(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
外科学会でいろいろな催しが開かれたという噂でしたので、
抄録集をいただいてきましたo(^-^)o ..。*♡
ちなみに外科学会の見解はこちらを参考にしてください!
あらあら、水面下ではそういうことになっているの?
という記事もあります。ぜひご一読を。
えっと。はっきり言ってひどい偏った人選ですo(^-^)o ..。*♡
古川俊治参議院議員は現医政局長の
慶応大学後輩にあたり、かなり事故調推進派の筆頭なんです。
特別企画(4) SP-4
医療関連死調査第三者事業の将来
5月16日(金)15:00~17:30 第16会場(ホテルニュー長崎鳳凰閣・西)
座長 二村 雄次 愛知県がんセンター
高本 真一 東京大学心臓外科
SP-4-1 日本外科学会の立場から
高本 眞一 東京大学心臓外科
SP-4-2 日本医師会の立場から
木下 勝之 日本医師会常任理事
SP-4-3 医療過誤における刑事司法の役割
飯田 英男 弁護士,元福岡高検検事長
SP-4-4 医療関連死調査第三者事業の将来 弁護士の立場から
児玉 安司 弁護士,東京大学大学院医学系研究科客員教授
SP-4-5 「医療安全調査委員会設置法」案に対する賛否と今後の課題
古川 俊治 慶應義塾大学外科,参議院議員
SP-4-6 「自律」と「信頼」のために
前村 聡 日本経済新聞社法務報道部
SP-4-7 厚生労働省の立場から
佐原 康之 厚生労働省医療安全推進室長
順番では佐原さんからしゃべられたようです。
厚生労働省の立場から
佐原 康之 厚生労働省医療安全推進室長
(抄録は略)
【参加された先生から】
古川先生と二村先生が、お金の問題に関しては、厚労省も頑張ってくれていて、彼ら(佐原 康之 厚生労働省医療安全推進室長が出席していた)をつるし上げても可哀想だ。次は財務省の官僚をここに呼んできてつるし上げよう、ってみんなの前でおっしゃっていました。
日本外科学会の立場から
東京大学心臓外科・呼吸器外科 高本 眞一
医師法21条によって異状死を24時間以内に警察に届け出なければならないという状況が現在の本邦の医療を崩壊へと導くものであるという認識は多くの医師に共有されている。その問題に対して日本外科学会は医学会のなかでももっとも早く問題意識を持ち、その中核となって対応してきた。まづ、平成13年の日本外科学会声明により医療事故報告制度の第3者機関の創設が提案され、その後平成16年の4学会声明、19学会声明へと進み、平成17年からの厚労省のモデル事業へと受け継がれてきた。一応の成果を見たモデル事業の制度化に向けて 平成19年4月に発足した「診療行為に関連した死亡に係る原因究明等の在り方に関する検討会」も13回も会合を重ね、平成20年4月に第3次試案として「医療安全調査委員会」の創設が提案されてきている。
この「医療安全調査委員会」は医療安全のために医療事故の原因究明、再発防止に主眼を置いているもので、個々の事例の責任者を処罰するのが目的ではない。しかし、医療安全を推進していくためには、システムエラーが明らかになれば、個々の施設に対しての行政指導もありうるし、個々の事例において原因究明のなかで関係者の責任が明らかになれば、再教育を中心とした行政処分、学会での処分も考慮に入れなければならないと考えられる。故意あるいは重大な過失、悪質な事例など刑事処分に相当するものも僅かながら存在することも事実であることも認識しなければならない。重大な過失というのは標準的な医療から大きく離れたものを指すもので、結果から判断されるものではない。しかも、それを判断するのは警察や検察ではなく、医療者が8割を占めるこの委員会の役割になっている。すなわち、我々医療者が自律的活動として安全安心なよりよい医療を求める運動をこの「医療安全調査委員会」として行っていくことが求められている。
