(関連目次)→医療安全と勤労時間・労基法 厚労省の問題点
勤務医なんてやってられない!
ぽち→
(投稿:by 僻地の産科医)
【関連記事】
「宿直許可」が隠すもの
ロハス・メディカルニュース 2009年4月15日
(1)http://lohasmedical.jp/news/2009/04/15114500.php
(2)http://lohasmedical.jp/news/2009/04/15114500.php?page=2
(3)http://lohasmedical.jp/news/2009/04/15114500.php?page=3
(4)http://lohasmedical.jp/news/2009/04/15114500.php?page=4
(5)http://lohasmedical.jp/news/2009/04/15114500.php?page=5
昨日、参議院厚生労働委員会において、
医師でもある梅村聡議員から、
医師の当直勤務についての質問がありましたo(^-^)o..。*♡
この梅村聡議員は、
医師たちの後援で頑張っていらっしゃる方だとききます。
ちなみに、この質問に至った経緯は
医療志民の会でのパネリストの一人・崔先生との出会いがきっかけ ..。*♡
ちなみに梅村議員を紹介してくださったのは
パネリストのお一人長尾和宏先生です(>▽<)!!!
こうやって小さな輪が広がっていくのがステキです!!
梅村議員に捕まえられた崔先生はそのせいで、
第二部を聴けなかったというおまけつき。
(だから梅村議員も第二部を聞いていないのでした(^^;)。。。)
にしても仕掛けが早いです!!
この答弁って、
舛添大臣が「パンドラの箱を開ける覚悟がある!!」
ってことですよね???
本当に素晴らしいと思います(>▽<)!!!
がんばれっ!舛添大臣!!!
ではぜひぜひご覧下さいませ(>▽<)!!!レッツゴーです。
(後ろにM3からの報告が載せてあります!)
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/reference.php?page=1&cd=3170&tx_mode=consider&sel_kaigi_code=0&dt_singi_date_s=2009-01-05&dt_singi_date_e=2009-04-14&tx_speaker=&sel_speaker_join=AND&tx_anken=&sel_anken_join=AND&absdate=2009-04-14&sel_pageline=10&dt_calendarpoint=2009-03-14&abskaigi=no
●議長
梅村聡くん
○梅村聡議員
民主党・新緑風会・国民新・日本の梅村聡でございます。
本日はひとつは肝炎の問題と、そしてもう一つは勤務医の方の宿直の問題、この二つを取り上げていきたいと思っております。質問通告とは順番が変わりますが、先に肝炎のほうをですね、質問させていただきたいと思います。(0:27)
(略)
(18:10)それでは、肝炎のほうは後日またさせていただくということで、次は勤務医の方の宿直の問題について質問させていただきたいと思います。で、この問題に関しては先日も森田高議員が枡添大臣と議論をされたということでありますけれど、これはやはり大変難しい問題でございます。最初にこの問題を質問するにあたって、私の考えを申し上げますけれども、非常にグレーなゾーンが現状としてあると、なかには労働基準法をなかなか守れないですね、これは遵守しないのではなくて守れないという現状が、実際にはあるわけなんです。
そんな中で例の愛育病院の立ち入りが起こったということで、私も今日、質問するにあたって、これは今すぐ立入りをして、すぐ宿直許可取り消せとかですね、救急の告知を返上しろとか、そういうことを言いたい話ではありません。ですから、明日にどうこうという話ではないです。ですが一方で、この問題、今までパンドラの箱が開けられていなかった。そこに切り込まないとですね、本当の意味での今の勤務医の問題、医療の改革というものはできないと思いますから、あえて今日はこの問題を取り上げさせていただきます。(19:35)。
それではまず厚労省にお聞きいたしますけれど、今回、医療法の第16条というところについて質問したいと思います。医療法16条とは、何なのかといいますと、前半部分にですね「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」とこういう文面の文章がございます。で、この条文の意義とそれからこの条文における宿直の定義ということを教えていただきたいと思います。
●外口医政局長
医療法第16条は医業を行う病院について、緊急治療に支障を来さないように、医師の宿直義務を要求した規定であります。お尋ねの宿直につきましては医療法上の定義はありませんが、一般的に外来診療を行っていない時間帯に、入院患者の病態の急変等に対処するため、医療機関内に拘束され待機している状態を言うと思われます。
○梅村聡議員(20:46)
ありがとうございます。
それでは次にですね、お手元に資料をお配りいたしました。これは平成14年3月19日の局長通達ということで、「医療機関における休日および夜間勤務の適正化について」という文書がございます。それではこの文書の中での宿直の定義というのをお教えください。
