(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
昨日も頑張って行ってきましたo(^-^)o!!!!
霞ヶ関の検討会。
前日、緊急オペ3件で結構ヘロヘロになりつつも参加してよかった会でした!
またも岡井先生にお会いいたしまして、
またご挨拶申しあげました。
成行きを見守っておられるようです。
すでにロハスから報告が出てきています。
前回以上に「なんじゃこりゃ?」という検討会。
木下理事と嘉山先生(山形大学)がののしり合いをはじめるし。
くしくも前回の参考人の堤救急学会理事、
全日本病院協会の徳田先生、
全国医学部長病院長会議からの嘉山先生からは、
言葉は違えど、
「この検討会の名称から
“医療安全”などという言葉を外して
“医療処罰委員会”と名称変更をしたらどうか!?」
とまったくもって本質的なことを口々にいわれる結果となったわけです。
いろいろな話を聞いていると、全くその通りだとしか思えません。
資料をいっぱいもらいました。
はっきりいってちょっとした教科書一冊くらいの厚さ。
厚労省は、医療に対するテロリストか
ロハス・メディカルブログ 2008年11月10日
http://lohasmedical.jp/blog/2008/11/post_1483.php
死因究明検討会16(1)
ロハス・メディカルブログ 2008年11月10日
http://lohasmedical.jp/blog/2008/11/post_1482.php
長かったのと、理路整然としていたので、
まずは、全日本病院協会徳田先生のお話を上げて行きたいと思います。
また続編はおいおい。
以下の長い文章は読み応えがあるので是非読んでいただきたいのですが、
私流に要約すると以下のようになりますo(^-^)o
「国は医療安全にお金をかけてこなかったくせに!
そのせいで事故が起きた時に、
現場を吊るし上げる機関だけ作るつもりかっ!」
「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・
再発防止等の在り方に関する試案一第三次試案-」
に関する意見
(社)全日本病院協会
標記第三次試案に関しては、重大な問題と疑義がある。社団法人全日本病院協会(以下:「全日病」)の見解を述べる。
委員会の名称が、正式にはほとんど議論されていないにもかかわらず、いつの間にか、自民党案の記載である「医療安全調査委員会(仮称)」に変更された事と、委員会設置目的と試案内容との間に乖離がある事は理解できないし、納得できない。
「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(以下:「検討会」)の議事録をまとめてみると、いわゆる「事故調」が必要とされる大きな理由は、
1.医療提供者の不満として
医師法第21条の異状死を診療における予期しない死亡にまで及ばせた不合理な厚生労働省の拡大解釈の存在とこれに関連する刑事訴追の問題がおこっている
2.患者・家族の疑問・不信・不満として
医療事故事例に対する説明責任、情報の開示をかった医療施設があり、医療機関の対応に重大な問題があることから、信頼回復のためにも医療事故死をどう調査し結果をどう扱うべきかを考えることにあったと理解している。
医療安全の観点から関係者が何をすべきかについては、既に以下のとおり議論がつくされている。
1.当事者及び医療機関は、ヒヤリハットから死亡事故まで、包み隠さず報告する(院内委員会及び全国レベルの中立的第三者機関)制度が必要
2.収集された情報を基に分析し、その原因を速やかに明らかにするとともに、再発防止対策を立てる
3.これらの情報を医療施設内外で共有し(必要に応じ当該患者・家族ヘの説明、医療施設間のみならず一般国民への開示に使用)再発防止に役立てるとともに、日頃の職員等の教育に利用する
この原則に基づいて関係者が努力し、その内容を国民に周知していたなら医療提供者と患者・家族の信頼関係がこれほどまでに損なわれることはなかったはずである。 しかし、医療界における現状を見ると、残念ながら、全ての医療機関の医療安全に関する取り組みが同じレベルにあるとは言えず、患者・家族の不満解消に至っていない。その主な原因は、
1.各施設の意識の相違
2.医療提供者が患者・家族に診療内容や医療安全に関する種々の情報を判りやすく説明し、信頼関係を構築する努力を十分に行って来なかったこと
3.医療行政としての医療安全に関する実効性に乏しい形式的な取り組み
にあると考える。
全日病は、良質な医療の提供の原点は「医療安全」であり、その確保には、
