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(投稿:by 僻地の産科医)
おはようございますo(^-^)o..。*♡
本日のニュースです!
医療事故調の議論が盛んになってきました(>▽<)!!!
内科系入院受け入れ中止 東近江の国立滋賀病院
読売新聞 2008年2月22日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20080221-OYT8T00611.htm
4月から医師8人中6人退職
東近江市五智町の国立病院機構滋賀病院(朝山純院長、220床)が、医師不足により4月1日から内科系の入院患者の受け入れを中止することがわかった。24時間体制で患者を診察する「救急告示病院」の認定も辞退する方針で、今後、東近江圏域の救急医療に影響を与えそうだ。
病院によると、内科・呼吸器科・循環器科の内科系に所属する医師8人のうち6人が3月末で退職することになり、朝山院長と東秋弘副院長だけになるため、十分な医療を施すことができないと判断。4月以降の入院の受け入れを中止することにした。
病院には現在、約130人の入院患者がおり、このうち内科系は約30人。3月からは、外来で長期入院が必要な患者にはほかの病院を紹介し、入院中で4月以降も引き続き入院が必要な人には転院してもらうが、転院が困難な場合、朝山院長らが診察できる範囲で継続してもらう方針という。西村良広・事務部長は「医師確保に全力を挙げているが、現状は厳しい。地域医療を支えるため、できるだけ早く内科系の入院受け入れを再開させたい」と話している。
県立島原病院:医師不足で呼吸器内科休診へ /長崎
毎日新聞 2008年2月21日
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20080221ddlk42040031000c.html
県立島原病院(島原市)の呼吸器内科が3月22日で休診することになった。医師を派遣している長崎大医学部の人員不足が理由。患者団体は早期の再派遣を求める署名を始めたが、再開のめどは立っていない。島原病院によると、今月5日に書面で通知があった。呼吸器内科は02年の開院以来、医師2人体制だったが、一昨年からは1人になっていた。呼吸器内科には外来で年間延べ約2600人、入院で約7250人(06年度)の患者が利用した。
派遣元の長崎大学医学部第二内科医局によると、同医局への入局者は89年ごろには25人いたのがここ数年は10人程度。「若い医師のなり手が減っている。何とかしたいが、医師一人当たりの負担を軽らすために特定の病院に医師を集めざるを得なかった」と説明する。
一昨年、昨年と肺がん手術を受けた雲仙市吾妻町の黒田克明さん(68)は「島原半島の医療を守る会」を発足させ、再派遣を求める署名を始めた。「島原病院がなくなれば長崎や諫早、大村市まで行かなくてはならず、公共交通機関の便が悪い島原半島の患者は非常にしわ寄せが大きい」と訴える。
小児科診療取りやめへ 加古川夜間急病センター
神戸新聞 2008年2月21日
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0000845387.shtml
加古川市は二十一日、「加古川夜間急病センター」(同市米田町)で受け付けている深夜から明け方の小児科診療について、三月末で午前零時-六時の診療を取りやめることを明らかにした。地元小児科医と神戸大学医学部の医師が協力して担ってきたが、地元医の高齢化などで維持が難しくなったため。県内で現在、同様の小児科診療を実施しているのは姫路、尼崎、加古川市の三カ所だけ。夜間診療は加古川、高砂市、稲美、播磨町と加古川市加古郡医師会、高砂市医師会でつくる財団法人「東播臨海救急医療協会」が運営。午後九時-午前六時まで、小児科と内科の診療を行っている。小児科診療は四月から、午後九時から午前零時までとなる。
現在、一週間のうち、四日間を神戸大学医学部、三日間を地元小児科医が担当。地元開業医の受け持ち分は年間で百五十六日となるが、医師が十八人しかおらず、一人当たり六週間に一回の宿直勤務をこなしている。しかし、四人が六十五歳以上で、日常の勤務が難しくなっているという。加古川市は「午前零時までの時間帯にできるだけ利用してほしい」としている。
共立湊病院、3年間運営継続も 下田移転が条件
静岡新聞 2008年2月22日
http://www.shizushin.com/local_social/20080222000000000010.htm
医師確保で奨学金制度新設/大分
NHK 2008年2月21日
http://www.nhk.or.jp/oita/lnews/02.html
中津市は深刻な医師不足への対策として市が運営する病院や診療所に勤務することを条件に医学部の学生などを対象にした奨学金の制度を新年度から設けることになりました。
中津市では、市が運営する中津市民病院の医師が足りず、産科が休診しているほか内科も6人いた医師が半分の3人に減っています。このため、市では全国の大学の医学部生などを対象に市が運営する病院や診療所に勤務することを条件にした奨学金の制度を設けることになりました。
