(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
個人用のパブコメ中間発表の整理を始めてみました。
第4次試案のパブコメにつながることを祈って!
OCRですので、誤字脱字はお許しください。
あとざっと独断と偏見でまとめを。
↓ 今までの分です
ADRセンター副委員長からのパブコメ その9(>▽<) ..。*♡
今日は医師会の関係者から連絡(コメント欄)あり、
パブコメの状況はどうですか?と問い合わせが。
どんな感じなのか答えられるのはおそらく日本全国
先生だけです!と書いてありました(笑)。
(くだらないことに時間使ってます!)
さて、いきます!
【238】が患者さん遺族側のご意見o(^-^)o
今日は短めのが多くて。あまりまとめが入っていません。
あとで統計取るときに苦労するのは自分ですが(笑)。
では、どうぞ ..。*♡
(今日はちょっとごたっとして体力ありません)
【234】 40代 医師 p437
「罪を憎んで人を憎まず」
医学は不確実であり、試みと検証の繰り返しから進歩してきました。
医療過誤を減らすために、事故がおこったら自由な立場で原因を究明することが必要で、そのためには医師は自分に不利になりうることでも正直に話し、さまざまな立場から検討を加えることを進めています。
その際には"No oneBlame system"が有効であると考えます。逆に、犯人が誰かを探し、罪を決めることしかできない司法には限界があります。罰することで正直者が馬鹿を見る結果となり、ひいては、自分に不利な情報は隠し、他人に責任を転嫁する行動を推進します。これは人間の性質から当然の行動です。
したがって原因究明といいながら、個人を罰するやりかたは、感情的であり、理性を欠いている、事故を減らす役目はなく、単に恨みを晴らすだけの効用しかありません。
江戸時代の敵討ちと同様で、敵討ちの繰り返しではいつまでたっても問題は解決しないと思います。罰則を厳しくすればいい医療をするかといえば全く逆で、私の病院の医者はみんな病院を辞めるといっています。100%間違いなく治せるという医者だけ医療してください。日本に医者は一人もいなくなります。
当院の患者さんも、これで地方の医療が崩壊したら、厚生労働省が医者をいじめて医療を壊滅させたとして責任を追求するといっています。厚生労働省の役人が刑事罰で医療が良くなるとお考えなら、医療崩壊にとどめをさしたA級戦犯として歴史に名を残すことになりますがいいでしょうか?
≪勝手なまとめ≫
・責任追及となるのは間違いない
・100%治せる医師はこの世に存在しない
・厚労省の政策は無責任だ
【236】 p437
少なくとも、刑事告発は調査委員会の結果が出るまでは、これを捜査しないOこの文言が明文化されなければ第三次試案には反対です。WHOの報告にもあるように、もともと医療を刑事事件とするには相当の無理があると考えます。厚労省の担当者が「それでは民意が許さない」などの発言をしておられましたが、まったく的をはずした意見といわざるを得ません。国民の健康や命を守るためにはどうすれば良いかの視点に立てばその業を直接担う医師がどれだけその本業に専念できるかを考えるのが筋だと思います。
それと刑事にすべき事案かどうかはもっと明確に限定すべきであり、この委員会の主旨が医療安全の為のものであり、決して医師を罰するためのものではないことを関係各位が肝に銘ずるべきだと思います。
医師法21条の問題も解決しておく必要があります。そうでなければ別件逮捕がいつでも可能だからです。
調査委員会の設置場所にしても、厚労省の管轄では極めて危険です。先ほども述べましたように医師が本業に専念できるためには、行政指導を行う官庁と、調査する官庁が同一である事がどれだけ障害になるかは日を見るより明らかです。
話はずれますが、看護課長のたった一つの通達で産科医療はがたがたになってしまいました。これほど強大な力を持っている官庁にこれ以上権力を集中させるのは危険きわまりありません。
疲弊しきった産科や外科、小児科の診療最前線に立つものの心からの叫びをどうか聞き届けていただきたいと思います。
≪勝手なまとめ≫
・WHOの報告にもあるように、もともと医療を刑事事件とするには相当の無理があると考えます。厚労省の担当者が「それでは民意が許さない」などの発言をしておられましたが、まったく的をはずした意見
・国民の健康や命を守るためにはどうすれば良いかの視点に立てばその業を直接担う医師がどれだけその本業に専念できるかを考えるのが筋
・設置場所は厚労省外で
【238】 60代 その他 p439 患者さんご遺族の立場
まず、総括的な意見表明です。
1 検討されている「医療安全調査委員会」(以下「調査委員会」といいます)の制度化は基本的に賛成であり、むしろ遅すぎた感があります。制度化が必要になったのは、医療が必ずしも安全ではないことが社会的に認識され、またその要因(のすべてではありませんが)が、医療側による過誤、診療行為の改竄・隠蔽・歪曲であることが明らかになってきたためと思われます。
また、医療側と患者・遺族側とでは知識、情報、組織力、経済力での明白な差によって患者・遺族側がどうしても不利であり、それを放置することが社会的に許されないとの認識が広まってきたためでしょう。その意味で、これまで医療分野の"弱者"たる患者・遺族側を支え、今後、そうした犠牲者が生まれないようにする、というのが今回の調査委員会制度化の基本的目標でなければならないと考えます。私が今回の制度化に賛成するのはその第1歩がようやく踏み出されようとしていると考えるからです。
