(関連目次)→医療安全と勤労時間・労基法
(投稿:by 僻地の産科医)
昨日の第一弾に続きまして続報です(>▽<)!!!
勝手に宅直やるのは奉仕活動 「医師の当直勤務は「時間外労働」、割増賃金支払い命じる判決」
勤務医 開業つれづれ日記・2 2009-04-23
http://med2008.blog40.fc2.com/blog-entry-780.html
お宅ざまぁということらしい
ssd’s Diary 2009-4-22
http://ssd.dyndns.info/Diary/?p=3812
医療と行政との関わりの中で
ぐり研ブログ 2009年4月23日
http://gurikenblog.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-3f5c.html
背景に医師不足 産科の悲鳴届いた…奈良地裁判決
読売新聞 2009年4月23日
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20090423-OYO1T00246.htm?from=main1
2人で2年間に当直313回 50時間勤務も
産科医の悲鳴が司法に届いた――。奈良地裁が22日、奈良県立奈良病院の当直勤務を時間外労働と認めた判決で、産科勤務医の労働実態の過酷さが改めて浮き彫りになった。こうした問題の背景には、医師を計画的に配置せず、医師の偏在を放置してきた日本の医療体制がある。勝訴した産科医の1人は「産婦人科の医療現場では緊急事態に対応するためスタッフが必要」と訴え、医師不足の抜本的な解決策を求めている。
今回の訴訟では、産科医が休憩もままならず、ぎりぎりの状況で母と子の命に向き合わなければならない実態が陳述などで明らかになった。原告の1人が2005年12月に経験した土、日、月曜の3日間の連続勤務を振り返ると――。
土曜夜、1人の妊婦が出血し、その約1時間後に別の妊婦が陣痛を訴えた。日曜の午前4時半頃には、さらに別の妊婦の異常分娩(ぶんべん)に立ち会った。医師は原告だけ。1人の処置をしている間に、別の妊婦が分娩室にやってくる。日曜日は午前9時半前、午後4時前、同7時半前、同10時前にそれぞれ赤ちゃんが生まれ、月曜未明にも赤ちゃんが誕生した。ほかにも原告は、切迫早産や出血などの手当てに追われ、連続する宿直勤務の間に診た妊婦は計13人。立ち会った出産は6件にのぼった。この後、月曜日は夕方まで通常の勤務に就いたという。法廷で、原告は宿直明けの体調について「朝のうちは興奮状態で元気かなと思うが、昼ぐらいから、ガクッと疲れる感じ」と陳述。宿直明けの手術の際、エックス線撮影の指示を誤ったこともあったと述べた。
原告2人が2年間で務めた夜間・休日の当直は計313回、担当したお産は計300件。妊婦からの呼び出しコールが頻繁にあるため、仮眠を取るのも難しく、50時間以上の連続勤務もあった。原告の上司も「外科の当直なら、整形外科などを含めた複数の診療科から1人出せばいいが、産婦人科は、産婦人科だけで回さなければならない」と厳しい実態を証言した。
過酷勤務、訴訟リスク…「なり手なくなる」
「お産は24時間ある。産科は診療科の中で最も当直が多く、負担が特に大きい。なり手がなくなるのではないかと危惧している」。岡井崇・昭和大教授(周産期医療)はこう指摘する。
産科医の減少は、分娩(ぶんべん)施設の数にも表れている。日本産科婦人科学会の調査(2006年)では、全国の分娩施設は1993年に約4200施設あったが、調査のたびに減少、05年は約3000施設となった。約2700病院が加盟する日本病院会は「勤務医、中でも産科、小児科は『訴訟リスク』が大きく、研修医らから敬遠されやすい。結果的に医師が不足し、労働条件も悪化する悪循環が起きている」とする。
労働基準監督署から、指導を受ける病院も後を絶たない。原告の産科医が勤める県立奈良病院でも、04年に労働時間の是正を求められたが、改善されず、今回の訴訟に発展した。
現場の産婦人科勤務医の評価はさまざまだ。
京都市内の病院に勤務する50歳代の男性医師は「現場は医師のボランティア精神と犠牲の上に成り立っている。待遇が改善されれば、医師も増え、医療の充実につながるだろう」と話す。
一方、石川県内の大学病院の男性医師は「抜本的な解決には、看護師のように3交代制を敷くしかない。それには、お産の拠点施設を配置するなど、医療システムを根本的に変える必要がある」と指摘する。厚生労働省監督課は「長時間労働は抑制し、労働基準法を順守するよう監督したい」としている。
当直医へ時間外手当、1500万円支払い命令 奈良地裁
