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江原朗

地域小児科センターの労働基準の部分は、私も関与させていただきました

江原朗

労働環境に関する部分

http://jpsmodel.umin.jp/DOC/RegionalCenter080324.doc
VII-2 働く環境
【ねらい】疲弊した労働体制では適切なレベルの質と安全を伴った小児医療は提供できない。医療従事者のみならず、圏域の小児の健康を守るためにも快適に働ける環境整備が必要である。働く環境には単に勤務時間や給料などのみならず、医師の裁量権や個々の医師の状況も大きく関与するため、きめ細かい管理体制が整備されている必要がある。また管理者は産業医や社会保険労務士などの労務管理に関する専門家と積極的に連携して法規上の条件などにも精通している必要がある。
VII-2-1 労働時間
VII-2-1-1 時間外を含め週労働時間を最大58時間以内としている
• 時間外・休日・深夜の勤務は宿日直ではなく、通常の労働時間として算定されている(深夜の定義は、診療報酬上の午後10時から午前6時までではなく、労働基準法上の午後10時から午前5時までを指す)
• 宅直オンコール(自宅待機で外来患者や入院患者への迅速な対応が求められる状態)に関しても、時間外救急を行うことを前提とした場合には労働時間(手待時間)として算定されている(手待時間とは、単に作業に従事しない時間であり、労働から離れることが保障されている休憩時間とは異なる。昭和22年9月23日労働省通達、発基第17号)
• 圏域の医療・保健サービス(救急を含む)に出向して従事した時間も本院の労働時間として算定されている
解説:過労死認定基準である「時間外労働が月80時間を超えないこと」を念頭に(58-40時間/週)×30日÷7日=77.1時間 から提案した。したがって、これは最低限遵守すべき基準であり、可能な限り週40時間に近づけることが望ましい。(根拠:労働基準法、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成13年12月12日厚生労働省通達、基発第1063号))
VII-2-1-2 労働基準法第36条第1項に基づく「36協定」を締結している
解説:労働基準法32条により、週40時間を越えた労働は原則としてできない。しかし、労働基準法36条第1項の協定「36協定」を労使で締結することにより、労働時間を延長させることができる。この「36協定」を締結せずに週40時間を超える労働を行わせた場合には、労働基準法119条により、使用者が6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金の刑事処分を受ける。なお、36協定における時間外労働の上限(変形労働時間制でない場合には、年360時間。1年単位の変形労働時間制では年320時間)は提示されるものの、労働省通達では、「延長時間が限度時間を超えている時間外労働協定も直ちに無効とはならない。」(基発第169号、平成11年3月31日)とされている。したがって、合法的に限度時間を超えた36協定の締結は不可能ではない。望ましいことではないが、週58時間(週の時間外労働18時間、つまり、年の時間外労働938時間)であっても36協定の締結は可能である。

VII-2-1-3 平均して週58時間以内とする場合(多忙時、週58時間を超える可能性がある場合)には、労働基準法第32条の2もしくは4に基づく変形労働時間制の協定を締結する
解説:変形労働時間制とは業務の繁閑や特殊性に応じて所定労働時間の配分等を工夫できる制度のことである。
VII-2-1-4 出勤・退勤時間が把握されている(タイムレコーダーなど)
VII-2-1-5 1回/年、労働時間の検証を行ない、上記基準を超える場合には早期に是正する体制がある
VII-2-2 時間外・休日・深夜勤務など
VII-2-2-1 (時間外+深夜)勤務と休日勤務の回数の合計は5回/月を超えない
• 変形労働時間制など年間での調整が可能であれば、一時的にこの限度を超えても良い。
VII-2-2-2 深夜勤務明けは帰宅を原則とする
解説:24時間の断眠により、運転免許停止処分に該当する血中アルコール濃度にある状況よりも集中力が低下することが知られている。
VII-2-3 休日の確保
VII-2-3-1 週に1日以上の休日を確保する(例外:変形労働時間制)
解説:労働時間と休日の原則
• 1日8時間以内、かつ、1週40時間以内/休日は週に1日以上
• (変形労働時間制・変形週休制(4週4日以上)の例外がある)
• 労働基準法は労働時間の限度を、原則として、1週40時間以内、かつ、1日8時間以内とし、休日を1週に1日以上与えることとしている。(労働基準法第32、35条)
VII-2-4 診療体制など
VII-2-4-1 医師の裁量の確保に努め、定期的に労働環境に対する満足度を調査し、向上を図っている
解説:働きがいや個々の医師の裁量権は労働環境の中でも最も重要な要素の一つである。圏域内、院内、科内にて積極的に一人一人の医師の働き甲斐を伸ばすような工夫が凝らされている必要がある。そのためにも能動的に各医師の労働環境への満足度を調査し、個人個人に合わせた満足度向上のために努力がされている必要がある。
VII-2-4-2 個人への過重な負担を防ぐため、複数主治医制・ローテイト勤務制などの対策を講じている
• 複数となることで責任体制が不明確にならないように注意すること
解説:ローテイト勤務制は昼間夜間等の時間的分担制、あるいは外来・病棟などの業務分担制を示す。
VII-2-5 外部からの応援医への対応
VII-2-5-1 当該医師の当該地域小児科センターでの勤務時間は、本務における労働時間に含めて算定する
解説:地域小児科センター医師のみが基準を守ることができる状態は不適切であると考えられる。
VII-2-6 小児科医師の給与
VII-2-6-1 時間外割増賃金の支払いが基準に沿ってなされている
• 時間外割増賃金の支払い(根拠:労働基準法第37条ほか)
平日の時間外では2割5分増以上
平日の午後10時から午前5時までは5割増以上
休日は3割5分増以上
休日の午後10時から午前5時までは6割増以上
VII-2-7 女性医師・妊産婦医師・パートタイム医師の処遇
VII-2-7-1 産休・育休(1年)の取得を保証している
VII-2-7-2 院内保育所もしくは提携保育所を確保している
VII-2-7-3 妊娠中~入学前のこどもの育児期間中は時間外・休日・深夜業務を免除している

鶴亀松五郎

埼玉県(人口700万超)では県西部だけでなく、東京に隣接して人口の多い県南部や県東地区の深刻な小児科専門医の不足(と産婦人科専門医不足)による救急患者受け入れ困難の実情があり、数年前に重症の小児科患者の救急受け入れ先が決まらず救急車内で死亡する出来事がありました。
新聞でも取り上げられました。
その後、県立小児医療センターが、そういう患者の受け入れを始めるようになりましたが、ここも医師不足で厳しい状況に変化がありません。

埼玉出身の医師の多くが東京都内の病院に勤務していることや、もともとの小児科医数の不足などで、今後も見通しが暗いのでは?

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