(関連目次)→大淀事件 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
というわけ大淀関連が、続きます。
裁判は、原則公開裁判ですので、裁判記録は閲覧ができますo(^-^)o..。*♡
(大阪地裁HP) http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/madoguti/index.html
私はこの制度についてあまり知らなかったのですが、結構一般的みたい。
こちらは神戸地裁のHPになりますが、
http://www.courts.go.jp/kobe/saiban/tetuzuki/kiroku.html
民事関係の事件記録の閲覧・謄写の受付は,事件が係属中であると確定後であるとを問わず,原則として,神戸地方裁判所本庁は1階の,神戸簡易裁判所は3階の各民事訟廷記録係で受け付けています。
とありますし、
用意すべき書類は
1.申請書 窓口に備付けてあります。
2.認め印 身分関係を証明する書類(運転免許証・健康保険証等)
※謄写を請求する場合及び非公開の裁判の記録の閲覧を請求する場合
3.利害関係を疎明する書類
※利害関係人として申請される場合
(提出書類によっては申請が許可されない場合があります。)
というわけで、大阪地裁でもほぼ同様の手続きにて、
■閲覧
※大阪地裁 6F 第17民事部医事係 医C3 にて資料閲覧しました。
※住所、氏名、目的などの書類、150円の収入印紙、印鑑が必要でした。
※閲覧は可能ですが、メモは禁止。
※資料で見た内容を、外で他の人に伝えることは禁止されていない。
とのことでした。
(しかし実は、他の法曹関係者にお伺いをしたところ、
メモはとっていいとのことです。
今度行った時にはきっちり記録をとってきます!)
よってこの記録は、メモがない状態で行われたものです。
間違いのある記録でもあることをしっかりと心に刻んでお読みくださいませ。
記憶があやふやな部分には、?を。そうでなくてもあやふや部分がありますo(^-^)o
もしもあやしいところがありましたら、ご一報ください。また行ってきます。
大阪在住の方、もしも機会があれば、トライしていただけるとありがたいです。
(膨大な量ですけれど)では、どうぞ。
■閲覧資料
a) 原告の訴状、主張
賠償請求内容、経緯、被告の責任について、死因、損害の算定など
b) 被告の主張
望まれる判決、(a) に対する被告の認否
c) 被告から原告への釈明(?)要求
d) 初診時の問診~当日までの外来診療記録、各種検査結果
e) 当日 (8月7,8日) の、担当産科医の記録
関連箇所には赤字で注釈
f) 当日 (8月7,8日) の、看護師の記録
一部専門略語に赤字で注釈
g) 国循の医師の記録
医師、看護師の手書きの記録、ワープロの記録、各種検査結果、などなど
患者家族の会話、ムンテラもほとんどすべて記録されている
■経緯
※担当産科医の記録、看護師の記録、原告および被告の主張がない交ぜになっています。
※病院側の記録が一番正確に近いと思いますので、これを基本とし、原告が主張した事柄は[原]としたつもりです。
※いざまとめてみると、忘れていたり記憶違いも多そうです。
既にネットでみなさまで行われた検討の方が詳しく正確かと思います。
【参考にどうぞ】
健康、病気なし、医者いらず
奈良の産科医 詳細2
http://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-date-20061030.html
H17年
12月20日 初診
身長160cm台前半、体重55kg
予定日 H18.7.30
子宮筋腫あり、内服薬記載(内容忘れ)
?月?日 風邪・・・
冬~早春 つわりひどく、水分もだめ、点滴希望(薬名?)
H18年
2月?日 もう1つ筋腫見つかる、漿膜下筋腫
初夏~夏 食べ過ぎると嘔吐あり
歩くときなど腹の張り+
BP100~120/50~60位で推移
その他検査に大きな問題はなさそう
胎児の発育は一貫して良好な模様
7月30日 40w0d
8月7日
9時00分 分娩のため入院、41w1d
朝 子宮口 3cm
BP120台/?
9時40分~14時55分
PGE内服 6回
16時?分 腹の張りが出始める
助産師が呼吸法指導
夕(?) BP130台/?