対象になるのは全国の大学の医学部に在籍している4年から6年の学生と大学院生、それに臨床研修医で、募集人員は2人です。
金額は月に15万円で、貸し付けの期間は最長7年間です。
貸し付けを受けた期間と同じ期間だけ中津市が運営する中津市民病院か3つの診療所のどこかに勤務すれば返済は免除されます。
また、5年と6年の学生については月額15万円の奨学金のほかに希望者には修学一時金として1000万円が無利子で貸し付けられます。
中津市では今月28日に開会する定例市議会に議案を提出し、可決されれば4月から募集を始めます。医師の確保を目的とした奨学金制度は大分県が今年度から設けていますが、県内の市町村が単独で設けるのは中津市が初めてです。
出産受け入れ再開へ 近江八幡市立総合医療センター
京都新聞 2008年2月22日
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008022100201&genre=O1&area=S20
今年1月から出産ができなくなっていた滋賀県近江八幡市土田町の市立総合医療センターが、4月から常勤医師、非常勤医師各1人を雇用し、同月から6月以降の出産予約を再開することが21日分かった。
同医療センターの産婦人科は、昨年7月に常勤医師が辞めるなどし、昨年6月末に、今年1月以降の出産の予約を停止していた。 現在いる常勤医師2人に4月から常勤1人、非常勤1人の医師が加わり4人体制となるため、1カ月30件を上限に6月からの出産を受け入れることにした。
同医療センターの医師充実を求める署名運動などを繰り広げてきた同市の市民団体「地域医療を守る近江八幡市民の会」の伊地知久凱事務局長は「市の努力がみられるが、まだ非常勤医師もいて不安定な部分があり、引き続き注視していきたい」と話している。
阪南市立病院が内科診療再開へ
MSN産経ニュース 2008年2月22日
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/osaka/080222/osk0802220301002-n1.htm
医療機関もサテライト老健OKに
キャリアブレイン 2008年2月21日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14655.html
島原病院呼吸器内科の休診回避へ署名 患者ら長崎大に医師派遣要望
長崎新聞 2008年2月21日
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20080221/05.shtml
医師不足解消へ支度金500万 高島市導入へ 公立病院で県内初
京都新聞 2008年2月21日
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008022100071&genre=O1&area=S20
都が勤務医の環境整備で新規事業
キャリアブレイン 2008年2月21日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14653.html
5月、県医大病院に-総合周産期医療センター
奈良新聞 2008年2月21日
http://www.nara-np.co.jp/n_soc/080221/soc080221a.shtml
上山田病院診療継続に6000万円を計上 千曲市
信濃毎日新聞 2008年2月21日
http://www.shinmai.co.jp/news/20080221/KT080220ATI090007000022.htm
病院会計への繰り出し金 過去最高19億円に 沼津
静岡新聞 2008年2月21日
http://www.shizushin.com/local_east/20080221000000000037.htm
姫川病院訴訟、被告側は争う
新潟日報 2008年2月21日
http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=108345
経営破たんした糸魚川市の糸魚川医療生活協同組合姫川病院が組合債を販売する際、危機的な経営状態を説明しなかったとして「姫川病院債権者の会」(川原貞治代表)が、同病院の経営陣らに対し、総額約5億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、地裁高田支部で開かれた。被告側は請求棄却を求める答弁書を提出、争う構えを見せた。口頭弁論では原告団の川原代表が「高齢の債権者が元気なうちに真実を明らかにし、解決してほしい」と意見を述べた。被告側は、請求内容についての認否は留保。代理人の一人は「原告側の詳細な主張が出てから、争点を整理して答弁したい」と話した。
訴状によると、同病院は開設当初から赤字体質が続き、資金繰りのため組合債を発行したが、経営陣らは募集の際、購入者に経営の厳しさを告げず、健全であると説明、詐欺行為があったとしている。
厚労省:医療機関に改善命令 死亡事故で法改正へ
毎日新聞 2008年2月21日
http://mainichi.jp/select/science/news/20080221k0000e010079000c.html
