(関連目次)→大淀事件
(投稿:by 僻地の産科医)
疲れました。抽選にも当たりました。(無事)
(↓抽選券と合格発表)
一枚だけ余っちゃったので、石川ゼミの学生さん
(すべて抽選終わって地味~に参加してきた子に)
一枚あげてきました。
さて、今回分業することにしました。
といっても回り持ちで全部書いていきます。
たまりょさま、三上さまのブログと、
きよさまの原稿をお待ちくださいo(^-^)o ..。*♡
あと訂正です。
挿管はどうも救急外来ではなく、
動かさない状態で、搬送が決まってから
陣痛室で行われたみたいです。
勘違いでごめんなさい(>_<)!
私は午後の産婦人科医Drのところから。
大阪地方裁判所 202号法廷 13:30~
(私は筆記が苦手で大雑把な一問一答です。)
病院側弁護士(米)
先週、国立循環器病センターに尋問にいってきましたが、先生はきいておられないと思いますが、彼らの意見では意識消失の段階で脳出血が出てきていて、痙攣の時点で救いようがなかった事例ではないかと考えていると言うことでした。
ところで先生は子癇発作について死亡例をお持ちですか?どのような経過を辿りましたか?
産科医
強直性痙攣→間歇性痙攣→昏睡→3日後に死亡に至りました。
産婦人科医になってまもなくくらいの頃の話です。
病院弁護士(米)
子癇は他にご経験は?
産科医
2例ほど大学病院で。その症例は生きています。
病院弁護士(米)
H18年に妊娠高血圧症候群で搬送した例が2例あったとありますが、どれくらいで搬送先を手配できたのですか?
産科医
ほぼ60分以内には奈良医大の搬送システムを使って搬送先出ていました。
病院弁護士(米)
この症例ではとんでもなく暇がかかってしまったと。
産科医
そうです。
病院弁護士(米)
産婦人科医にとって子癇と脳出血は見分けが付きにくいとききますが。
産科医
頻度としては脳出血は少なく、私は初めての経験です。
病院弁護士(米)
国立循環器センターの池田先生が班長となって厚生労働省の妊産婦死亡の統計を取りましたが読みましたか。
産科医
はい。脳出血合併した症例では受入れ態勢が出来ていないのが現状と言う気がします。
病院弁護士(金)
これまで先生の診療において、勉強と言うか研鑽をどのようになさってきましたか。
産科医
大きな全国学会には一人医長なので行ったことはありません。
大淀病院を空けるには奈良県立医大から代務をもらわねばなりませんが、大きな学会の時には医大の先生方が学会にいってしまうので私は留守番です。その代わり近畿産科婦人科学会とか奈良産婦人科学会とかには行っています。手術経験がないような場合は、県立医大からうまいDrを招いてやったり、見学に行かせてもらっています。
助産師は私の片腕なので、月一回の勉強会を開いています。
病院弁護士(金)
一人医長の状態が大淀病院ではずっと続いていたのですか?
産科医
はい。緊急時には奈良医大に電話して誰か来てもらいます。
週二回代務にきてくれて、外来や手術を手伝ってくれます。
病院弁護士(金)
これまでに扱った分娩件数は?
産科医
6000例くらい。子癇は3例。脳出血は初めてです。
病院弁護士(金)
内科医にコンサルトして心因性の意識消失発作では?と言われてどう思いましたか。
産科医
血圧は安定していましたし、瞳孔も問題なく、
助産師より本人がお産に順応していない(前向きな反応をしていない)
周りの期待が大きいときいてありえるかなと。1時間くらい
心因性の意識消失発作をしている人を過去に見たことがあります。
病院側弁護士(金)
先ほどから奈良医大と密接な関係にあるということですが、
搬送システムがでいたのはいつごろですか。
産科医
H9くらいからかな。覚えがありません。
病院側弁護士(金)
このシステムを使う時はどういう基準ですか。
産科医
大淀病院では手に負えないと感じた時です。
病院弁護士(金)
国立循環器センターからすぐに帰ったのはナゼですか?