18時00分 監視装置装着
19時00分 監視装置はずす
21時30分(?) (20時00分から21時30分の間)
分娩監視装置(NST)装着
夕~夜 嘔吐あり
強い痛みを訴え「痛い痛い」「もう帰りたい」
[原]陣痛時は交代で患者をさすっていた
[原]こんなに嘔吐するものなのかと助産師に確認、「よくありますよ」の回答
8月8日
BPは上が140~150で推移
0時00分 頭痛を訴える
0時14分 [原]頭をたたくようにした後
意識喪失
子宮口 4cm
内科当直医に診察依頼
BP150位/?、Vital良
担当産科医と内科当直医で相談の上、失神の可能性、経過観察
[原]頭部の検査(?)をした方がよいのではと聞いた(?)が、担当産科医は「陣痛の痛みによるもので、よくあることなので大丈夫」として検査せず
1時37分 BP170~180/?、水銀BP200/100、SpO2 97%
痙攣発作
[原]強直性の痙攣、その後も陣痛発作に合わせて同様の症状
いびき
助産師が担当産科医をコール
担当産科医が子癇を疑い、マグネゾール投与
?時?分~?時?分
[原]助産師が10分置き位に様子を身に来ただけで、担当産科医は来なかった。
[原]後日、「仮眠を取っていた」と言った。
?時?分 担当産科医と内科当直医でCTの是非を相談するが、安静を優先
[原]担当産科医は患者が痙攣する様子を静観していた
この頃、SpO2 は97%前後、BPは上が150前後で推移、胎児心音は一貫してOKらしい
2時00分 Vital良、瞳孔大
夫の身内 (当病院の救急で勤務経験) 来院
[原]身内が除脳硬直と判断し、CT等の検査を要求したが、担当産科医は「子癇なので、動かさないほうがよい」として検査せず、「転院先を探している」と言うだけ。
[原]この後も度々身内がCT等の検査を要求するが、担当産科医は拒否。
?時?分 奈良医大に母体搬送依頼、満床なので他をさがす
?時?分 奈良医大に再度連絡、まだ見つからず。20以上探している
?時?分 家族から、まだ見つからないかの催促
担当産科医は消防に問い合わせて自分でも転院先を探す
病院名とTelが別メモ2枚、5病院に連絡するがすべて×
[原]転院先が見つかったらすぐに搬送できるように、救急車の確保と搬送準備を要求
3時?分 [原]いびき
4時10?分 SpO2 97%
4時?分 奈良医大より、国循で母体受け入れ可の返事。
4時30分 SpO2 70%台に低下、自発呼吸困難のため挿管、これによりSpO2 98%に回復
[原]夫の身内が「このままで搬送すると危険なので挿管するように」と要求
“子癇の疑い”にて搬送。
6時00分 国循到着
これ以降は国循の記録
JCSⅢ-300、瞳孔5mm、対光反射-、自発呼吸+(挿管中)、痛覚反射-
CT
脳血管撮影の余裕なし、直ちに開頭手術
右前頭葉に7cmの血腫、明らかなMidline Shift、脳幹にも出血、脳室穿破
・・・
8月16日 亡くなった後、国循の医師から、患者の夫の父に病理解剖を勧める
心揺れ動いたが、結局「このまま引き取らせてほしい」との回答
■被告の主張
判決について
・“原告の請求棄却、裁判費用は原告が出す”という判決を望む。
経過全般
・初めに原告側から提出された訴状では、一部の時間経過、陣痛の間隔などが病院側の診療記録と1~2時間喰い違う 「全体の争点には関係ないが」と断った上で「訂正」。 (否認ではない)
・患者と病院関係者との会話はすべて「不知」とする。
原告の訴状 (経過、責任、死因) の認否
・8月8日 0時14分 意識喪失時に、原告は“頭をたたくようにした後”としているが、これは「不知」とする。ただし、意識喪失自体は認める。
・原告は“?時?分~?時?分の間、担当産科医が一度も診察に来なかった”としているが、
陣痛時、患者の夫が患者の背中をさするために血圧上昇を招いていたので、担当産科医は (あまりさすらないよう) 注意しており、
“一度も来なかった”というのは事実ではない「否認」。
・原告は“後に、担当産科医は「仮眠をとっていた」と言った”としているが、
“仮眠をとった”と受け取られる可能性のある発言はした可能性はある(?)が、仮眠をとったという事実はない「否認」。
・原告は“8月8日 2時00分 およびそれ以降、夫の身内が何度も除脳硬直を疑いCT等の検査を要求した”としているが、これは「不知」とする。
