「産科医の過重労働」
紀伊民報 2007年9月10日
http://www.agara.co.jp/modules/colum/article.php?storyid=131423
奈良県で妊婦の転送先が決まらず死産した問題を、先日小欄が取り上げたことで、医療関係者などから抗議のメールが数通、届いた。
▽38歳の東京都の男性からは、産科医の過重労働や奈良県の医療行政の怠慢を、小欄が見過ごしているという指摘である。状況はこうだと、毎日新聞に掲載された中村秀明記者の記事「医師は疲れ果てている」を紹介していた。
▽少し長いが要約する。「(救急搬送中の妊婦が死産した)あの夜、奈良県立医大で当直医2人が詰める産科病棟の状況。午後11時、14時間に及ぶ手術が終わり30分後に別の人の緊急帝王切開手術。次に陣痛の急患が入院。このとき救急隊からの電話。お産の診療中で後にしてほしいと当直医は答えた。そのあと緊急入院2人の治療。入院してきた急患の出産に立ち会う。一睡もできず午前8時半に当直を終えた」
▽山形市の男性医師47歳からは「日本の産科医療崩壊は人災です。国会議員がしっかりしなければどうしようもありません。医は仁術かもしれませんが、その崇高(すうこう)な精神は司法界をはじめ、その他の外野がすべて奪い去りました」という意見。産科医が患者を助けられないと、福島県のように不当逮捕か不当起訴される、と訴えている。
▽こういう指摘を受けると、過酷な勤務医の実態と、医療行政の怠慢が「医は仁術」以前の問題として見えてくる。問題の根は深い。
知多市民病院(愛知)が産科診療休診へ 来年4月から、常勤医実質ゼロに
中日新聞 2007年9月11日
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007091190073016.html
愛知県知多市民病院(13科、300床)が産婦人科の医師不足を理由に10月から妊婦の受け入れを制限し、来年4月から当面、産科診療を休診することが分かった。名古屋大が派遣医師の引き揚げを決めるなど、常勤医が実質的にゼロになる公算が大きくなったため。各地で相次ぐ医師不足は、地域の公立病院で出産ができなくなる異常事態に発展している。
常勤医は現在3人。いずれも名大が派遣しているが、このうち2人を来年4月に引き揚げる方針が示されたという。残る1人も9月18日に自身の産休に入り、育休を取る可能性が高いという。
同病院は「産科が継続できず残念だ。常勤医の確保に向けて名大の医局と交渉を続けたい」としているが既に3度ほど引き揚げの方針変更を求めて断られた経緯があり、見通しは厳しい。非常勤の医師のみの態勢で婦人科診療は継続する方針。同市の出生届は2006年度で828人。これに対し、同病院の分娩(ぶんべん)数は06年度が166件。07年度は7月末までに68件と例年より多いペースで推移。産婦人科の外来スペースを7月末に約1・3倍に拡張したばかりだった。
◆愛知では04年度以降10カ所目 産科医不足背景に過酷勤務
中部6県(愛知、岐阜、三重、滋賀、福井、長野)では、出産の取り扱いを休止する病院施設が、最近6年間で少なくとも63施設(予定を含む)に上ることが、中日新聞の調べで分かった。
山間地を抱える長野で21施設、岐阜で19施設と多いが、愛知県でも2004年度以降、知多市民病院で10カ所目を数える。このうち公立病院は、稲沢市民病院、尾陽病院、新城市民病院に続き4カ所目。
今回、知多市民病院から産科医を引き揚げる名大医学部の吉川史隆教授は「他の重要度の高い病院で産科医が足りなくなり、異動させざるを得なくなった。知多半島には小規模病院が乱立しており、統廃合の必要もあった」と説明。04年度から始まった新臨床研修制度の影響にも触れ、「一部の人気病院に研修医が集まってしまい、産科医の絶対数も減り、産科医を補充できない病院が増えた」と明かした。
背景は産科医不足。愛知県産婦人科医会の成田収会長は「産科医のなり手がいなくなったのは、医療訴訟と過重勤務の影響」と指摘。訴訟リスクを避けようと、中小病院がわずかな危険性しかない出産でも中核病院へ回すケースが増え、特定の病院の勤務環境が一層過酷になったという。愛知県は、出産後の後遺症などを国が補償する無過失補償制度の創設を、国に要望。同県医師会はドクターバンク制度を設け、医師の求人や求職の情報を集約しているが、産科医不足の解消には至っていない。
厚労相、産科医報酬優遇に意欲
読売新聞 2007年9月10日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070910-OYT8T00100.htm
舛添厚生労働相は8日、深刻化する病院の産科医不足について、「勤務環境が非常に悪い。報酬面で見てあげないと、医者が不足し、なり手がいなくなるので、(待遇改善を)やりたい」と述べ、産科医を診療報酬で優遇する考えを示した。都内で記者団に語った。産科医は過酷な勤務体制や、医療事故の訴訟リスクが高いことなどから、減少が続いており、産科を閉鎖する病院も相次いでいる。今後、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会に、産科に報酬を重点的に加算するよう諮問する予定だ。