産科医
大淀病院が空になってしまっています。(緊急はいつでもある)
外来もありますし。救急隊も待たせていたので。
病院弁護士(金)
この日は帰ってから外来をこなされていますね。
いつも一年中こんな状態ですか。
産科医
そうです。
原告側弁護士
週何回病院に勤務しているのですか。
産科医
水曜と木曜に外来と当直を医大にお願いしていて、
手術日でもあるので。土日月一回のみフリーですが何かあればいきます。(年中無休だっていえばいいのに)
原告側弁護士
外来は何日ですか。
産科医
月曜日から金曜日です。(だから、手術と緊急と、検査と、入院患者の回診と分娩があるって言えばいいのに)
原告側弁護士
国循からCTの結果をみずに帰っています。
6時15分に国循を出発、7時30分に大淀町に帰っています。
せめてCTでもみていけなかったのですか。
産科医
だから大淀病院が空になってしまいますし、救急隊も待っているし。
原告側弁護士
子癇以外は考えなかったのですか。
産科医
子癇の疑いが一番強いとおもいましたが、紹介状も“子癇の疑い”です。痙攣発作があり、子癇のこともあれば違うこともある。最も高い可能性を考えた。
痙攣を見た途端、搬送を決め、(医師がそばについているべきなので)内科医の先生がきてくれた途端、搬送の依頼をかけに電話のある詰め所にいきました。結果的に脳出血があることがわかりましたが、子癇の1~2割に脳出血を合併します。
高次医療センターで検査してもらうことが重要だと考えました。
原告側弁護士
一人医長と言われても意味がわかりませんが。
産科医
産婦人科の常勤医は一人しかいません。
非常勤の先生がいるだけです。(だから非常勤医は昼間は奈良医大で働いているって言えばいいのに。)
原告側弁護士
病棟管理日誌を見てください。産婦人科病棟の状態が17床。
当日は13床。多かった方ですか。
産科医
平均的だと思います。ただお産には波があるので、急に満床になったりすることもある。以前に比べれば分娩は減っています。
原告側弁護士
美香さんは高リスクといえましたか。
産科医
予定日超過のみですね。高血圧はなかった。
原告側弁護士
H17年4月に中毒症という名前から妊娠高血圧症という名前にかわりましたが、何が変わったか知っていますか。
産科医
浮腫の定義がなくなりました。(質問そのものがバカにしてる!)
原告側弁護士
当日の先生の居所について聞きたいのですが。
産科医
23:00に宿直室に戻ってきて、0:00看護師から頭痛があるとのコールがあり、点滴の変更について指示しました。
0:14~0:40くらいまで内科医の先生とともに診察。
(午前中内科医はCTは不要でしょうと言った証言をしています。)
その後宿直室に戻り、1:37に痙攣発作ということで病室へ。内科医の先生がきてくれたので、(陣痛室には電話がない)電話のあり、胎児のモニタリング、母体のバイタルサインがみれる看護師詰め所から奈良医大へ電話し、何度も催促の電話をしています。
原告側弁護士
失神の可能性についてはどう考えましたか。
産科医
出血性ショックとか、低血糖とか、仰臥位低血圧症候群とか。
とりあえず出血性ショックではないし、瞳孔も共同偏視や左右差、固定など問題なかったので産科的なものではないだろうと。で内科医を呼んだのですが。
原告側弁護士
瞳孔見たのにカルテ書いていないのはどうしてですか?
