(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
個人用のパブコメ中間発表の整理を始めてみました。
OCRですので、誤字脱字はお許しください。
あとざっと独断と偏見でまとめを。
↓ 今までの分です
やっと中盤よりちょっと前まできました~o(^-^)o ..。*♡
ぱちぱちぱち!!!
いえ、現実社会ってね、誰も褒めてくれないから
自分で自分を褒めようかなっとおもって(笑)。
まず、おすすめは苦労なさったに違いない筆頭【179】!!
モデル事業にかかわった茨城の方です。
せひせひ読んでくださいませ!
また【180】血液内科の先生の仰ることももっともです。
ちょっと強調してみましたo(^-^)o ..。*♡
【181】の寓話も優れものです。
【188】も秀逸!【192】は心をうちます。
【196】は事故関係者でもない一般の方。
定型文でもなく、自分の言葉で。
こういった方のパブコメ中盤まで来て初めてです。
医療に関心持ってくださってありがとう(>▽<)!!!
【198】前半部分もおもしろいです。
最後【207】だけは読んでください。。。
ではどうぞo(^-^)o ..。*♡
【179】 50代 医療基幹管理者 p353 【モデル事業参加者!!】
三点ほど指摘させていただきます
■モデル事業に参加して
私は茨城県のモデル事業に立会い医師として会議に参加してみて、これを日常的にこなしていくのは非常に大変なことであると感じました。
病理主導で会議は進みましたが、肝心の死因に関して、臨床的な判断が誤っていたためにあらぬ方向に向かうところでした。これを防止するためには専門家を数名参加させる必要があります。少なくとも内科、外科は必要で、そのほか各科の専門家からチェックを受けられる態勢は必須です。現実問題としてはかなり難しい。
この会の評価をもってして、民事刑事の判断材料とされたり、公的な判断の資料とされるのでは医療サイドは納得できないと思います。
■モンスターペイシェント対策
世の中に常識の通らない人がいます。どうしても納得してもらえない人。
彼らは精神構造が違うのか、金目当てなのか。
一方、医師が裁判にかけられることになると、もはや仕事はできません。たとえ、勝訴したところで患者不信、医療不安などで現役復帰は難しいとされます。憲法上保障された権利とはいえあまり気楽に(裁判ないし医療事故調に)訴えられるのではたまりません。審議にかかる前に、訴えに医学的理があることなのかきちんとしたチェックを通してほしいのです。
■医療安全調査委員会について
ヒューマンエラーは人間である以上付きまといます。これは、いかに学問をつんだところで減らせるものではありません。しかし、従来の判例では、個人のエラーは罰せられています。
我々医療者は公的に決められた条件の中で仕事をしています。特に、限られた経済状況の中ではエラーを減らす努力には限界があります。この点を勘案した評価を下すべきである。これば三次案にも触れられていました。したがって、該当する条件下では確率論的に無理なからぬことであるのか、見極めての評価をしてほしいということです。
私はニュースになるような投薬量のミス、患者取違えなどは、不幸なことではありますが、万が一回のことであり、ある程度の見舞金を払って解決をつける問題ではないかと考えています。(民事裁判でこの点において訴追されるときりがなくなるので見舞金を持って免責とすべきです)。国民的には解決のため途方もない医療費になることは望まないものと思います。我々は仕事を終えるまでは帰宅できません(患者は死んでしまいます)、当直の日の32時間勤務は当たり前と思っていました。この条件でのエラーの責任は管理者、役所、国民的合意にまで及ぶものと考えます。
したがって、この際の判断はエラーをしたかどうかではなくて、きめられた対策(これは逐次事故調により更新されていく)をとっていたかどうかになるものと思われます。
【180】 50代 医師 p354
1はじめに
(1)から(4)までに書かれている理念は賛同いたします。
2医療安全調査委員会(仮称)について
委員会の設置
(8)委員会の設置場所に関しては、行政、当事者から独立した機関で、中立性を重んじるべきであると考えます。
(13)地方委員会で医療の専門家、とくに病理医や法医の専門家をどうやって確保するのでしょうか。ただでさえ少ない陣容で、増え続ける業務をこなしている彼らに、さらに負荷をかけるのでしようか。
(14) 「調査対象となる個別事例の関係者は、地方委員会による調査に従事させないとする。」とあります。その通りと思いますが、現実的には他県などから医師を派遣するのでしょうか。それとも中央に人的なプールをして派遣するのでしょうか。救急医、小児科医や産婦人科医も足りないかもしれませんが、地方では解剖をする医師はもっと少ないと思います。彼らを引っ張り出すということは代わりのいない病院では、業務が滞るばかりではなく、多忙が原因で日常の診断業務で彼らが誤診をするリスクが高くなる可能性があるということも考えなければならないと思います。一度各県、地区にこのようなことが可能な医師が何人いるか、また彼らの意見を尋ねるべきと思います。
医療死亡事故の届出
