(関連目次)→医療事故安全調査委員会
(投稿:by 僻地の産科医)
先週の木曜日に、第14回検討会が突然のように開かれました。
その報告を集めていこうと思います!
今回はキャリアブレインから!
新井さま、おつかれさまでした(>▽<)!!
前田座長・さらに検討会の方向性がよくわかるニュースとなっております。
児玉安司弁護士の
> 「この場(検討会)が、医と法の交差点として、
> 社会に向けてきちんとしたメッセージを
> 出していくことが大切」
という言葉には大賛成です!!
前回お伝えしたもの↓
「大野事件判決は、判例とは言わない」―前田座長
キャリアブレイン 2008/10/09
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/18631.html
「大野病院事件の判決は、法律家の間では重視されない。一審判決でしかない。地裁の判断でしかない。法律の世界はそこが非常に厳しくて、原則として最高裁(の判決)でなければ判例とは言わない」―。医療事故の調査機関の創設に向けて7か月ぶりに再開された厚生労働省の検討会で、前田雅英座長(首都大学東京法科大学院教授)は、最高裁の判断を重視することを強調した。「反発する医療界をいかに説得するか」という問題に多くの委員が腐心する中、「言葉だけで、だましてはいけない」との厳しい指摘もあった。(新井裕充)
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医療事故の原因究明や再発防止に当たる第三者機関「医療安全調査委員会」(仮称)の創設をめぐっては、11の病院団体で構成する「日本病院団体協議会」も意見を集約するには至っていない。
「医療界の反発をいかに抑えるか」という課題を抱えたまま、政局の行方が不透明な中で、法案化が暗礁(あんしょう)に乗り上げた格好になっている。
このため厚労省としては、次の衆院解散・総選挙までに医療界を説得するための材料を用意し、法案化に向けて一気にアクセルを踏みたいところ。反対する学会などのヒアリングを実施して、病院団体の合意を取り付ける「準備」を入念に進めておく必要がある。
そのような中、厚労省は10月9日、「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の第14回会合を開催し、732件のパブリックコメント(国民からの意見)をまとめた23項目の「Q&A」を示した。意見交換では、厚労省案と福島県立大野病院事件判決との関連や、刑事責任を問われる「重大な過失」の意味が議論の中心になった。
樋口範雄委員(東大大学院教授)は、大野病院事件の判決が一定の基準を示したことを評価し、「福島地裁判決で、こんなことを言っているということを『注』などで出していただくと、標準的な医療行為から著しくかけ離れた場合はこういう場合で、こんなに厳しい要件だから、刑事裁判ではない別の仕組みで医療者が頑張るという本筋が伝わる」と述べた。
これに対し、前田座長が次のように述べて反対した。
「大野病院事件の判決は、法律家の間では重視されない。それはやはり、一審判決でしかない。地裁の判断でしかない。法律の世界は、そこが非常に厳しくて、原則として最高裁でなければ判例とは言わない。(大野病院事件は)最高裁まで争って決まったものではなく、一地方裁判所の判断。同じ医療過誤の問題に関しては、最高裁の判断もある。それとの整合性を持たせつつ整理して、医療界の心配を解くことが必要だ」
■「重大な過失」では説得しにくい?
