(関連目次)女性勤務医の労働条件 勤務医なんてやってられない!
(投稿:by 僻地の産科医)
外科医のキャリア形成の障害は?
—男女差が浮き彫りに —
MTpro 記事 2009年1月21日掲載
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0901/090109.html
日本外科学会が勤務・生活実態をウェブアンケート
女性外科医にとってやはり,出産・育児はキャリア形成の障害―日本外科学会の女性外科医支援委員会(寺本龍生委員長)が行ったウェブアンケートの結果が1月19日に同学会のホームページに公表された。結果の一部は,Medical TribuneおよびMTproで既報だが,今回全調査項目の図表が掲載された。また,解説論文が『日本外科学会雑誌』第110巻第1号(1月発行)と第2号(3月発行)に掲載される。
「出産・育児」,「職場の性差別」は女性特有の問題
アンケートは2007年11月~08年1月に,eメールで連絡可能な日本外科学会の一般会員と代議員を対象に実施された。
このうち,一般会員2万3,249人を対象としたアンケートでは,勤務,個人生活などに関する61項目が調査された。回答が得られたのは3,195人(回答率13.7%)で,内訳は男性2,731人(同12.5%),女性464人(同33.8%)。
回答者の年齢は,男性では40歳代が38%と最も多く,次いで30歳代26.7%,50歳代25.1%など。一方,女性では30歳代が58.2%と過半数を占め,30歳未満も24.4%と,若年層からの回答が多かった。
主たる職場は男性では一般病院67.2%,大学病院25%など,女性では同51.5%,39%など。男性では年齢が高くなるにつれ,一般病院の割合が高くなるのに対し,女性で増加の程度が目立ったのは診療所や開業であった。
キャリア形成の障害となっているもの(複数回答)は,男女とも「労働条件の悪さ」(男性42%,第1位,女性36%,第2位)を挙げる意見が多かったが,女性の第1位の「出産・育児」(37%)は男性では4%,「結婚」は23%に対し3%,「職場の性差別」は13%に対し0%と,明らかな男女差が認められた。一方,「金銭的な問題」は男性21%に対し女性では8%と,男性のほうが障害と感じていた。
キャリア形成に必要な支援では,男女とも「労働条件の明確化(労働時間,給与など)」が第1位(男性70%,女性58%)。「緊急時の代替要員の確保」(同39%,50%)なども男女ともに高かったが,「院内保育所の整備」(同7%,47%),「病児保育の充実」(同5%,42%),「フレックスタイム制の導入」(同17%,38%),「ワークシェア制度の導入」(同13%,30%),「育児・介護休業後などの再教育制度」(同4%,27%), 「育児・介護休業後などの再就職制度」(同3%,27%)は男女差が明らかで,女性のほうが多く必要と感じていた。
男性医師も女性医師も女子学生には外科を進路として勧めない
勤務に満足していると回答した者の割合(「非常に満足している」+「少しは満足している」)は,男性44.3%,女性39.1%。上司から理解を得られていると回答した者の割合は,同67.1%,62.7%,同僚から理解を得られていると回答した者の割合は,79.3%,70%と,女性でやや低い結果であった。
さらに,興味が持たれたのは,学生に外科を進路として勧めると回答した者の割合(「強く勧める」+「どちらかといえば進める」)。男子学生に対しては男性医師55.1%,女性医師40.8%だったのに対し,女子学生に対しては同15.8%,16.4%と低かった。女性医師だけでなく男性医師も,女性にとって外科医の労働環境は厳しいと認識していることが示唆される結果と言えそうだ。
コメント