(関連目次)→ 医療政策 目次 なぜ産科医は減っているのか
(投稿:by 僻地の産科医)
ネタ多すぎです(>_<)!!!!
もう先週号になっちゃいました!週刊文春!!!
http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/shukanbunshun071011.htm
でものっけます。
「医療格差地獄」 政府のデタラメ改革を告発する! 山野美容芸術短大 中原英臣 「お産難民」「医療難民」「在宅医療難民」「介護難民」……、私たちが暮らしている平和で豊かなはずの日本で、最近、医療の世界に信じられないような異変が起きています。 実際、二〇〇一年には五千七十六あった全国の救急病院も、二〇〇六年には四百三十二も減って四千六百四十四になりました(今年三月、読売新聞の緊急自治体アンケート調査による)。この五年間で救急病院が約8・5%も減ったのです。地域別の救急病院の減少率をみると、トップは栃木で22%、愛知と徳島が21%、石川と香川が18%と続いています。この数字が証明するように、日本の医療は地域によってはっきりとした格差が存在します。 大学病院を敬遠する研修医 看護師不足が介護に悪影響
(週刊文春 2007年10月11日号 p46-48)
この国では都会と地方の経済的格差が大きな社会問題になっていますが、医療の分野でも地域格差はどんどん拡大しています。
二〇〇七年七月に読売新聞が行った「地域医療」に関する全国世論調査によると、「自分の住む地域の医療に満足しているか」という質問に対して「不満だ」と回答した人が三二%もいました。さらに「不満だ」と回答した人をみると、人口が十万人以上の都会では二七%なのに十万人未満の地方では三九%と、地方の方が10ポイント以上も高いのです。
こうした医療の世界における地域格差の典型的な話が、地方の病院における医師不足でしょう。がっては医療の地域格差というと無医村が問題でしたが、1970年代に厚生省(当時)が人口十万人当たりの医師数を百五十人にするという目標を立て、すべての都道府県に医学部を設置した結果、二〇〇四年には人口十万人当たりの医師数は二百十一・七人に達しました。
無医村という地域格差はほぼ解消しだのに、前述の読売新聞の意識調査によれば、「自分が住んでいる地域で医師不足を感じたことがある」という人が大都市で二五%、小都市で三八%、町村部では四一%もいます。また「救急医療が充実していると思う」という人も、東京23区や政令市などの大都市の七六%に対して小都市では六〇%ですし、「夜間・休日診療が充実していると思う」という回答も、大都市では六四%なのに小都市は五一%でした。
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最近では、地域による格差のみならず、搬送先がなかなか決まらず妊婦が死亡する痛ましい事件が奈良県で起こるなど、小児科医や産科医の不足も新たな社会問題となっています。
実際、小児科や産科の外来を閉鎖する病院や、小児科医や産科医が夜間と休日にいない病院が増えています。いまや東京のような大都市でさえも小児科医や産科医の不足が深刻になっているのです。
小児科がある病院は全体の四〇%と、1990年からみると22%も減りました。産科についても同じことが起きています。二〇〇二年には六千三百九十八だった産科のある病院が二〇〇五年には三千六十三に減り、二〇〇四年には一万五百九十四人だった産科医も同様に七千九百八十五人に減りました(日本産婦人科学会調査)。産科のある病院は半分、産科医は四分の一も減ってしまったわけです。
このように医師が足りない原因を、絶対的な医師数が少ないせいにする意見が一部にありますが、実際の医師数をみると都会が多くて地方が少ないわけではありません。
注目したいデータがあります。人口十万人当たりの医師数のベスト5は東京、徳島、高知、鳥取、京都で、ワースト4は埼玉、茨城、千葉、青森、岐阜です(厚労省調査)。
この数字からわかるのは、日本における医師の不足は都会と地方が混在しているということです。医師数で東京がトップなのに、最下位は首都圏の埼玉です。さらに、上位を占めている徳島、高知、鳥取の人口十万人当たりの医師数は、岐阜や青森より1.5倍以上も多いのです。