産科医
時間がなかったからです。搬送して帰ってきて、外来やって昼間に院長に報告に行ったら、すぐにカルテをコピーしろと。だから書きませんでした。(改竄って言われるもんね)
原告側弁護士
瞳孔をみたのはいつか。
産科医
失神後と、痙攣後の二回です。
痙攣後のほうはマグネゾールを入れてからか、搬送を決めて戻ってきてからかの覚えがない。左右差なく4-5mmで固定。対光反射なし。でも脳出血でもそうですが、子癇でも同じことが起こります。
原告側弁護士
子癇との思いを強くしたのはいつか。
産科医
マグネゾールがきいたから。子癇には絶対安静が必要。
それに高次機関ですべきだと思った。CTには40-50分かかる。
脳の病気では?といわれた覚えはない。
原告側弁護士
マグネゾールを使っても意識が直らなかったではないか。
産科医
昏睡期に入ったと思われた。(このあたり、ちょっとやり取りがあり、原告側弁護士が子癇発作と、子癇をごっちゃにしていることが判明)
原告側弁護士
子癇ならすべきことがあるのではないか。
産科医
子癇の帝王切開には全身管理のできる麻酔科医が必要だが大淀にはいない。産婦人科医も一人では帝王切開は出来ない。どちらにしても緊急に搬送すべき。時間がかかったので、ご家族から大阪府母子医療センターにも電話しろと言われ、最初は奈良医大システムにお願いしたので断ったが、遅いので電話した。
その後のやり取りでは8月21日に弁護士を入れた。
最も可能性のあることを考えて治療した。自分自身でも、私の治療方針に間違いはなかった。
病院側弁護士(米)
子癇→脳出血の可能性だってある。議論の進め方がおかしい。
今後、鑑定医が入ることでもあるし、国循の見立てが全てではない。
病院側弁護士(金)
硫酸マグネシウムはカルシウムに拮抗して痙攣を止めるそうです。
病院側弁護士(う)
この裁判になるまでに、国循のカルテをみたか。
産科医
詳しいことはみていないので知らない。
国循の池田先生からは紹介状か何かでいつだったか覚えがないが脳出血だったと結果はきいた。
病院側弁護士(う)
意識消失については、内科医にちゃんとご相談なさっていますよね。
産科医
はい。
病院側弁護士(う)
国循の先生方に聞いてみたら、大阪府母子センターからの依頼には、奈良県立医大からの紹介も混じっているというお話でした。ですから、奈良県立医大からの依頼で国循にいったのか、先生の電話でいったのか、そこはわからないんですよね。
裁判官(左陪席)
0:14に経過観察と決まって、そのあとどうなったら呼んでね、などと指示はしましたか?
産科医
していません。助産師は何か変化があれば必ず電話してきてくれる。
心因性だと思ったから回復しているのかもとも思った。3時間くらい意識のない人もいるということだし。
裁判官(右陪席)
痙攣でマグネゾールを使って、瞳孔が散大してたんですね。
(この辺、メモが意味不明)
裁判官(左陪席)
今までの3件の子癇は妊娠高血圧症でしたか。
産科医
そうだったと思います。
原告側弁護士
1:50に内科医と交代して、詰め所へ行ったあと、美香さんを何度見にいきましたか。
産科医
血圧が高くなったりして、陣痛室に行きました。
夫の方が足をさすっているので、刺激しないように言いました。
SpO2が下がって挿管困難だった時もベッド移動など手伝いました。
病院側弁護士(米)
絵に描いたような症例ばかりってわけではありませんよね?
産科医
3例のみですので、よくわかりません。
暑い中、長時間の傍聴の後でお疲れのところ、早々にアップありがとうございます。
>先週、国立循環器病センターに尋問にいってきましたが、先生はきいておられないと思いますが、彼らの意見では意識消失の段階で脳出血が出てきていて、痙攣の時点で救いようがなかった事例ではないかと考えていると言うことでした。
意外な回答でした。あれだけの脳出血があれば、瞳孔に左右差がでるかと思ったのですが。我々の知らない情報を、国循の先生方がお持ちということでしょうか。
傍聴記の仕上がりを期待していますが、お忙しい日常の中、無理をなさらないで下さい。暑さには睡眠不足が最大の敵ですから・・・
投稿情報: 岡山の内科医 | 2008年7 月14日 (月) 23:37
私も不思議に思ったのですが、
(片麻痺はなかったと午前中に内科医が証言していましたし。)
鑑定医はまた次回までにでてこられるようなので(次回非公開です)次の次くらいで判決なんでしょうか。
ありがとうございます!
ニュースだけ済まして寝ますo(^-^)o ..。*♡
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年7 月15日 (火) 00:22
ログ作成お疲れ様です。
興味深く拝見しました。
投稿情報: reservoir | 2008年7 月15日 (火) 01:08
ありがとうございますo(^-^)o!!!!
高崎さんのが一番面白いです。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年7 月15日 (火) 01:45