
2007年9月 検察側証人1出廷 2回目
2007年11月 検察側証人1出廷 3回目
2008年1月 検察側証人1出廷 4回目
2008年3月 検察側証人2出廷 1回目
2008年5月 検察側証人2出廷 2回目
と起訴から約六年経過しています。
こんなバカな話は、私で最後にして欲しい。加藤先生にはこんな苦労させたくないです。
投稿情報: 紫色の顔の友達を助けたい | 2008年5 月17日 (土) 00:01
中原先生の過労死の時には「控訴しないで葉書」を送りました。
どのような手があるでしょうか?
福島県地方検察局がそれに当たりますか?
ご提案ありがとうございます。
具体的に策を練っていこうと思います。
(一般人にできることはごくわずかですが)
ありがとうございます!!!!
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月17日 (土) 00:34
内科医の私が、このようなコメントをするのは気が引けるのですが。
僻地の産科医先生は、すでにご覧になったかも知れませんので。
2004年にWHOが産科医療(妊娠と出産における死亡と合併)に関した150ページにものぼる提言をしています。
ここでも、妊娠や出産における母体死亡や重大な後遺症や合併症を検討し、将来に結びつけることで一番大事なのは、個々の情報を秘匿(匿名)して、処罰や刑罰を行わないことを前提とした検討が最も重要であると述べられています。
翻って、日本では大野病院事件のように当事者の医者に刑事罰を下すことしかしていない。
WHOの産科医療提言が出たのは2004年、大野病院事件の刑事事件化は2006年、日本ではWHOの提言が何の教訓にもなっていません。
WHOの産科医療への提言の骨子。
妊娠と出産で先進国では2800例の1例、発展途上国では16例に1例の、死亡がおきる。
その数を減らす、あるいは合併症を減らす為のアプローチが必要である。
このアプローチは、なんで死亡したか、後遺症や残ったかを、分析して検証することである。
アプローチの提言は医療専門職、医療政策の立案者むけのものである
出産による死亡あるいは重大な後遺症を減らす為の原因の文政のアプローチで重要なの、
そのアプローチの結果、処罰や刑罰を下してはならないとしています。
Beyond the Numbers
Reviewing maternal deaths and complications to make pregnancy safer
http://www.who.int/reproductive-health/publications/btn/text.pdf
A fundamental principle of these approaches is the importance of a confidential, usually anonymous, non-threatening environment in which to describe and analyse the factors leading to adverse maternal outcomes. Ensuring confidentiality leads to an openness in reporting which provides a more complete picture of the precise sequence of events.
Participants, including health care and community workers and family members, should be assured that the sole purpose is to learn from past tragedies and save lives in the future—not to apportion blame. These reviews seek only to identify failures in the health care system. They must never be used to provide the basis for litigation, management sanctions or blame.
These approaches can be used to review a range of aspects of health care, including structures, outcomes, or processes. In Beyond the numbers, we describe reviews of two specific health outcomes (maternal deaths and life-threatening complications or near misses) and one kind of process (clinical care). Reviews can be conducted at the community, health care facility, district or national level. Not all locations are best suited to reviewing all three types of issue. For example, reviewing clinical practice is only feasible at the facility level. It is unlikely to be possible to review severe complications at the community level because of the complexity of applying a standard and unambiguous definition of “near miss”. However, maternal deaths can be reviewed at any level.
これらのアプローチの根本的な原理で重要なのは、個別情報を通常は無記名で秘匿し、脅すような環境におかないことで、有害な妊娠中の結果に通じる要因を記載し、分析するにることである。秘匿を保証することが、有害事象の正確な因果関係を完全に描く報告の開放性に通じる。関わる人々、つまり医療に関わる専門職やその地域の労働者や家族のメンバーは、関わった医療従事者を処罰をすることでなく、過去の悲劇から学びとり、将来の命を救うことが、このアプローチの唯一の目的であることを確約すべきである。これらの(提言中の)レビューは、ヘルスケアシステムにおける不備な点を明らかにするためだけを求めている。アプローチの結果の報告を、裁判の証拠として提供してはならないし、制裁や処罰に決して使ってはならない。
これらのアプローチは、構造や結果やプロセスを含む広い範囲のヘルスケアを検討するために使われる。“In Beyond the numbers”の提言で、我々は母体の死亡と命を脅かす合併症あるいはニアミスといった二つの特定の結果と、臨床ケアといったプロセスの一種類の検討を記載する。検討は、地域やヘルスケア施設、地方や国家レベルで導かれる。これら、三つの問題(地域、医療施設、地方あるいは国家レベル)の検討は全ての場所に最もよく当てはまるわけではない。例えば、実際の臨床行為を検討することは、医療施設にだけ実行可能なものである。標準の医療行為を当てはまることの複雑さや、ニアミスのあいまいな定義のため、地域レベルでの重大な合併症を検討することは困難である。しかしながら、母体の死亡はどのレベルでも検討することはできる。
投稿情報: 鶴亀松五郎 | 2008年5 月18日 (日) 12:08
重大な情報をありがとうございますo(^-^)o ..。*♡
私はどちらかといいますと臨床オバカサンで、そのような条文があることさえ知りませんでした。
アメリカ医療の光と影に産科医療訴訟についての記事もあり、それで保険会社から「年間いくつ以上のお産をとってはならない」などの条件があって、お産難民が出ている例なども読み、どれをどう整理して記事を書こうかとおもっているところです。
とりあえず、また記事として上げさせていただきます。イギリスの分も上げさせていただきたいとはおもっているのですが、何分忙しく申し訳ありません。
産婦人科学会にとってもこのような情報は貴重ですので、幹部の方々に伝えさせていただきました。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月18日 (日) 13:39