重大なミスなどで患者を死亡させた医療機関に対し、行政が業務改善命令を出す制度の創設を、厚生労働省が検討していることが分かった。医療事故に対する行政処分は、これまで刑事罰を受けた医師個人にしか実質的に行われておらず、厚労省は「医療機関全体の安全体制をチェックすることで、システムエラーの改善につながる」と期待する。今国会で必要な医療法改正を目指す。
過失による医療死亡事故が起きた場合、現行では行政が医療機関の責任を追及することはなく、医師個人への医業停止処分なども刑事事件化されたケースにほぼ限られている。しかし「個人の処分だけでは、複合的な要因で起きる事故に対応できない」との指摘もあり、厚労省は再発防止を主眼に行政処分の見直しを急いでいた。
新設する業務改善命令は、10年度にも発足する死因究明の第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」と連動。調査の結果、▽故意や重大な過失▽事故の繰り返し▽カルテの改ざん--などが判明した場合、国か自治体が安全確保の計画書と再発防止策を出させる制度を想定している。命令に従わない場合は、管理者の変更や施設閉鎖を命じる。また、医師個人に対しても、調査委で重大な過失などが認定されれば、刑事処分を待たずに処分する方針だ。
本当に患者のための運用を 医療事故調に公平判断を求める
MSN産経ニュース 2008年2月22日
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080222/bdy0802220300001-n1.htm
≪ミスによる死の見極め≫
医療事故を調査する専門の第三者機関として、医療事故調査委員会の設立を厚生労働省が進めている。政府・与党の合意を得て、平成22年までにスタートさせるとのことだ。確かに、この手の調査機関がないために、医療ミスの判断は困難だ。家族が医療に伴う納得のいかない死に方をした際に、それを医療ミスかどうか判断してもらうことも難しい。セコンド・オピニオンを得ることや、訴訟の際に証言を与えてくれる医師はまだまだ少ない。
逆に、医療行為は、100%の成功を保証するものではない。患者側が医療ミスと思っていても、実際は、ある確率で起こり得る死亡や障害であることも珍しくはない。簡単な手術でさえ、やはり危険は伴うのだ。そういうことを公平に判断してくれる機関の存在は望まれるが、今回の第三者機関については、いくつかの点で問題があるといわざるを得ない。
最大の問題点は、この調査結果が、刑事処罰を前提にしたものであるということだ。
原案では、死因がはっきりしない診療関連死について届け出が義務付けられ、それを怠った場合は罰則が課せられる。その調査の結果、故意や重大な過失だった場合は、事故調から警察に通報することになっている。ところが、この「死因がはっきりしない」という判断が意外に困難だ。患者さんの体力や体質によって、簡単な手術とされるものでも、予想外の急変もあり得る。また患者さんの側で納得の上で、難度の高い手術を行うこともあるだろう。しかし、こういう際に、不幸にして患者さんが亡くなった場合、罰則をおそれて全例、事故調に報告することになり得る。
≪立件数増加につながる?≫
実は、さまざまな医療ミス事件の報道があったことを契機に平成12年に厚生省が、このような診療関連死を警察に届け出るように指導を行った。それによって医療者から警察への届け出が急増したのだが、それに伴って刑事立件が急増した。平成17年についてみると、届け出177件に対して、91件が刑事立件されている。
事故調ができるとさらに届け出が増え、立件が増えることを恐れる医療関係者は少なくない。福島県の大野病院で、難しい前置胎盤のお産がうまくいかず、妊婦が死亡した事件で医師が逮捕されたのをきっかけに、中小病院の産科医がその後の不安から一斉に引き上げ、お産ができない病院が急増した。
このため、最近は検察も送検されたケースを起訴しないことが増えているのだが、事故調にお墨付きが与えられた場合は、起訴ケースは増えるだろう。医療訴訟の多いとされるアメリカでも、民事訴訟は盛んに行われていても、傷害や死亡が故意のものでなければ刑事処分は、原則的にない。刑事罰は、萎縮(いしゅく)医療を誘発するだけで、民事できちんと賠償したほうが患者さんの側のメリットも大きいはずだ。
≪現場を萎縮させない法は≫
また、この事故調案が出てから、臨床研究まで萎縮することになった。東大医科研の上昌広准教授の報告では、2007年から日本における副作用や合併症の症例報告が激減している。自分がかかわったことを告白してやぶへびになりたくないという医師の心理が働いているのだろう。原因究明のために作るというが逆効果なのである。
もう一つの大きな問題はマンパワーの問題だ。
医療ミスの鑑定は、やはり有能な医師の存在なしには成り立たない。診療関連死を全例ということであれば、相当な数で、しかも専従者が必要だ。そうでなくても医師不足が問題になっている地方で、このようなことが可能なのだろうか?一方で、スタッフ不足の中、いい加減な鑑定機関になるのであれば、現場の医師を不安にするだけの、厚生労働省の単なる天下り機関になるだけだ。