●金子労働基準局長(21:14)
まず、労働基準法におきます宿直についてご説明する前に、労働基準法の労働時間についてでございますが、ご紹介させていただきます。
ご覧のとおり、法定労働時間、一日8時間。週で40時間ということになっております。これを超えて労働させる場合には、割増賃金を支払う必要があると。
ま、こういう規定を受けまして、その上で労働基準法におきましては、宿直につきまして、仕事の終了、一般的には通常勤務時間の後ということでございますが、この終了から翌日の仕事開始までの時間、この時間につきまして原則として普通の仕事は行わないと。ただ労働者は事業場に待機をさせるということで、労働基準監督署長の許可を受けた場合に、いま冒頭申しあげました労働基準法に基づきます労働規制、これにつきまして適応がされなくなるという法律的な効果をもたらすそういった勤務形態につきまして、宿直という概念を置いている所であります。
その宿直の許可につきましては、それぞれの実態を踏まえまして、基準を設けまして許可を行っているところであります。
○梅村聡議員(22:37)
いまふたつの質問を、大臣、させていただきましたけれど、ここから明らかになることはですね、医療法でいう宿直はですね、これは緊急の急変であるとかそういうものに対して対応するために、Drの方が常に病院の中に常駐をしていると。働き方に関しては、これは制限はないわけですね。あくまでもいるということが医療法上の宿直の意味であると。
一方で、いまの労働基準法上のですね、平成14年3月19日の通達でもありますように、こっちの宿直は働き方というものが決められている基準がある。その働き方を超えた場合にはですね、例えば時間外労働は超えてしまう。あるいは通常の昼間と同じような勤務体系が続くという場合には、これは宿直許可を出さないわけですから、労働基準法上の宿直にはならないというわけですね。
つまりいま、確認しておきたいのは、大臣にお願いしたいのですけれども、労働基準法上の宿直と、医療法上の宿直というのは、これは概念が異なっている。医療上の宿直の中に、労働基準法の宿直が入っている、その確認をしたい。その解釈でよろしいのかと。よろしくお願いします。
●舛添厚生労働大臣(23:56)
大変いいポイントを仰っていただいてありがとうございます。
まずその前に、冒頭仰ったポイントまったく同じものなので、まさに労働基準法の宿直の概念と、医療法上のは違うんですね。別の概念なんで、で厚生労働大臣をひきうけてやっていた時に、こんなにこの大変な分野が広がっていることに悩みがあると共に、実を言うと、勤務医の問題、それから足立委員なども一緒によく研究していたわけなんですから、そうするとねぇ。片一方で厚生大臣として、医師不足だのなんだ、片一方で労働大臣としてこっちの問題も見ないと。まさに概念違うんですよ。
その矛盾をどう解決するかは、実は悩んできて、しかしこの発想を逆転して、まさにこの一人の人間がやっているんだからもっといいことできるんじゃないかと思って、今やっていますんで、ぜひこのいまのいい質問を基にもっといいことしたいと思いますが、ちょっと前置き長くなりましたが、ふたつの法律は別の概念でございます。
○梅村聡議員(24:59)
ありがとうございます。認識としては私もまったく同じであることがよくわかりました。
で、そこでですね、じゃあ、この労働基準法における宿直という概念の中には、宿直許可というのがございます。で、この宿直許可を取らなければ、この宿直という扱いが出来ない。で、宿直ができないというわけではないんです。宿直許可を取らなければ、36協定を結んで時間外労働を賃金を支払わなければならない。もしくは完全交代勤務にしなければならない。ですから、宿直許可というのは、なければ宿直ができないという意味ではなくて、なかった場合には確実に36協定を結んで時間外労働を認めて、賃金を払わなくてはならない。そういうそういうものでありますよね?
そこでお訊きしたいんですけれども、平成19年10月時点の全国の病院総数は8862病院ございます。この8862病院の中で、宿直許可を取っている病院の数を教えてください。
●金子労働局長(26:08)
少し前の数字で恐縮でございますが、平成14年度に調べた数字がございまして、労働基準監督署長によります当直許可を受けている医療機関の数は、これはいま委員の方から病院の数ということでお話がありましたが、こちらは診療所も含めてということになりますが、約6600という数字を把握している所であります。
○梅村聡議員(26:35)
8800のうち6600が宿直許可を取っていると。それでこの中には診療所も入っているわけですから、少なくとも2200、全体の病院の4分の1の病院は宿直許可を取っていないということですね。4分の1の病院が。
そうするといまのお話の流れで行くと、全体の病院の4分の1は、これは宿直許可をとっていないわけですから、宿直扱いできないわけです。
となると全体の病院の4分の1はですね、かならず36協定を結んで時間外労働の時間を決めて、割り増し賃金を払っているとそういう話に理論上はなるはずなのです。それは把握されていますか?