(17)「図表のように明確化して限定する.と書かれています」が、明確化できないことがあるので、現実的にはトラブルが生じています。私は血液腫癌を専門にしており、現在は総合診療にも携わっていますが、明らかな事故でなくても白血病などの厳しい治療には避けることが出来ない治療関連死亡があります。これは防ぎようがないものですし、これを怖がって治療をしなければ患者さんは白血病で確実に死亡されます。そしてこの場合も届けなければならない必要性が生じます。またこの制度では臨床試験で亡くなられるようなことが起こりますと、これも届ける必要が生じるかと思います。また適切な届出をしない場合の罰則も残されており、第二次試案とは実質ほとんど変わらないのではないでしょうか。さらに厚労省は、刑事罰の立件には使わないと明言されていましたが、国会質問で「法務省と厚労省は協議を行ったが、具体的な文書によるすりあわせはなかった」との法務省および警察庁の答弁がありました。このことをどのようにご説明するのでしょうか。
医師と患者さんの関係でもうそが間に入るとその信頼関係はなくなってしまいます。医師と厚労省は対立するものでなく、日本の医療を力をあわせて支え、発展させるものと信じていますが、その信頼を損なうようなことがないようにお願いしたいと思います。
この制度での届け出が義務付けられれば、いまでさえ仕事が大変ということで若い医師から血液内科医は敬遠されていますが、さらに志望する医師が減少することになり、また治療法の開発に必須の臨床試験をやるような医師も激減すると危倶いたします。そうなることは日本国と国民にとってなんらメリットはないと考えます。
遺族からの調査依頬
白血病などの血液腫癌の患者さんは治癒せずに亡くなられる方が多いのですが、みんな治ると勘違いされている患者さんやその家族がいらっしゃることも事実です。治らなければ、治療のミスがあったのではないかと言われるご遺族もおられますし、死ぬと言わなかったのに死んでしまったと責められることもあります。現在では患者さんに病気のことに関してすべてをお話しますが、死ぬことを強調して話すことはありません。なんとか希望が持てるようにご説明をするのが医師としての務めと信じています。しかしこのような誤解が生じないようにするためには、死ぬことを強調して話をする必要があるように思えます。考えただけでも気分が滅入る話ですが、犯罪者にならないためには、こうする以外にこの制度では方法はないのではと思います。
以上、この制度ではリスクの高い医療を行っている医師や解剖担当医の減少を招き、医療の崩壊をはやめるだけであると考えられますので、この第3次試案には反対です。この試案の理念には賛同いたしますが、ここに書かれているような制度には反対です。現場の実情を示すデータ(県に解剖が担当できる医師が何人いるのか、彼らの日常業務との兼ね合いはどうなるのか)がなければその運用が可能かどうかも判断ができず、またこのままこの制度が成立した場合、地域の医療格差がさらに明確になると思います。
≪勝手なまとめ≫
・理念には賛同する
・中立的な機関で行うべき
・ただでさえ少ない病理医・解剖医に負担をかけるのでは
・ 「調査対象となる個別事例の関係者は、地方委員会による調査に従事させないとする。」とあるがその代替要員は?
・届出が曖昧 また治験中の死亡等も報告するのか
・医師と患者さんの関係でもうそが間に入るとその信頼関係はなくなってしまいます。医師と厚労省は対立するものでなく、日本の医療を力をあわせて支え、発展させるものと信じていますが、その信頼を損なうようなことがないようにお願いしたい
・届出義務づけによって若い医師から血液内科が敬遠されてしまう。
・現在では患者さんに病気のことに関してすべてをお話しますが、死ぬことを強調して話すことはありません。なんとか希望が持てるようにご説明をするのが医師としての務めと信じています。しかしこのような誤解が生じないようにするためには、死ぬことを強調して話をする必要があるように思えます。考えただけでも気分が滅入る話ですが、犯罪者にならないためには、こうする以外にこの制度では方法はないのではと思います。
【181】 50代 医師 p357
第三次試案には残念な思いを持ちました。その正直な思いを『お医者さんの過てる語』に記しています。私の意見は第一次、第二次試案のコメントに記しましたので繰り返しません。ただ、1点追加と結論を述べるのみにします。
前の試案において、「(調査結果を捜査機関に報告することについて)診療関連死を異状死届出義務の対象から除外し、自己を『業務上過失致死事件』の被疑者の地位におくことを回避したいという率直な気持ちも反映されている」と記され、免責を求めるのは医師の身勝手という見方が示されています。しかし、これは「結果が悪ければ悪いのだ。罰せられて当然」という日本文化に基づきます。実際、医師と看護師の卵である医学・看護学生に意見を求めても、大多数が「結果が悪ければ自分たち(医療者)は罰せられて当然」と応えています(TanidaN. Ethical view of first-year medical students and nursing students in a joint bioethics course.医学教育2005;36(5):315-321)。免責を求めるのは医師の身勝手からではなく、第二次試案のコメントで述べたように「患者の安全文化を創る」という視点から論理的に導き出される理性的な対応なのです。
私の結論は、「事故防止には調査対象を限定しないことが大切なので、具体策は第二次試案を元に構築し、その中には『調査結果は刑事に利用しない』も含まれなければならない」という意見です.