逮捕と隣り合わせのこのような機関ができれば、若くて技量のない伸び盛りの医師も不安で腕を磨くための手術などはできなくなるし、手術死の可能性のある難度の高い医療行為は避けられるようになり得る。
今、必要なのは、医療行為の結果に納得のいかない患者さんや家族のための調査機関だ。すべてのケースでなく、納得のいかないケースだけになれば、マンパワーも多くは必要ないし、病院側も機関に送られる前に誠実な対応をするだろう。現実に、医療ミス問題が注目されるようになって、病院側の対応がよくなったためか、被害関係者からの届け出は減っている。厚生労働省のごり押しでない、現実的な調査機関の設立を望みたい。
医療維新 レポート
混迷する“医療事故調”の行方◆Vol.8
「内視鏡による穿孔で死亡」は届け出対象か
届け出の範囲を例示、行政処分のあり方も議論
2008年2月21日
橋本佳子(m3.com編集長)
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080221_2.html
[写真]第12回「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の委員席。この右手に傍聴席があるが、関心の高まりの表れか、従来とは異なり満席だった。
厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の第12回会議が2月20 日、開催された。この日の議題は、(1)行政処分との関係、(2)診療関連死の届け出の範囲――の2点だ。
(1)に関しては、医療事故は医療従事者個人の問題だけではなく、システムエラーも想定されることから、医療機関に対する処分類型を医療法上に新設する案が出された。また(2)については、計29事例を提示し、医療安全調査委員会(以下、調査委員会)に届け出るべき事例と届け出不要事例の考え方を示した。
行政処分は処罰ではなく、再教育に重点
“医療事故調”の厚労省案では、診療関連死の死因究明と行政処分が連動する仕組みになっている。現行では原則として、医療事故に対する行政処分は医療従事者個人に対する処分のみが行われている。この日の検討会では、システムエラーの改善を目的に、医療機関に対する処分類型を医療法上に創設する案が提示された。医療安全確保のための体制整備に関する計画書を作成し、再発防止策を講じるよう業務改善命令を行うことなどを想定している。また医師をはじめ医療従事者個人への行政処分についても、業務停止を伴う処分ではなく、再教育を重視した処分を行う考え方が提示された。
こうした案を委員は支持、東京大学大学院法学政治学研究科教授の樋口範雄氏は、「制裁ではなく、医療安全に資するための処分とすべきであり、再発防止や再教育に重点を置くべき」と述べた。また、「行政処分よりも、まずはプロの集団として、内部的、自律的な同僚評価、再教育を行う文化を形成することが何より重要」(南山大学大学院法務研究科教授の加藤良夫氏)といった意見も出された。
ただし、
(1)行政処分の対象となる事例の判断方法(調査委員会から処分を行う機関に「通知」するのか、あるいは調査委員会が「公表」した事例を基に判断するのか、など)
(2)行政処分の対象となる事例の範囲(捜査機関への「通知」の範囲と同様か、それに加えて医療従事者の注意義務違反程度の事例なども対象にするのか、など)――については議論されなかった。
また、「医療事故に対する行政処分は、調査委員会とは別の組織で行う」とされた。現在医師などの行政処分を行っている医道審議会以外の組織が想定されており、死因究明・再発防止を行う調査委員会に加えて、行政処分を担当する組織の創設が想定されている。つまり、新たに二つの組織が設置されることになるが、この点に関する議論もなかった。
「内視鏡による穿孔で死亡」という合併症は届け出の対象外
調査委員会への届け出については、「誤った医療を行ったことが明らかか」「行った医療行為に起因して患者が死亡したか」「その死亡は予期していたか」という3点に基づき、要否を決める案になっている。図1の「届出範囲」(1)と(2)、「届出不要」(a)、(b)、(c)のそれぞれについて、事例が提示された。
図1 医療安全調査委員会への届け出の考え方(厚労省資料による)
<投稿者より・この図を貼付ける方法がわかりませんでした、深謝>
では、以下の事例はどこに該当するか。
「虚血性腸炎を疑い、緊急に大腸内視鏡検査を実施したところ、大腸粘膜の色調が悪く、壊死の可能性も疑われ、慎重な経過観察が必要と考えられた。治療としては、心疾患や糖尿病等の合併症の程度を考慮し、保存的治療(絶食、輸液など)を行うこととした。検査中は特に全身状態の変化なく終了し病棟に戻ったが、その後、急に腹痛を訴えるなど容態が悪化したので腸管穿孔を疑い、X線写真を撮影したところ、遊離ガスが認められ腸管穿孔と診断された。その後、適切な措置を施したが死亡」
厚労省案では、「届出不要」の(b)だ。
「医療を行った過程に誤りがなく、侵襲的な医療を行う際にやむを得ず発生した事象(いわゆる合併症)として合理的に説明できる場合には、『誤った医療』に該当しないのではないか」というのがその理由だ。
「明らかな誤りでも患者は納得」の扱いは?