●金子労働局長(27:24)
宿日直の許可を受けていないケースの労働基準法に適応した対応というケースということで申しあげますと、いま委員からご指摘のあったとおり時間外労働としてこれを行うということですが、これ以外にも交代制というものをとりますと、通常の所定労働時間ということでカウントすることも可能かと存じます。
いま全体としてどういった対応をしているかということについては数字その他については把握をしておりません。
○梅村聡議員(27:56)
あの全体の4分の1が、交代制をやっているとは私はとても思えないですよ。これは私の感想ですから聞き流していただいて結構ですけれど、絶対に4分の1は交代勤務なんかはできない、これは絶対にできないんですよ!
じゃ、逆の質問をさせていただきます。
そうなると逆にですね、救命救急センター、あるいは二次救急医療機関、これは常に患者さんやってきますね?常に患者さんがやってくるような機関。これはすべて2200の中に入っていると考えるのが自然でしょうね。つまりこの常時来る医療機関がですね、平成15年12月26日に厚生労働省の労働基準局監督課長名で出された文書の中に、どこからどこまでを宿直として扱うかということが述べられています。この中では一ヵ月の中に救急患者に医療行為を行った日数が16日を超える場合は、救急患者に対応した時間が概ね一時間を越えるものについて、いわゆる宿直許可基準上での宿直を認めていますという文書が出されているわけなんですよね。
ということはこれ、例えば地方の救急病院とですね、都市の救急病院、いろんな状況があるので一概には言えませんけれど、一般的には救急告示をしているということは常時患者さんがやってくるということを前提にされているわけですから、そういったところではこの2200の救急病院、あるいは二次救急医療機関が入っていると考えるのが自然かと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。
●金子労働局長(29:44)
大変申し訳ございませんが、救急の状況につきましてはですね、救急の指定を受けている病院の中でも、いわゆる宿日直許可を受けて運用している病院があるということは把握をしておりますけれども、全体の数字の状況といいますか、全体像についてはいま、把握した数字を持っておりませんので、申し訳ございませんがご理解いただきたいと。
○梅村聡議員(30:07)
全部把握し切れてはおられないと思うんですけれども、それではこれ、実際に常に患者さんがやってくるという夜も昼間と同じような病院があったとしてですね、その状況があれば宿直許可ということを取り消すということはありえるんでしょうか?
これはですね、先週、私の事前のレクチャーを厚生労働省から受けたんですけれども、宿直許可の基準ありますよね、資料の(5)のところに書いてあります。宿直の泊まり込む医師・看護師等の数を宿直の際に担当する患者数の数、あるいは当該病院等に夜間外来する急病患者の発生率の関係等から見て、上記の如き昼間と同等対応することが常時状態であるようなものに関しては宿直の許可を与える限りではない、とこういった部分がございます。
で、これに対してどういう説明を受けたかというとですね、これは病院として最初に宿直許可を受けるかどうかの判定に使うものであって途中からその状況になったからといって、宿直許可を取り消すものではないという説明を受けたんですけれども、この説明は間違いございませんでしょうか。
●金子労働局長(31:30)
この通達の趣旨は許可に当たりましての基準を勿論示したものでございます。ただ労働基準監督機関としましては、その後やはり法令の遵守ができているか適切に行われているかどうかということにつきまして、やはりきちんと確認していくというのが使命でありますから、可能性の問題という意味で申しあげればですね、いろいろな指導、助言、時間をかけて、今やっているところではございますけれども、可能性のことというだけでいえばですね、この労働基準法を遵守し得ないことがはっきりした場合に許可を取り消すということが当然ありうるということではありますが、現在は粘り強く適正化に向けた指導をしているというということでございます。
○梅村聡議員(32:22)
そうなんです。私もおかしいと思ったので、実際東京都の宿直勤務許可証を取寄せてみました!その中にきちんと書いてあるんですね。その許可書の中には「通常の労働従事させる等、許可した勤務の以外の業務に勤務させないこと」が先ず書いてあるんですね。で、「なお、この間に反した場合には許可を取り消すことがある」きちんと明記がされているわけなんです。ですから、いまご努力をされている、いろんな指導をされている。ということがありますが、じゃあ実際に救急告示病院、昼間と同様の夜間勤務としてある実態の病院に対してひとつはこれ取消しして36協定結んできちんと時間外手当を払いなさい、時間外労働を守りなしという指導の方法と、それから局長が仰られたような、宿直許可はとりあえず認めておくけれど、それに見合うような対応になるように指導する。ふたつの道があるわけですよね?