秋田の医療情報 県HPで紹介 病院選び手助け
河北新報 2007年9月11日
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2007/09/20070911t43020.htm
病院や薬局選びに一役買います―。秋田県は、県のホームページ(HP)に「あきた医療情報ガイド」を開設し、県内の病院や診療所、歯科診療所、助産所、薬局など1824機関の情報提供を始めた。専門医の数や医療設備、手術実績など県民が入手しにくい詳細な情報を集め、症状別、地域別など患者がニーズに合わせ、該当する機関を検索できる。
提供する情報は病院が最大57項目、診療所49項目、歯科診療所32項目、助産所27項目、薬局27項目。所在地や費用など基本情報のほか、医療体制や実績・結果なども盛り込んでいる。学会認定医や専門医の数、対応可能な疾患、主治医以外の意見(セカンドオピニオン)への対応、治療結果に関する情報提供の有無など、患者が医療機関を選択する際、重要な判断要素となる情報も含まれている。
ガイドでは、「内科系の病気」「女性特有の医療機関」など症状に応じた検索、「治療、手術内容」「セカンドオピニオン対応」など知りたい項目の検索のほか、キーワードを入力して該当機関を探すこともできる。情報は原則として年1回更新するほか、医療機関の申し出があれば随時変更する。県は「医療に対する県民の要求が高くなり、従来の基本情報だけでは病院、薬局などの選択は難しくなった。詳細な情報を提供することで、ニーズに合った医療機関を探しやすくなるのでは」と話している。
変貌する都市部の救急システム
通報段階で緊急度・重症度を判定するコール・トリアージ
横浜市が導入へパブリックコメント
Japan Medicine 2007.9.10
http://megalodon.jp/?url=http://www.japan-medicine.com/news/news1.html&date=20070911085743
知っておきたい緊急被ばく医療 風評被害は医療機関から防ぐ
Japan Medicine 2007.9.10
http://megalodon.jp/?url=http://www.japan-medicine.com/shiten/shiten1.html&date=20070911085832
いわき地域医療充実への模索
福島民報 2007年09月08日
http://www.fukushima-minpo.co.jp/news/kennai/20070908/ronsetu.html
恒常的な医師不足や、奈良県で先日起きた流産事案など地域医療が抱える問題は改善の兆しがなかなか見えてこない。 いわき市では市医師会、市病院協議会、市の三者が協力・連携して市内の医療確保を図るため先月、協定を締結した。当面、三者が協力して大学当局に働き掛け、病院勤務の医師確保に当たるほか、入院患者の平均在院日数を減らす国の施策を受け、病院を退院した人を開業医院で引き受ける体制を確立する。また、市医師会は2日から、現在は市内南部のみで実施している休日診療医制度を全域に拡大、市民の安全・安心の確保へ向けて動き出した。
産婦人科、小児科などの医師不足が顕在化した昨年。いわき市では、市立総合磐城共立病院が4月から医師不足を理由に自然分娩(ぶんべん)の妊婦は受け入れず、リスクの高い異常分娩の妊婦に特化した診療に移行した。福島労災病院も8月から産婦人科を休診、松村総合病院でも6月から診療制限をした。こうした実情を打開するため、昨年12月に救急医療や産科医療などを調査研究・協議するため、3者による市地域医療協議会を設立した。
今年7月までに4回にわたる会合を持ち、救急医療、小児医療、産科医療、健康診査・検診事業、公立病院と民間医療機関の連携・支援など、地域を取り巻く医療の課題と将来展望について意見を集約してきた。その成果の一つとして、産婦人科医療の確保・充実を図るため総合磐城共立病院に機能を集約した。しかし、医師不足の実態が解消されたわけではなく、潜在的な不安は払拭(ふっしょく)されていないのが実情だ。今後の医師確保が鍵を握っていることに変わりはない。
休日昼間の救急医療体制については市北部の平、内郷、四倉、好間地区の医療機関が協力、今後もエリア拡大を図る。これとは別に今年1月からは市医師会の有志が独自事業として休日小児専門当番医を展開し、2病院11診療所が交代で午前9時から正午まで診療する体制を整えた。産科と小児科の事態打開に向けた動きが着実に進んでいることに、将来への希望が見える。