2 この動きに対して、医療界の一部からは反発があるようです。例えば、医療は命を扱う仕事であり、刑事罰からフリーであって然るべきだ、医療が分かっていない司直が医療に介入するのはおかしい、過労死しかねない厳しい条件下で働いているのにひどい、というような声です。
しかし、国民の生命・財産という法益を侵害する行為に対して"治外法権"的特権が許されるはずはありません。例えば、「沢山の命を運ぶ」交通労働者は、事故を起こしても罰せられることはないでしょうか。航空機操縦士たちは航空機のことが分かっていない警察から事故の捜査を受けたり、刑事責任を追及されるのは不当だ、などと言っているでしょうか。自衛隊員もそうでしょうか。また、過労死は何も医療界だけではありません。労働条件の過酷さと刑事責任とは全く別の問題です。
また、医療界がいかにいい加減な診療を事実上放置し、また隠そうとしてきたか、その結果、どれだけの犠牲者が年々生まれているかは、すでに国民の多くが実感し、医療不信は蔓延しています。
今回の調査委員会制度化の論議の中で、医療界の中からも上述の実態に対する反省と、自浄の必要性を指摘する真筆な声が聞かれます。新制度が医療界の悪しき体質温存に利用されることなく、文字通り、安全な医療を実現し、医療、そして医療界への信頼を回復する大きな柱に成長することを念願しています。
3 新制度を軌道に乗せるには、多大の人材、エネルギーと費用を要することでしょう。調査委員会の公正な活動が広く国民から支持.信頼され、また、医療界でも権威が認められるには時間が掛かると思います。私は新制度を、行政委員会としての労働委員会制度とダブらせてイメージしています。今日、労働委員会は社会の中に定着していますが、多発する医療過誤問題を考えると(問題は死亡事例だけではありません)、調査委員会も活動内容にふさわしい人員、組織を持ち、十分な予算的裏付けを保証されて、きちんとした行政組織として整備されるべきだと考えます。
医療過誤の死者が年間数万に達すると試算があるにもかかわらず、これまで政治、行政の姿勢はあまりにもひどいものだったと思います。労働紛争への取り組み、あるいは交通戦争への取り組みと比較すればそれは瞭然たるものがあります。遅きに失したとは思いますが、今回、計画されている調査委員会はこうした事態を打破するためにこそ発足するのだ、と受け止めたいと思います。
以下、個別に私の意見を表明してみます。
(8)について
上記のように、調査委員会は中央労働委員会と同様、特別法に基づく独立・;中立の行政委員会として設置するのがベストと思われる。医療界に対するお目付役としての役割を果たす上でも、厚労省内の組織とすべきではない。省内の機構ではどうしても各種の制約を受けざるを得ない。
(17)について
届け出義務の範囲が限定されるわけだが、「誤った医療」の中に医師の不作為、例えば、癌見逃しによる死亡のような事例も含まれるものと思われるが、その点、もう一つ明確さを欠いていると思う。
また、いわゆる"内部告発"として匿名で調査委員会に情報が寄せられた場合、委員会としてはどう対応するのか。医療機関あるいは遺族にこれを伝えるのか。私はそうすべきだと考える。医療機関はきちんとした仕事をやらなければだめだと自覚するのではないか。"犯人"捜し、"犯人''いじめの体質が調査委員会の"介入"によってなくてゆくと思われる。
(22)について
「届け出義務違反」の3ケースが挙げられ、「行政処分を科す」となっているが、これは、医療側の怠慢を事実上放置するに等しい。例えば、食品製造工場が中毒事件や賞味期限ごまかし事件等を起こした場合、「届け出るべき事例が適切に届け出られる体制を整備すること等の命令する行政命令処分を科す」で済んでいるだろうか。管理者責任がこのような程度であれば、管理者が責任をもって管理に当たるとはとても思えない。
管理者はもちろん医療機関そのものに対してももっと厳しい行政処分を科すべきである。これによって医療現場に緊張感が生まれ、また、部下たる医師たちが隠蔽、改竄に走る事態がなくなるのではないか。
(23)
これも前項同様、医療側に対して不当に寛大ではないか。遺族の依頼で調査が行われ、その結果、当然届け出るべきであったと判定される事例が生じることは十分考えられる(院内での隠蔽、改蕊が盛行してきたことを忘れてはならない)。その場合、管理者、医療機関に対して厳しい行政処分があって然るべきだと思われる。それによって、管理者がその責任をきちんと果たすようになることが期待できる。
(25)について
遺族からの原因究明依頼は期限を設けるのかどうか。私は、娘を大学病院の医療過誤で失ってから2年半後に内部告発で手術ミスを知り、医療過誤を知った。この経験から言えば、期限はできるだけ長くすべきである。短く区切る意味はないと考える。
(27)について
個別事例の調査開始は、原則として、解剖が行えることが必要となっているが、遺族感情として、家族死亡直後は混乱・動揺していることが多いと思われ、死亡直後の解剖にはなかなか踏み切れない。これをちゃんと説明し、遺族の了解を得るための準備態勢を院内に整えておくことが必要となる。
事後的に調査委員会が必要を認めれば調査は可能としてあるが、何よりも「解剖」に対する患者・家族の意識を変えることが必要である。そのための広報・活啓発活動が不可欠であるoまた、「死亡画像診断」(A i)を普及させることを急ぐべきである。
また、⑤の但し書きに「関係者が地方委員会からの質問に答えることは強制されない」とあるが、これは調査委員会が捜査機関ではないから、ということからだろうかoしかし、これでは死因調査が十分行われないことがあろう。調査委員会が必要と判断する関係者が「質問に答えられない」という場合、その関係者に対してその理由を説明させ、その主張に合理性がなければ強制的に喚問するぐらいの権限が調査委員会にあって然るべきである.
