(関連目次)→医療事故安全調査委員会
(投稿:by 僻地の産科医)
先週の木曜日に、第14回検討会が突然のように開かれました。
その報告を集めていこうと思います!
川口さまのが一番辛辣(>▽<)!!!!
死因究明検討会14(1)
ロハス・メディカルブログ 2008年10月09日
http://lohasmedical.jp/blog/2008/10/post_1420.php
> 刑事罰については、座長が何と言おうが、
> 大野病院事件で実質決着がついており
> もはや、あんまり気にする必要はないと思っています。
> それよりは樋口委員の言うとおり本当はどういう機能がほしいのか
> そのためにはどういう制度設計になるべきなのか
> イチから考え直した方がいいと思います。
というコメントには納得です。
キャリアブレインの方は先日お伝えしたこちら。
ところで、反対学会が呼ばれるのは規定路線だったのに、さも思いついたことのような議題のように提案しているのが厚労省の嫌らしいところです!
呼ばれるのは救急、麻酔科、産婦人科。
知っていましたか?岡井先生、この検討会、傍聴に行っていたんですよ?
期待するのも馬鹿げた次回の傍聴会です。
(でも反応に興味はありますね。変なこといえば逐一晒しますから)。
ふーんという記事を紹介しておきましょうか。
医療安全調設置へ医学界は団結すべき <東京大・高本眞一教授>
Japan Medicine mail 2008/10/15
日本外科学会医療安全管理委員長の高本眞一・東京大教授は13日、福岡市内で開かれている日本胸部外科学会の講演で、医療安全調査委員会設置法案の成立に向けて医学界が団結することを呼び掛けた。
高本教授は医療安全調査委創設の提案が出されるまでの経緯を説明した上で、調査委の必要性をあらためて指摘。創設に反対する日本麻酔科学会と日本救急医学会に対し「患者の立場を完全に忘れている」と批判する一方、「なんとか説得して全学会がそろって賛成できるようにしたい」と強調した。
では、M3から!
「第三次試案」「大綱案」へのパブコメは計732件に
刑事手続との連動を問題視する声に、「捜査機関は謙抑的に対応」と厚労省
橋本佳子編集長
m3.com 2008年10月10日
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/081010_1.html
厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の第14回会議が10月9日、開催された。同検討会は3月12日以来、7カ月ぶり。その間、4月3日に「第三次試案」が、6月13日には「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」がそれぞれまとめられた。この日の検討会は、これらに対するパブリックコメントについての議論が中心だった。
2008年4月4日から9月30日までに寄せられたパブリックコメントは延べ732件。団体が82件、個人650件という内訳だ。5月16日時点で既に647件だったので(「第三次試案へのパブコメは647件に達する」を参照)、その大半が第三次試案公表の直後に寄せられたことになる。
厚労省は23の代表的なパブリックコメントについて同省の見解を示したが、23のうち6つが刑事責任追及について直接言及したものだ。厚労省案では、「重大な過失のある事例などは、医療安全調査委員会が警察に通知する」など、“医療事故調”(医療安全調査委員会)と刑事手続が連動する仕組みになっている。
この点について厚労省は、「捜査機関は医療安全調査委員会の専門的な判断を尊重し、通知の有無などを踏まえて対応するため、刑事手続の対象は、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に事実上限定されるなど、謙抑的な対応が行われる」と従来からの解説を繰り返した。
委員の間では、福島県立大野病院事件の判決を例に、「警察への通知」の基準などについて議論されたが、特に捜査機関に通知する仕組み自体への反対意見は出ず、次回に“反対派”の意見を聞くべきという結論で会議は終了した。
「この検討会は計14回開き、非常に丁寧に議論している。パブリックコメントも求めた。新聞の社説などを読むと、検討会の議論を評価しているように思う。しかし、医療界には反対している人がいる。医療者、そして患者側の納得が得られる仕組みにするために、反対している人が何を考えているかを聞くべき」(座長の首都大学東京法科大学院教授の前田雅英氏)
委員は計14人だが、この日は5人が欠席。
医療事故の刑事免責は困難
「“医療事故調”はあくまで医療安全のためであり、責任追及の仕組みではない」。厚労省は従来からこう説明してきたが、依然として医療界の懸念は強い。責任追及には、刑事、民事、行政の3つがあるが、中でも問題視されているのが、刑事責任追及との関係だ。これに関連して、厚労省は以下のように説明した。
(1)刑事手続の対象は、故意や重大な過失のある事例等に事実上、限定されるなど、謙
抑的な対応が行われることとなる。
(2)医療行為を業務上過失致死罪の対象から除外する、あるいは遺族からの告訴を必要
とする「親告罪」とすることは困難。
(3)「医療安全調査委員会からの通知がなければ、警察は捜査に着手しない」とすること
は、患者遺族の告訴権を奪うことになり不可能。
(4)医療行為について、医療関係者の刑事責任が問われない国は承知していない。
「重大な過失」か、「標準的医療から著しく逸脱した医療」か
委員の間で議論になったのは、医療安全調査委員会から捜査機関に通知する範囲。「第三次試案」では「重大な過失」、「大綱案」では「標準的医療から著しく逸脱した医療」との表現になっている。
日本医師会常任理事の木下勝之氏は、「医療界で『重大な過失』を説明すると、その定義が曖昧だとの指摘を受ける。一方で、『標準的医療』とは何かという問題がある上、司法界にとっては馴染みのない概念。司法界の話を聞くと刑法211条に、『重過失』という言葉がある。『重大な過失』の方が通知範囲が狭められたイメージがあり、混乱を避けるためにも、司法界が馴染みのある『重大な過失』を使った方がいいのでは」と表現の再考を求めた。