「医療安全調査委員会」の創設で大切なことはこの事業を通じて国民から透明性のある公正な医療への信頼を回復することであり、また、我々が現在置かれている医師法21条の法律改正をして、安心して良質な医療ができる体制を作ることである。
「医療安全調査委員会」が設立されるまでには細かな仕組みや現実的な対応などまだまだ検討するところはあるが、「医療安全調査委員会」の設立の精神を守り、国民と医療者がともに納得する安全、良質な医療体制を作らなければならない。
日本医師会の立場から
木下 勝之 日本医師会常任理事
本文
現在の、医師法21条による警察への届出に始る診療関連死の刑事訴追への誤った仕組みは、新しい死因究明制度の法制化を果たさねば、変わることはないのです。
具体的には、
1.診療関連死が発生すると、医師法第21条により警察に届出ることとなり、医師を刑事事件の被疑者として、捜査が開始される。
2.捜査の過程で、医療の専門家の意見を聞く仕組みはない。
3.捜査は、個人の責任追及の目的で行われ、医療の質・安全の向上には役立たない。
4.医療事故の場合、行政処分ではなく、最終手段としての刑事処分がいきなり発動される仕組みとなっている。
5.結果として、医療への刑事介入が過剰となっており、我々医師が安心して医療を提供できる環境にないのです。
そのための新しい死因究明制度の在り方を、医療界は、日本医師会、日本外科学会、日本医学会、四病院協会から各代表を送り、遺族、弁護士、マスメデイア、刑法学者、法務省、警察庁そして厚労省と共に、真剣に、時間をかけて検討してきました。
その結果、以下のような改革の方向性が明らかとなりました。
具体的には、(1)医師法第21条に基づいて警察に届け出るのではなく、第三者機関としての医療安全調査委員会(仮称)に届け出る。このため、医師法第21条を改正する。(2)医療安全調査委員会(仮称)は、警察官・検察官ではなく、医療の専門家を中心に組織する。(3)この調査委員会は、責任追及の観点ではなく、原因究明・再発防止の観点からの調査を行い、明日の医療の質・安全の向上に役立つ議論を行う。(4)医療の内容に問題がある場合であっても、個人の責任追及を目的とした刑事処分がいきなり発動される仕組みではなく、医療安全のための行政処分がまず適用される。(5)行政処分については、病院のシステムエラーの改善指導や、個人に対しても、免許の停止などではなく再教育を中心とした医療の質・安全の向上を目指したものに重点を移す。(6)刑事手続にあたっては、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に対象を限定する。また、捜査当局は、捜査及び処分にあたっては、医療の専門家を中心に組織される医療安全調査委員会の判断を尊重し、その通知の有無を踏まえて対応する。(7)捜査機関へ通知すべき「重大な過失」かどうかの判断は、刑事司法の専門家ではなく、我々医療の専門家に任される。
このような趣旨を踏まえて、厚労相は法務省と警察庁と協議を重ね、この4月に、第三次試案を発表する予定になっています。
この試案に基づき、国民的同意のもとで、医療界からの委員を中心とした医療安全調査委員会の設置法案を今国会で成立させて、初めて、今日の診療関連死に対する刑事訴追重視の流れを大きく変えることが、可能になるのです。
【参加された先生から】
ほぼこの通りに喋っていました。第三次試案が発表される前の抄録ですので、第三次試案の内容が含まれていませんが、これまでに木下理事がよそで何度も喋っているように、第三次試案では事故調を必ず先に入らせ,警察は動かないという厚労省と法務省刑事局との間で覚え書きを交わしている、という嘘八百をまだ喋ってました。 正直,新しい材料はナシ.