お医者さんの過てる語
今は昔、M文明には「目には目を、歯には歯を」というお医者さん-の罰則がありました。手術中に誤って患者さんが死んだときはお医者さんの腕が切られました。患者さんの眼がつぶれたときは、お医者さんの目もつぶされました。しばらく後に、G国の歴史家H さんが訪れて不思議がりました。その国では病気になると、患者さんが道端に出てくるのです。通りすがりに患者さんを見かけた人が話しかけています.話し込む人とすぐに通り過ぎてしまう人がいます.怪訝に思ったH さんが話し込んでいた人にわけを尋ねると、「この国には医者がいないから」が理由だとわかりました。患者さんと同じ体験をしたことのある人が対処法を教えているのです。そういった場合に、知らぬ振りして通り過ぎるのは許されないそうです。
その後、Rという帝国が栄えました。R帝国はG国を滅ぼしたとき、その国の民を奴隷にしました.しかし、R帝国はとても寛大でした.奴隷とはいえ、専門職を優遇したのです。お医者さんも大切にされて、R帝国の医学医療はずいぶん発展します。やがてR帝国もGEの侵略などによって終焉を迎えます。支配者となったGEは、お医者さんが誤ると厳しい罰を与えました。そうして、GEからお医者さんの姿が消えていきました。でも、GEの人々に困った様子はありません。病は自然に任せればいいのだし、いざとなったら魔法医に摂ればいいわけですから。
それから数百年後、東洋のN国は医療過誤への罰則を定めた律令を作りました。処方ミスや死亡事故には強制労働がかせられます。さらにその千数百年後の今日でも、N国では過って患者さんを傷つけたり死なせたりしたお医者さんを罰しています。N 国の人々は「医者の過ちは犯罪」であり、「見せしめが犯罪防止の特効薬」と信じているようです。「見せしめ」を見せつけられたお医者さんたちは、治療に難渋しそうな重症の患者さんや妊婦さんを敬遠するようになりました。それでも、科学の発展の恩恵です。M とは異なり、N国の患者さんたちは金属の駕寵に乗せられ専門の人々に面倒をみてもらえるようです。
患者さんに被害が及ぶので、困ったN国の人々は状況を改善しようと相談しているようです。でも、それまでのやり方は変えずに、ほころびの辻褄を合わせようとしています。相談に集まった人々は、自分たちの仲間に「いい案ができた」とそれぞれに都合のいい説明をしているようです.伝統的に論理性がないと言われてきた人々です。おまけに「井の中の蛙」を金言とするためか、他の国々の合理的方法には関心がないようです。ちなみに、このN国の人は、「医者のいない国なんてあるものか。高名と言われるが、Hもとんでもない間違いを記したものだ」と評価しているようです。
≪勝手なまとめ≫
・医療において刑事事件・個別処罰は医療安全のためにそぐわない
【184】 40代 医師 p360
第三次試案に対して私は反対です。政府の第三次試案は、WHOによる患者さんの医療安全ガイドライン(1)に真っ向から反対するものでありグローバルスタンダードに逆行するものです。なおかつ現場医療を崩壊させるものに他なりません。
(1) WORLD ALLIANCE FOR PATIENT SAFETY
WHO Draft Guidelines for Adverse Event Reporting and Learning Systems
萎縮医療は既に進行していますが多くの医療関係者は良心に従い全力を尽くしています。このままでは少しでもリスクがあれば手を出さなくなるでしょう。確実に良くなる患者にしか手を出さなくなるでしょう。それで幸せになるのは誰ですか?
≪勝手なまとめ≫
・萎縮医療はすでに確実に進行している。
・WHOの基本に沿った医療安全システムを!
【185】 20台 会社員 p362
【47】と同じ
≪勝手なまとめ≫
・重大な過失、届出の適宜があいまい
・警察・検察の公式見解は書かれていない
・警察への通知はすべきではない
・行政処分権をすでに厚労省は十分なほど有しており、それを強める案には賛成できない
・医師法21条の拡大解釈をやめるべき
・警察の謙抑的は信用できない
・届け出範囲を「限定する」制度上の担保は存在しない
・「制度化」は「義務化」を意味する
・委員会は、責任追及の機能をもつ
・この委員会が原因究明を目的としているとは考え難い
【188】 50代 医師 p365
初めに,「責任追及を目的としたものではない」と第3次試案に書かれていますが.そもそもこの委員会の座長に.刑法学者を選考されたこと自体に,厚生省がこの制度をどのように考えているか,何を目的としているのかを象徴していると疑念を感じます.現状の非常識ともいえる医療費削減・勤務医師の酷使にともなう医療崩壊の責任の転嫁や,医療現場の実態を全く知らないマスコミにあおられた患者からの多くの根拠無き医師たたきのはけ口として,医療事故に対して医師のみの責任追及を行うことが大きな目的の一部であると感じます.
以下,個別の事項について.意見を記載させて頂きます.
過失の内容の軽重を,どのように決めるのでしようか?結果のみ(死亡)を重大視するのであれば,三次救急や重症難治疾患の診療は萎縮することは確実です.医療の高度化に伴い軽度のミスが,重大な結果を招く頻度は高くなっているにもかかわらず,そのような業務を遂行する職種に対する負担の軽減・保障制度が何もない状態で結果のみを追求するのであれば.そのような業務に従事する人はいなくなるでしょう.
