(投稿:by 僻地の産科医)
不勉強ながらに知らなかった治療法ですが、
どうやら治験が始まるようですo(^-^)o ..。*♡
まずは自分の大学での例から開始なのですね。
当たり前だけれど。。。報告が待たれます。
さい帯血で脳性まひ治療研究へ
NHK 2011年11月26日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111126/t10014217141000.html
歩行や会話などが不自由になる、脳性まひの子どもにへその緒から採ったさい帯血の一部を移植して症状の改善を図る臨床研究が高知大学で始まることになりました。
脳性まひは、出生の前後に脳に損傷を受け、運動機能がまひする病気で、1000人当たり2人から3人が発症すると推定されていますが、今のところ、根本的な治療法はありません。高知大学の相良祐輔学長などのグループは脳性まひの子どもにへその緒から採ったさい帯血の一部を移植して症状の改善を図る臨床研究の計画を立て、国の承認を受けました。具体的には、大学の附属病院に入院している妊婦で、胎児の発育が不十分など生まれてくる赤ちゃんに脳性まひのリスクが高い場合、出産直後にさい帯血を採取します。その後、赤ちゃんが脳性まひと診断されれば、保存しておいたさい帯血から幹細胞と呼ばれる特殊な細胞を取り出し、赤ちゃんの静脈に点滴で移植する計画で、向こう5年間で、10人に実施するとしています。アメリカで行われた臨床研究で歩けるようになった子どもの例が報告されているほか、研究グループが行ったマウスの実験では、移植する細胞が神経になることや運動機能がほかのマウスと同じ程度まで回復することを確認したということです。相良学長は「脳性まひになると、本人はもちろん、世話をする家族も大変なのが現状だ。研究を進め何とか治療できるようにしたい」と話しています。
脳性マヒ研究 対象10人
2011年11月30日
http://mytown.asahi.com/kochi/news.php?k_id=40000001111300003
脳性まひの子を、へその緒に含まれる自己臍帯血(さい・たい・けつ)で治療しようという臨床研究について、高知大は29日、記者会見を開き、来年2~3月にも臍帯血を採取する候補を決めると発表した。同様の研究は米国の2大学に続き、世界で3例目。5年間で10人を治療し、効果を調べる方針だ。
「すでに白血病などの治療に使われていて、安全性が高いうえ、採取も難しくない」。計画に携わる産科婦人科の前田長正(なが・まさ)准教授は会見で、臍帯血を使うことの利点をそう話した。日本では、保存している例は生まれた子の0・4%にとどまっているという。
自己臍帯血による子どもの治療は2005年、米デューク大で始まった。先天性代謝異常症の治療が目的だったが、その過程で脳障害への効果が見つかった。これまでに250人の脳性まひ児が同大学で臍帯血の点滴を受けたという。東京慈恵医大名誉教授でもある大野典也(つね・や)特任教授によると、09年、東京に住む脳性まひの5歳男児がデューク大でこの手法を試みた。左半身が動きにくく、色も見分けられなかったが、1年後までに12色を識別できるようになった。今春、小学校の普通クラスに入学したという。
産科医でもある相良祐輔学長は「研究を通して、未来を担う子どもたちの生活の質を高めることができるのではないか」と期待を語った。
脳性まひ さい帯血で治療…高知大が臨床研究へ
読売新聞 2011年11月30日
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=50972
高知大は29日、早産などで脳性まひになった子どもに、出産時にへその緒から採った自分のさい帯血の一部を輸血し、運動機能の回復を目指す臨床研究を来春に始める、と発表した。国内では初めてで、既に実施している米国の大学では効果が表れており、脳性まひの治療法確立が期待される。
脳性まひは出生前後に脳が何らかの原因で損傷を受け、手足にまひなどが残る。発症率は0・2%程度。根本的な治療法がなく、リハビリが中心となっている。さい帯血はへその緒や胎盤の血液で、体の様々な細胞に分化する幹細胞が含まれている。米・デューク大が2005年、脳性まひの子らへの治療に応用を始め、症状が大幅に改善した例もあるという。幹細胞が分化して、脳の組織を修復すると考えられている。
高知大は、母体内で脳の障害が確認され、早産の恐れがある子どもを対象にする。母親の同意を得て、出産時にさい帯血を採取して凍結保存。脳性まひと診断された場合、幹細胞を取り出して点滴注射する。計画は今月、厚生労働省が承認。同大学は5年で10例の実施を目指す。前田長正准教授(産科婦人科)は「効果が証明できれば、パーキンソン病や筋ジストロフィーなど難病への応用も広がる」と話している。
そうそう、こんな抄録もありました。
紹介しておきますねo(^-^)o ..。*♡
単胎・双胎妊娠における脳性麻痺の発生に関する検討
高橋 伸子, 牧野 康男, 嶋田 悦子, 斎藤 史佳, 蔵本 吾郎,
小林 藍子, 三谷 穣, 松田 義雄, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 311-311, 2010
http://jsog-k.jp/journal/lfx-journal_detail-id-19103.htm
【目的】
単胎・双胎妊娠における脳性麻痺の発生について検討する.
【対象と方法】
当院で8年間に管理した単胎4,675例(出生4,627例),双胎(MD83組:出生165例,DD110組:出生215例)を対象とした.多胎における入院後の管理で,切迫早産(PTL),妊娠高血圧症候群(PIH)に対する管理は単胎に準じて行なった.小児神経科専門医により脳性麻痺(CP)の診断がなされた.母児の背景(前置胎盤,Preterm premature rupture of the membranes(Preterm PROM),PIH,PTL,分娩週数など)とCPについて検討した.統計学検定はp<0.05で有意差ありとした.
【成績】
1)CPは全体で21例(単胎16,MD4,DD1)発生し,出生1,000例に対する割合は4.2であった.
2)単胎において産科合併症との関連をみたところ,前置胎盤での頻度(5/57)が,PIH(4/435)やPreterm PROM(3/239)に比べて有意に多かった(p=0.01).
3)双胎におけるCP症例の分娩週数は,単胎と差がなかった.
4)MDではDDに比べ,CPは約8倍多く発生し(24.2 vs. 4.7,p=001),その内訳はMD特有の病態が2例に認められた(双胎間輸血症候群,twin anemia polycytemia sequence 各々1例).
【参考HP】
さい帯血提供・保存の「参考」にしてください。
公的さい帯血バンクとプライベートさい帯血バンクの違いについて
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