これではいくら医師の絶対数を増やしても問題は解決しません。
実は、医師数の地域格差は、地方の大学病院を勤務先に選ぶ医師が少ないから起こっているのです。若手の医師を確保できない地方の大学病院が急増することで、こうした大学病院は地方の関連病院に派遣していた医師を引き上げはじめています。
また、診療科における医師の偏在は、新人の医師が自分の都合しか考えずに診療科を選ぶから起きるのです。その証拠に、小児科や産科が敬遠される一方、新人医師の人気は勤務時間が規則的で、仕事がきつくない皮膚科や眼科に集中しています。医師数の地域格差は医師の「量」ではなく「質」の問題です。
このように、地域や診療科によって医師が偏るようになった要因の一つとして考えられるのが、二〇〇四年に導入された新しい医師の研修制度です。新しい研修制度では研修医が原則として自由に研修先の病院を選べるようになったのです。
その結果、症例がたくさんあって、待遇も良い都市部の民間病院を選ぶ研修医が増え、地方の大学病院や自治体が経営する病院で研修を受ける研修医が減ってしまったのです。
問題は地方の大学病院のみに止まりませんでした。これまで若い医師は大学病院の医局から地方の病院に派遣されていました。これは企業の転勤と同じシステムと思って下さい。医局から地方の病院に派遣されても、一定期間が過ぎれば交代が来て大学病院に戻れるので安心して勤務できます。たしかに医局制度にはいろいろと問題もありますが、地方病院への医師派遣という点ではメリットがあります。
ところが、医局制度を好まない若い医師たちが研修病院として大学病院を選ばないため、大学病院の研修医が激減しました。研修医も国家試験に合格した正式の医師ですから、大学病院にとっては貴重な戦力です。そうした研修医が減った大学病院は、地方に派遣していた若い医師を引き上げざるをえなくなり、その結果、地方病院の医師が不足してしまったわけです。医師を確保するため、研修医に月額五十万円も支給する地方病院も出てきています。
小児科医や産科医の不足も、新しい研修制度と無関係ではありません。新しい研修制度では、研修医が外科や内科など各科を回ることになりました。そのため、研修医が夜勤の多い小児科や産科の勤務が過酷であることに気づくようになり、小児科や産科を敬遠するようになったことも大きな要因になっているといわれています。二〇〇三年には小児科を選んだ若い医師が七百九人いましたが、二〇〇六年には五百二十八人に減りました。
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医療における地域格差は地方の病院の医師不足だけではありません。地方病院における看護師の不足も大きな問題になっています。
この問題の引き金となったのが、厚生労働省が二〇〇六年に行った診療報酬の改定です。厚生労働省はこの診療報酬改定で、一般病棟の看護師数について「患者七人に対して看護師一人(七対一)」という割合を確保した病院の入院費を一律に増やしました。
厚生労働省が「七対一」を導入した目的は、看護師を増やすことで病院の看護体制を手厚くすることでした。病院の看護師が増えることは、入院中の患者さんにとってはありがたいことです。看護体制を充実することで、入院日数が短縮する可能性もあります。入院日数が短くなるということは、医療費の負担が減ることを意味します。まさに一石二鳥の素晴らしい改革に見えます。
厚生労働省の調べでは、二〇〇七年五月の時点で「七対一」を導入した病院は、前年と比べて二・八倍の七百八十七に増え、さらに「七対一」を達成した病床数も十六万二千七百三十床と前年の三・六倍に増えました。
このように「七対一」の病床を増やすという政府の目標は見事に達成されたのですが、残念なことに、この政策は机上の空論でしかありませんでした。現実に何が起きたのかといえば、医療の地域格差が一気に拡大してしまったのです。「七対一」を導入すれば診療報酬が増えるということは、看護師の確保が病院の収入増に直結します。そのため、都会の大病院や国立大学の付属病院が、看護師を大量に採用しはじめたのです。その結果、地方の病院や中小の病院では、看護師が不足するという事態になってしまったのです。考えてみれば当然のことでしょう。