医療分野に限らないことですが,司法・法律が社会の変化に対応できていないのは.周知の事実であり,そのような時代遅れの法律に渡った解決を求めること自体が危険であり,そもそも法的手段による解決は,医療事故にはなじまないと考えます.仮に,現在の司法に基づく処理に乗せるとしても,刑事司法は結果の重大性に着目していて,その取り扱いを変更することについて、警察・検察は,なんら厚生省との間での連携・相談がもたれていないことも明らかになっており.第三次試案の文面が実行される保障は全くありません
原因究明が目的であるならば.原因究明を行うべきは,事実関係を最も把握できている当事者である医療従事者であり,当事者の前に第三者が介入することは,むしろ原因究明を混乱させると考えます.まず当事者である医療従事者が医学的・科学的な真相究明を行い,患者・家族に十分説明し,当事者間の対話を十分に行ったうえで,それでも患者・家族の納得が得られない場合に,中立性を保つ代表として第三者の介入が必要となるのではないでしょうか?.医療に従事し,現場の日常を少しでも経験したことがある人間であれば,このことは容易に理解され,逆にこのことを理解しない,現場を知らない人間が.無理な制度を立ち上げるのかえって混乱を招くだけであると感じます.制度の目的の一つとして,厚生省が,正しい医療はこうあるべきだ,というお上の形を作ろうとしているのかも知れませんが.医療は,そのよ
うなステレオタイプの答えがあるものではなく,医療の場,患者,医療従事者.その他様々な要因により.答えはいくつでもあり得るものです。
繰り返しになりますが,初めに行われるべきは,医療従事者による真相解明(公平性.中立性を守るために専門家の第三者の関与は必要です)と,その結果を基にした医療従事者と患者・家族との話し合いです.厚生省に行って頂きたいことは,そこに法律家を参加させて法的な介入をすることではなく,そのような現場での原因究明・話し合いを促進するような環境の育成・援助(第三者専門家の人的・経済的支援,メディエーターの育成,さまざまな事務的なバックアップなど)であると考えます.
第三次試案を根本理念から見直して頂きたいと強く願います.
≪勝手なまとめ≫
・現状の非常識ともいえる医療費削減・勤務医師の酷使にともなう医療崩壊の責任の転嫁や,医療現場の実態を全く知らないマスコミにあおられた患者からの多くの根拠無き医師たたきのはけ口として,医療事故に対して医師のみの責任追及を行うことが大きな目的の一部であると感じます.
・医療分野に限らないことですが,司法・法律が社会の変化に対応できていないのは.周知の事実であり,そのような時代遅れの法律に渡った解決を求めること自体が危険
・まずは当事者同士の話合いによって、こじれた時には第三者の介入であるべき
・厚生省に行って頂きたいことは,そこに法律家を参加させて法的な介入をすることではなく,そのような現場での原因究明・話し合いを促進するような環境の育成・援助(第三者専門家の人的・経済的支援,メディエーターの育成,さまざまな事務的なバックアップなど)である
【189】 40代 医師 p366
「重大な過失」か「軽度な過失」かの判断や、悪質か否かの判断は、運用によってどのようにでもなりうると思います。過去の例では、薬剤や患者の取り違えといった、内容としては単純なミスでも、結果が重大であれば「重大な過失」とされています。警察・検察が、このような前例を踏襲しない保証はありません。
「責任追及を目的としたものではない」ならば、行政処分機関にも捜査機関にも通知すべきではありません。しかし、医療死亡「事故」の届出が義務化されれば、事故を隠したと誤解されることを避けるためには、結局、死亡事例をすべて届出ることになるのではないか、と懸念していますし、事故の疑いがあるとして届け出るのであれば、医師法21条の関係で、警察にも届け出ざるをえないように思います。
真相究明は多角的に行い、多様な意見を示す必要があります。そのような多様な意見を患者・家族が知ることは、納得を得るために重要なプロセスです。
「医療を受ける立場を代表する者」とは、具体的に誰を指すのでしょうか。患者・家族の判断・選択は多種多様であり、それを第三者が代表することは困難です。当事者である患者・家族本人が、その希望によって参加するか否か選択できる必要があると思います。
≪勝手なまとめ≫
・過失の基準が曖昧
・「責任追及を目的としたものではない」ならば、行政処分機関にも捜査機関にも通知すべきではない
・届出が義務になるのであれば全例届出にならざるをえないように思います。
・「医療を受ける立場を代表する者」とは?
