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(投稿:by 僻地の産科医)
Medical Tribuneかなり好きo(^-^)o ..。*♡なのですけれど!
これ、凄い論文だ思います。
外科研修医の週間勤務制限で
腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症が減少
(Medical Tribune 2008年11月20日(VOL.41 NO.47) p.47)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M41470471&year=2008
〔シカゴ〕ハーバーUCLA医療センター(カリフォルニア州トランス)のArezou Yaghoubian博士らは,外科研修医の週当たり勤務時間が80時間に制限されて以降,胆嚢手術を受けた患者の胆管損傷などの合併症発症が減少したとArchives of Surgery(2008; 143: 847-851)に発表した。
教育担当者の懸念を一掃
同センターでは患者の安全と研修医の健康が懸念されたため,2003年7月に外科研修医の週当たり勤務時間が80時間に制限された。なお,Yaghoubian博士らによると,当初外科の教育担当者は,頻繁な勤務交替,研修医の患者との接触機会の減少,治療の継続性への妨げ,コミュニケーション断絶の可能性が増加するという理由から,この時間制限に関する懸念を表明していた。
同博士らは,腹腔鏡下胆嚢摘出術について,勤務時間制限前と制限後に同術が施行された患者2,470例のカルテを分析した。対象とした手術のうち,週当たり勤務時間が80時間に制限される前(2000年1月〜03年6月)に手術が行われたのは1,353件,それ以降(2003年7月〜06年6月)に手術が行われたのは1,117件であった。分析の結果,制限後は,制限前に比べ胆管損傷または合併症を発症した患者が減少し(それぞれ0.4%対1%,2%対5%),制限後の手術は胆管損傷と全合併症の発症率低下と関連していた。
同博士は「勤務時間制限後では,胆管損傷リスクと相関する急性胆嚢炎患者と男性患者の割合が高かったにもかかわらず,制限後の合併症発症率は低下した」と説明。さらに「結果的に,研修医の勤務時間制限実施後,腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けた患者ではアウトカムの改善が認められた。勤務時間制限には患者ケアと研修医教育に悪影響をもたらすことが懸念されていたが,今回の結果は明らかにその逆を示すものである。休養を多く取る外科研修医で手術のアウトカムが改善するか否かを調べるには,さらなる研究が必要である」と述べている。
アメリカの研修医の厳しさと手術実績のノルマの狭間での研究ですね。興味深いです。
投稿情報: 年老いた内視鏡外科医 | 2012年10 月 3日 (水) 10:15