私は前者の方が法的にはすっきりしていると思うのですが、じゃあ仮に局長が仰ったように宿直許可を認めたうえで指導される場合にはどういった指導をされるのでしょうか。
●金子労働局長(33:42)
この間の経過について簡単にご説明させていただきます。
委員からお示ししていただいた平成14年の基準でございますが、当時この宿日直許可につきまして。やや適切を欠く運営が行われているのではないかということがございまして、通達を発しまして全国の6600の許可を受けている医療機関においてまず自主点検をしていただきました。そのうえで宿日直の適正化を図る必要があると認められた事業所約2700でありますが、これらの事業所(病院)につきましては、集団会のようなものでお集まりいただいて労働基準法の趣旨、あるいはこの許可の基準に即した適正な運用について要請したわけでございます。そのうえでさらに個別の問題があるというところにつきましては、労働基準監督機関の方で個別に病院の方を訪れましてお話をさせていただいているということであります。その際、どんな内容の指導をするんだということでございますが、できる限り自主的に改善がなされますような具体的な工夫例を示しながら粘り強く指導しているということであります。あの~もとより交代性労働にしていただくとか、それから必要な医師の確保を図っていただくというような抜本的な解決策ということがなかなか難しい状況の中においてですね、例えば労働時間法制の中には変形労働時間制ということもございます。それから宿日直の許可につきましても、実際に救急で忙しい時間帯はかなり限られているんであればそこは外していただいて、それ以外のところは宿日直許可にしていただくとか、それぞれの病院の実情に即しまして労働基準法の枠の中でなんとかできないかということで監督署の方でも知恵を出させていただいて、病院の方とお話をさせていただいていると、ま、こういうことを積みかさねながら適正化に向けまして私どもとしては粘り強くご指導申しあげているということでございます。
○梅村聡議員(36:04)
交替勤務制を勧めるということ、これは正しいことだと思います。しかしいまお聞きして思ったのは何故そこまで宿直許可に拘るのか、範囲内での解決に拘るのか、私は少し疑問に思いました。人員を増やすとか、愛育病院はですね、新聞報道では人員を増やせということを指導されたということをお聞きしております。しかしですねぇ。これ大臣に感想をおききしたいのですけれど、宿直許可の出ている宿直条件の下で人の数を増やしてもこれは解決しないんですよ。なぜならば16日以上救急外来患者さん、これは周産期センターでもそうですけれど、1時間までだったら宿直許可基準だとそういうことになれば、3人の宿直に増やした場合、どういうことになるかというとですね、A先生B先生C先生まず寝てください。A先生が先ず呼ばれてとにかく1時間働くまでA先生が働き続ける。1時間のタイムリミットが来たらB先生が1時間働き続ける。でまたタイムリミットが来たらC先生がタイムリミットまでつぎ出てくると、そういう状況にしなければ宿直許可の元で人数を増やしても合法的にならないわけですよ。現実的にそんな働き方している状態なんてありえなくて、ひとつは病院にとってみれば3人分の宿直代を払わなければならない。働くDrの側からすると拘束回数が3倍になるわけですよね。一般的にみて交代勤務にするというのは正しいと思います。が、宿直制度の下で人数を増やしていくのは非現実的ではないかと思えます。そこで取り消すということをやるかやらないかは置いといて、大臣、いまの局長のご説明を聞いてですね、実態と比較してどういう感想をお持ちになられますか。
●舛添厚生労働大臣(38:15)
まずおんなじ宿直という言葉が使われていて、ふたつの法律の概念が違うとこれあまり法治国家としてよろしいことではないと思っています。だからせっかく厚生省と労働省がいっしょになったんならこういうところに手をつけないといけないと思うのです。これみんあで法改正すればいい訳です。
次にですね、先ほどちょっと申しあげましたけれど根本は医師不足や勤務医の過酷な労働条件、これをどうするかということなんで、あらゆる施策を使ってやれないといけない。その施策を、この4月から医学部の定員を増やすとか、それから救急医に対して直接的な財政支援を行うとか、短時間勤務を満たすメディカルクラークやるとかいろいろな施策がありますね。