・当事者である遺族に参加するかどうか決めさせればいいのでは
【190】 40代 医療機関管理者 p268
第三次試案の主旨が,「原因究明と再発防止にある」という点や「その目的成のために中立的な第三者機関を設ける」という点には賛同の意を表します。
05年「WHOのWORLD ALLIANCE FOR PATIENT SAFETYーWHO Draft Guidelines for Adverse Event Reporting and Learning Systems(患者安全のための世界協調有害事象の報告とそれに学ぶシステムについてのWHOガイドライン草案)」の第6章には報告制度を成功に導くための7つの条件が提示されている。これはあらためて指摘されるまでもなく、医療安全に関わる専門家の常識である。
7つの条件
1Non-punitive
報告者や関係者が、報告の結果、処罰を受ける恐れを持たないようにすべきである。
2Confidential
患者、報告者、病院の個別情報は決して明かされてはならない。
3Independent
報告制度は、処罰権限を持つ当局から独立していなければならない。
4Expertanalysis
報告は、医療がおかれた環境を熟知し、背後にあるシステムの問題を理解できるよう訓練された専門家によって分析されなければならない。
5Timely
報告は即座に分析され、勧告は迅速に関係機関に周知されなければならない。特に、重大なリスクが発見されたときは迅速性が重要である。
6Systems-oriented
勧告は、個人の能力ではなく、システム、プロセス、最終結果がどのように変えられるかに焦点をあてるべきである。
7Responsive
報告を受けた機関は勧告を周知させる能力がないといけない。周知された関係機関は勧告の実現を責務としなければならない。
しかし,第三次試案の内容は,上記7つの条件を満たしているとはいえない。これを制度化すれば、医療崩壊を決定づける。なぜなら、
1)医療事故の真相究明はなし得ない。
2)医療側にも患者側にも、真実はもたらされない。よって、患者側に納得が得られることはない。なおかつ、医療事故の再発防止に役立てられるごとはない。
3)刑事民事での事故の追求に与し、医療の現場は今以上に混乱する。
4)届出義務に加え、調査と行政処分の権限が集中する厚生労働省の権限は強大なものになる。
5)高度な、リスクの高い医療の場から医師が去る。医療の現場は萎縮し、医療の進歩は阻まれる。それとともに、医師は自律を奪われる。
よって「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明.再発防止等の在り方に関する試案一第三次試案-」のこのままの形での制度化には、反対する。
≪勝手なまとめ≫
・WHOの基準に合った医療安全システムの構築を目指すべき
【192】 40代 医療機関管理者 p370
第3次案に対する意見を述べさせて頂きます。
人間はミスをするものですが、医師がミスをすると、患者さんの健康に害がでる場合と患者さんが死亡する場合とがあります。それもちょっとした指示の書き間違い、思い間違い、思いこみからおこります。(ミスはちっちゃなことですが結果は重大になります)
現在の3次案では、届け出の範囲も暖味で、当事者の希望があれば全ての事案が刑事、民事により法定で争われるようになると思います。もしこれらのことを全て罪だというならば、臨床医は全員何らかの罪を犯していると思いますし、これからも犯すと思います。
(まともな臨床医なら、自分はミスしたことがない、これからもしないとは言えないとおもいます)
また、このままでは若いこれからの医師が育つことはないと思います。
故意の場合を除いて、保険診療下に置ける医療関連の死亡、障害は刑事、民事免責にするしかないと思います。もちろん、故意でなくとんでもない医療をしている医師がいるのは、その通りだと思いますが、このような変な医師に対しては他の対処方法を考えるべきであり、通常の医療行為を守り、国民のみなさんの医療を受ける仕組みを稚持するためには(医師が全員犯罪者となり医師がいなくならないためには)、いろいろ各方面には不満があるでしょうが、故意の場合を除いて医療行為関連の死亡、障害は全てを届け出にして、刑事、民事共に免責にするしかないと思います。(届け出た結果を分析してミスの発生しにくいシステムを作るしかないと思います)
≪勝手なまとめ≫
・故意の場合を除いて医療行為関連の死亡、障害は全てを届け出にして、刑事、民事共に免責に
・世界基準での医療安全システムの構築を
【193】 p371
正等な医療行為が刑事犯として裁かれる可能性が除かれないしくみの元では、安心して医療現場で働くことはできません。
医療過誤案件に関しては、医療安全調査委員会(仮称)の「刑事手続き相当」の意見がない限り、捜査機関は捜査に着手できず、また検察官は起訴できないようにする法的な対策を講じることを明記してください。そのためにも次回からは厚生労働省だけでなく、法務省・検察庁も作成者に加えて試案作りをすべきと考えます。
【194】 30代 医師 p372
本文
いわゆる「第三次試案」は以下の点において到底承服できるものではなく,抜本的な再検討に速やかに取り掛かるべきであると考えます。
医療関係者の責任追及に関する点