1.世界の潮流である中立的第三者機関への報告義務制度の確立と、収集事例に対する専門家による分析と事故再発防止策などの成果の還元
2.ADR(裁判外紛争処理制度)と無過失補償を含む被害者救済のための制度
3.医療事故当事者の精神的負担その他に関する支援
が不可欠であると主張してきた。
同時に組織として可能な取り組みとして、医療安全管理者養成講習や医療の質の向上へ向けた講演会、シンポジウムの開催などの活動をしている。
今日の混乱の責任の一端が、説明責任や情報開示を十分にはして来なかった医療提供者にあり、国民の立場に立った医療提供を推進する立場にある全日病をはじめとする医療団体の取り組みの不徹底にもあることは間違いない。
しかし、最大の問題は安全に関する国の姿勢にあると考える。
国は、医療安全を医療提供にかかわる最重要課題と捉えるならば、
1.医療従事者が安心して良質の医療を提供できる医療制度の構築、すなわち、個人や個々の医療機関の過重な負担や努力に期待するだけではなく、制度として基盤整備を行うこと
2.医師や看護師のみならず医療関係の専門職の養成に際して、十分な時開か確保された医療安全に関する講習を実施すること
3.各疾患の標準的診療の確立と実施、診療行為が十分把握出来る診療記録の作成と(電子化が最適)、診療結果を評価する仕組みを構築すること
4.全ての医療施設で起こった医療事故に係わる事象を収集、検討、還元する仕組みを確立すること
5.医療安全に関する情報の徹底した共有を図る為の情報提供と各施設での対応を確認する仕組みを構築すること
などの施策を強力に推し進めるべきである。
しかし、国は法律に医療安全の義務を盛り込み、ガイドラインなどの提示を行っているものの、安全確保のための資源確保は担保しておらず、日常的に行われるべきその実践はほとんど各施設や関係団体の取り組みに依存している。
「医療安全」に関して、この上うな見解を待つ全日病としては、今回の「事故調」の真の目的が、試案や大綱に示される原因究明と再発防止ならば新しい組織の設立は無用であり、現存する日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の組織強化で十分に行えるはずと考える。
しかし、検討会の議事録を見る限りこの点について十分な議論は行われていない。それは、検討会設置の真意が、座長自ら再三検討会やマスコミで発言しているように、この調査を「法的責任追及」に活用することを最大の目的としていることによる、と考えざるをえない。
医療事故の多くは複雑な医療システムの中で生じ、個人の責任追及では事故を減らすことはできず、システム的なアプローチが必要であり、医療安全の第一歩は、免責・守秘等の条件下ですべての事象を詳細に報告させることに始まると言う世界の潮流となっている原則を守ることである。 しかし、この点について十分な議論をせず、「患者・家族の立場に立って」と称して、刑罰という手段により医療事故事例の報告制度確立を図ろうとしているよ引こ見受けられる。その上うな検討会がまとめた試案に関しては反対せざるを得ない。
「医療安全」を大きな眼目として検討したというが、鮎澤委員を除き医療安全に関する最高レベルの専門家や研究者が入っておらず、法律関係者が多い検討会の委員構成に問題があったのではないか。医療安全の専門家が複数入っていれば、原則的な議論が必ず行われたと確信する。医療事故の発生後に責任の所在、賠償を議論する法の論理と、加齢・疾病などしばしば抗しがたい制約条件の下において、不十分な情報の下で治療を試みる医療では論理が異なることは従前よりmedico-legal issue として指摘されている。重ねて言うが、医療安全に精通しているはずの委員もいる中で、「医療安全」の原則との関係で事故死の位置づけがほとんど議論されなかったことは承服しがたいし、理解できない。
「法的責任追及」が目的であるならば、「医療事故死処罰委員会」と名称変更して、現行の、憲法、刑事訴訟法で定められた人権保護の条項を逸脱しない範囲で、どのような事故を処罰すべきかを純粋に検討する会を別途、設立すべきである。すなわち、原因究明・再発防止と責任追及とは明確に分離しそれぞれ独立した組織として活勤しなければならない。
医療安全の観点から、死亡事故の究明はどのように位置付けられるべきなのか。死亡事故は垂大事象に位置づけられるものであるが、重大事象は死亡だけではなく大きな後遺症を残した症例も含まれる。また、一つの重大事象の背後には多くの軽微な事象、ヒヤリハットがある。事故死のみを取り上げても氷山の一角でしかなく、医療安全全体の底上げにはまったく不十分である。先に述べたように、「医療安全」への国の取り組みが不十分な中で、事故死のみを取り上げてあたかもこれが医療安全の切り札とても言いそうな気配のこの検討会の議論は大局を見誤ってはいないだろうか。