加藤氏は、「合併症であっても、その後の対応が悪く、死に至ることもある。だから、合併症だから即、届け出なくてもいいという判断にはならない」と述べ、「医療の誤りから学ぶという視点では、合併症などを除外しては大事なものが抜け落ちていく可能性がある」とつけ加えた。
この発言を受け、検討会の座長を務める首都大学東京法科大学院教授の前田雅英氏は、「広く届け出を求めるのか、ある程度限定するのか、今回初めて突っ込んだ議論に至った。届け出の範囲が医療現場の方におおよそ分かる形にしたい」と語った。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の辻本好子氏は、「(「届出範囲」の事例であっても)遺族側は納得ができれば、『それはもう結構です』という場合もあるはず。この扱いをどうするかという視点が欠けている」と指摘した。この点について、前田氏は「事故事例を医療の質向上につなげるためには、そうした事例も届け出るべき」と答えた。
まさに、この点が、“医療事故調”の議論の混乱を招いている要因だ。死因究明・再発防止が目的であれば、幅広く、かつ「患者側が納得したか否か」にかかわらず、事例を集める必要がある。一方で、医療者と患者側の紛争解決が目的であれば、辻本氏の指摘の通り、図1の「届出範囲」に該当する事例でも、患者側が納得すれば届け出は不要となる。
さらには、図1の考え方で届け出を求める場合でも、事例提示の難しさは残る。前述の事例について、「これは、『内視鏡による穿孔』以外に問題がない場合に、どう解釈すべきかを提示するための事例と読むべき」(弁護士の児玉安司氏)との見方がある一方、「内視鏡による穿孔といっても、合併症もあれば、防止できるものもある。だから穿孔事例がすべて届け出の対象外となるわけではない。一方で、穿孔したからといって、すべて届け出るわけでもないことを示した事例」(九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座准教授の鮎澤純子氏)との見方も出された。
「業務上過失致死傷罪」の議論が不可欠
“医療事故調”に懸念を抱く医療者は、この制度が刑事処分と連動している点にある。この点についても、いまだに問題は解決していない。座長の前田氏は、「届け出に関してペナルティーを設けないと、届け出る人とそうでない人との差が出る」と述べた。また、「何でも届け出るのではなく、『届け出るのはこれだけですから、安心してください』と示して、医療者の不信を払拭しないと問題は解決しない」(樋口氏)との意見も出された。こうした発言を踏まえると、“医療事故調”は死因究明・再発防止が目的だが、「責任追及」の機能も果たす組織だと解釈できよう。
樋口氏は、「“医療事故調”の話を医療者にしても、なかなか理解が得られない。医療事故があったときに、どんな形で責任を取るべきかを改めて考えることが大きな課題ではないか」とも述べた。責任の取り方で一番問題になるのは、刑事処分だ。死因究明・再発防止、責任追及、紛争解決など、どんな目的の組織を作るにせよ、「業務上過失致死傷罪」を医療事故にどう適用するかという議論をしないと、関係者の納得は得られないのではないだろうか(「刑事司法が再び“暴走”する危険はないのか」を参照)。
どうみる 医療事故調査機関(上)
小池晃参院議員に聞く 中立性や対象など論点多い
しんぶん赤旗 2008年2月21日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-02-21/2008022104_04_0.html
医療事故の原因究明・再発防止のための第三者機関づくりの議論が、政府・与党内ですすんでいます。この動きをどうみるのか。課題はなにか。日本共産党の小池晃参院議員に聞きました。
公式統計なし
―医療事故の現状は。
小池 医療事故件数について、政府は公式な統計をとっていません。『医療崩壊』の著者・小松秀樹医師は、勤務する虎ノ門病院のデータからの推計として、年間一万三千件から二万六千件にのぼるとしています。国民的な大問題であるにもかかわらず、日本には、医療事故をめぐる問題解決を専門的におこなう公的機関が存在していません。このため、医療事故が起こると、警察による、「犯人探し」「処罰」を目的にした責任追及のみになり、原因解明や再発防止は“二の次”になりがちです。その結果、事故の教訓が普及されずに、さらなる事故を生むという悪循環になっています。
さらに事態を複雑にしたのが医師法二一条の適用拡大の動きです。同条には、“医師は、死体に異状があると認めたとき、警察に届けなければならない”とあります。この条文は、もともとは殺人事件などを想定したもので、医療事故を対象にしていないというのが、以前の政府の解釈でした。しかし、「異状」の定義がないために、混乱がおこり、現在では医療事故にも運用が拡大されるようになっています。
二〇〇六年には、福島県立大野病院で出産後の女性が大量出血で亡くなり、産科医が同法二一条違反などを理由に逮捕されるという事件が起きました。この事件に対し、産科医だけでなく多くの医師が「懸命におこなった治療行為で逮捕されるのでは診療が続けられない」という声をあげました。こうした現状を放置すれば、医師不足や医療の危機をいっそう深刻にさせます。それは患者・国民の願いにも反するものだと思います。それだけに、医療事故に対応できる法整備と公的機関設置が求められているのです。
公正な機関を
―日本共産党はどう取り組んできましたか。
小池 早くから医療事故のための公正中立な第三者機関の設置を求めてきました。私は、〇一年四月三日の参院厚生労働委員会で質問しました。船の事故の場合は海難審判庁があり、航空機事故などでは事故調査委員会があることなどをあげて、外国にもあるような医療事故の原因究明と再発防止を主たる目的にする第三者機関の設置を提起しました。この間の選挙政策や、昨年二月に発表した「医師不足打開提言」でも、医療事故の第三者機関の創設を求めてきました。
―政府などの動きは。