(30)について
「調整看護士」という仕組みがうまく機能しているのかどうか不明だが、「看護士」に限定する必要はない。この重要な機能を「医師」が担当してもおかしくない。こうした部門に医師を配置することを避ける意味は何なのであろうか。
(32)- (34)について
地方調査委員会と特定機能病院の院内事故調査(安全管理委員会)との関係は十分注意を要すると思われる。
医療界において、各地方ブロックにおける旧帝国大医学部の"威令"は依然として残っているようである。地方調査委員会メンバー、調査チームの医師たちの人選に当たっては何らかの工夫がいるのではないか。調査活動が医師同士のかばい合い、なれ合いによって影響を受けるようなことがあってはならないと考えるo
また、院内調査による事例概要や臨床経過一覧表を地方調査委員会で活用するとあるが、その院内調査が事故隠しの目的で行われる例があるのではないか。調査委員会はあくまでも原資料(これとても改蕊、隠蔽の危険があるが)を基に調査を実施すべきである。
私の裁判経験では、診療経過につき、被告大学病院の現役教授、名誉教授計9人をメンバーとする事故調査委員会が、カルテ等からは判定できない事実を事実だと主張するという不可解なことが起きた。さすがにこれは判決で否定されたが、教授職にある人々すらこうである。調査委員会の基本資料はあくまでも原資料でなければならないと思われる。
(40)について
前文で述べたように、医療界が刑事罰からの免責を求めるのは誠に異様に映る。(40)にある「診療行為」という言葉を「自動車運転手」あるいは「航空機操縦士」と言い換えてみると、その異様さが分かると思われる。運転手、操縦士は事故が起きた場合、「悪質かどうか」と問わず、捜査機関に連行、あるいは逮捕されて取り調べを受け、容疑が固まれば起訴されて裁判において刑事責任を追及される。交通事故、航空機事故は密室では起きない。捜査当局は事故を起こした容疑のある者の刑事責任を追及するため、有無を言わせず捜査を開始する。
他方、医療行為は"密室"で起きる。従って、捜査機関は動きようがない。その意味で、医療界はこれまで"治外法権"的地位を与えられていた。医療界は従来、「命を扱っている」ことを理由にこれに安住していたのではないか。しかし、この発想ではいつまで経っても現状は変わらない。過労死するほど懸命に働いている医師が多数いることは十分承知しているし、その意欲と職務への忠実さには頭が下がる。しかし、だからといって刑事免責は認められるべきだということにはならない。休憩も取らずに運転し続け、事故を起こした長距離トラック運転手は事故責任を問われずに済むのであろうか。
私は、調査委員会の調査結果は「故意や重大な過失のある事例や、その他悪質な事例」であるかどうかを問わず、基本的に捜査当局に提供されるべきだと考える。刑事罰に怯えながらでは診療などできない、との声があるが、どんな職業でも、故意・過失を問わず、他人の生命・財産に損害を与えた者はその結果に対して刑事責任を負わなければならない。危険な職務についている軍人(自衛隊員)でも、警察官でも刑事免責の特別待遇は受けることはない。国民の多くは「何故医師たちが、医師たちだけが、これを熱心に求めるのか」と首を傾げているのでないか。
私は、医療界がかかる後ろ向きの発言をするのではなく、「自分たちも他分野に働く人たちと同様、過失に対する責任は担う。同時に、過失が起きないように自分たちで医療界そのものを改革する。そのために国民の理解と協力を願う。また、政治も行政もこれを支援してほしい」という決意をこそ表明してもらいたい。このような熱意と姿勢とに裏付けられた医療界の自浄作用、その体制が早く実現してほしいと願う。が、残念ながらそれはまだ当分期待できないようである。そうである以上、医療界浄化・改革に向けての、外部からの手だての1つとして調査委員会の調査結果が捜査当局に提供されるのはやむを得ないのでないか
≪勝手なまとめ≫
・制度に賛成
・患者側には情報がない
・医師が免責などとおこがましい
(ちなみに航空界には反発があり、諸外国からも問題視されています)
・過労死は医師だけの問題ではない
・医療界は反省せよ
・調査委員会も活動内容にふさわしい人員、組織を持ち、十分な予算的裏付けを保証されて、きちんとした行政組織として整備されるべき
・厚労省内ではなく中立的立場に設置すべき
・犯人"捜し、"犯人''いじめをすべき(?)なくなるべき?よくわかりません。
・届出義務を厳しくすべき
・調査期間は期限を設けるべき
・話さなくていいなら原因究明にはならない
・「調整看護士」ではなく「調整医師」でもいいのでは
(あの、医師足りないので、そういう要求はやめてください!)