これに対して、厚労省医政局総務課医療安全推進室長の佐原康之氏は、「調査委員会が行うのは、医学的な判断であって、法的な評価ではない。第三次試案の後、『重大な過失とすると、医療者を中心とした委員会で法的評価を行うことになり、おかしいのではないか』との指摘を受けた」と、大綱案への変更理由を説明。
法務省刑事局刑事課長の片岡裕氏も、「射程という意味では、両者に大きな差異はない。しかし、裁判では、過失に関する判例が蓄積されており、それを基に判断している。『重大な過失』とすると、調査委員会がそれを判断(法的判断)することになり、“裁判官のアルバイト”のようなことをやることを意味する。それは目指している制度設計とは異なってくる」とし、佐原氏を支持した。
「標準的医療から著しく逸脱した医療」とは何か
さらに、「標準的医療から著しく逸脱した医療」の解釈について、東京大学大学院法学政治学研究科教授の樋口範雄氏は、「福島県立大野病院事件の判決で、一つの解釈が示された。法律律の立場から言えば、最高裁に言ってほしかったが、具体的な事例で示された意義は大きい。この判決では、『ほとんどの者がその基準に従った医療措置を講じている程度の、一般性あるいは通有性を具備したもの』などとしている。これは非常に厳しい(刑事責任を科す基準を限定した)ものであり、通知例の解釈として記載してはどうか」との見解を示した。
これに対して、前田氏は、「大野病院事件の判決の判断は間違っているとは言えないが、あくまで地方裁判所の判決。これを引用するのはいかがなものか。最高裁の判決でないと、判例とは言えない。しかし、これだけ世間的に問題がなった事件なので、影響力はある」と述べ、通知の範囲は今後の重要な検討課題であるとした。
「再教育」中心への行政処分への変更求める
民事処分との関連では、厚労省は「捜査機関が医療安全調査委員会報告書を使用することを妨げることはできない、また遺族と医療機関が調査報告書を使うことは、早期の紛争解決に役立つと考える」とした。一橋大学大学院法学研究科教授の山本和彦氏はこの考えを支持、「民事裁判では、現在、医学的な観点から十分な判断がなされているとは必ずしも言えない。したがって、この調査報告書の使用は適正、迅速な裁判につながる」とコメントした。
さらに、行政処分について、東京大学心臓外科教授の高本眞一氏は、「刑事処分の代わりに、再教育を中心とする行政処分を位置付けることが重要になる。行政処分が、十分に機能しないと、医療安全調査委員会の意義が半減するので、見直しのための検討会を早急に立ち上げるべき」と提言した。
これに対し、厚労省医政局医事課長の杉野剛氏は、「これまでは、刑事処分を前提に、それを参考にしながら、行政処分を行ってきた。医療安全調査委員会ができれば、行政処分のルートや内容が変わってくる。この調査委員会の議論を踏まえ、行政処分の在り方も大幅に見直していく」と述べた。
医師の行政処分は、厚労省の「医師等の行政処分のあり方等に関する検討会」の2005年12月の報告書を踏まえ(同省のホームページ)、2007年度から新たに「戒告」処分を設けて軽微なケースも処分対象とし、再教育制度を導入するなどの見直しが行われている。しかし、現時点では処分を検討すべき医師をリストアップする有効な手段がなく、行政処分は依然として刑事処分の対象者が中心。ただし、“医療事故調”ができれば、厚労省はこの問題を解決し得ることになる。
「次回は“医療事故調”反対派の意見を聞く」
m3.com 2008/10/09
http://mrkun.m3.com/DRRouterServlet?pageFrom=CONCIERGE&operation=submitRating&msgId=200810150016109339&mrId=ADM0000000&rating=5&points=5
「捜査機関は、医療安全調査委員会の専門的な判断を尊重し、同委員会からの通知の有無や行政処分の実施状況などを踏まえて対応することとなり、刑事手続の対象は、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に事実上限定されるなど、謙抑的な対応が行われることになる」
本日(10月9日)、厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の第14回会議が開催されました。いわゆる“医療事故調”の検討会です。この日の議題は、4月の「第三次試案」、6月の「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に対するパブリックコメントの紹介です。4月4日から9月30日までに寄せられた件数は延べ732件(厚労省のホームページに掲載されています)。このうち23の代表的な疑問・質問について、厚労省が解説しました。中でも最も多いのは刑事責任との関連で6つ。事故調査体制に関するものが5つなどとなっています。
「第三次試案」に反対する医療者が少なくないのが事実ですが、その一番の理由は、「事故調査の結果、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例については、警察に通知する」という仕組みになっている点です。「“医療事故調”と刑事責任が連動する仕組みでは、正確な事故調査はできない」と、問題視する声に対する答えが冒頭に紹介したものです。そのほか、刑事責任については、以下のように説明しました。
(1)医療行為を業務上過失致死罪の対象から除外する、あるいは遺族からの告訴を必要とする「親告罪」とすることは困難
(2)「医療安全調査委員会からの通知がなければ警察は捜査できない」とすることは不可能
(3)捜査機関が医療安全調査委員会報告書を使用することを妨げることはできない
確かに膨大なパブリックコメントを読み、内容を分析し、それに対する答えを書くのは大変な作業だと思われます。しかし、これらの説明は従来から様々な場で繰り返し説明されてきた内容であり、デジャビュ(既視感)がありました……。この説明で、果たして医療者の懸念は払拭されるのでしょうか。というより、改めて文章化されたことで、かえって懸念が高まるのでは、とも思いました。
「パブコメなどの文章ではなく、厚労省案に反対している人の意見を直接聞く必要がある」というのが検討会委員の一致した意見。次回は、厚労省案への“反対派”の人を呼び、意見を聞く予定になっています
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