それとともにどうせあるんだから労働基準法という武器もそのために使おう!こういう観点から今やる。あの~病院を取り潰したり、おまえ許可しないぞとかいうことが目的じゃなくて良くするためですから。まず労働基準局が入る。まず実態を把握する。これぁちょっと非道いじゃないですか?こういう手が要りますよ。こういう手で改善してください。だから愛育病院もぱーっと報道が先行してあれで周産期なくなる、そうじゃなくて36協定ちゃんと結べばできるわけですから、こうやってくださいよ!と都とも話をしてという方向に向いています。
だからあくまで立ち入るというのは潰すためではなくて良くするために改善策をやるわけですから、いま仰ったように交代制というのは医師の数が少なくてなかなか難しい。そうすると、本当はそこまで行くのにがんばってやっていますけれど、すぐにはいかないのでとりあえずはアレだけ働いてたら賃金上げる。こういうところからでも相当助かりますから、そういう方向への誘導の方が私は正しなぁと思っています。でも根本は、おんなじ省がもっているふたつの法律で同じ言葉が書いてあって概念が違う。というのはちょっとこれから含めて検討する必要があると思いますので、できれば本当に勤務医のかたがたが働きやすいようになる、そして救急に入ってきた皆さん、国民の皆さんが必ず救われる、その態勢にするために使える法律、使える武器は全部使おうということなんで、非常に重要な指摘なのでこれからの指導ができるように、これは労働大臣としてもやっていきたいと思っています。
○梅村聡議員(40:56)
あの~もちろん労働基準法を使って闘うという方はヘンですけれど、やる方法があるんです。でも医療者側も良心があって、それやっちゃったらうちの病院できないよねと、そこまで同じ経営者をやることによって地域医療を崩壊させたらどうするんだと。で、そこでまさに現場がですね、じゃあ自分の自己犠牲を背負ってやろうというそういう取組みをしているわけなんですね。
やはり難しいのは医療はですね、ひとつは医療機関のインカム収入は診療報酬ということで規定をされているわけです。それから人員もですね、医学部の国家試験の定員に合格率を掛けるんですけれども、それによって規定をされているわけですね。
だからそこの部分をフィックスされてしまってそして基準を改善しろという指導が入ってくる。両手両足が縛られている状況でそれを改善しろというのは非常に難しい問題なんですね。
これを実は最後に大臣と議論したいと思いますけれども、その前にいま財政補正予算じゃなくって今回の補助金事業をですね、救急医療対策支援事業というのがこの4月1日から20億4496万7000円の予算がつけられて、4月1日からスタートをしました。私はこれを非常に前進だとは思っています。というのはこれまで三次救急が手厚くいろんな診療報酬をつけられた。しかし今の救急医療の問題は実は二次救急が破綻して行き詰まることによってその患者さんが三次救急の所に押し寄せてくる。結果として三次救急もうまくいかなくなっている。ですから本当に実は手を入れなければならないのは、二次救急医療ではないですか。ここを壊さないようにするというのが私は大前提だと思っています。
そんな中で今回の補助金事業はどんなものかといいますと勤務医のDrに手当てを出すんだと。その積算単価としましては、救急当直等一回当たりに付き土日祝日の昼間は1万3570円。それから夜間は1万8956円、これを積算単価として設定するということになりました。ところがこの補助金の負担割合が国が3分の1、都道府県が3分の2以内、市町村が3分の2以内、事業主が3分の2以内と。そういうことになっているわけですね。これが仮に都道府県市町村が負担しないよと言ってしまえば、これは3分の2を事業主である病院が負担をしなければならないわけです。
これは厚労省側からすれば、本来18000円あげるうちの6000円を補助してあげるんだという論理だと私は思います。しかし大臣、いま民間救急を担っている民間病院も、公立病院も勿論そうですけれど、これ非常に財政がいま厳しいわけですよねぇ。私もこれいろいろ調べてみました。公立病院はいまいろいろと言われているわけですけれども、民間病院もこれ福祉医療機構から借り入れをしている約600の急性期医療を中心とした民間一般病院の収益率、この平均値を見てみると平成15年には1.5%だったものが、平成19年度にはマイナス0.3%になっている。
ですからこっちはもう一円も出せない、救急やってるんだったらむしろコストから言うとですね一件当たり4万円とかそれくらいとらないとやっていけない状況で補助金はありがたいんだけれども更に自分達が出さないといけないのかと。