「重大な過失」の意味について、厚労省が4月に公表した「第三次試案」では、「死亡という結果の重大性に着目したものではなく、標準的な医療行為から著しく逸脱した医療であると、地方委員会が認めるものをいう」としている。
また、第三次試案を法案化した場合の「イメージ」として、6月に公表した「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」では、「標準的な医療から著しく逸脱した医療に起因する死亡」などとした上で、地理的環境やシステムエラーの観点などを総合的に考慮して、医療の専門家を中心とした地方委員会が「個別具体的に判断する」としている。
この日の意見交換では、「標準的な医療から著しく逸脱した医療」の意味が問題となった。議論の口火を切ったのは、山口徹委員(虎ノ門病院院長)。「医療界の多くの関心は、委員会に届け出た後に捜査機関に通知されること。『標準的な医療行為から著しく逸脱した医療』という定義は、専門家の中でも見解が違う。多くの医療行為は、全力を尽くして良心的にやっているはずなので、刑事責任を問われるのは、限られたものではないか」
医療安全調査委員会の設置を強く支援している日本医師会常任理事の木下勝之委員は、「むしろ、『重大な過失』とした方が、『故意に準じるようなひどい過失なんだ』という意味が伝わり、納得してもらえる」と指摘。医療界を説得する上で、「標準的な医療から著しく逸脱した」という表現ではなく、「重大な過失」を使用すべきと主張した。
これに対し前田座長は「そんなに差はない」と返し、オブザーバーとして出席した警察庁と法務省の担当者も、「重大な過失」と「標準的な医療から著しく逸脱」は同じ意味であると説明した。
その後も、「重大な過失」か「標準的な医療から著しく逸脱した医療」かといった、“言葉遊び”とも思える議論は続いた。
児玉安司委員(弁護士)は「この場(検討会)が、医と法の交差点として、社会に向けてきちんとしたメッセージを出していくことが大切」とした上で、次のようにクギを刺した。
「議事録で、言葉だけで、オーラル・コンポジションだけで、だましてはいけない」
医療安全調への意見、6月以降に61件
キャリアブレイン 2008/10/09
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/18613.html
厚生労働省は、「医療事故による死亡の原因・再発防止等の在り方に関する試案」(第三次試案)と「医療安全調査委員会設置法案」(仮称)の大綱案に対し、6月中旬から9月にかけて61件の意見が寄せられたと10月9日までに発表した。同省は来年の通常国会に医療安全調の設置法案を提出する方針で、今後、検討会などで意見集約を図る。
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第三次試案を公表した4月以降に寄せられた意見は延べ732件(団体82件、個人650件)になり、同省は9日に開く「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」に概略を報告する。
今回公表したのは、第三次試案の内容を法案化した大綱案が公表された直後の6月14日から9月30日までに寄せられた分。
61件の内訳は団体22件、個人39件で、団体分は医療職能団体5件、医学関係学会8件、病院関係団体ほか7件、患者団体・弁護士団体ほか2件。個人分は医療従事者28件、一般10件、法曹・警察関係職種1件で、医療紛争の経験者からの意見が11件あった。
団体分では、日本臨床整形外科学会が大綱案に対し、「医療従事者の責任追及そのもの」と反対したのに対し、日本アレルギー学会は「基本的に賛成」とした上で、事故の届け出先を警察ではなく医療安全調にすることなどを求めている。第3次試案を公表した4月以降、同省が意見募集の状況を明らかにするのは今回が3回目。4月から大綱案を公表した6月13日までには671件(団体60、個人611件)の意見が寄せられており、今回は大幅に減少した。
死因究明で医療者らからヒアリングへ
キャリアブレイン 2008/10/09
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/18628.html
厚生労働省は10月9日、「死因究明等の在り方に関する検討会」(座長=前田雅英・首都大学東京法科大学院教授)を開き、「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」や「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案―第三次試案―」に寄せられたパブリックコメントについて意見交換を行った。また、前田座長の「医療界の心配をもう一度直接聞くべき」との提案を委員らが了承し、次回以降の会合で医療者らからヒアリングを行うことが決まった。
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第三次試案を公表した4月以降、9月末までに寄せられたパブリックコメントは、団体から82件、個人から650件の計732件。厚労省は、これを23項目に集約し、それぞれについて同省の考えを検討会で示した。
寄せられた意見は、
(1)医療安全調査委員会における調査結果が、結果として責任追及に使用される仕組みになっているのではないか
(2)地方委員会から警察への通知を行うもののうち、「標準的な医療から著しく逸脱した医療」の定義はあいまいで、明確化すべき
(3)地方委員会の報告書は、刑事裁判や民事裁判の証拠として利用されないこととすべき―など。
(1)の意見に対しては、同省は「委員会は責任追及を目的としたものではない」と強調。「委員会の適切な原因究明や捜査機関への通知が行われれば、捜査機関はその判断を尊重して、委員会の動きを踏まえて対応することとなり、結果として刑事手続きの対象は故意や重大な過失のある事例に事実上限定されることになる」としている。
パブリックコメントや同省の考えについての意見交換では、「過失の基準と福島県立大野病院事件判決との関連」などが議論された。この中で、「行政処分が非常に重要になってくるが、これを審議する医道審議会を見直す検討会が必要ではないか」(高本眞一委員)などの意見が上がった。
また、前田座長が「この検討会はパブリックコメントも丁寧に行ってきたし、回数も重ねており、合意形成ができてきたが、まだ医療界の心配は残っている」と前置きした上で、医療界の意見を直接聞くためヒアリングを行うことを提案した。これに対し、豊田郁子委員が遺族側の立場から「反対や心配をしている医師らから直接意見を聞くと同時に、遺族側の意見を伝えられる機会があれば伝えたい」と同意。他の委員も同意し、次回以降の会合で医師らからヒアリングを行うことが決まった。
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