朝日新聞 2009年4月23日
(1)http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200904230019.html
(2)http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200904230019_01.html
当直勤務時の賃金が一律支給で済まされ、過酷な労働に見合う時間外手当(割増賃金)が支給されていないとして、奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、04、05年の未払い分として計約9200万円の支払いを県に求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であった。坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は「分娩(ぶんべん)や救急外来など、通常と変わらない業務をしていた」として、産科医としての2人の当直は時間外の支給対象となると認定。県に計約1540万円の支払いを命じた。
県は当時、当直1回につき2万円を支給するだけだった。原告の代理人弁護士によると、医師の当直に時間外の支給を命じた判決は全国初。当直勤務に一律支給を導入する例は全国的にあり、各地の病院に影響を与えそうだ。
訴えていたのは、産婦人科の40代の男性医師2人。夜間や休日の当直業務が、割増賃金として労働基準法で規定された時間外手当の支給対象になるかが争点となった。 県側は時間外の適用が除外される労基法上の「断続的労働」にあたると主張していたが、判決は断続的労働について「常態としてほとんど労働する必要がない勤務」と指摘。原告の勤務は「1人で異常分娩に立ち会うなど、睡眠時間を十分に取ることは難しい」などとし、医師の当直を断続的労働とした県人事委員会の規則は適用除外の範囲を超えていると判断した。
そのうえで、賃金など労働債権の時効(2年)となる期間を除いた当直計約250回を対象とし、給与をもとに算出した時給約4200~4400円に割り増し分を加えた手当の支払いを命じた。 交代で自宅で待機する「宅直」については、「医師間の自主的な取り決め」として時間外と認めなかった。
県は提訴を受けた後の07年6月から、一律支給を維持しつつも、県立病院の医師が当直中に救急患者の診察や手術をした場合、その実働時間に限り時間外の対象とするように変更している。
奈良県が今月、医師の当直勤務の手当について全都道府県の状況を調べたところ、37団体から回答があった。定額の当直手当のみは6団体、07年に奈良県が改めたような定額手当と時間外手当のセットが29団体、今回の判決の考え方と同様に当直中の全労働時間を時間外手当としているのは2団体だった。
訴訟:産科宿直に割増賃金 「待機時間も労働」--奈良地裁判決
毎日新聞 2009年4月23日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090423ddm041040107000c.html
奈良県立奈良病院(奈良市平松)の産婦人科医2人が、夜間や土曜休日の宿日直勤務に対し低額の手当ですませるのは違法として、04、05年の割増賃金など計約9230万円を支払うよう求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であった。坂倉充信裁判長は、県に時効分などを除く計約1540万円の支払いを命じた。宿日直勤務を時間外労働と認めた初の判断とみられる。
判決などによると、同病院は県内外からハイリスクの妊婦らを24時間受け入れている。原告は04、05年に1カ月当たり6~12回の宿日直勤務をした。勤務時間は宿直が午後5時15分から翌日午前8時半、日直が土曜休日の午前8時半から午後5時15分だが、その前後も恒常的に勤務が続いていた。
判決は原告らの宿日直勤務が「分娩(ぶんべん)の回数も少なくなく帝王切開も含まれる。救急医療もまれではない」として労働基準法上、割増賃金を払わなくてよい「断続的労働」とは認めなかった。割増賃金の根拠となる労働時間について「待機時間も労働から離れることが保障されているとはいえない」と宿日直開始から終了までが労働時間に当たると認めた。原告側は、自宅で待機する「宅直」も労働時間に含めるよう主張したが、判決は「病院の指揮命令下にあったとは認められない」として請求を退けた。
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