(関連目次)→産科医は自然に逆らって平日の昼間にお産をさせているのか?
(投稿:by 僻地の産科医)
日本のお産を守る会がブックレットを作られたというので、さっそく頂きました(>▽<)!!!!
http://xsv01.med-apple.co.jp/nomk/wk/index.php
ほえぇ。なんていうか、すごいですo(^-^)o ..。*♡ っていうか、複数の産婦人科医のはたらく病院の一部 > 陣痛誘発例のうち46%(初産婦58%・経産婦34%)は は、その通りの実感ですね。 絶対!時間外になる気合だもん。 では、いってみましょう。 シンポジウム「安全な産科医療をめざして」に参加して 日本の赤ちゃんたちは 「人為的な操作と誘導で生まされている」のか? 尼崎医院生協病院 産婦人科部長 衣笠万里 2007年5月26日に名古屋市で開催された医療事故情報センター主催の上記シンポジウムでは、「陣痛促進剤による被害を考える会」の勝村久司氏もシンポジストとして発言された。同氏は以前から講演会などを通して繰り返し「日本の赤ちゃんたちは産科医の都合で人為的な操作と誘導によって生まされている」という主張を展開されている。 はたしてそうであろうか?現在日本では全分娩の17%程度が帝王切開術(帝切)によっているが、これは欧米と比べて決して高率ではない。その中でも、選択的帝切は平日午後に実施される場合が多い。また医学的に正当な理由のある陣痛誘発・促進も存在し、その多くはマンパワーの豊富な平日の日中に実施されている。 実際に当院での分娩統計に基づいて出生時間の偏りについて調査した。当院では医学的適応を厳格に守って陣痛促進剤を使用しており、2006年における陣痛誘発・促進率は併せて12%てあり、帝切率は15%であった。調査の結果、当院でも平日日中午後(12-18時)の出生数は他の時間帯を大きく上回っており、出生数全体の28%を占めていた。この数値は2004年の全国集計データとほぼ一致していた。10年前と比較すると、1996年における当院での陣痛誘発・促進率は16%とやや高かったが、帝切率は6%と低く、平日午後の出生集中率は24%であり、2006年よりも低かった。実際に分娩様式別に出生時間の分布をみると、午後1-2時の出生数のピークはもっぱらその時間帯に選択的帝切が集中しているためである。また当院では陣痛誘発例のうち46%が夜間・早朝(18時一翌朝8時台)に出生しており、必ずしも日中に分娩を終えられるとは限らない。一方、過去11年間の周産期死亡例のうち、入院時には胎児心拍が確認されていて後方視的に救命の可能性があった症例は6例であったが、そのいずれもが深夜・早朝あるいは休日の分娩であった。 このように医学的適応を守って帝切や陣痛誘発・促進を行っても、出生時間の偏りは生じうる。全国デー夕における平日午後の出生集中率:28%とという数字は平均帝切率17%という数字から十分に説明可能であり、陣痛促進剤の濫用によるものではない。一方で監視態勢・緊急対応が手薄になる休日・夜間帯は周産制死亡のリスクが高くなるため、日中の帝切や陣痛誘発・促進には一定の妥当性かある。 日本における周産額死亡率の低さは長年にわたって世界一である。われわれ産科医は常に市民の声に傾聴する姿勢を忘れるべきではないが、同時に誤解を解き正当な評価を受けるための情報提供も必要である。 資 料 (尼崎医療生協病院、1996-2006年) ●自然分娩は午前6-8時に小さなピークがあり、午後はやや少なくなっている。 ●日本では全分娩の98%以上が病院または診療所で取り扱われている。全体でみると13-15時台の出生が多く、時間当たりでは深夜帯の2倍以上となっている。この傾向は平日においてより顕著であり、2004年の平日12-18時(年間の17%に相当する時間帯)の出生数は28%と突出している。 ●全国集計と同様に13-14時台に出生数のピークがあり、単位時間当たり出生数は夜間帯の2倍前後となっている。
体感的に、もう
「誘発なんて、絶対、時間内に終わるわけない(>_<)!!!」
「なにが産婦人科の都合じゃっ!!!!誘発なんてやってあげるのは
帝王切開率さげる産婦人科医の思いやりだっってばっ!!」
という、現場の体感がグラフに現れていて。
本当にそのとおり!と叫びたいデス。
(↑産科医同士がうまくいってないとことか)
なんて、自分の当直・当番の日に誘発されただけで、あからさまに嫌がる先生いらっしゃいますしね。
> 夜間・早朝(18時一翌朝8時台)に出生