第三次試案(平成20年4月)の2ページに(7)「委員会は、医療関係者の責任追及を目的としたものではない。」とありますが、元来、厚生労働省には、責任追求の権限はありません。責任追及は、警察、検察、および裁判所の業務です。第三次試案の文面には、警察や検察との議論や協議の結果、警察や検察から医療関係者の責任を追求しないという裏づけは、書かれてはおりません。委員会の結論が刑事訴訟、民事訴訟、行政処分につながる可能性は否定できないことになります。現に国会の討論などにおいてこれが裏付けられており,このままでは医療関係者は警察や検察の理不尽な横暴にさらされます。
本当に委員会が責任追及を目的としない組織とするために、安全委員会の委員の守秘義務を明記すべきです。そして刑事訴訟法との関係(証言拒否権、押収拒否権や、民事訴訟法の証言拒否権、文書提出命令拒否権など)を明確にすべきです。
重大な過失に関する点
「重大な過失」として捜査機関へ通知すれば、捜査機関は当然、法的評価(刑法でいうところの重大な過失)にもとづき、捜査が開始されることになることが予想されます。過失という言葉をひとたび用いたうえは、刑法211条の業務上過失致死傷罪が適用されます。このために結果如何で多くの医師が本来罪に問われるべきでないところを罪に問われ,このことにより積極的にリスクをとって患者のために最善を尽くす医師がモチベーションを殺がれ,日本の医療は患者のためより医師個人や医療機関が責任を問われないための「萎縮医療」が蔓延しております。これでは官僚の方々は勿論国民のための医療にはなりえません。
厚生労働省は今回の調査委員会の第一の目的は原因究明にあると言っています。しかし、自己に不利な供述を強要されないことを保障した憲法38条1項、刑事訴訟法146条、198条2項等によって真実究明が困難になることが十分予想されます。加えてこの原因究明の名の下に事故調査結果が刑事処分に利用される可能性があるからこそ、上記の現行法による保証が必要かつ不可欠なものになると考えます。現実的には、事故発生初期の段階で患者遺族側に対して真筆な対応をすることが、相互理解を深め、紛争拡大を予防しうる最も重要なステップになると考えます。
医療安全調査委員会(仮称)の設置場所に関する点
医療安全調査委員会(仮称)の構成員として法律家が入ることが予定されています。委員会の活動には法的判断.法的処分も含まれることが予想され、厚生労働省の管轄外の部分も出てくることが考えられます。そのため一省庁を超えた独立性・中立性・透明性のあるものにすべきであ。、行政内に設けるとすれば、内閣府に設置するのがよいと考えます。現在も既に厚生労働省の医療における権限は医師の裁量権にまで大幅に踏み込んでおり,これ以上厚生労働省の権限をむやみに肥大化させれば.ひいては医療崩壊を決定的にします。厚生労働省の方々には,医療崩壊を他人事と考えず,いつ自分や身内が夜中に急病になる
か,そのときに受け入れて治療してくれる病院がなくなったらどうなるか,あるいは自分や身内が癌や心筋梗塞など命にかかわる病気になったときにかかる病院がなくなったらどうなるか,それを左右するのはあなた方の政策次第ということを真剣に考えてもらいたいものです。
≪勝手なまとめ≫
・委員会が責任追及を目的としない組織とするために、安全委員会の委員の守秘義務を明記し刑事訴訟法との関係(証言拒否権、押収拒否権や、民事訴訟法の証言拒否権、文書提出命令拒否権など)を明確にすべき
・「重大な過失」として捜査機関へ通知すれば、捜査機関は当然、法的評価(刑法でいうところの重大な過失)にもとづき、捜査が開始されることになる
・黙秘権等が保障されていないことになる
・厚生中立な場所への設置を望む
・厚労省は医療政策を間違えている。医療崩壊を加速させている。
【196】 50代 その他 p374(一般の方)
基本的には再発防止を図る制度機構は賛成です。
委員会の設置について、実際に機能するように権限等が明確でなければならないと思います。初期の段階で調査チームを含む地方委員会の質問に答えなくてもよいというような意味あいの言葉が記載されていては、医療事故が起きた場合、実態を把握することが難しく、本当に原因究明・再発防止に役立つ組織になるとは思えないです。
調査権限と処分権限を分離して、第三者が調査することはいいと思いますが、その調査の妨げになるようなことは何らかのペナルティを設けたほうがよいと思います。
≪勝手なまとめ≫
・地方委員会の質問に答えなくてもよいのでは本当に原因究明・再発防止に役立つ組織になるとは思えない
・調査権限と処分権限を分離して、第三者が調査するほうがいい
・調査の妨げになるようなことは何らかのペナルティを設けたほうがよい
【198】 40代 医師 p376
今回の試案がもし、可決され、実際に運用が始まった場合、日本の医療は完全に崩壊するだろう(既に崩壊している?)。我々外科系医師にとって手術前、手術中、手術後に予想外の出来事に遭遇する事がしばしばある。CT、MRI等の画像診断ではわからず、実際に手術を開始し、病変部をみて初めてわかる事が必ずある。予想外の出血にも遭遇する。この予想外の出来事に対し、いかに対処できるかが、経験および技術なのであろうが、どんなに経験があっても上手く対処出来ない事はある。合併症も発生する。治療を行うと必ず複数の選択肢がある。その時点ではこちらがベターであると考えて選択した治療でも結果が悪く、あのときこっちを選んでいればよかった、と反省すると、その反省を根拠に過失、結果責任をとらされる可能性があるのであれば、選択肢が複数あるような病気の患者さん(これは往々にしてリスクの高い疾患である)の治療を避ける事を考えたくなる。患者さんの状態を悪くしようと思って治療を行っている医師はいない。