小池 厚労省は昨年、「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」をつくり、昨年十月に「第二次試案」を出しました。自民党も昨年十二月に試案を出しています。開会中の通常国会に法案提出の動きもあります。
●厚労省案と自民党案には、いくつかの論点があります。
一つは、第三者機関をどこに置くのかという問題です。両案とも、厚労省に置くとしていますが、機関の中立・公正性が保たれるか疑問です。外国では、医療行政の監督官庁とは独立している場合が多くなっています。
二つ目は、届け出の対象です。両案とも死亡事例に限っていますが、重い障害が残る医療事故も加えるべきだという議論もあります。また、どのようなケースを「事故」として届け出るのかも不明確なまま、届け出を義務にして、罰則まで設けていることも問題となります。
三つ目に、刑事手続きとの関係です。厚労省案では調査報告書が「刑事手続で使用されることもありうる」としたため問題になりました。自民党案は、刑事手続きの対象を「故意や重大な過失のある事例」に限定するとしました。「故意」は当然としても、「重大な過失」とはどこで線を引くのかという難しい問題があります。警察の関与については、航空・鉄道事故調査委員会でも、警察の捜査が真相究明の妨げになったことが指摘されており、慎重な対応が必要です。
四つ目に、遺族・被害者・家族の声を反映させるためにはどのような仕組みが必要なのかという問題です。
このように、まだ多くの論点が残されています。
医師2人不起訴 「誤診」女児死亡 札幌地検
北海道新聞 2008年2月21日
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/77199.html
札幌地検は二十日、腸捻転(ねんてん)の女児=当時(4つ)=の病名を誤って診断し死亡させたとして、業務上過失致死の疑いで書類送検された札幌市厚別区の小児科医院に勤務する五十一歳と五十八歳の男性医師二人を、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
同地検は不起訴処分とした理由について、女児の症状がウイルス性胃腸炎に類似し、腸捻転の際に腸内にたまるガスを女児のレントゲン写真から認識するのも困難だったとして、「医師二人に刑事責任を問うまでの過失があったとは言えない」としている。 女児は二〇○六年一月に腹痛を訴え、同医院の医師から風邪と診断。症状が悪化した翌日も同医院の別の医師に「命に別条ない」と言われたが、帰宅後に死亡した。司法解剖の結果、死因は腸捻転による腹膜炎と分かり、道警が○七年三月に医師二人を書類送検した。
不起訴処分を受け、同医院は「当院の診療行為の正当性が認められた」とコメントした。女児の両親は同医院と医師二人に対し、約八千二百万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、係争が続いている。
「川崎病誤診で5カ月長男死亡」親が那覇市立病院提訴
沖縄タイムス 2008年2月21日
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802211300_08.html
胃がん患者に胃かいよう治療…厚木市立病院、遺族に賠償へ
読売新聞 2008年2月21日
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080221-OYT1T00599.htm
溶液薄めず透析 80代女性直後死亡…堺の病院
読売新聞 2008年2月21日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080221-OYT8T00220.htm
事故死で病院の処置ミス認定 奈良地裁が220万円支払い命令
MSN産経ニュース 2008年2月21日
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/nara/080221/nar0802210329000-n1.htm
大阪大カルテ非開示訴訟、原告側一部勝訴
産経新聞 2008/02/21
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/124564/
大阪大歯学部付属病院(大阪府吹田市)であごのがんの手術を受け、後遺症を負った大阪市の男性(70)が、カルテの改竄(かいざん)や隠蔽(いんぺい)で真相解明が妨げられたとして、阪大に1700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、大阪地裁であった。大西忠重裁判長は改竄などはなかったとしたが、「病院がすべてのカルテを開示しなかったのは患者への報告義務に違反する」として30万円の支払いを命じた。原告側代理人の石川寛俊弁護士は「患者に対するカルテの開示義務をはっきりさせた判決。意義は大きい」としている。
判決によると、男性は平成3年から同病院で受診。あごのがんと診断され、7年まで手術などを受けたが発声や呼吸が不自由となる後遺症が出たため、10年9月、国に損害賠償を求めた医療過誤訴訟=最高裁で男性の敗訴確定=を同地裁に提起した。しかし、この提訴前の証拠保全の際、最も重要な入院期間のカルテが見当たらず、証拠保全された記録の中にカルテを改竄するよう指示したメモが見つかった。男性は訴訟の過程でカルテの開示を求めたところ、一部は開示されたが、残りは「所在不明」「紛失」などと返答されたため、16年7月、新たに今回の訴訟を提起した。
大西裁判長は判決理由で、カルテの一部紛失の事実を認定し、「後遺症を有した男性が手術などの顛末(てんまつ)の報告を望むのはもっともで、その心情は保護に値する」とした。
大阪大歯学部付属病院の話 「判決内容を十分検討して対応したい」
昨年の児童虐待摘発、過去最多の300件…警察庁
読売新聞 2008年2月21日
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080221-OYT1T00296.htm?from=navr
〝5分ルール〟で「医療崩壊」加速!?