ただし、担当産科医が「子癇なので、動かさないほうがよい」と話したことは認める。
・原告の 8月8日 3時?分のいびきに関する記述が、“この時いびきが始まった”という意味であれば「否認」する。
8月8日 1時37分 の痙攣発作時にもいびきは確認されたし、4時台にもみられた。
・原告は、“夫の身内が搬送前に「挿管をすべき」と言ったので、医師が挿管した”としているが、 それまでは SpO2 が 97% 程度で推移していたので挿管は不要だったものが、4時30分になって 70%台に落ちたので挿管したのであり、“夫の身内が要求したので”という部分は「否認」する。
・死因その他、一部原告の主張についての認否は、国循の資料を待ってから行う。
その他主張
・本件の症状で子癇を疑うのは妥当であり、その場合治療は適切であった(過失は無い)。
・原告は“国循到着時には脳室穿破ができていた”としているが、
8月8日 2時00分に瞳孔が開大していることから、この時点で脳室穿破は完成していた可能性が高い(ある?)。
脳出血が直接の死因とした場合、脳内出血の転帰の速さを考えると、早期に脳内出血の可能性を疑い検査していたとしても、救命は困難であったと考える。
・母子共に生命が危険な状態にあったのであり、
胎児が無事取り上げられ順調に発育しているのは
NICUのある病院に転院できたからであり、担当産科医がNICUのある病院を探した判断の正しさを示す。
・母子共に生命が危険な状態であったところ、
「子供を救うことができた」のであり、
本件は、救われた子供が「母を見殺しにした」と訴えている、不条理(?)なものである。
■被告から原告に、釈明(?)を求める
a) (当病院の救急で勤務経験があるという) 患者の夫の身内は、子癇の症状を見た経験があるのか?
b) 患者の症状を見て、具体的にどのような点をもって、子癇ではなく除脳硬直と判断したのか?
c) 原告は脳出血を直接の死因としているが、国循の記録によれば
搬送時は、脳血管撮影の時間も無いまま緊急手術を行っており、また、
亡くなった後、遺族が病理解剖を望まなかったので、
脳出血の原因は不明のままである。
原告は、この記録以外に脳出血の原因に関する情報をどのように入手したのか?
また、この記録だけから判断しているのであれば、原因が不明であるにもかかわらず、どうして判断できるのか?
(いまいち文意が違うかも???)
d) 原告は“8月8日 2時00分 およびそれ以降、夫の身内が何度も除脳硬直を疑いCT等の検査を要求した”としている。
これ自体は「不知」とするが、いつCTをとればよかったと考えるか?
e) 原告は“CT等”と包括的に書いているが、CTの他にどのような検査が必要であったと考えたか?
f) (d)(e)のとおりCT等の検査を行った場合(脳出血が判明した場合)、
当病院で開頭手術ができない前提で、
その後の対応は具体的にどのように変わり得たと考えるか?
g) 脳出血が早期に分かっていた場合、
母体搬送先の病院がより早く見つかったと考えるか?
その場合、具体的にいつ、どこの病院が搬送可能であったと考えるか?
h) 原告は、8月8日 1時37分の痙攣発作以降も
“陣痛発作に合わせて同様の痙攣症状があった”としているが、
陣痛発作が起きていることをどのように判断できたのか?
i) 今回の過程で、胎児のことを具体的にどうにか考えていたか?
(例えば「患者のお腹の中で元気にしているであろう」とか)
j) (文面は忘れましたが、家族が“子供を諦めても母体を救ってほしい”と考えたんじゃないの?と言いたげな項目)
※??年の、??氏及び??氏のレポートをふまえた回答を望む
・??年の分娩時の脳出血が28(7?)件、うち、救命可能可能であったと思われるものは?件と少ない。
・子癇と判断して問題ない。
【追記】
上記27例というキーワードから調べてみました。
1998年度厚生省心身障害研究の鮫島報告であろうと思われます。脳出血死は27例です。
脳内出血によるもの20例
くも膜下出血7例
出血時点で80%は手術不可能とされる重症で,救命可能と判断されたのは1例しかなく,分娩前後の意識消失などから子癇を考えるのは正しい選択であるとし,その診断にはガイドラインが必要である。とあります。
さらにこの報告にはその後、2007年6月日本産婦人科学会誌にて
追加報告がでています。こちらはまだご存じないかもしれません。
参考にどうぞ!