皆、一生懸命、患者さんの状態を良くしようと思って働いている。それなのに結果責任をとらされ、刑事罰まで受ける可能性もあるという世界にも類をみない制度(グローバルスタンダードではない)が地方の小さな病院で働いていても、大都市の施設もスタッフも整った病院と同じレベルの治療を要求される様な時代になってきている。この様な事実もあり、地方で働く事のリスクを回避する様になってきている。今回の試案が実際に動きだすと、ほぼ間違いなく外科系の医師はリスクのある手術を避ける様になり、施設、スタッフが不十分な地方都市の病院からますます離れていくだろう。困難な手術に立ち向かう医師がいなくなれば、経験の蓄積はできず、将来を担う若い医師が育たなくなるだろう。現在、様々な情報が得られる時代になり、海外(特に米国)の医師の技術料が本邦と比較して何十倍も高いことを日本の医師は知る様になった。どの職業でもハイリスクハイリターンが常識であり、日本の医療界の様なハイリスクローリターンでは我々のモチベーションの維持ができない。従ってリスクの高い手術の現場からリスクの比較的低い所(開業、外来、外科医をやめる)に職場を移す事を真剣に考える事になる。
中立な立場の専門家による医療事故調査委員会を設置する事に基本的には賛成である。しかし、委員には患者・遺族の立場を代表する者も入っている。「処罰は謙抑的に」というが、その調査結果が刑事処分の根拠となる制度には反対である。
医療事故調査委員会は医療事故の真相究明と再発予防、医療過誤と不可抗力事故の峻別のために設置されるべきものである。不可抗力事故については,医療側は免責すべきだ。一方,患者の損失に対しては「無過失補償制度」の創設を考えるべきである。
医師不足解消のため、〝外国人医師に日本で働いてもらう〟との意見もあったが、三次試案が可決されたらこれだけで日本語が堪能な外国人医師がいても日本には来ないと思う。もっとも、可決されなくても現在の日本の医師の給料で、日本で働こうと思う外国人はいないと思うが...。
■刑事処分について
・現状において、「軽度な過失」でも処罰されている。「重大な過失」が軽度な過失」かという判断は、運用によってどうなるのか
・刑事司法が再び“暴走”する危険はないのか?
・単純ミスは「重大な過失」か?
○医師法
厚労省が医師免許取消・医師の業務停止命令の権限をもつ
・医療法に基づく医療機関に対する処分権限は都道府県がもっているが(地方分権の流れになる前から、歴史的にも医療は県の行政)、重複して国が処分権限を持たなければならない理由は何か。国に新たな権限を創設するのではなく、県に任せるのが筋ではないかoひとつの事案について、医療機関に対する処分と、医師(主治医等)への処分とが、両方発動される(厚労省が暴走する・単に処分が二重になるだけ)危険性が高い。
・現に、厚労省は、保険医取り消しの行政処分と、医業停止の行政処分を二重に行っている。医療機関や管理者に対する行政処分権限を創設すれば、医師(主治医等)に対する行政処分がなくなるわけではない。従って、「個人に対する行政処分については抑制する」保証はない。
■医療死亡事故の届出義務化について
・届出範囲を限定するとあるが、法令上の条文を個別ケースに適用するか否かは、法的判断をする者が個別に判断することであり、限定することを約束したことにはならない。委員会の結論が警察、検察に対して拘束力を持たない以上、その結論を尊重するといっても、具体的事件においては無視される可能性が高い。
・現に、厚労省は、犯罪等に適用されていた医師法21条を、医療にも拡大して適用した。厚労省が医師法21条の適用範囲を元に戻さない限り、法令の適用を「限定する」と言っても、信用できない。
・第3次試案の21条改正案では、医療機関が委員会へ届出なかった場合は、医師法21条に基づく警察の届出義務があるため、死亡事例すべて届出とならざるを得ない。上記の届け出範囲を「限定する」制度上の担保は存在しない。
・「制度化」は「義務化」を意味することは、西島英利議員の発言からも明らかであるo
・透明性の向上とは何か。医療者が患者・家族に十¥分説明し、当事者間で話し合うことではないのか。第三者が介入する前に、当事者間の対話を促進するため、院内医療メディエー
ターを置くといった措置が必要である。当事者間で十分対話を行い、それでも患者.家族の納得が得られない場合に、第三者の介入が必要となる。
■医療安全調査委員会(仮称)について
・そもそも真相に最も近く、原因究明を行うべき主体は、当事者である医療者であり、当事者の前に第三者が介入することは、むしろ原因究明を阻害する。まず当事者である医療者が医学的・科学的な真相究明を行い、患者・家族に十分説明し、当事者間の対話を十分に行ったうえで、それでも患者・家族の納得が得られない場合に、第三者の介入が必要となる。
ひとつの組織が2つの目的を持ち、いずれも達成されない可能性が高い。
・全国唯一の組織が「正しさ」を判断することは、医療の統制につながる。医療における判断・選択は、患者ひとりひりひとり、医療者ひとりひとりによって多種多様であり、「正しさ」の答えはひとつではないからである。全国唯一の組織が決める「正しさ」に、すべての国民が従わざ
るを得なくなり、患者・家族の自由な選択は阻害される。国の委員会に一元化することは危険である。
・医学的・科学的な真相究明を目的とし、複数の多様な委員会が、多様な医療専門家による多様な「正しさ」の判断を示せる制度とすべきである。多様な専門家による多様な選択が存在することを、患者・家族が知ることも、納得を得るために重要なプロセスである。