「医療安全調査委員会設置法」案に対する賛否と今後の課題
慶應義塾大学外科,参議院議員 古川 俊治
2008年2月現在、第169通常国会において、「医療安全調査委員会設置法」(以下「本法」という。)案は提出検討中の法案とされており、他の厚生労働関係の内閣提出法案が提出予定とされているのと異なる扱いとなっている。2007年11月の厚生労働省第2次試案に対して、一部の医療関係者から、医療過誤に関する医療従事者の完全な刑事免責、調査委員会からの医療関係者以外の除外、調査委員会の行政庁からの完全な独立等を求めて反対意見が出されていること等から、医療界での議論の深まりを待つ趣旨である。立法技術上は、本法案を内閣提出とするか、議員立法とするかの選択があり得るが、臨床実務における死因究明制度の立場を超えた重要性から考えると、本来は与野党合意の上での委員長提案による議員立法の形をとるのが望ましいと考える。
法案作成の必要的過程である与党審査においては、コンセンサス方式により、各議員が代表する多様な利益状況が包括的に統合される。国民の大多数は医療の受けてである患者であり、他の専門職との均衡や制度の社会的な信頼性、公務員削減政策との整合性等などの観点を欠くと賛同を得難い。もともと第三者事業の端緒となった2004年9月の19学会共同声明でも、死因究明制度の趣旨として医療の透明性確保と信頼される医療の構築が宣言されていた。法案では、1.制度目的は医療関係者の責任追及ではなく、原因究明・再発防止にあること2.調査委員会への届出と医師法21条に基づく届出は重複しないこと3.行政処分は限られた事案について、個人の処分ではなく、システムエラーの改善や教育に重点を置いてなされること4.刑事事件の対象とされるのは故意・重過失等の悪質な事案に限られることなど、医療界の意見に相当程度配慮したものとなっている。また、法案が成立しても、届出対象等に関する具体的基準作りや各ブロックの委員会の委員の選任など、実際に運用するまでにはかなりの準備期間を要する見込みであり、その作業自体、第三者事業同様、医療界の全面的協力が必要である。むしろ、法案を早期に成立させ、医師法21条に係る混乱を収拾し、医療界のイニシアティヴで新体制を整えて実質的に職域の自浄制度として運用していくことが、医療界の国民に対する責任であり、医療の信頼を回復し医療への投資についての国民的合意を形成する好機であると積極的に考えることはできないだろうか。
【参加された先生から】
事故調の前に(遺族が告訴すると)警察が出てくるのを止めるのは制度上担保されていない。ただ、大臣の国会答弁は記録され、法の解釈論として拘束力を持つので、法案審議の段階で法務大臣を引っ張り出して「警察より先に事故調を入らせるという運用を行っていく」という答弁を引き出す予定で、与党内もこの方向性で意見の集約ができつつある。この答弁を引き出すことが重要なので、ここを重視してやっていく。 とおっしゃっていたそうです。(答弁じゃダメです。悪いけど)
抄録の時と国会内の情勢が変化しているせいなのか、抄録本文とはかなり違うことを言っていて、第三次試案は内閣提出法案になるようです。また、「医療界での議論の深まりを待つ趣旨」の話はなく、逆に、もう時間がない、というのを強調されていました。政権交代がありうるので、それまでに間に合わせないといけないということのようです。で、今国会での成立は日程的にもうほぼ無理で、秋の国会での成立を目指しているようです。あと、前にも書きましたが、ここまで患者側から譲歩を引き出したが、これ以上は難しく、この状況下で医療側が圧倒的に悪い医療事故が偶発的に起きてしまったりすると、この譲歩がフイになってしまう可能性が高く、急がなければならない、というのも言ってました。
で、あと強調していた話は、事故調が調査して、故意・重過失が刑事相当として警察に回る仕組みになっているが、この重過失の判断は我々と同じベースの医療界が行うので安心して欲しい、ということでした。
医療過誤における刑事司法の役割
奥野総合法律事務所 飯田 英男
(僻地の産科医註;第三回検討会に出ていた方です。
その時の資料と発言です。
傍聴記 死因究明検討会3
(1)http://lohasmedical.jp/blog/2007/06/post_690.php
(2)http://lohasmedical.jp/blog/2007/06/post_695.php