・あと、教授の方が現場わかってませんので。
・医師は免責になるべきではない
(でも長距離トラックの違法労働には、会社に警察が入りますが、
病院は厚生労働省下であっても警察立入りみたことないですけど。。。)
・全例警察に届けるべき
【239】 40代 医療機関管理者 p445
医療死亡事故の届出義務化について
届出範囲を限定するとされているようですが、どのように限定されるかわからないままに法制化されることに不安を持っています。省令その他で規定されるのだと思いますが、現在の行政諸機関の縦割り行政の中で医療の本質を理解していない司法等により恣意的に運用される危険を感じます。
【240】 p446
第三次試案では結局のところ医学知識のない警察・検察により、医学的合理性の無い、感情論に基づく、過失責任追及という名の下の報復的な刑事責任追及が恒常的になされることを保証しているようにしか見えない。これでは医療崩壊は更に進行し日本国内での外科手術はどんどん行なわれなくなって行ってしまうと考える。必要なことはおそらく先進諸外国のように「業務上過失致死」あるいは「業務上過失傷害」といった刑法上の条文を取り除くかあるいは少なくとも医療に適用しない様にすることが最善である。少なくとも医療のように不確実性の高い業種には「業務上過失」という考え方は不向きである。結果が少しでも悪ければ適応されうるこのような法律を医療に適用することを保証するような第三次試案は問題である。このままでは病気になった責任を医師に問うようなことが起こってくるのではないか。
【241】 30代 医師 p447
沢山の問題点がありますが-
1 「法律関係者」「法律家」を入れるのはなぜか。
純粋に科学的に医学的な問題点を審議するのであれば不要でしょう。
責任論ということで検討を行うのではないでしょうから。
結局は、司法刑事の関連機関との調整ができていないがために、「それは法律的にどうなのか?」という審議になってしまう。
医療崩壊の原因のひとつとしての訴訟乱発があり、医療者提供者にとっての、いわゆるトンデモ訴訟とトンデモ判決とされるものが、どう考えても「医療的・科学的」には防げるはずも無いことまで医療提供者側の責任を追求されていることで医療提供者側の不満とそれに繋がる抑制的医療、医療体制の崩壊に至る現実があります。
これらの渡れを防ぐために今回の新組織が出来るのであれば、司法刑事との協調は不可欠であり「覚書」を交わしたと、論弁を述べているような厚労省の態度であれば、「謙抑的に働く」とされるこのシステムも信用が置けるものではありません。
最終的には刑事責任の免責を念頭において進めていかなければいけないものでしょう。
それでは、患者側・被害者側が納得しないという意見もありますが、既に被害者側という表現がいかがかと。また、裁判官/検察/警察は既に免責であり、それよりも一瞬を争って決断をしなければいけない医療者が免責であっておかしい理屈はない。
また、あなた方厚労省の通達の朝令暮改振りはどうか?
間違った政策をとっっても免責である官僚と政治家はどうか?
医療提供者が免責であってオカシイという理屈は無い。
2 「医療を受ける立場を代表する者」を入れるのはなぜか。
上記と同様、純粋に科学的・医学的に判断を行うのであれば、素人の参加は不要であって、感情論に流されてはいけない。
そもそも「代表する者」の定義とは?
医療提供者側にすでに否定的な運動をしている団体が含まれるべきでもないでしょう。
また、患者・家族の判断・選択は多種多様であり、それを第三者が代表することはできませ
ん。ひとりひとりの多様な選択を尊重するためには、むしろ当事者である患者.家族本人が、その希望によって参加するか否か選択できるようにするべきでしょう。
それさえも、感情論に走ってしまっては科学的な審議が不可能になる場合が容易に推測できます。
・・・と、たったこの二点だけでも問題点が満載しており、不十分な検討しかなされていないこのシステムをこの短期間で決定してしまうことは、既に回復不能になってきていると思われるこの医療提供システムを、更に未来の長期に渡って崩壊させてしまう可能性が高いと思われます。
官僚.政治家の実績を作らんとするために今年度の完成を目指しているニュアンスが少しでもあるというならば、それはやめるべきでしょう。
あ、官僚の方々にとっては免責なんでしょうけど。崩壊させても。部署異動すれば関係ないでしょうからね。
しかし、我々は違います。
これから先もずっと現場での臨床を担っていかないといけないのです。
不完全なシステムを作られても困るし、問題点があったからといっていつもの如く朝令暮改されても困るのです。
≪勝手なまとめ≫
・裁判官/検察/警察は既に免責であるにもかかわらず、医療者に認められないのはおかしい。
・法律家を医学の調査のために入れるのはおかしい
・厚労省の医療行政は無責任だ
【242】 40代 医療機関管理者 p449
1. 結論
この第三次試案に基づいて立法し、医療死亡事故について、分析・評価を専門的に行う機関を拙速に制度化することに、反対します。
2. 総論
医療に関連して起こった不幸な出来事を医学的科学的に調査し、再発防止に役立て、患者さんと医療との間の溝を埋めていく努力と施策は必要です。ですが、今回提示された第三次試案は、第二次試案と同様の以下の問題を内包しており、このままの拙速な制度化は賛成できません。
(1) 医学的科学的な充分な調査がなされません。
(2) 起こった出来事の経緯の解明も充分にはなされません。
(3) 医療事故の再発防止に役立てられる見込みは乏しいものです。
(4) 刑事司法の手続を何ら抑制するものではありません。
(5) 調査と行政処分の権限が集中する厚生労働省の権限は強大なものになります。
(6) 患者さん側の理解を得られる見込みは乏しいものです。
これを制度化すれば、医療破壊を決定づけるものとなります。なぜなら、高度な、リスクの高い医療の場から医師が去り、医療の現場は萎縮し、医療の進歩は阻まれます。それとともに医師は自律を奪われます。すなわち医療は後退しモラルが失われるおそれが強いからです。
医療に関連して起こった不幸な出来事を調査する目的は、