わが国の周産期センターにおける妊産婦死亡の分析
以上です。
さて、本裁判における傍聴記はブログを含めて3本上がっています。
たまりょさまレポート
奈良は燃えましたな(大淀事件 12)
お決まりの日々? 2007/08/29 (Wed)
http://okimari.blog26.fc2.com/blog-entry-1502.html
三上さまレポート
日々のたわごと・医療問題資料館
大淀病院母体死亡「事故」 第2回公判傍聴記(その1)
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=666716
大淀病院母体死亡「事故」 第2回公判傍聴記(その2)
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=666855
大淀病院母体死亡「事故」 第2回公判傍聴記(その3)
http://symposium.b-r.under.jp/?eid=667451
konakiさまレポート
konakiの言いたい放題
大淀病院訴訟
http://blog.zaq.ne.jp/konaki73/article/225/
引続き大淀病院、救急車事故
http://blog.zaq.ne.jp/konaki73/article/226/
さらに引続き
http://blog.zaq.ne.jp/konaki73/article/227/
私のがいちばん“ええかげん(;;)”で、こちらです。 それから、きよさまから、メモしたレポートを送ってきてくださっていますo(^-^)o..。*♡本当に何から何までありがとう存じます。 第2回公判の主なやり取り [裁] 現状の確認。 [裁] 原告からは、かんさ(?)記録を提出。(?) [裁] 今後の進め方は? [原] 前回、「訴状の認否は国循の資料提出・応答を待って行う」とのことだったが、結論は出ているか? [裁] 次回はどうするか?弁論準備(?) これらを組合わせて考えていただくと、
奈良大淀病院の裁判傍聴にいってきました!
http://obgy.typepad.jp/blog/2007/08/post_c6cd.html
奈良大淀病院の裁判! その2
http://obgy.typepad.jp/blog/2007/08/post_825a.html
8月29日(水) 13時30分 (於 大阪地裁 1006号法廷)
8月24日に、被告より乙A1~4 の準備書面を証拠として提出。
[被] その中で原告の釈明を求めている (?) ので、回答してほしい。
[原] 医学的内容については、素人なので答えられない。
本人の経験について、答えられる範囲では協力する。
[被] 医学面は不要。経験について、分かる範囲で回答をお願いする。
[原] はい。
[原] 過失に関して、被告の反論が不明。
医学レベルで反論があるのか、過失の有無の事実関係を争点にしているのか?
過失があったことを認めているのか?
[被] 先の準備書面を参照してほしい。
奈良の母体搬送システムについても(?)
[被] これから行っていく。
[被] 今後もこれだけ多くの傍聴が予想されるのか? (24名)
つっこんだ議論もしたいので、できれば非公開に近い形式にしてほしい。
[原] 世間の関心が高い、ということであれば、傍聴を可能としてほしい。
[被] (?)難しければこだわらない。
[(?)] まぁ、今回がmaxであろう。
[裁] 次回は、同場所 (1006号法廷) にて、10月29日(月) AM11時00分~、弁論準備を。
資料がない時点では、「除脳硬直」があるといっていたのかな?と思いましたが、
「除脳硬直を主張しているのは原告側」ということになります。
まぁ、除脳硬直があったところで、脳出血で除脳硬直といえば
基本的に助からない状態ですけれど。(原告が搬送の遅れを主張するなら
その時点で搬送して助かった、という主張をせねばならず、これは変です)
全体的に主張が整理されていない印象をうけます。
拙ブログをご紹介頂きありがとうございます。
大阪在住ですので、記録閲覧のお手伝いぐらいはできると思います。一人で渡来するのはわたくしのスキルでは厳しいですので・・・・。
記憶が不確かですが、複写はダメでも画像保存は出来たように記憶してますけど、今は出来ないのでしょうかね?
連絡版にしてしまいましたけど、不適切でしたら削除してください。
投稿情報: konaki | 2007年8 月31日 (金) 17:49
「謄写を請求する場合」が書いてあるんだから,それでもらってきたらだめなのかな?お金はかかるでしょうけど.
投稿情報: ardor | 2007年8 月31日 (金) 23:55
た・・・たしかに(-_-;)。。。。
思いもつきませんでした。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2007年9 月 1日 (土) 06:56
民事訴訟法91条(→http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%96%af%8e%96%91%69%8f%d7%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=H08HO109&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1))
で、閲覧は誰でも出来ますが、謄写が出来るのは当事者又は利害関係人(疎明した者)だけです。
デジカメ等での撮影は謄写の一形態ですので、閲覧の場合には出来ません。
よってメモするしかありません。
投稿情報: psq | 2007年9 月 1日 (土) 13:53
僻地の産科医先生、貴重な資料のアップありがとうございます。早速拙blogでも紹介いたしました。
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/09/97828_8590.html
しかし、ほんとこのまま弁論続けるんだろうけど、どうなっちゃうんでしょうね。
投稿情報: iori3 | 2007年9 月 1日 (土) 16:01