(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
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また各学会情報もありますので参考までに→各学会の反応
医療維新
厚労省第三次試案を検証◆Vol.3
「鑑定機関」の設置こそが諸問題解決のカギ
井上清成(弁護士)
2008年05月13日 m3.com
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080513_2.html
1. 医療事故を巡る混乱要因
2008年5月8日付けのm3.comの一般医療ニュースに、「死因究明制度・第3次試案 日本内科学会は賛成を表明」(僻地の産科医注:そういった理念の組織を作るのは賛成だが、この試案はダメと書いてあるように読めます)という記事が掲載された。日本内科学会の永井良三理事長(東京大教授)が、「特に、医療関連死が医師法21条に基づく警察への届け出の対象にされるという最高裁判決や、警察捜査の前に医療者が主体となって各事案を評価判定する公的機関が設置されていないことが大きな問題とし、そのため警察側の鑑定結果次第では、業務上過失致死および医師法21条違反に基づいて医師の逮捕という事態を招いてきたと説明」し、「医師法21条の問題点や、これまで捜査前に医療者側が検証する場が存在しなかったという論点から議論」すべきだと指摘したらしい。正当な説明であり、指摘である。それこそ医療事故を巡る混乱要因であり、そこへ立ち返ることこそが重要だと思う。
2. 技術的弱点は医学用語でなく法律用語で貫徹されている
「論点が拡散しがちである」(永井教授の言)というので、根幹のみ述べたい。厚生労働省第三次試案の最大の技術的弱点は、医療者中心の専門的機関を指向しているにもかかわらず、そこで使われている用語が「医学用語」でなく、「法律用語」ばかりだということである。「重大な過失」「悪質」などは明らかに法的概念であるにもかかわらず、法的評価を行うものではなく、医学的評価や医学的判断を行うらしい。
また、最高裁判決により、医師法21条の「異状死」が診療関連死に拡大適用された際、医学用語をもってしては適切な定義付けができなかった。第三次試案が定める医療死亡事故の届出範囲は、「異状死」とほぼ同じである。その範囲は「誤った医療」や「行った医療に起因」という概念で定義付けられたが、前者は「過失」と同義であり、後者は「因果関係」と同義である。これらも法律用語にすぎない。
法律用語や法的概念への当てはめを、医療者中心の専門的機関で医学的判断をもって認定しようという構想は、それ自体が矛盾である。少なくとも現実的でない。あえてその矛盾を実施しようとすると、その認定はせいぜい一つの参考意見(刑事事件風に言えば、情状意見)という位置付けにすぎなくなってしまう。
3. 将来への悪影響は現行の「異状死」「業務上過失致死罪」を追認し恒久化してしまう
医師法21条の異状死届け出の最大の問題は、憲法38条の黙秘権保障の趣旨に反することであった。第三次試案の医療死亡事故の届け出は、異状死の届け出の法的体裁を変えただけにすぎず、最大の問題点は未解決のまま残っている。
また現状では、医療が刑法211条1項前段の「業務」上過失致死罪の対象となり、医療者はいつ何時か「犯罪者」となりかねない。医療死亡事故を自動車死亡事故と同様に、刑法上の「業務」として取り扱おうというのが、最大の問題である。第三次試案も、第二次試案と同じで、この問題点の解決に向けての展望がない。
たとえ試行といえども、第三次試案をそのまま実施することは、現行の「異状死の届け出≒医療死亡事故の届け出」や、医療死亡事故への「業務上過失致死罪」の適用を恒久化させることになる。医療界が皆で追認したものとみなされてしまいかねない。これら最大の問題点を追認し、恒久化させてしまうことは、将来に悪影響を残す恐れが強い。
4.混乱要因の真の理由は異状死届け出の急増に対する警察の鑑定体制の不備
現状で「警察が暴走してしまった」とされる真の理由は、医師法21条の解釈の変更に伴って急増した異状死の届け出を、安定的に振り分けて処理して対応する体制が整っていなかったことにあると思う。警察は、いわば過剰反応を起こしてしまったのである。ここで体制とは、鑑定のことを意味する。つまり、警察は不備な鑑定に頼らざるを得なかった。だからこそ暴走し、その一つの結果として、刑事裁判になっても無罪判決が続出したのである。その後の医療界の大同団結した反対もあり、警察は鑑定の重要性を十分に理解したらしい。さらに加えて、捜査に実質的に着手する前に、つまり、医師を容疑者と決めつけて事情聴取する前に、真の専門的な鑑定が必要だと悟ったと思う。実は、警察も真の専門的な鑑定を欲しているのであり、その点に限局すれば、医療界と思惑は一致している。
