(関連目次)→今月の産婦人科医会報 なぜ産科医は減っているのか
(投稿:by 僻地の産科医)
2月号の産婦人科医会報から。 のですけれどo(^-^)o ..。*♡ それでも取組みの出始めた状況といえるでしょう。 各病院二人づつ研修医は産婦人科に今日からなれ! くらい言ってくれないとどうにもならないように思います(>▽<)!! 産婦人科勤務医待遇改善にむけての最近の動き (日本産婦人科医報 平成20年2月1日号 No.695 p8) - 中堅医師不足の背景- 医会で平成17年度に行った「勤務環境とその自己評価に対するアンケート」の最終報告(JOAG Information・49 H19年4月1日発行)にあるように、産婦人科勤務医不足の重要要因である中堅医師の離職をくい止めるためには、収入増額が有効かつ喫緊の課題であることが示唆提言された。一方、医会では「ハイリスク分娩管理加算・ハイリスク妊産婦共同管理料」の勤務医への還元を全国分娩取り扱い施設の施設長に対し要請していたところであるが、待遇改善の現状を把握するため引続き「産婦人科勤務医の待遇改善に関するアンケート調査」を平成18年度に実施し、平成19年3月調査結果を小冊子にして会員に公表した。調査の結果、当直手当の増額、希少職手当等特殊勤務手当の支給、他科医師と別の賃金体系の採用を行っている施設はいずれについても、10%未満と少数にとどまっており、また分娩手当の支給を行っていない施設が8割弱に上ることが判明した。さらに「ハイリスク分娩管理加算・ハイリスク分娩共同管理料」の勤務医への還元に関しては回答のあった757施設中僅か5施設で行われているにすぎなかった。 昨今の後期研修医の産婦人科敬遠による減少が将来の新規産婦人科専門医減少につながる可能性は危惧されるものの、現在まで新規産婦人科専門医数は減少していない。新規産婦人科専門医は平成19年度にいたる過去15年間において概ね毎年300人前後(平均308人)であり、平成10年度以降で300人を割ったのは平成15、16年度の2年間にすぎず、さらに平成18年度は352人と過去15年間で平成11年度の364人に次ぐ多数であり、平成19年度も331人と4番目の多数であった。ただ新規専門医に占める女性医師の割合が平成10年度から30%台になり、平成12年度からは40%台、平成16年度からは50%台と過半数に達し、平成19年度は57.1%に至っている。その結果、平成19年9月30日現在の日本産科婦人科学会30歳未満会員の69.8%、30~39歳会員の52.1%、40~49歳会員の23.1%が女性となっている。女性専門医勤務医師の離職が男性医師のそれを上まわっている恐れは十分にあり、故に昨今の女性医師増加が中堅勤務医師不足を助長していると言うことになるが、一方後期研修医の減少が中堅勤務医師の過重労働を倍加することにより勤務医師の離職を促進している。 - 都立病院をめぐる動き- 以上の状況を反映してか、平成19年11月日本産科婦人科学会理事長から東京都知事に対し都立病院産婦人科勤務医の待遇改善の要請が行われた。部長の年収は1,800万円、医長の年収は1,500万円を確保し、また女性医師の確保促進のため常勤職員と認められる最低勤務時間を週20時間以上に下げる等が論じられている模様である。都立病院で産婦人科医師の待遇改善が実施されれば全国への少なからぬ波及効果が期待される。 - 滋賀県での動き- 滋賀県でも数年来医師不足による病院産科の閉鎖が相次いでいるが、平成19年12月12日の新聞報道によると、平成18年末時点での15~49歳女性10万人当たりの産科・産婦人科医師数が26.8人と全国最下位となっている。県内の地域の中核医療施設での産婦人科医確保のためにとられた2~3の事例を紹介する。 公的病院であるS病院(ベッド数393床、産婦人科ベッド数20~24床、常勤医師数70人)では、3年前産婦人科医師の派遣先大学への引き揚げによる閉鎖の危機に見舞われたが、希少職手当(役付医師一律20万円;麻酔科医師にも支給)の支給を実施したことに伴い、他大学から2名の産婦人科医師の派遣を得、産婦人科存続に成功した。医師数は現在3名となっている。分娩数は年250件、手術は帝切88件を含む200件、当直回数月9~10回、分娩手当・オンコール手当なし、応援医なし、当直中平均睡眠時間6時間との由である。部長の年収は1,600万円程度とのこと。 同じく中核病院であるN市民病院(ベッド数676床(療養型ベッド156床含む)常勤医師数93人)でも1年前派遣先大学からの医師派遣中止にあったが、産婦人科医師に対してのみ基本給に10万円以上の定額上乗せを実施し、他大学から2名の医師派遣を受け産婦人科閉鎖を免れた。最近分娩料増額を検討しており、増額分を産婦人科医師に還元する予定との由である。産婦人科は現在常勤医師3名、分娩数350件、手術330件、当直月8回、応援医1名、当直中平均睡眠時間4~5時間、分娩手当は分娩1件につき一律0.3万円。部長年収は1,500~1,600万円との由。 O市民病院は地域の中核医療施設(ベッド数407床、常勤医師数82人)であり、地域周産期医療センターの認可を受けているが、1~2年来産婦人科医師を含め勤務医師の離職が相次ぎ診療に支障をきたす状況になった。医師確保のため市議会も医師の給与アップ不可欠と承認し、予算として年間2億円を計上する見込みとなった。各医師(研修医レジデント除く)に対し一律15万円程度の手当と専門医資格、学位等に対し1タイトル宛1万円(3タイトル3万円を上限)の追加手当を支給する。また部長の時間外手当の上限を撤廃する。産婦人科医に対しては産科当直料2万円に加え、分娩手当一律1分娩につき2万円支給。オンコール待機料はなし。この結果部長の年収は現在の1,700万円から2,500万円に上昇する見込み。現在産婦人科常勤医は3名、応援医1~2名、当直回数月9回、当直中の平均睡眠時間6時間、分娩350件、手術150件、年間30件程度の母体搬送を受け入れている。 - 今後の課題- 以上の事例は、上述の医会アンケート調査により示唆された金銭面での待遇改善が勤務医獲得に有効であることを実証するものであり、中堅勤務医の離職に歯止めをかけるには給与待遇の向上が決め手であることを改めて銘記すべきであろう。勤務医の給与増額の財源として、一つには分娩料増額分の医師への還元、ハイリスク分娩管理加算・ハイリスク分娩共同管理料の適応拡大と医師への還元が検討されてよいと考える。
ただ現実には、公立病院では待遇改善には結びつかず、
ない袖は触れず、応援もどこからも来ない
昨日のニュースで、福田総理が『産科医を増やすようなんとかする』
と仰っていましたけれど、
滋賀県の記事も風前の灯のようにしか見えません。
ではどうぞ ..。*♡
待遇改善は未だしと言わざるを得ない現状が示された。
コメント