1) 医療を提供する側と受ける側の間の溝を埋め軋轢を減らし、
2) 事故の再発を防ぎ、医学医療を発展させる
ことにあるはずで、これらのことが、真に国民の生命、健康と幸福のためになります。
そのための
1) 調査、
2) 再発防止策の確立、
3) 患者さんとご家族の支援、
4) 医療を受ける側の理解を得ること、
これらのための制度や組織を、医療安全調査委員会 ( 仮称 ) 単独で担うことは困難です。
医療に関連して起こった不幸な出来事を調査する制度や機関 ( 以下「調査機関」と表記 )、処分と医療機関の改善策や再教育制度、調停や ADR などの複数の法制度、組織の創設を、充分に時間をかけ、広く現場からの意見を集約し、検討を重ねてつくり上げていかなければなりません。
よって、この第三次試案の制度化には、反対します。
3.各論
3-1. 目的と位置付け
医療に関連して起こった不幸な出来事を調査する制度および調査機関は、
・刑事司法の手続を抑制することができる、
・医師に処分を下す場合、医師側を納得させられる、
・再発防止策のための量質とも充分な基礎資料とする、
これらを明文化した法規定で実現しなければなりません。個人の責任追及が前提では充分な調査はなされません。
目的は、第一に再発防止策のための基礎資料を作ることとすべきです。そしてその調査能力と権威、法的基盤で刑事司法の手続を抑制でき、医師も国民も調査結果に納得できるものでなければなりません。位置付けは、医療に関連して起こった不幸な出来事が重大な場合、捜査機関への通知の有無の判断、特に「重大な過失」という法的判断を医学的判断で代行するというものです。重大ということが、結果が重大なのか、原因・過程が重大なのか、一般の人が感じる重大さ ( 死 ) と、医療の現場でおこる様々な出来事の重大さが乖離しているので、何が重大で何が刑事手続相当かを医学の外で判断していては、医療を破壊へと向けてしまいます。
3-2. 届け出る基準
調査機関への届け出の基準、異状死の定義、診療関連死の範囲が曖昧なことが問題です。医療機関内での判断が、警察や裁判所に尊重されるだけの能力、権威、厳格な基準、明文化された法的根拠に基づいていなければ、医療機関が下す届出不要という判断は、無力です。患者さん側の納得とは曖昧で際限ないものであり、不充分で権威や法的基盤のない調査や個人の責任追及では、医療と患者さんとの溝は広がるばかりです。
3-3. 報告のシステム
世界保健機関 ( WHO ) が 2005 年に発表した医療 ( 患者さんの ) 安全のためのガイドラインとプログラム ( WHO Draft Guidelines for Adverse Event Reporting and Learning Systems および World Alliance for Patient Safety Forward programme 2005 ) をみまして、調査のために必要な報告者の保護について、第三次試案には欠陥があり、誠実で充分な調査がなされません。
3-4. 調査能力
調査機関は多数の調査を迅速にこなし、それぞれの案件をその分野の現役最前線の複数の医師が検討するというシステムが要求されます。不充分な調査結果をそのまま処分の根拠にされるのでは、医師の納得は得られません。
医療機関の内部調査および調査機関による調査の量、質、権威、法的根拠は、刑事訴追、民事提訴の動きを抑制することができなければなりません。これだけの調査がなされた上での行政処分、刑事訴追、民事提訴であれば、医師側は納得でき、はじめて医療破壊の一つの穴を塞ぐことができるのです。
3-5. 刑事手続の抑制
警察が捜査することが、医療破壊の核心の一つですが、第三次試案は、刑事司法の手続に関して、刑法、刑事訴訟法に何ら変更を加える手だてを講じないものです。
証拠隠滅や故意犯は刑事手続相当とする以外、刑事手続は明文化した法的根拠で制限しなければ、刑事訴追への入口が増えるだけです。
謙抑的であることは、これまでも刑事司法の大原則です。その中で福島県立大野病院の事件は起きました。第三次試案では、刑事捜査を減らすことはできません。診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業では、患者さん側が調査に納得されないことが少なくないことが分かってきました。患者さん側からの警察への届出や警察独自の事件の覚知によって刑事司法の手続が動き出すことを、第三次試案では止めることができません。
警察が証拠を押収すると調査機関は無力化されてしまいます。刑事手続において調査機関を優先するという明文化された法制度が必要です。
調査機関が「刑事手続不相当」という判断を下せる法規定が必要です。警察が捜査に着手しても、警察を凌駕するような誠実な報告と専門家集団による調査がなされていて「刑事手続不相当」と判断されているのだから警察は手を引く、そこまでの調査機関の権威と調査能力、明文化された法的根拠があってはじめて、謙抑的という言葉が信用できるようになります。
3-6. 調査チームに加わる有識者
調査機関は専門的調査と判断に徹することができるようにすべきです。調査機関の運営を管理し透明化するために有識者や法律家が加わることは必要ですが、個別事案への非専門家の介入は、調査の妨げにしかなりません。
4. 試案の各段落への意見
(5) 制度は、厚生労働省単独でいくら試案を積み重ねても不充分です。刑事司法、民事紛争解決、医療、それぞれの法制度を、連携をもってつくらなくてはなりません。
(8) 制度は、内閣府の下に設置するべきです。
(13) 医療の専門家以外のチーム構成員は、運営を管理し透明化するために陪席することを明記し、個別事案の調査に介入すべきではありません。
(19) 医師法第 21 条の改正文を例示すべきです。それとともに、異状死の定義を明確に法文で示すべきです。
(27) 第 5 項に「医療従事者等の関係者が、地方委員会からの質問に答えることは強制されない」との規定が入っていますが、これでは、誠実で充分な調査がなされません。供述における何らかの免責とともに正確な報告がなされる制度とすべきです。
