(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
「異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」
という議員連盟が活動を始めていますo(^-^)o ..。*♡
2/19(木)に議連の設立総会があり、
富岡議員いわく、
「“医療事故調”は進まないから、こちらをやっている」
という代物です。
第一回目は中園一郎理事長が「死因救命医療センター」について講演。
第二回の勉強会が今回の東京都監察医務院の福永龍繁院長、
監察医制度の全国拡充を提言。
第三回の会は、3/19(木)16:30~ 第2議員会館にて、
講師は千葉大学法医学教室の岩瀬博太郎教授、
およびジャーナリストの柳原三佳さんの予定とのこと。
第四回は4月2日(木)
今、人気大沸騰の海堂尊先生です(>▽<)!!!!
(メールで教えてくださいました!わーい!)
法医学の教授不在は79大学中6大学
橋本佳子編集長
m3.com 2009年03月08日
http://mrkun.m3.com/mrq/top.htm
「犯罪性がなければ、死因の決定をなおざりにする日本は、医療後進国」
3月5日に開催された、「異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」の第2回勉強会で、この日の講師、東京都監察医務院院長で、日本法医学会理事でもある福永龍繁氏は、こう指摘し、死因究明制度の充実を訴えました(2月に発足したこの議連については、医療維新『「死因究明制度」創設に向け、自民党議連発足』(下記)をお読みください)。
警察庁の調べによると、2008年の「死体取り扱い数」は16万1838件。うち司法・行政解剖率は9.7%にとどまります。解剖率が低い理由に挙げられるのが、制度上の問題。戦後、GHQの指示の下、監察医務院が、東京(の区の存する地域)、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市、京都市、福岡市に設置されましたが、その後、京都市と福岡市で廃止されました。福永氏によると、現在、実質的に機能しているのは東京、大阪、神戸のみだそうです。
その理由の一つとして、法医学者の少なさがあります。福永氏は、「監査医制度の衰退=就職先の減少、後継者不足、研究の停滞という悪循環が起きている」と指摘。現状の解剖率の低さは、法医学者が後継者を育ててこなかったことにも責任があるとしています。
文部科学省がこの日、提出したデータによると、2009年3月1日現在で、79大学のうち、法医学教室の教授が不在なのは6大学。1教室当たりの人員も減少の一途です。
◆ 法医学教室の人員の推移(各年度すべてで回答があった37機関)
1984年 1994年 2004年 2007年
総数(教員・大学院生) 4.86人 4.73人 4.38人 3.97人
医師数(教員・大学院生) 2.57人 2.43人 2.05人 1.89人
補助員数(常勤・非常勤) 1.62人 1.46人 1.49人 1.86人
法医に限らず、医師不足の折、どう解決するかが課題ですが、この日の会議で話題になったのが、「解剖に当たって医師以外の職種をどこまで活用できるか」という点。突き詰めれば、「解剖は医療行為か否か」「解剖に当たって、医師と同等の行為を任せられる職種の養成は可能か」ということです。しかしながら、会議には厚生労働省の担当者も出席していたのですが、明確な回答は得られませんでした。
そのほか、福永氏の講演で興味深かったのが、東京都監察医務院の現状。同院では、23区のすべての異状死体を扱っています。2007年の場合、検案したのは1万3154件(全死亡の18%)、うち行政解剖を実施したのは2647件(21%)。異状死体の死因のトップは病死で63%、以下、自殺21%、災害死11%となっています。年間予算は約11億円。常勤職員63人、非常勤監察医47人という体制です。「東京のような体制を全国に作るのは容易ではないので、『兵庫県方式』の形で、できるところから監察医制度を広げてはどうか。兵庫県監察医務室は、神戸大学法医学教室に併設されており、解剖室を共有でき、司法解剖との連携や、臨床医・病理医へのコンサルトも容易などのメリットがある」(福永氏)。
この議連は3月に第3回勉強会を開催。並行してコアメンバーで異状死死因究明制度のたたき台を作り、4月開催予定の第4回、第5回の勉強会でそのたたき台について議論を行う予定になっています。
死因究明制度については、2007年12月には内閣官房において警察庁、厚労省、文科省、法務省、海上保安庁を主要メンバーとする「死因究明に関する検討会」が発足したほか、民主党では法案を提出しています。内閣官房での議論が良く分からないので比較ができないのですが、自民党案が明らかになりましたら、またご報告します。
「死因究明制度」創設に向け、自民党議連発足(第一回目ですo(^-^)o)
数回の議論で4月メドに、第1次提案を予定
橋本佳子編集長