資料 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0608-4c.pdf )
1 刑事医療過誤事件は、最近増加したとはいえ年間15件程度が起訴されいるにすぎず、これが医療崩壊の原因であるとする主張には根拠がなく、刑事処分の存在が萎縮医療や診療放棄を招いているとの主張は、刑事医療過誤事件の実態を無視したものである。
< BR > 刑事医療過誤事件の内容を検討すれば明らかなように、無謀な事故や未熟による事故、重大な過失による事故などが発生していることは事実であり、このような医療過誤に対して刑事罰を科すことは、刑事責任の目的に照らして相当ということができる。
2 医療は社会的にも有用であり、これに対して刑罰を多用することが有害であることは言うまでもない。しかし、無謀や未熟による事故、重大な過失による事故などはあってはならないことであり、社会的正義の観点からこれを放置することは許されない。刑事医療過誤の対象とする事件は、このような社会的に看過できない過誤であり、医療が社会的に有用であるからといって、このような過誤を刑事処分の適用外とすることは法的な整合性を欠くことになり、到底国民の納得を得ることはできないであろう。
3 刑事処分と医療安全対策は、その目的や方法論を異にするものではあるが、両者は互いに排斥する対立関係にあるのではなく、真相究明と再発防止を目指して互いに協力する関係にあるものと考える。医療関連死の死因究明をめぐる第三者機関の設立は、患者側が最も望んできた医療事故の原因究明を医療者が自らの責任で行おうととするものであり、これが定着すれば、現在危機に瀕している医療者と患者間の信頼関係を回復するためにも極めて有用であり、医療過誤訴訟の減少にも効果があると考える。
< BR > 第三者機関が有効に機能するには、組織の中立性、公正性、透明性の確保が不可欠であり、そのためには、患者側代表者の参加と情報の公開(調査報告書の公開と活用)が必要である。また、医療事故の届出の義務化は医療事故の隠蔽を抑止し、患者側の信頼を確保するためには不可欠であり、また、医療機関の院内調査を充実・強化することは、医療機関の自浄作用と責任体制の確立のためにも必要であると考える。
【参加された先生から】
飯田弁護士は検察の立場を代弁して~と前置きしていました。 ほぼこの通りに喋っていました。全体として、「医療従事者は刑事責任追求の放棄を求めているが、とんでもない。そのような特権を(やたら特権という言葉を多用してました)医療従事者に与えるのは国民の理解を得られることではないし、我々法律家としても受け入れられない」というのを強調してました。
モデル事業の経験から
三宅坂総合法律事務所 児玉 安司
本文
モデル事業(診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業)は、平成13年4月に日本外科学会等が提唱した「公的な中立的機関」の設立に向けて、医療関係者の献身的な努力と法曹の協力により、診療行為に関連した死亡について、診療経過の評価の経験を積み重ねてきた。その経験の中で、とりわけ今後の教訓となるのは、専門家が一般社会に向けて発信する「ことば」の重要性である。
1)評価を語る「ことば」
医療専門職が診療経過の評価を行うとき、どのようなことばで表現するべきか。高い専門性が必要となるとともに、市民やメディア、さらには裁判官などの司法手続に携わる者を含めた一般社会に向けて、わかりやすいメッセージを発することが必要である。「医療の現場で常に後悔と反省を繰り返しつつ診療に携わっている」誠実な医療専門家には、それぞれの診療経過が「誰にでもまた何時でも起こりうる」ことかどうか、明快かつ率直に語ることが期待されている(引用部分は日本産科婦人科学会の「見解と要望」より)。
2)制度を拓く「ことば」
1994(平成6)年の法医学会「異状死」ガイドラインでは、「診療行為に関連した予期しない死亡、及びその疑いがあるもの」を医師法21条に基づく警察届出の対象とした。これに対して、2001(平成13)年の日本外科学会声明では、「診療行為に関連した『異状死』とは、あくまでも診療行為の合併症としては合理的な説明ができない『予期しない死亡、およびその疑いがあるもの』をいうのであり、診療行為の合併症として予期される死亡は「異状死」には含まれないことを、ここに確認する。」と明記された。医療法施行規則9条の23が定める医療機能評価機構への報告制度を経て現在に至る経過の中で、医療安全調査委員会の設置をめぐって、改めて「予期しない」と「予期される」の区別が議論されるに至っている。新しい制度を拓くにあたって、医療専門家の思いを伝えるための「ことば」が求められている。