このことは、同じく厚生労働省による、八百六十七の病院を対象とした看護師の採用調査をみると明らかです。昨年の二倍に当たる四千八百七十五人を募集した四十五の国立大学付属病院の採用数は四千七百二十三人で、充足率が九七%と高い数字を示しました。
ところが、国立大学の付属病院以外の充足率をみると、社会保険病院は六九%、私立病院が七九%、都道府県立病院でも八二%と、いずれも低い数字になってしまいました。国立大学の付属病院が看護師をかき集めた実態が、この数字からはっきりとみえてきます。
政府がよかれと思って導入した「七対一」というシステムが、都会にある大病院や国立大学の付属病院という「勝ち組」と、地方の病院や中小の病院という「負け組」を作りだしてしまったわけです。
「七対一」の導入が引き起こしている問題は、地方の病院や中小の病院の看護師不足だけではありません。新人看護師を大量に採用した国立大学の付属病院でも問題が起きています。国立大学の付属病院では、看護師を大量採用したことで、新人看護師の占める割合が看護師全体の二〇%を超えてしまったのです。
新人看護師を急激に増やしてしまった国立大学の付属病院では、医療ミスや医療事故が起きる可能性が高くなるという心配があります。さすがの厚生労働省も中央社会保険医療協議会で「安全な医療ができるのか、十分な配慮をしてほしい」と、国立大学の付属病院に対して異例とも思える注文をつけています。
二〇〇六年に日本訪問看護振興財団が実施した調査によると、二〇〇六年四月以降に退職した看護師がいる訪問看護ステーションが三六%、さらにここ数カ月以内に退職する予定の看護師がいる訪問看護ステーションが21%と、両者を合わせると五七%に達することがわかりました。このままでは「在宅医療難民」が増える可能性があります。
これまでに登場した「医療難民」「小児科難民」「お産難民」「在宅医療難民」の発生という社会現象についてはっきりしているのは、こうした難民は政府の失政によって発生したということです。このままでは医療難民がますます増えてしまうことになりかねません。
小児科難民やお産難民について、厚生労働省は複数の小児科医や産科医のいる拠点病院を設置することで対応しようとしています。たしかにこうした短期的な対策も必要でしょうが、もっと長期的な視野に立った解決、例えば、医学部に「産科・小児科の専門コース」を新設することで、小児科と産科の医師の確保を試みることも、考えるべきです。
日本国憲法の二十五条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないLと定められています。
この憲法の下で「医療難民」と呼ばれる国民がいることを、政府は決して許してはならないのではないでしょうか。新政権には国民の生命と健康にまで拡大しつつある格差に本気で取り組んでほしいものです。
ただ、この先生トンデモ系なんだよなぁ・・・。
今回はまとも、というかちゃんとネットで検索したのですねという感じですが(w
投稿情報: ssd | 2007年10 月12日 (金) 18:46
そうなんですよね~。
なんかちょっと前に連載してたんですけれど、(ほんの2ヶ月ー3ヶ月前、しかも同じ週刊文春)今の医者は根性が足りん、と書いていました。
産科なんて僕らの頃はどうたらこうたら~って感じで。2ヶ月くらいで認識を改めてくれたなら嬉しいんですけれど(-_-;)。。。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2007年10 月12日 (金) 18:54
これ、GWでしょ?
普段TVで見るこのお方と言語タッチが違うもの。
投稿情報: 雪の夜道 | 2007年10 月12日 (金) 21:15
ご自身が、9月最終週のニッポン放送「朝は日本一番乗り」の「健康一番乗り」のコーナーで、医療崩壊についてお話しになっていました。
投稿情報: 忍冬 | 2007年10 月13日 (土) 07:29