本来はですね例えば真水で国庫負担として出すだとか、あるいはもっと原理原則から言えば診療報酬でそこの部分は手当てをするとこれが私は基本だと思っています。今年は診療報酬海程の年ではありませんので、緊急対策としてこれを作られたとそれは一定の評価をしますが、その国庫の負担分の入れ方であるとか、あるいは事業主の負担である診療報酬に将来つけるのかと、この出し方については、今の現場の本当に危機的な状況をまだまだ肌で感じておられないのかなと思いますけれど、この点に関して大臣のご所見をお願いいたします。
●舛添厚生労働大臣(45:43)
現場が非常に大事だというのは、少なくとも私は認識をしています。
で、国が3分の1、それから都道府県が3分の2以内、事業主も同じだと、ただあのやっぱり医療は都道府県が現場ですから、全部の医療方針を作成する主体というのは都道府県にあることになっていますから、これが責任を放棄することを許すわけには絶対に行かないのであって、そりゃもう知事会と議論するといかに地方財政が大変かっていうのが入ってきます。だけどそこは優先的にきちんと、まぁ弾力的に運用ですから3分の2満額とは言っていないので、そりゃもう弾力的にやってくださいとまぁその分病院経営者にいかないようにするかって言うとどうするかって問題があります。
それとやっぱりいまチラッと仰いましたけれど、2年に一回の改定なものですから、どうしてもここで議論されているようなことがすぐ診療報酬に直結するかってことになると、クッションがあってまさに私に言わせると隔靴掻痒なんでこの中医協のあり方含めて診療報酬のやり方を含めて議論したほうがいいのではないかということを私は思っています。
で、そういうことをいった途端にいろんな批判も着ますけれども、先ずそれが第一点。それで今言った現場が非常に厳しいんだと、ただ補正予算という形で経済政策を策定しています中に地域の現場が基本だということで地域医療を充実させるための予算をつけるべく、相当いま財務当局とこれは出資をしている所なのでこの財源も使うことによって、いまご懸念のようなところをなんとか解決したいという風に思っていますので、弾力化で診療報酬以外でできることをやって、さらにもう一歩やりたいと思って意識をもってきちんと対応したいと思っております。
○梅村聡議員(47:49)
ちょっとだけ視点を変えて質問したいと思いますが、もともとは勤務医の宿直問題で始まった話なんですけれども、患者さんの視点というものも忘れていると私達も思っていて、これ、当直明けの先生にですね、手術して欲しいかなぁと。
超党派の議員連盟でも「医療現場の危機打開と再建を目指す議員連盟」でもこれ話題になったんですけれども、24時間覚醒している人間の注意力というのはアルコール血中濃度0.1%と同じと。ビール大瓶2本を飲んだのと同じ血中濃度の方が24時間覚醒した方だと。一般の方がビール2本飲んで運転したらすぐ警察いきですよ。それからタクシーとかバスの運転手さんなんかでも、大阪の吹田でもスキーバスがずっと人員削減の中で走ってきて橋脚にぶつかって亡くなられたというアレも非常に労働の問題として考えないといけない。という中で患者さんの利益から考えて、こっちの観点から考えて許されるのかな?というところを実はこれを本来入っていかなければならないと思うんですけれども、大臣、御所見いかがでしょうか。
●舛添厚生労働大臣(49:16)
まさに仰るとおりでお医者さん、お医者さん、ひとつとんでお医者さん、あっちにも歯医者さんをふくめていっぱいおられますから、これ半分くらい厚労委員の中、半分くらい医療関係者ですけれども、どうしても医療サービスの提供者の側からさっきの話になっちゃうんであって、やっぱり受益者圧倒的多くの国民をどう守るかという視点を忘れちゃいけないと思うので、まったく仰るとおりだと思います。ですからそのためにもまさに医療てのは財源が必要で医療ってのは国家財政の足を引っ張る大元凶だと残念ながら来た面がありますよ。そうじゃなくて人の命が救われるその人がまた一生懸命働いて社会に貢献する。世の中明るくなりますよ。
そりゃあ医療ミスや何かで亡くなったなんて人もおられるけれども家庭も社会も暗くなるし、ミスを犯す状況に置かれた勤務医も大変になりますからやはり私は明るい未来ある投資だと。医療というのは。そういう意味で国民にはご負担をお願いするけれども、そういう哲学でやるんです!という意味でやりたいと思いますので。私も大きな手術受けたことがありますけれどその時は目の網膜はく離の緊急手術をやったのですが、その先生、まぁ眼科だからねぇ。。。眼科だから当直明けじゃなかったと思うんですけれど安心して任せてしまったけれど、内臓とか外科だったらちょっとその。。。やめてくれよと思いますねぇ!