3)信頼を築く「ことば」
医療における信頼関係を築いていくためには、医療専門家と患者、さらには一般市民との対話がきわめて重要である。それは、決して一方の沈黙を強いる偏頗なものであってはならず、事実を直視した上で、人間の尊厳と誇りを互いに尊重してこそ、信頼を築く「ことば」が生まれてくる。モデル事業や患者相談など、医療界のこの10年にわたる経験の蓄積を踏まえ、信頼関係の再構築に向けて、一歩前に進む対話のあり方が問われている。
【出席された先生から】
まず,10年にわたってモデル事業に関与してきたが,飯田弁護士の話を聞くと,今までやってきたことはなんだったのだろうかという徒労感を覚える,という話から始まりました。
基本的にこの医療事故調の設立は外科学会が2001年の日本外科学会声明以来、外科学会としての悲願であるということは話されていましたが、自身がモデル事業に関わっておられる割には、この医療事故調が出来ればこの医療事故にまつわる医師と患者の軋轢が大方解決すると期待させるような話は全くなく、モデル事業はモデル事業で様々な問題が表面化したのであろうことが言外に窺い知れました。
「医療事故調」はなぜ必要か ~10年の経緯から
日本経済新聞 前村聡
なぜ「医療事故調査委員会」が必要なのか。ここ10年間の医療事故を巡る動きを取材してきた記者として解答は明快である。「直ちに医師法21条の改正ができない現状があるから」だ。これまでの経緯を振り返りたい。発端は1999年2月に起きた都立広尾病院事件だ。同事件では、過失責任が問われかねない医療事故について、同条に基づく「異状死の警察への届け出義務」が「何人も自己に不利益な供述を強要されない」という憲法38条1項違反かどうかが争点になった。
最高裁は2004年4月、「業務上過失致死等の罪責を問われるおそれがある場合にも、届け出義務を負うとすることは、憲法違反ではない」と結論づけた。この判決で当初は殺人や傷害致死など犯罪の可能性があることを想定して医師の警察への「協力」のはずだった条文が、交通事故の届け出義務と事実上同じ扱いということが確定したのだ。最高裁は憲法解釈の権限を与えられており、一度下した判断は容易には覆らない。
そうならば、医師法21条の改正は可能か。医療紛争の増加で不幸にも一部の医療者と患者の間に根強い不信感が渦巻いている中、国民的な合意に達しないのが現実だ。この現状認識を共有できないと、全く議論にならない。
事故調を巡る議論では「拙速だ」などという指摘もある。だが、決してそうではない。都立広尾病院事件が起きた1999年以降の議論という10年近い過程で、医療者も加わって考え抜いた一つの結論という視点を忘れてはいけないと思う。
今、どのような視点で考えるべきなのだろうか。そのキーワードは「専門家の自律」だ。現状は、司法解剖に基づく警察の捜査によって、医師法によって認められた医療行為が刑法の業務上過失致死傷罪になるかどうかの判断されている。医療者も鑑定書という形で意見は反映されているが、医療行為が妥当かどうかの判断は単一ではない。被疑者、被告となった医療者側から全く異なる見解の鑑定書が提出され、司法の場で裁判官がどちらの判断に妥当性があるかを結論づけている。しかし、医療者と患者側の紛争解決ということ面での問題点だけでなく、「何が起きたのか」という事実関係の解明という点でも限界が露呈しているのは周知のところだ。
司法が医療の是非を判断している現状は医療者、患者、そして司法にも不幸な状況だ。いまこそ、医療者の自律に向け、医療者と患者の信頼回復につながる議論を期待したい。
【参加された先生から】
なんかいろいろぼそぼそ喋っていましたが,要領を得ず・・・.たいした話はしていませんでした。
いつも情報ありがとうございます.
拙ブログの引用もありがとうございました.
私もこの特別企画には出席しており,確かにこのような話になっていました.
以下,別のところから入手した話です.
14日の評議員会では”厚生労働省の第3次試案に対し、外科学会としては賛成の返事をした。他の 5学会が反対しているが説得する”と高橋眞一理事が述べたそうです.
