(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
みなさまから情報をいただきます。
本当にありがたいですo(^-^)o ..。*♡
いろんな経緯があるらしくって、そちらの方は、
とか
とか、みていただくといいのですが、
他にもある報道の方から、メールをいただいたのを
転送いただいたり、日医の内情はこんな感じみたいです。
では、どうぞ ..。*♡
医療安全調査委員会について
神奈川県医師会会長 大久保 吉修
神奈川県医師会雑誌(平成20年5月10日)
厚労省のいわゆる医療安全調査委員会第二次,第三次試案が発表され,その度毎に日本医師会では各都道府県医師会に賛否を問う記名式アンケート調査を二回実施しました。
これを基に全国担当理事会議が開催されました。このアンケート方式は極めて異例なことであり,県医師会として事の重要性を認識し,理事会で医療関連死に刑事罰を加えることの是非,萎縮医療を生ずるのでは等について討議を重ね,二回とも神奈川県医師会は反対意見を述べました。
日医の分類による反対意見は第二次試案4県,第三次試案7県と少数でした。
理事会の討議の内容は会報に記載されています。第42回理事会[H20.2/28開催〜医師会報4月号掲載],第48回理事会[H20.4/17開催一医師会報6月号掲載予定])
反対の根底には神奈川県剖検システムの経験結果との比較もありました。
神奈川県のシステムは医療関連死が発生したとき―助けようとしている最中に患者さんが死亡したとき,ご家族がその原因を知りたいと思うのは当然ですし,医療側も同じ思いです。両者が解剖による原因究明に合意したとき―いかに正しく,公平に早く医学的判断を下すかということを主眼としたシステムです。ご家族の理解を得る最適なシステムと思っています。
承諾解剖のシスデムが発足した2000年当時,剖検は大病院が自院での症例に行うのみで,それ以外では伝手が頼りでした。現在までの7年間に47件の申し込みがあり,実際の剖検例は26件でした。(平成20年5月12日現在)
このシステムを,厚労省第二次試案,第三次試案と比較すると,試案の調査委員会に相当する部分で県内四大学の病理・法医学教室が担当し,24時間対応可能です。早ければ1ケ月以内で報告があります。
これに対し厚労省察では委員会委員の構成が異なり,法律家,患者代表が入っているので純粋な医学的判断になりません。厚労省案のモデル事業の実績では,早くても7ケ月かかっています。
司法との関係については県のシステムでは関係はありませんが,厚労省案では刑法211条(業務上過失致死傷罪)は適用されます。犯罪以外の医療行為で刑事罰を下している文化国家はございません。刑事罰への道を法制化すると萎縮医療が行われるようになります。
例えば大動脈瘤破裂など起こったとき,手術をしても,しなくても死亡するだろうが,例え僅かの確率で助かるかもしれないと思い,手術に入る人は減るでしょうし,また,大野事件以降,分娩に占める骨盤位分娩が減り,帝切率の急激な増加をどう読むか、これらについて大いに議論すべきと思います。
原因究明に関する公的組織は日本にありませんでした。アメリカですら1995年頃からこの問題を取り上げています。 2007年,WHOの調査委員会の構成に関する基本的原則として,
①患者情報の秘匿
②委員会を法的に罰する組織からの独立
③専門家による分析を挙げています。今回の第三次試案ではこの基準から離れています。
もちろん公的組織は必要ですが,試案のようなシステムでは神奈川県医師会は反対の態度を取り,もっともっと議論することを望んでいます。
しかし最近では日本外科学会,日本内科学会も賛成に変わりました。今国会に上程されれば可決される可能性が大であり,これでは萎縮医療がますます加速されてしまうと懸念しています。
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