今回の協定締結は危機意識を共有し、個々の病院ベースで行われる医師の確保を側面からバックアップしようとの動きにも見える。同時に開業医、民間病院、市立病院の機能と役割を明確にしたうえで、人的交流を図るのが連携の理想的な姿に思える。地域で確保した医師が要請に応じて開業医、民間病院、市立病院の枠を越えて診療、治療にあたるケースが実現できれば地域医療の充実・確保を目指す協議会の性格も明確になろう。
もちろん、市立病院の医師には地方公務員法の縛りがあることは承知している。現状では休日か夜間か、平常勤務の枠外でなければ無理であり、一方では開業医、民間病院の医師が市立病院で診療、治療の手助けをすることにも限度があろう。しかし、人的交流のない地域医療の充実もまた、実現へのハードルが高いことを医療関係者は十分認識しているはずである。英知を結集して問題解決に一丸となってくれることを期待したい。
県9月補正予算案離島医療の充実費も
鹿児島テレビ 2007年9月10日(月)
http://www.kts-tv.co.jp/news/index.php?idnumber=13125
小児科、研修医に人気
キャリアブレイン 2007年9月10日
http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=11816
教育訓練給付金と失業保険、同時にもらえるか
読売新聞 2007年9月10日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/nenkin/20070910mk21.htm
搬送要請4回以上が倍増 妊婦死産の奈良県
東京新聞 2007年9月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007091001000539.html
腹腔鏡手術用のハサミ、鉗子の欠損気づかず 京都大病院
朝日新聞 2007年9月10日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200709100075.html
京都大学付属病院(内山卓院長)は10日、おなかに小さな穴を数個開ける腹腔(ふくくう)鏡手術に使う細長い医療器具の計5本で、先端部にあるハサミや鉗子(かんし)の二股部が欠損していたが、これに気づかないまま、手術をしていたことを明らかにした。洗浄や運搬の際に欠けた可能性が高いが、患者の体内に残った恐れもあるという。同病院は、この医療器具で手術を受けたとみられる患者161人に文書で謝罪。これまでに十数件の問い合わせが来ている。希望者には、コンピューター断層撮影などの精密検査に応じる方針だ。
同病院によると、この医療器具はドイツ製で、取っ手の先にプラスチック製の30センチの棒がついており、先端部にあるステンレス製のハサミか鉗子を体内に入れて操作する。卵巣、腎臓の腫瘍(しゅよう)摘出や胆石治療などに使っている。ハサミや鉗子の二股部分には電流が流れ、切開部分などを焼くことで止血できる。
昨年9月、同病院の医師が、鉗子の二股の基部にあるセラミック製の絶縁体が欠けているのを見つけた。これを受けて、同病院で使用していた計15本の医療器具を点検したところ、ハサミ3本、鉗子2本の同じ部分に最大で約3ミリの欠損が見つかった。05年3月以降、産科婦人科、肝胆膵(すい)・移植外科、泌尿器科の手術で使ったが、セラミック部品のため、患者の体内に残っていても健康被害が起こる可能性は極めて低いと説明している。
この医療器具の交換の目安となる手術回数はハサミが15回、鉗子が30回。欠損した医療器具の中にはこの回数近く使用したとみられるものもある。欠損部を確認した医療器具の販売会社は「品質に問題はなく、欠損は落下による損傷、無理な使用、洗浄時の衝撃など取り扱い上の問題から生じたものと考える」とコメントした。一山智・副院長は「使用前、洗浄後の確認作業などの管理が不十分だった」と話している。
阪大病院で4人が院内感染 多剤耐性緑膿菌
朝日新聞 2007年9月10日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200709100051.html
脳損傷で後遺障害 7割「復職・就労できず」 県調査
中日新聞 2007年9月11日
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20070911/CK2007091102047744.html
出産費用をだましとる例も 社保庁
産経新聞 2007年9月10日
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070910/fks070910003.htm
育児休業再取得可能に・出産後、原則1年以内
スマートウーマン 2007年9月10日
http://woman.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20070910ax020n1
映画「シッコ」~アメリカに生まれなくてよかった!