m3.com 2009年2月20日
http://www.m3.com/iryoIshin/article/92173/
自民党の国会議員で組織する「異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」が発足、その設立総会が2月19日に開催された。会長には衆議院議員の保岡興治・前法務大臣が就任。議連参加の議員は42人。うち議員本人18人、議員代理23人のほか、内閣府、法務省、警察庁、厚生労働省、文部科学省の幹部が総会に出席した。
保岡氏は冒頭の挨拶で、「昨年の法務大臣時代に、衆議院法務委員会から死因究明制度改革に関する提言をいただいた。また冨岡勉(衆議院)議員は、日本法医学会と勉強を重ねていると聞き、問題意識が一致したことなどから議連の発足に至った。年間約16万体の不自然死体の中で、9%弱しか司法・行政解剖が行われていない。不自然死体を解剖することによって、犯罪を見逃すことなく、的確に摘発できる。またSARSやバイオテロといった感染症の問題の的確の予防や対応につながる。死因が分からない死体の解剖は医学の発展にも寄与する。死因究明のための制度確立は重要なテーマ。予算や人が必要であれば、確保する。法律が必要であれば、法律の形で取りまとめていくことも含めて検討していく」と発足の経緯を説明した。今後、公明党議員も加え、与党による議連とする予定。2週間に1回程度会議を開催し、4月をめどに一定の取りまとめを行う。
議論のたたき台にするのは、日本法医学会が今年1月にまとめた「日本型の死因究明制度の構築を目指して-死因究明医療センター構想-」。同センターは、犯罪・事故・事件・食中毒などの見逃しの防止、新たな感染症への対応、医療に関連した死亡例の検討などを目的として、死因究明を行う組織。 都道府県単位で設置し、人口100万人当たり1人の専任医師を配置して運営することを想定している(報告書は、日本法医学会のホームページ上で公開)。総会では、日本法医学会の理事長で、長崎大学法医学教授の中園一郎氏による講演があり、その後、質疑応答、関係省庁から関連施策の現状報告が行われた。総会の冒頭で挨拶する保岡興治氏。会議は1時間半強にわたった。
診療関連死か犯罪による死亡の究明か、論点が曖昧に
時津風部屋の力士死亡問題などを機に、いわゆる不自然死の死因究明のあり方が問題視され、2007年12月には内閣官房において警察庁、厚労省、文科省、法務省、海上保安庁を主要メンバーとする「死因究明に関する検討会」が発足、議論が続けられている。
2008年8月には、保岡氏が言及したように、衆議院の法務委員会が「死因究明制度改革に関する提言」を提出。同12月22日には、政府の犯罪対策閣僚会議がまとめた「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」の中で、犯罪対策の観点から「死因究明体制の強化」が打ち出された。
一方で民主党からは既に、2007年6月に「非自然死体の死因等の究明の適正な実施に関する法律案」と「法医科学研究所設置法案」が提出され、継続審議になっている。両案は、診療関連死を除外しており、別途、「患者支援法案(通称)」をまとめている(「民主党が厚労省『大綱案』の対案まとめる」を参照)。
これら多くの議論が犯罪対策に主眼を置いた検討になっているのに対して、日本法医学会の「死因究明医療センター」は異なり、現時点では診療関連死を含めた死亡を包括的に扱う組織を想定している。
総会でも議論になったのが、この点だ。古川俊治・参議院議員や橋本岳・衆議院議員から「死因究明医療センターでの取り扱いに、診療関連死を含めるのか」と質問されたのに対し、「厚労省が検討している医療安全調査委員会(“医療事故調”)ができれば、(医師法21条に定める異状死の届け出は)そちらに移管されることになると思うので、死因究明医療センターでは診療関連死を取り扱わない」と中園氏はコメントしている。もっとも、総会の後半では関係省庁からの関連施策の説明があったが、厚労省は、監察医制度の説明に終わり、医療安全調査委員会については言及しなかった。
一口に「死因究明」と言っても、自然死(通常の病死、老衰死など)と不自然死に大別できる。この議連がどこに焦点を充てているのか、現時点では不明だ。
死因究明の費用も医療費で」との発言も
そのほか、医療の観点から見れば、「医療は死亡まで拡大すべきではないか」と中園氏が発言したことも注目点。例えば、中園氏は、死亡後にX線CTで死因を究明するAI(オートプシーイメージング)の費用は遺族の負担になっていることを問題視した。石井みどり・参議院議員も、「医療は死をもって終わる。死因の究明まで医療とすべきであり、それにかかる費用は医療費の負担として認められるのではないか」との述べ、この考えを支持した。
従来の医療、換言すれば保険診療の枠組みの拡大を検討するのであれば、さらに議論は広がる。まずは論点の整理が必要だろう。
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