その根拠となっているものは厚生労働省がまとめた国内の出生に関する統計資料である。それによると平日1-3時の出生数が抜きん出て多く、単位時間当たりの出生数が夜間帯の2倍以上になっている。一方で助産所や自宅での出生数は各時間帯でほぼ均等に分布しており、むしろ午前中にやや多い傾向にある。この事実から「産科医が陣痛促進剤を使って無理やり日中に産ませている」という推論に至っている。
●原則として妊婦や家族の希望、病院都合による誘発や帝切は実施していない。
●適期妊娠は概ね41週4日以後、前期破水は24時間経過後も陣痛未発来の症状に誘発を勧めている。
●上記以外の誘発適応:胎児発育異常・心拍異常、胎位異常、合併症妊娠例など
●陣痛促進の適応:微弱陣痛のために数時間以上にわたって分娩が進行していない場合に促進剤使用を提案し、同意が得られれば使用する。
●2005年までは帝切後経膣分娩(VBAC)を扱っていたが、医師体制悪化のため現在は中止している。その前後から帝切率は上昇しており、2006年には15%であった(2005年の全国集計:17%)。
●13-15時の出生数のピークは主に予定帝切(選択的帝切)がその時間帯に集中しているためである。
●当院では陣痛誘発例のうち46%(初産婦58%・経産婦34%)は夜間・早朝(18時一翌朝8時台)に出生しており、必ずしも日中には産まれていない。
●一方で助産所や自宅分娩では出生時間はほぼ均等に分布しており、むしろ早朝にやや多い傾向にある。
●平日午後出生集中率(月一金・12-18時):25%(2004年全国集計:28%)
●医学的適応を守って陣痛誘発・促進や帝王切開術を実施しても、病医院では平日午後の出生数が多くなる。これは主に多くの院所でその時間帯に帝切が組まれることによる。
●必ずしも陣痛誘発・促進によって日中に分娩を終了できるわけでなく、産科医が楽になるわけでもない。
●一方で監視態勢・緊急対応が手薄になる休日・夜間帯は周産期死亡のリスクが高くなる。
●日本の病医院での出生時間の偏リにはそれ相応の理由があり、医師の都合で出生時間を無理やり操作しているわけでは決してない。
タイトルにひきつけられてしまいました!
>必ずしも陣痛誘発・促進によって日中に分娩を終了できるわけでなく
確かにそうですよね~。
この記事を拝見して、私の中にあった陣痛誘発・促進のイメージが変わりました。
私たちの安全なお産は、お医者様はじめ医療スタッフに支えられているということを再認識できて、また感謝の気持ちでいっぱいになりました。
途中にですが、
>医師体制悪化によりVBACの扱いを中止
VBAC経験者としては、気になる話題です。
いつか、VBACという言葉は使われなくなってしまうのでは?と心配しています。
そうなってくると、帝王切開でも普通のお産と何ら変わりない、赤ちゃんとお母さんに優しいケアのニーズが増えてきそうですね。
でも、このままだと人手不足で手が回らないでしょうか。
貴重な情報をありがとございました。
投稿情報: 山羊 | 2008年2 月21日 (木) 00:09
りっぱなデータですよね。どこかに論文として出ないでしょうか。
投稿情報: shy1221 | 2008年2 月21日 (木) 07:43
医学的には木っ端みじんに論破したと言える内容ですが、相手が「はいそうですか、私が悪うございました」とはてこでも言いそうにない相手ですからな。
合同シンポジウムでどんな論争が展開されることになるやら。
保険医協会に申し込んでも送ってくれるそうなので、50部くらい買おうかな。
投稿情報: 山口(産婦人科) | 2008年2 月21日 (木) 14:35
うちのブログで取り上げさせていただきました。
この問題、いつも頭にくるのですけど、
不当に産科医が貶められてますよね。
まったく・・・。
投稿情報: y-gami | 2008年2 月21日 (木) 19:08
論評を覆して申し訳ありませんが データーと事実が異なる場合も多々あります。
私は 産科医の思惑(開院9時までに出産させよう)で 薬の説明もなく 陣痛促進剤を「はい・この薬を飲んでください」と呑まされ、その後
「どうですか?陣痛は」と越えをかけられ また 同じ薬を呑むように言われたので「この薬は何ですか?」と聞くと「早く産れるようにするための陣痛促進剤よ」
とあっさりと言ってのけられ 陣痛微弱でもなく3人目出産の私は「こんなものいりません。自然分娩で結構です!」と拒否。
9時半過ぎ 無事 次男出産に至りました。
産科医全てを否定するものではありませんが 私のような経験をされた妊婦さんは少なからずいると思います。
当り外れがある・と言われてしまえばそれまでですし、そのドクターに身を委ねてしまっている状況では 医者の言いなり・であることも歪めません。
と言うことで、この様な事実もあり・と投稿させて頂きます。
投稿情報: rumi | 2011年11 月 9日 (水) 09:33