そうだとすれば、医療界のみで、きちんとした医学鑑定を行う公的な中立的第三者機関(正確に言えば、その機関は一つではなく複数でもよい)を作りさえすれば、最低限度の目標(医療事故を巡る混乱要因のみの除去)は達成できたはずであった。つまり、無用に長大な国家機関(医療安全調査委員会)を作らなくともよい。この鑑定機関も、公的な機関であれば十分であり、必ずしも国家機関である必要はない。
5. 結論
筆者は、私見では、医療固有の刑法の制定(過失犯免責、固有の医療行為規範での最低限の処罰)と医療固有の民法の制定(民事軽過失免責、普遍的な患者補償保険での患者救済)をもって、スウェーデンのように医療刑事訴訟と医療過誤民事訴訟を根絶やしにすべきだと思っている。また、医療界は自主独立の大同団結した連合体(または統一団体)を作り、自律的処分をはじめとした自律的運営をし、厚労省の行政処分権限を極小化すべきだと考えている。その上で、すべての国民のために医療安全への改善努力を続けてもらいたいと希望している。そうしてこそ初めて、医師の医療権も国民の医療権も共に実現できるのだろうと信じている。
しかしながら、国家的鑑定機関たる医療安全調査委員会を創設し、強制的情報収集システムを整備し、医療者への法的責任追及を追認・恒久化ないし拡大化しかねない厚労省第三次試案は、上記の願望の芽までつみ取ってしまう可能性がある。非常に心配している。
入院死亡者1万人減を・医療団体や学会が安全キャンペーン
医療事故の防止策や急変時の迅速な対応策を病院間で共有し、事故による死者の減少を目指すキャンペーン「医療安全全国共同行動」が17日、始まった。2年間の期間中に入院死亡者1万人減、患者にダメージを与える事故30万件減を目標にしている。
医療の質・安全学会が提唱し、賛同した日本病院団体協議会、日本医師会などの医療関係団体とともに「医療安全全国共同行動推進会議」を結成した。19日からホームページで登録を開始し、3000病院の参加を目指す。
キャンペーンの行動目標は(1)危険薬の誤投与防止(2)医療機器(輸液ポンプや人工呼吸器)の安全管理(3)急変時の迅速な対応――など八項目。参加する病院はこの中から取り組みたい目標を一つ以上選び、ホームページで登録する。期間中は毎月の入院死亡数や死亡率、改善状況などを報告する。(07:01)
NHKで繰り返し放送されたんですが、すごい違和感。
これって、つまり、今の医療が安全じゃないキャンペーンでしょうか?
事故調必要キャンペーンでしょうか。
だったら。大ボスである厚労省が、労働基準法違反しまくり状態で、医師を病院で働かせていることこそ、まず、改善すべきでしょう。
過労状態、過重積載で、事故を起こせば、
バス、トラックの運転手だけでなく、そういう働かせ方をさせた、会社や経営者が罰せられるんですから。
そういう原因にはほうかむりして、結果だけ,処罰するのは、おかしいです。
厚生「労働」省として、まず、やることは、やって欲しいですね。
投稿情報: 麻酔科医 | 2008年5 月18日 (日) 13:53
そういえば、そうですね~。
私はてっきり、「医者だって頑張ってるから、事故調は4次試案まで頑張ろう ..。*♡」
キャンペーンなのかとてっきり(笑)。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月18日 (日) 14:27
公立病院に勤めていると、病院の会議の席で言ったことの言葉尻をとらえられて、全然違うことを言ったようにされてしまうことがよくあります。
事務方や病院幹部(医師)はなんて頭が悪いんだろう、どうしてこんな解釈をするかと呆れた時期がありましたが、その後わざとやっていることがわかりました。
今回、功労賞も内科学会の声明文をちゃんと理解していてながら、わざと曲解した「内科学会は事故調に賛成である」という情報をマスコミに流したのでしょう。
言葉尻をとらえられないような声明文を作ることも大事だと思います。役人はその点上手です。このままでは産婦人科学会も第3次案に賛成したことにされてしまうと思います。
投稿情報: 内科医 | 2008年5 月18日 (日) 15:05
そうですね。
その点について、一度きちんと書かなければなりません。
あ、仕事増えた。ふらふら。(;;)。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月18日 (日) 16:03