レイバーネット日本 2007年9月10日
http://www.labornetjp.org/news/2007/1189393552436staff01
まじめに納めたのに、もらえる年金額は“生活保護手当”より少ない!
PJニュース 2007年9月10日
http://news.livedoor.com/article/detail/3300153/
あなたの「ハッピー結婚の成功度」診断
日本経済新聞 2007年9月10日
(1)http://woman.nikkei.co.jp/special/article.aspx?id=20070905f1000f1
(2)http://woman.nikkei.co.jp/special/article.aspx?id=20070905f1000f1&page=2
(3)http://woman.nikkei.co.jp/special/article.aspx?id=20070905f1000f1&page=3
リハビリは全人的医療(検証「リハビリ問題」完)
キャリアブレイン 2007年9月10日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/11815.html
韓国中で血液不足、手術の延期相次ぐ
朝鮮日報 2007年9月10日
http://www.chosunonline.com/article/20070910000019
医療クライシス:がけっぷちの産科救急/5止 増員予算、改善に不可欠
毎日新聞 2007年9月11日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070911ddm002040014000c.html
◇医師数抑制策、変えぬ国
奈良県五條市の高崎実香さん(当時32歳)が、19病院に受け入れを断られた末に死亡してから1年。先月には同県橿原市の女性(38)が9病院に断られ、搬送中に死産した。搬送先探しに苦労する例は各地で起きているが、何が原因なのか。
厚生労働省の研究班が全国の新生児医療施設を対象に行った調査では、「長期入院児の存在が、新生児集中治療室(NICU)の新規入院受け入れに影響している」と考える施設が70%に上った。症状安定後に受け入れる後方支援施設が不足し、NICUに長期入院せざるを得ない子どもが少なくないためだ。研究班の梶原真人・愛媛県立中央病院総合周産期母子医療センター長は「後方支援施設の充実が急務だ」と指摘する。
代表的な後方支援施設である重症心身障害児施設は04年10月現在、全国に182施設ある。しかし、「旭川荘」(岡山市)の末光茂理事長は「重心施設は重症児患者の診療報酬がNICUの約3分の1。受け入れれば受け入れるほど運営が厳しくなる。せめて2分の1までの引き上げを厚労省に要求しているが、実現しない」と訴える。医療スタッフ集めにも苦労が絶えないという。
■ ■
76年に日本初の五つ子が誕生した鹿児島市立病院。新生児センターは80床あり、うち36床がNICUで国内最多だ。同病院周産期医療センターの茨聡(いばらさとし)部長は「搬送受け入れを断ることはほとんどない」と話す。しかし、紆余(うよ)曲折もあった。新生児センターは78年に40床でスタートした。81年には60床になったが、高齢出産や不妊治療などの影響で未熟児が増加し、慢性的なベッド不足に。スタッフは満足に休みも取れなくなった。
そんな中、地元の産婦人科開業医らが署名活動を展開。約12万人分の署名を添え、97年に市議会や県議会へ要望した結果、必要な予算が可決された。20床増床され、医師は5~6人から14~15人に、看護師も50~60人から120人に増えた。全国最低レベルだった早期新生児死亡率が、02年には出生1000人に対し0・6人という最高レベルになった。茨部長は「周産期医療の充実は、新生児の命を救うだけでなく、将来を担う人材を育てることになる。行政は必要な予算を投じることを真剣に考えるべきだ」と話す。
■ ■
橿原市の女性が死産したケースで、救急隊からの2度の受け入れ要請に対応できなかった奈良県立医大病院産婦人科。同病院によると、産婦人科には当時、2人の医師が当直していたが、1回目の依頼は、陣痛で緊急入院した患者の診療中だった。緊急帝王切開手術を終えたばかりの患者の対応にも追われていた。その後、破水のため患者が緊急入院し、分娩(ぶんべん)後に大量出血した患者の搬送依頼も受けている時に、2回目の依頼が来た。2人は一睡もせず対応を続け、そのまま日中の通常業務に入ったという。
毎日新聞の全国調査で、
各地の周産期母子医療センターが求める対策で最も多かったのは「医師増員」だった。日本の人口10万人当たりの医師数は経済協力開発機構(OECD)加盟国中最低レベル。しかし、国は医師数抑制策は変えず、現場の悲鳴に応える様子はない。
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