だから問題意識はまったく共有しております。
○梅村聡議員(51:01)
いままさに、大臣が私の一番お答えしていただきたい問題を質問のいっこ前に仰られたんですけれども、実はこの宿直の問題は3つの観点から考えないといけないと思います。
ひとつは、勤務医の方の労働環境の問題。
ふたつめが患者さん側からの問題。
そしてみっつめはですね、先ほど基金であるとか補助金の問題であるとかされたんですけれども、大臣いつも仰られているのは給付と国民負担の議論は常に必要だと仰られておられたと。(大臣、大きくうなづく)。その中で例えば消費税の問題であるとか、私は消費税行くよりまず保険料どうするのかとか、保険料方式を維持してどうして行くのかということが個人的には思っているんですが、いずれにしてもそういう財政と国民負担と給付の問題とこれ常に議論しないといけないわけですよね。
で、そこに補助金あるいは基金ということをいま大臣仰られた。本当に国民負担を議論するためにはですね、コストをきちんと国民の前に提示してそして必要な救急医療体制を作るには宿直許可でごまかしごまかしやっていてはダメなんだと。
この一つの病院に何人のDrがいて、割増賃金どれだけ払わなければいけないんだと。だからそのコストを吸収するために診療報酬をどれだけに設定しなければならないんだと。こういう議論をしないといけないんですよね。それから診療報酬の決定の仕方としては、積み上げ方式ですから段々いまコストが吸収できないような値段設定が出てきているという中において、先ほど労働基準局長がお答えになった宿直許可の問題や36協定のお話もですね、現状ではそのお答えしか出来ないというのは私は認識しています。でも国民の方にいま医療費はGDP費8%だからこれを増やすために負担をお願いしますね、といったところで国民のみなさんは納得できないんですよ。本当に国民の人がですね、じゃあそれだったらその負担をするんだったらこっちの救急病院は縮小して負担はこれくらいにしてよとかいろんな議論をするときにですね、本当の法制上正しい働き方をして人員を配置してコストをかけた時に、どれだけの負担がいるんだということを国民の方に示さないと議論できないんです。
これあの、会社を経営されていたとお聞きしましたけれど、例えば銀行から企業が融資を受けるときもこのモノを単価いくらで売るのかと。どれくらいの収益が出るのかという計画を出さないと銀行はお金なんか貸してくれないんですよ。うどん屋さんでうどん一杯いくらで売るんですかと。いや、それはいえないよ企業秘密だからと。それで融資なんか受けられないわけで、ですから私が三つ目の観点として先ほど労働基準局の方に反論として本当の正しい働き方、それによる医療の提供の仕方。これによることでパンドラの箱をあけることになるかもしれませんけれど、いままさにここに切り込まないと、国民負担の問題にもつながってこないんです。医療費を増やすということにもつながってこないんです。ですからここは労働基準局からいうと今の制度の中でのしくみということを仰られますけれど私はここは勇気を持ってパンドラの箱を開けて議論をする時が来ていると思いますが、それに対して舛添大臣が取組むつもりがあるのか、そのパンドラの箱を開ける決意がおありになるのかどうか、最後にお答えいただきたいと思います。
●舛添厚生労働大臣(54:47)
先ほど申しあげましたように、一人の人間が旧厚生省と旧労働省を大変な仕事ですがやっていることの意義がそこにあると思います。ただね開けようとしたときに「閉めろっ(>_<)!!」っていうのが物凄い圧力が外にはあります。しかしこれは国民のためを考えてきちんとやりたいと思いますので是非またそういう議論をこの厚生労働委員会でも続けていきたいと思います。私はこの委員会で非常に今朝ふたつの議論をさせていただきましたけれども大変この世の中を前に進める大きな原動力になっているということで嬉しく思っております。
○梅村聡議員(55:46)
これからもこのことについて常に問題意識をもって質問させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
“パンドラの箱を開けろ!”