キャリアブレイン 2008年2月21日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14637.html
乳児投げ落としの母親、不起訴処分に 大津地検
京都新聞 2008年2月21日
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008022000187&genre=C1&area=S10
大津市で昨年10月、母親(32)が生後10カ月の長男をマンションから投げ落としたとして、殺人未遂の疑いで逮捕された事件で、大津地検は20日、母親は事件当時、心神喪失状態で刑事責任能力がなかったと判断し、不起訴処分とした。 地検は同日、心神喪失者等医療観察法に基づく審判を大津地裁に申し立て、大崎良信裁判官が鑑定入院の命令を出した。
母親は3カ月間の鑑定留置で、出産や育児の悩みなどが原因とみられる重度のうつ病により、心神喪失状態だったと診断されていた。鑑定入院の後、地裁は審判を開いて、治療のための入院や通院などの措置を決定する。
07年の出生数、2年ぶりマイナス・少子化に再び拍車も
日本経済新聞 2008年2月21日
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080221AT1C2000820022008.html
まつ毛エクステ、ご注意 充血などトラブル続出
朝日新聞 2008年02月21日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200802210220.html
健康食品「糖尿・がん治る」 販売会社社長らを逮捕
朝日新聞 2008年02月20日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200802200154.html
新興感染症の6割は動物が起源?英米チームによる調査
Techinsight japan 2008年2月21日
http://japan.techinsight.jp/2008/02/satou200802211125.html
世界の振興感染症の出現件数が、過去60年で約4倍に増え、そのうちの6割が動物に起源がある。このような調査結果を、英ロンドン動物学会や米コロンビア大学などの研究チームが出現状況を地図にまとめ、21日付科学誌ネイチャーに発表した。毒性の強いH5N1型鳥インフルエンザや新型肺炎(SARS)などの、発展途上国における出現が目立っており、今後早急に監視体制を強化する必要があるという。
新型インフル流行の場合、国際便4空港に限定し検疫へ
2008年2月20日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080220-OYT1T00444.htm
厚生労働省は20日、新型インフルエンザの流行が起きた時に、航空機による海外からの国内への侵入を防ぐため、発生地から来る国際便の着陸を成田、中部、関西、福岡の4空港に限定し、入国者の検疫を行う方針を明らかにした。民主党の新型インフルエンザプロジェクトチームの初会合で報告した。
厚労省は航空会社に対して運航自粛を要請することも検討しているが、通商上の影響も考慮し、検疫体制の強化との二段構えで臨む方針だ。厚労省によると、航空機による入国者は年間約3000万人に上り、4空港の利用者が9割を占める。このため、全国27空港に設置された検疫所の職員を4空港に集約し、国内での感染拡大を阻止する構え。船舶による入国者は航空機の約1割弱だが、発生時は空港と同じく横浜、神戸、関門(北九州・下関)の3港に限るという。厚労省は、感染の疑いがある入国者の増加に備え、医療機関だけでなくホテル・旅館など宿泊施設に収容させる方針を打ち出しており、感染症法と検疫法の改正案を今国会に提出している。
医療維新 診療報酬改定'08
Vol.2◆総括
“はみださない大人の改定”“横並び改定”
全体的な質の底上げを名目に調整・修正・見直しを実施
佐藤勝浩(パースジャパン経営コンサルティング部部長)
2008年2月21日
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080221_1.html
今回の診療報酬改定は、当初私が聞いていた話よりも早く、先週2月13日に諮問・答申という形になり、案外とスムーズな流れの中、点数が発表された。各項目に関する施設および人員基準等に関する通知・告知等が整備・修正され、3月10日頃までには全体像が明らかになるものと思われる。恐らく先週末から今週にかけては、各病医院の医事課や事務部門などで、またコンサルタティング会社や医療関連企業の営業サポート部署などでは診療報酬改定に伴う置き換えシミュレーションを行っているのではないだろうか。
