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(投稿:by 僻地の産科医)
日本小児科学会が、中原利郎先生の過労死民事裁判についての
声明を発表しました(>▽<)!!!!
平成20年11月30日
声明
日本小児科学会
東京高裁は10月22日、当直など過重労働でうつ病となり自殺した小児科医、中原利郎氏の遺族が、病院側の「安全配慮義務違反」などを主張して損害賠償を求めた民事訴訟の控訴審判決で、「過重な業務とうつ病の因果関係」は認めたものの、病院側の責任を認定できないとして、原告側の訴えを棄却しました。
中原医師の死が、過重労働による過労死であることは、平成19年の東京地裁行政訴訟判決により確定しています。小児救急など最前線の急性期小児医療を担う病院小児科医が負わされている過重労働は、医師不足や小児科閉鎖などの現在の医療問題の核心のひとつです。
本学会の調査では、小児科勤務医の労働条件は過酷を極めており、時間外診療をしている小児科医(調査回答者数3,628人)の月超過労働時間合計は平均86.7時間で、過労死基準(月80時間)を上回る長時間の勤務を続けている医師が多数です。
病院で働く小児科医に適正な勤務環境・労働条件を約束することによってはじめて、信頼性の高い医療を子ども達に提供することが可能になります。
日本小児科学会は、長年にわたりこの問題について警鐘を鳴らし、「小児医療提供体制の改革ビジョン」を提起して、組織を挙げて改善のために努力してまいりました。安心できる小児医療を提供するため、行政・雇用者・その他の関係組織・団体が、本学会とともに一体となって、小児科をはじめとする病院勤務医の労働環境の適正化により一層取り組むことを強く求めます。
*日本小児科学会 病院小児科・医師現状調査 2004
(調査対象:日本小児科学会認定医の勤務する病院小児科。調査では週30時間以上の勤務を常勤と定義している。 対象病院数 2,222箇所、 2004年11月末日現在回答病院数 1,109に勤務する常勤小児科医3,628人)
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