外科学会評議員である某先生から質問があり、「福島県大野病院の件は病院内の委員会の調査資料がそのまま裁判に使われた、この案でも同じになるのではない か、また欧米では医療事故が刑事事件になることがあるのか、外科学会の顧問弁護士に答えてほしい」と。
弁護士は刑事事件になることもまれにはあるとの返事。
質問に立った先生が、国会での答弁で「法務省も、警察庁も、厚生省の出した案に対しては何も約束はしておらず、委員会の調査のデータを刑事、民事の捜査に使うし、調査中は逮捕をひかえることもしないことになる」といわれている。欧米のようによきサマリア人の法といった慣習法が、刑事訴訟法の上位にあり、医療事故で医師が逮捕されることはない、この際日本でもそうした慣習法を盛り込むよう主張すべきであると言ったそうです.
弁護士が話し、壇上の高本理事が色々言い訳を言われましたが、時間切れで逃げられました。その後つづいて行われた懇親会の席で驚くべきことに、20人以上の評議員が質問した先生のところへいき、よく言ってくれた、自分も同じ考えであると言っていたそうです.
さらに奇妙なことに、外科学会会長の長崎大学教授の兼松先生も同じことを仰いました。こんなにみんなが疑問を持っている法案に外科学会の理事会が満場一致で決めたというのは何なんでしょうか。どうも首を傾げるばかりです。
投稿情報: 田舎の一般外科医 | 2008年5 月19日 (月) 14:57
田舎の一般外科医先生、
詳細なる情報、ありがとうございます。
今日のJapan Medicine mailにも
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日本外科学会、3次試案への賛成を決定
日本外科学会は16日、長崎市内で記者会見し、厚生労働省の死因究明・再発防止に関する第3次試案に賛成する声明を発表した。会見で兼松隆之会長(長崎大教授)と高本眞一・医療安全管理委員長(東京大教授)は、3次試案に示された「医療安全調査委員会の設立」の精神を支持し、委員会の設立に協力を惜しまないとの見解を示した。
同学会は、理事会で3次試案に対する賛成支持を表明していた。14日の総会・代議員会で代議員281人に対して最終確認を行った結果、反対は18人のみで、圧倒的多数の賛成で3次試案を支持する方向を確認した。外科系学会では、日本麻酔科学会、日本救急医学会、日本消化器外科学会が3次試案に反対しているが、高本委員長は「日本消化器外科学会については、試案に対する誤解もあるようだ」とし、今後、同学会との協議によって理解を深めたいと述べた。
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とありました。
なんなんでしょうね~。そもそも面子取り合わせ自体に、厚生省の手が入っているニオイがぷんぷんするのですけれど。。。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月19日 (月) 15:12
このセッションを聞いてきました。外科学会はモデル事業の頃から推進はだったようで代議員の九割は賛成したとのこと。ただしフロアからも
この試案では警察検察の謙抑性が担保されていないと言う懸念の声はありました。木下理事と言い佐原氏といい人選がちょっとねぇ、と思いました。
投稿情報: 元外科医 | 2008年5 月19日 (月) 16:51
自分も外科医の端くれとしてパブコメ書きましたが、事故調自体は必要としても、第3次試案じゃまともに動くとは思えない、所期の目的の達成も覚束無いと改善すべき点を中心に書きました。
両手を挙げて歓迎というレベルのシロモノではないでしょう。
いずれ、何に対して拍手していたのか気づく日が来ても、そのときはもう遅いのですがね。
投稿情報: rijin | 2008年5 月19日 (月) 17:20
外科希望でしたが、学会に失望しました。
外科医志望がどんどん減ると思います。
投稿情報: 学生 | 2008年5 月19日 (月) 18:18
外科学会、胸部外科学会会員です。高本氏は心臓外科の世界では全く相手にされてません。外科医の代表を名乗るのも違和感があります。外科学会の組織は間接代表制度のため個々の会員は活動県の評議員の選挙権以外なんの決定権もありません。今回は全会員のネット投票をやってほしかった。今回の件で脱会を決意しました。
投稿情報: inakagekai | 2008年5 月20日 (火) 17:09