外来管理加算の変更などで診療所には厳しい改定 全体的には診療報酬本体が8年ぶりにプラス改定となったことにより、診療提供側では“良し”とする結果だというコメントが各方面から述べられている。特に、診療所の再診料引き下げを阻止した形となった日本医師会、さらには開業医は、若干ではあるが安堵している人もいるのではないだろうか。新設された初再診料夜間早朝等加算(50点)についても、活用の仕方によってプラス要因となっている。しかし実際には、外来管理加算の算定要件の変更や生活習慣病管理料の引き下げ・見直し、デジタル映像化処理加算の廃止や処置の見直しによる簡単な処置の点数削除など、病院勤務医の負担軽減策のための財源1500億円のうち400億円程度が診療所分の財源から回るものと考えられ、今改定は診療所にとっては少し“背筋が冷たくなる”結果となったのではないかと考えられる。
病院の診療機能や質に応じて点数格差 病院に関しては、予想通り、医療療養病床の見直し・点数ダウン、特殊疾患療養病棟・障害者施設等入院基本料および特定入院料の見直し・算定条件野変更などのマイナス要因が見られる半面、今改定の「緊急課題」である病院勤務医の負担軽減策として、産婦人科・小児科関係の点数のほか、癌医療ならびに救急医療関係が引き上げられた。また新設された医師事務作業補助体制加算は、算定できる施設が限られ、入院初日のみの算定ということで病院経営に大きな寄与をするものではないが、既に人員配置をしている病院に関しては、わずかだがプラス要因となっている。
さらに、(1)「一患者一手術・入院当たりの包括点数」の試行である短期滞在手術基本料3の新設、(2)地域中核病院に関する入院時医学管理加算の新設、(3)疾患別リハビリテーション料および回復期リハビリテーション病棟入院料に関する質(成果)を重んじた点数評価、(4)10:1入院基本料の引き上げと7:1入院基本料の基準および算定の見直し(医師適正配置/看護必要度)――などは、病院における診療機能および質に着目して、その格差を点数に反映させたものと理解できる。
診療側のすべてを“立てた”ツケはどこに? 今回の改定に関しては、「勤務医の負担軽減策は期待できるか」でも記述したが、2006年改定に続き、現実に即した改定ではあったように伺えるが、“修正・見直し・取り繕い改定”の感が強い。もう少し突っ込んだ表現にすると、純日本風の“はみださない大人の改定”“横並び改定”であり、そして“先送り改定”とも受け取れるのではないだろうか。最終的な着地は可もなく不可もない点数付けとなり、診療提供側のすべてを立てた(持ち上げた?)形で決着がつき、一国民または一患者の立場からすると、何か行き場のないフラストレーションがたまる結果であったように思われる。 しかし、いったいどこに、誰に、“立てた(持ち上げた)”ツケはいってしまうのだろうか。この点は、はなはだ疑問である。
「勤務医の負担軽減策は期待できるか」の表2を今一度見てもらいたが、診療報酬改定の流れは、1992年の甲乙表の一本化に伴い、それ以前の病院点数(甲表)と診療所点数(乙表)の区分ではなく、医療提供施設の機能分化に基づく点数配分が進められることになる。
その流れで1994年には地域格差の是正や新看護体系を新設、2000年の介護保険制度の創設による医療と介護の分化、地域医療連携と在宅医療の推進が打ち出され、包括化点数の拡大も進められた。そして2001年の第4次医療法改正による一般病床と療養病床の区分により、医療提供体制における機能分化が一段落ついた形となった。
診療報酬上でも診療情報提供料の充実や紹介患者加算(前回改定で廃止)の新設、特定入院料の拡大などが見られ、前々回の2004年の改定までは、「機能分化と連携医療」を1つの柱として走ってきた感があった。しかし、前回の2006年の改定では、入院基本料の看護配置の算定方法の変更に始まり(看護師不足の問題を誘引したが)、入院食事療養費の食数算定や医療療養病床に関する医療区分の設定など、「機能分化と連携医療」を推し進めるというよりは、全体的な質の底上げを名目に、従来とは異なり現状に即した改定が行われるようになった。点数配分に注目するよりも、算定基準を含めた内容中身のある、定義を大きく変更した改定であったように思われる。
そして今回の改定においては、「緊急課題」である病院勤務医の負担軽減部分の取り組みと、包括点数化の拡充は受け継がれたが、前回の改定による反応および状況を見た上で、現実に即さない部分や改定内容の調整・修正・見直しを加えた面が多かったように受け取れる。つまり、内容中身的な部分についてはいったんは足踏みをしたのか、これ以上変えようがなくなるかは、今後の改定に委ねられた格好になったように思われる。
それだけに社会保障費の削減(1兆1000億円/毎年2200億円)問題と合わせて、2010年ならび2012年改定がドラスティックなものになる可能性を秘めたことも付け加えたい。
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