勤務医の宿日直問題で国会質問
m3.com 2009年04月14日
橋本佳子編集長
http://mrkun.m3.com/mrq/top.htm?tc=m3-header&mkep=m3-header
「勤務医が法的に正しい働き方をした場合、いったいどの程度の医師数が必要か。どれだけのコストがかかるのか。そのためには診療報酬はどうすればいいのか。今まさにこの問題に切り込まないと、医療費を増やす議論にも、負担のあり方の議論にもならない。“パンドラの箱”を開けることになるかもしれないが、勇気を持って開けてほしい。大臣は“パンドラの箱”を開ける勇気があるのか」
4月14日午前11時から開催された参議院の厚生労働委員会で、勤務医の宿直問題について質問した、民主党の梅村聡氏。舛添要一・厚生労働大臣は、次のように回答しました。
「一人の人間(大臣)が、旧厚生省と旧労働省の仕事をやっている意義がまさにそこにある。ただ、“パンドラの箱”を開けようとした時に、“閉めろ”という、ものすごい圧力がある。しかし、この問題は国民のためを考えて、きちんとやりたいと思う。この議論を厚生労働委員会で続けていきたい」
舛添大臣が言う「ものすごい圧力」が何を指しているかのは不明ですが、大臣自身は“パンドラの箱”を開ける決意をしたということでしょう。
現状の勤務医の宿日直には、
(1)実態上、宿日直ではなく、通常勤務であっても、「宿日直扱い」で、夜間・休日の救急外来などを勤務医にさせている(宿日直については、2002年3月19日通知「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」に記載)
(2)使用者が勤務医に宿日直をさせるには、労働基準監督署の「宿日直許可」を得ることが必要だが、その許可を取っていない
(3)時間外労働をさせるためには、割増賃金を支払う必要があるが、それを支払っていない
といった様々な問題があります。
何も今に始まった問題ではないのですが、今年3月に東京で、愛育病院『 「法令違反」と言われては現場のモチベーションは維持できず』)や日赤医療センター(『日赤医療センターは労基署の是正勧告にどう対応したか』)が相次いで労基署の是正勧告を受けたことで、メディア、社会、そして政治家の関心が高まっています。
梅村氏が、宿日直許可を得ている医療機関の数を質問したところ、厚労省労働基準局長は、「2002年と古い数字だが、診療所も含めて、約6600施設」と回答。
「2次救急医療機関や救命救急センターはその中には入っていない(宿日直許可を得ていない)と考えるのが自然」と問い詰める梅村氏に、局長は「宿日直許可を取っていない医療機関の中には、交代勤務をやっている場合もある」としながらも、「救急指定の病院でも、宿日直を受けている施設があるとは聞いているが、全体の数字は把握していない」と苦しい答弁。
「実態が宿日直でなく、通常勤務の場合、宿日直許可を取り消すことはあり得るのか」(梅村氏)
「可能性で言えば、法令を遵守できない状態であれば、宿日直許可を取り消すことはあり得る。しかし、適正化に向けた指導を粘り強く続けていく」(局長)
「救急告示病院に対しては、宿日直許可を取り消して、36協定を結んで、きちんと割増賃金を支払う。あるいは宿日直許可を認めて、それに見合うような労働実態にしていく。この二つの選択肢があり得る。仮に後者の場合、どんな指導をしていくのか」(梅村氏)
「2002年に宿日直について通達を出した際には、自主点検をしてもらった。それでも適正化が必要だと思われる施設、約2700に対しては説明会を開いた。その上で、さらに問題がある医療機関については、個別に病院を訪れ、指導した。交代勤務や必要な医師の確保が難しい中で、例えば実際に救急業務に携わる時間が限られているのであれば、その時間は外して、それ以外を宿日直にするなど、いろいろ病院と話し合いを進め、粘り強く適正化を進めている」(局長)
「なぜそこまで宿日直許可の範囲内にこだわるのか」(梅村氏)
ここで紹介したのはやり取りのごく一部ですが、梅村氏は終始攻勢、一方の局長は苦しい回答が続きました。「粘り強く指導」しても、法律と実態と合わせるのには無理があるからです。
要は、交代勤務にするには医師が足りない、夜間・休日をすべて時間外労働とするには、割増賃金を支払わなくてはならず、コストがかかる。しかも、すべて勤務時間としてカウントすれば、1週間当たりの勤務時間は「過労死水準」を超える……。この議論を進めるのは、まさに“パンドラの箱”を開けることになるのです。しかし、梅村氏の指摘のように、この議論をしない限り、救急医療の問題は解決しません。
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