(39, 40) 通知すべき事柄が明確でありません。例えば、消毒薬の誤注射が警察に通知すべき重大な過失にあたるかどうかも明確ではありません。システムエラーは通知しないということを明文化すべきです。
(51) 今後とも広く国民的議論を望むとするなら、第三次試案をもって最終案であるというような報道がなされることが理解できません。第三次試案で法制化したいという貴省の意向は伺っておりますが、矛盾するものです。
5. 提案
5-1. 法改正について
調査機関が、死亡死産に限らず、医療に関連して起こった不幸な出来事が重大な場合、例えば重篤な後遺症などにも機能し、調査が刑事司法の手続よりも優先するものとするべく、以下を明文化した法制度の改正で実現するように提案します。
(1) 診療行為に関連した死亡及び死産について、医師個人の届出義務を免ずる。
1) 医師法第21条の規定を改編又は追加し、「医師個人は診療行為に関連した死亡及び死産については届出義務を免れる」ことを定める。
2) 届出は「死亡・死産に限らず」、「調査機関に対し医療機関が行ってよい」というものし、そのために健康保険法、医療法などの医師法以外の法律に規定を新設するか、または特別法を設ける。
(2) 医療に関連した不幸な出来事の刑事訴追のための特別法を設ける。
1) 刑事訴追について、業務上過失致死傷罪の適用に関しては「親告罪」とする。
条文例 : 刑法第 211 条 1 項の罪は、医療に関連する不幸な結果について適用しようとする場合は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2) 調査機関の「刑事手続に付すことが相当」という「意見」、すなわち「告発」を起訴の必要条件とする。
3) 被害届、告訴、告発があった場合、捜査機関は調査機関に通知・回付し、調査機関の「意見」が出るまでは捜査しないように規定する。
(3) 証拠の取扱のための法規定を定める。
刑事訴訟法第 47 条の「但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない」という規定を調査機関による調査で生かすため、特別法にてその例外を「捜査機関は保有する証拠を調査機関に開示する」ことと規定する。
5-2. 調査機関の任務について
調査機関は、厳密な科学的・医学的調査だけを行うこととします。調査報告書をまとめ、患者さん側、医療機関に提示するとともに、刑事手続相当・不相当の判断を下すところまでを任務とします。それ以外の、再発防止策の確立、患者さんとご家族の支援、医療を受ける側の理解を得ること、処分などの機能は、それぞれ独立した他の組織、制度で担うべきです。
【243】 40代 医師 p454
(結論)実際に公立病院で勤務する立場の医師として第3次試案をこのまま制度化することに反対いたします。理由は2点です。
(理由1)思案の内容が現場、特に公的病院で献身的に努力を重ねている多くの医師の意気をそぐものであること。
(解説)医師個人ないし、所属する医療機関の責任追及と処罰を前面に出した試案が制度化されれば危険を伴う医療現場(手術、救急、出産、小児医療、末期癌診療など)にあえて従事しようという気拝は失せます。細かい文言を訂正すればすむという問題ではありません。試案の背景にある性悪説的な考え方に違和感を覚えるのです。また試案が制度化されても警察や司法の不当な介入が減るという根拠はありません。これでは現場の医師の不安感をあおるだけです。現在でも医師不足が進行している状況で地域医療は崩壊の危機にありますが、試案が制度化されれば一気にその流れを加速することになると思います。良心的な医師、医療関係者が第一線を離れれば、良質な医療など提供できるわけがありません。医療は末端で働く医師(学会や医師会の上層部ではありません)・看護師その他の医療関係者がいなければ成り立たないことをもう一度考え直す必要があると思います。
(理由2)制度を運用するための基盤が整備されていないこと。
(解説)死亡例を対象にするのであれば解剖は必須となりますが、制度を遅滞なく機能させるための人的資源はどうやって確保するのでしょうか。現状では病理解剖、司法解剖ができる医師の数は限られており、余裕もありません。その他、公平な調査を行える人材、知識や経験の豊富な専門家が簡単に確保できるとは思えません。医療は専門分化が進んでおり、微妙な判断が要求される調査委員会に適切な人選を行い、かつ従事させることなど到底不可能と考えます。専門外の人々が判断をすることになれば公平性、中立性は全く担保されなくなると思われます。
≪勝手なまとめ≫
・試案の背後にある性悪説的なものに違和感を感じる
・試案が制度化されても警察や司法の不当な介入が減るという根拠はありません
・専門外の人々が判断をすることになれば公平性、中立性は全く担保されなくなる
【244】 p455
【47】と同じ
≪勝手なまとめ≫
・重大な過失、届出の適宜があいまい
・警察・検察の公式見解は書かれていない
・警察への通知はすべきではない
・行政処分権をすでに厚労省は十分なほど有しており、それを強める案には賛成できない
・医師法21条の拡大解釈をやめるべき
・警察の謙抑的は信用できない
・届け出範囲を「限定する」制度上の担保は存在しない
・「制度化」は「義務化」を意味する
・委員会は、責任追及の機能をもつ
・この委員会が原因究明を目的としているとは考え難い
【245】 40代 医師 p457
本試案では、善意で治療を行ったが、その結果、患者死亡にいたった場合に、重大な結果のみを重んじて医師が刑事訴追を受けるリスクを除外できないと考えます。故意の犯行や証拠の隠蔽工作など、悪質な事例以外は検察・警察が介入しない、あるいはいったん介入しても犯罪性が否定された場合にはただちに、捜査せ件を取りやめるといった約束事が明文化されている必要があると考えます。
【247】 40代 医師 p458
東京都で眼科医をしている峰村と申します。
今回の法案は、警察・検察捜査とまったく独立していることから、到底容認できません。
また、そのことを明示せずに各団体から同意を取り付けようとした日本医師会の振舞い方も異常でした。そもそも、医療事故調査委員会のようなものができたところで、患者の満足は得られないものと考えられます。モデル事業で検討した8例中、患者側の納得を得た例がわずか2例だったと聞きました。