・責任追及を目的としないと明記したことは評価できるが、制度上の担保は何も示されていない。委員会は、責任追及の機能をもつ。
I・「法律関係者」「法律家」を入れるのはなぜか.法的判断つまり責任追及をするためであろ
う。「医療を受ける立場を代表する者」を入れるのはなぜか。患者・家族の判断・選択は多種多様であり、それを第三者が代表することはできない。ひとりひとりの多様な選択を尊重するためには、当事者である患者・家族本人が、その希望によって参加するか否か選択できるようにするべきである。
・当事者を調査から排除するならば、ますます真実から遠ざかり、医学的・科学的な真相究明は不可能となる。この委員会が原因究明を目的としているとは考え難い。
≪勝手なまとめ≫
・この制度が始まれば医療崩壊は間違いなく完成するだろう。
・外科系医師にとっては合併症・予期できぬ出来事は山のようにある。このような法案が通れば、みな外科系を忌避する。
・片田舎でも大都会の病院と同じレベルの医療を求められるようになり、ただでさえ僻地勤務はみなに嫌がられている
・情報文化のお陰で、日本の医師の給料は安いことも知られるようになり、モチベーションは維持できない。
・調査結果が刑事処分の根拠となる制度には反対
・不可避の出来事については医師に免責を、一方患者の損失に対しては「無過失補償制度」の導入を
・医師不足解消のため、〝外国人医師に日本で働いてもらう〟との意見もあったが、(そもそも他の外国で刑事罰を医療で受けることはないため)くるわけがない
・刑事処分を抑制する手立てを持たず、厚労省の見通しは甘いといわざるを得ない
・すでに厚労省は十分な行政処罰の手段をもっており、二重に処断される恐れあり
・届出しなかった場合について罪に問われない担保がない
・当事者同士でしっかり話し合った上で、どうにもならない場合に第三者の介入を。
・委員会は責任追及能力を持つ
・ひとつの組織が2つの目的を持ち、いずれも達成されない可能性が高い。
【199】 40代 医療機関管理者 p379
刑事処分、行政処分、医療死亡事故の届出義務化ついては、原案では医療崩壊を促進する制度に外なりません。道路を造るのを止めて、医療福祉に予算を投入することのよりよりよい医療を構築すべきです、医療事故調第三次試案にはそのような思想のかけらも感じられません。
・現状において、「軽度な過失」でも処罰されており、「重大な過失」か「軽度な過失」かという判断は、運用によってどのようにでも解釈し得る。
・悪質か否かも、運用によってどのようにでも解釈し得る。例えば、証拠隠しをしたものに限らず、営利目的、実験的、名声追求の利己目的、説明不足でも、どのようなものでも悪質というレッテルを張られかねない。つまり、運用に歯止めがない。
・現状において、薬剤や患者の取り違いといった、単純ミスは「重大な過失」とされている。死亡という結果の重大性に着目して「重大な過失」とされ、業務上過失致死罪が適用されている。
・現状において、刑事司法は結果の重大性に着目しているが、その取り扱いを変更することについて、何の権限もない厚労省の検討会の意見に過ぎず、警察・検察の公式見解は書かれていない。
・第3次試案に書かれている通り「責任追及を目的としたものではない」ならば、行政処分機関にも捜査機関にも通知すべきではない。責任追及を目的としていないことの制度上の担保がなければ、現場の医療者は安心して診療lこ当たることはできない。
≪勝手なまとめ≫
・「重大な過失」はどのようにも運用しうる
・悪質かどうかについても同様
・現状において、刑事司法は結果の重大性に着目している
・捜査機関を厚労省は制御できない
・行政処分機関にも捜査機関にも通知すべきではない
【202】 60代 院長 p380
「はじめに」について
不確実性とリスクが伴う医療において、医療事故の原因を特定し再発防止策を共有することであり、責任追及を目的としたのでは意味がない。今回の第三次試案は一定の配慮がなされ改善されているがまだ問題点がある。
「委員会の設置」
厚生労働省内に設置することは行政処分の権限と調査権限が一緒となり、厚労省からの独立性を損なう恐れがある。また一部では社保庁の受け入れ機関とされる恐れがあるとの指摘もあるので、この件は容認できない。
「医療死亡事故の定義」
医師法21条の改正について具体的内容が不明である。21条を廃止することができるのか。異常死の定義と診療関連死の定義を整理して異常死のみを届出する。
異常死の定義:「死体の外表に以上があった場合」にのみ発生し、医療過誤の有無などとは関係ないと解される(東京高裁:最高裁の判決:都立広尾病院判決)
この一文で判断すべき
≪勝手なまとめ≫
・不確実性とリスクが伴う医療において、医療事故の原因を特定し再発防止策を共有することであり、責任追及を目的としたのでは意味がない
・厚労省外への設置を
・異常死と診療関連死について今一度定義しなおすべき
【207】 p385
自分自身が、あとわずかのところで「告訴される」寸前まで言った経験のあるものです。
医療事故調査委員会には、もっと学問的にも、法律的にもきちんとした権限が与えられ、不必要な「訴訟」を減らすことができるようにすべきであると考えます。
そのような保証が確実になされない限り、事故調査委員会を作ったことが、さらに医療現場を混乱させることになると思います。
明日は【208】p386からですo(^-^)o ..。*♡
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