刑事免責も無く、患者の理解も得られないような事故調査委員会では、医師にとって特にメリットも無いことですし、もうちょっと医療の限界について国民の間で議論されてから検討すればよいと思います。それまでは現行どおり司法の場での紛争解決を継続すればそれで良いのではないでしょうか。
【248】 医師 p459
(7)委員会は、医療関係者の責任追及を目的としたものではない。とあるが、事故調の資料が捜査資料あるいは裁判の資料として利用されうる(問4)場合、遺族あるいはそのほかの当事者が、事故調による調査の後、判断の如何にかかわらず民事訴訟を起こすことは防止できないのではないか。
l. 医療に関する(業務上)過失致死傷罪を親告罪とする。
2.医療安全委員会による「刑事手続き相当」意見を、刑事捜査着手および起訴の要件とする。
3,民事の医療紛争では、訴訟に調停(or認定ADR)を前置強制する。このくらいのことがないと、医師が身に覚えのない訴訟でおびえることはなくならない。
(25) 「遺族」による原因究明の要請で、地方委員会による調査が行われるとあるが、「遺族」とはどの程度の範囲の親族を指すのか不明。全くこちらと接触のなかった遠縁の親族が、事情を詳しく知らずに請求することもあるのではないか。
原因究明の時効についてはどうか。数年後になってから、急に原因究明の要請が来た場合、検討そのものが難しいのではないか。
(51)医療関係者の大部分は、おそらく協力しないだろう。このような自分の首を絞める制度には。それに、この全国的な医師不足の中、このように難しい問題を扱える医師を、どこから調達するつもりなのか。国民に知らしめることには、もっとほかにいろいろあるのではないか。たとえば、医療の不確実性についてなど。
地固めをせずに、医療従事者のほうのみに負担を強いるような制度は実効性に欠ける。
医療というものが不確実であり、最大限の努力をしても納得のいかない結果になることがあることを、もっと国民に広く知らせてほしい
【250】 50代 医療機関管理者 p461
これまでも同様の意見が多数あるとは思いますが、医療とは本来死と直面した仕事と了解しています。だからこそ聖職などと言われてきたはずです。
助けようとして助からなかったときの落胆は患者のみならず医療者にも当然発生します。
普通は、次に何に気を付けるべきか、何をすべきかを経験として集積し熟練した医師になるはずです。医学部で6年、研修医で2年やったところでやっと駆け出しでしょう。
自分の経験、他人の経験を生かして技術の進歩、医学の発展が期待できると思います。
責任を追及される危険を感じながら、自分が担当した不幸な結果に終わった例をはたして何人が報告するでしょうか。民事の損害賠償はともかく、刑事事件とし処理されるようであれば、医学の進歩のために自分が犠牲になりましょうと申し出る人は非常に少ないと予測されます。その結果、他人の経験を利用させて頂く機会が非常に少なくなり、結果として医学発展の芽を摘むことに成りはしないでしょうか。
刑事訴追は、たとえば麻酔薬を看護師に注射して乱暴しようとした例などでおこなうものであり、医療による結果で判断され訴追されるとなれば死の危険に直面する検査や治療は誰もが敬遠し、結果的に“たらいまわし”が増えるだけと考えます。
医療上の出来事は刑事捜査からはずすのが今後の日本の医療を正しい方向に進める道だと思います。
自分はともかく子供たちに"期せずして殺人犯になる''道なら選ばせたくありません。
【251】 p462
「第三次試案に対する賛否」の件ですが、以下の理由により反対いたします。
・「故意や重大な過失があった場合」の"重大な過失"の定義が不明確である。
・原因究明,再発防止のために設置する医療安全調査委員会の中立性が不明確である。
厚生労働省と完全に切り離した中立的な立場の組織とする必要がある。医療安全調査委員会の調査結果を行政処分の根拠として使用しないという明確な言明が必要と考えます。
・同委員会の調査結果と警察の捜査に対する対応が不明確である。これらと同様に医療安全調査委員会の調査結果を警察の捜査資料として使用しないという明確な言明が必要と考えます。
【255】 30代 医師 p463
医療安全調査委員会第三次試案についての提言
1.中央委員会設置場所について
設置場所は厚生労働省は適当でないと考えます。内閣府直下に設置し、構成メンバーは官僚(もと官僚も含む)を一切除外する必要があります。決して天下り的な箱ものとならないためと、厚生省の医師は臨床経験に乏しく、正当な医療判断を下す事ができないからです。
2.調査委員会構成メンバーについて
構成メンバーの有識者、とくに医師の選択はたいへん重要であり、臨床経験豊富である必要があります。また教授であっても、決して最近の治療方法に詳しい訳ではなく、医師の年齢による「標準的医療の違い」というものが存在します。また、これは医局間でも存在します。
そういう意味で、メンバーには年齢的、地域的にも幅を持ちた臨床医を選ぶ必要があります。
と同時に、臨床に忙しくしている医師をどうやってメンバーに(期間限定であれ)加えるのか.実務的な案が必要だと考えます。
3.医療事故届け出の範囲について
第3次試案の届け出範囲は決して明瞭でないと考えます。
実例をだします。
最近静岡県厚生病院で早期胎盤剥離により、母子ともに死亡する事件がありましたが、これは届けは必要でしょうか?必要でないのでしょうか?術後死亡する事は予期できないと思われますが、早期胎盤剥離で胎児死亡まである場合、用水塞栓などで母体が死亡にいたる事は、合併症の範囲内での出来事です。つまり予測は不可能だけれども、起こったあと、それはありうる、といえる出来事です。こういう境界線上の事例は、臨床の現場には非常に多く、これらの扱いを明瞭にする必要があります。
4.法務省、検察庁との関係
報道によれば、法務省、検察庁はこの第三次試案に同意した訳でもないようですが。
警察の介入に対して、どのような関係,事態になるのか。医療事故の扱いそのものをシステムエラーとするなら、業務上過失致死罪という個人の罪にしていいのか。新たな法律の制定が必要だと考えます。この事を抜きにして、調査委員会を進める事はできないと思います。
5.遺族の方への対応
まず、医療事故に対しては、紛争防止、遺族の方への対話が最優先だと思われます。そういう意味に置いては、ADRがまずありき、です。事故調査委員会は現行案ですと、遺族の方への状況説明の,1ツールにすぎませんし、その役割さえも果たしてきちんと果たせるのか疑問です。
遺族の方への対応をどうするか、という役割も併せ持つ必要があると切実に感じます。
医療紛争の多くは、説明不足、言葉の行き違い、誤解がそもそもです。医療者は時間がなく、患者は病気について理解をふまえられないまま治療にのる、不安と不満を抱いたまま、思わしくない結果が出れば、医療者のせいにしたい気持ちもわかります。
対話に時間を割く。この大変に時間を裂く仕事を、どこかが責任を持ってしないことには、医療紛争は解決しません。調査の結果を伝える役割は、主治医と遺族のコミュケ-ションを取り持つ役割も併せ持つと考えます。
臨床心理士をチーム加え、遺族の方の声を聞き、死の受容をうながし、担当医への思いを伝える、そういう役割をするチームを取り入れる必要があると思います。
以上です。
各学会からもパブリックコメントが提出されているのを読みました。
このまま第3事案を通すのではなく、第4事案-とつなげていただける事を切望いたします。
≪勝手なまとめ≫
・内閣府直下に設置
・調査委員会構成メンバーは経験豊富である必要がある
・届け出範囲は明瞭でない
・業務上過失致死罪との齟齬
・事故調査委員会は現行案ですと、遺族の方への状況説明の,1ツールにすぎませんし、その役割さえも果たしてきちんと果たせるのか疑問
【257】 40代 医師 p466
地方病院勤務の病理医です。
第三次試案についての意見を2点、述べさせていただきます。
1.二兎を追うもの一兎を得ず
モデル事業の経験が十分に生かされないまま、机上の論議がただ先行しているように思えます。数年間、実施したモデル事業で、どれほどの真相究明と、今後の再発防止、遺族の満足(納得)が可能となったというのでしょうか。
モデル事業と比較して、どれほどの点が改善されているのでしょうか。
真相究明と再発防止はシステムとして関連しうるものですが、遺族の満足(納得)はグリーフケアの問題が大きく、同時に目的とするのには無理がありすぎます。
二兎を追うもの一兎を得ず、となるのは明らかです。
あまりに百花緯乱的で、非現実的な試案だと思います。
2 誰が解剖するのでしょうか
モデル事業での取扱件数は56件/2年間程度と聞いています。目標は200件程度だったそうですが。解剖担当医が最も多い都市部で実施したモデル事業でこの数値。
この事業を全国展開するのならば、誰が解剖するのでしょうか。
Aiを導入しても、一定数の解剖は必要でしょう。日本病理学会としては協力する、という姿勢のようですが、学会の理事は全員大学教授、病理学講座の教授は実際に解剖することがほとんどない立場であり、学会でも現場の病理医ではなく施設責任者を対象とした調査以外はなされていません。
学会員一般の意見を集約すれば「協力できない」という意見の方が多くなることが明らかなため、全学会員を対象とした調査をせずに現在に至っています。私が見聞している限り、若手病理医の大多数は現在の仕事で手一杯です。病理医が医療関連死の解剖へ駆り出されるならば病理医数の減少に拍車がかかることでしょう。
≪勝手なまとめ≫
・事故調の目的が多様すぎてうまくいくとは思えない
・解剖が追いつくとは思えない
次回は【258】 p467からo(^-^)o ..。*♡
238の患者家族のかたに以下の、資料を送ろうと思いましたが、送ったところで理解不能かもしれませんね。
相変わらず患者家族の医療安全システムへの認識が全くできていないですね。
そういう考えではダメだって、海外では認識されているにの学習能力なしです。
故意でも悪意でもない診療関連死や有害事象には刑罰を問わないのが世界の流れ。
患者家族にそれを理解してもらうのは、もう無理だと思います。
An organisation with a memory
Report of an expert group on learning
from adverse events in the NHS
chaired by the Chief Medical Officer
http://www.patientsafetyalliance.scot.nhs.uk/files/DoH%20report%20%20An%20organisation%20with%20a%20memory.pdf?fileid=301
「診療関連死を個人の責任に帰して刑罰を下しても、医療安全には何の役にも立ちませんよ、って書いてありました。
これ、イギリスのやり方・・・以前は、誰かの責任(医療職)にして罰を下して、その人をスケープゴートにしていたけが、それは間違いであり、刑罰フリーにして、当事者をスケープゴートとせず医療行為が正当なものであると説明させることにする」
イギリス
Natinal Patient Safety Agency
National Reporting and Learning System: an Overview
http://www.npsa.nhs.uk/patientsafety/reporting/general-overview-of-the-nrlsgeneral-overview-of-the-nrls/
アメリカ全体の流れ
アメリカ保健局(厚生省相当)
Regulation of Health Policy:
Patient Safety and the States
http://www.ahrq.gov/downloads/pub/advances/vol1/Weinberg.pdf
アメリカの在郷軍人病院ののポリシー
Culture Change: Prevention, Not Punishment
http://www.patientsafety.gov/vision.html
投稿情報: 鶴亀松五郎 | 2008年6 月10日 (火) 09:03