前回検討会でのヒアリングの岸り取りをみると、反対意見があった際に、検討会の議論は後戻り出来ないというようなニュアンスの返答がなされていることは問題である。本来は、もっと早い段階でより多くの医療安全の専門家や我々反対の意見を聞くべきだったと考える。今一度繰り返すが、そもそも医療安全を考える上での事故死の任置づけを最初に議論すべきだったはずで、それを怠ってきたのではないか。このような検討会では必ずパブコメを取っていることを理由に、検討会全体の議論の流れを変えることかく、一部修正で終わることが常である。今回のパブコメにも原則論を指摘するものがあったが取り上げられず、医療事故の調査は新しく設置する第三者委員会で行うことを既成の事実とした議論ばかりであった。
患者や家族の疑問、不信、不満に対して、全日病は、冒頭述べたように医療提供者側の説明責任、情報開示の問題があることを認めるし、改善すべきである事は当然と考えている。息子さんを医療事故で亡くされた遺族の立場と医療機関のリスク管理をされている立場で参加されているであろう豊田委員が第1回検討会で述べておられる様に、「再発防止を願うということは、本当にだいぶ時間が経ってからだ。最初は最愛の家族が亡くなっているのだから、その家族の死を医療事故であろうが何であろうが、受け止めることができない。次にこれは誰かの手によってそういうことが起きたのではないかという疑問や不信感が起きてくる。号うなるとそれが一体誰がどういった形になってこういう二とが起きたのかということを知りたいと思うのは当然のこと。そういった疑問や不信感を特つのは当然だと理解することからはじめないと、議論は難しい。患者側か望むことは、開わった当事者から本当のことを伝えてほしいという気得ちがいちばん強い」という発言は、最初の会合での発言だけに重大な指摘である。即ち、まずは何か起こったのか記録を開示し説明することの重要性を言われたのであろう。 しかし、疑問、不信を解消させる手段がこのような委員会の設置でしかないと考えていただいては困る。基本的な医療安全の取り組みの徹底によって二号二のような問題に対処できるものと考える。事故死のみに的を絞る仕組みではなく背景にある多くの事象まで検討する組織の充実こそ必要と確信している。
それでは、患者・家族の信頼を得るためどのようなことをすべきなのか。
具体的に医療機関には、
1.患者・家族に診療の内容を十分に説明し納得を得る
2.リスク回避も考慮した診療システムを構築する
3.診療記録を電子化し、修正された場合の記録(時刻、修正理由等記載)も残るような仕組みとする(改ざんが不可能なシステム)
4.診療の経過を必要に応じ説明し、予定通りに進まない場合は必ず説明する
5.特に医療行為の中で患者に不利益をもたらす結果となった場合、その説明は診療記録を提示して行うこととし、患者家族の疑問も記録することを日常の診療で行うことを義務付ける。
その上で、十分な説明の上でも患者・家族が納得されない場合、必要に応じ外部委員の入った紛争処理委員会、医療安全委員会にて協議し、第三者機関(日本医療機能評価機構の仕組みの充実を想定)での検討結果も踏まえて対応する。安全管理上の問題に関しては、どのような改善を行う予定なのか、一定期間後その実行状況を患者・家族に知らせる。
ニのような手順で行うことにより、患者・家族の懸念は相当払拭されると考える。医療機関の実践に不信かおるなら、定期的な第三者評価を行って義務を果たしている施設を認証し公表する仕組みを作る。必然的に評価を受けない施設、不十分で認定されない施設には、受診抑制がかかるはずである。大きなペナルティとなるであろう。
以上の考え方から、全日病は、医療安全の原則と事故死の関係を十分に議論されることなく作成され、結局、原因究明・再発防止と責任追及が同じ組織で行われることになる第三次試案には反対の立場をとる。
即ち、文字通り「医療安全調査委員会」とするなら、医療安全に関する専門家を中心に医療現場の委員や有識者あるいは国民の代表をいれた委員会構成として、国を挙げての「医療安全」の実践に関する徹底した仕組みづくりを検討・提示しすべきであり、「医療事故」を処罰するのなら法律専門家を中心にした現在の委員会を「事故死処罰委員会」と改称し、明確な事例を示して処分内容を決定すればよい。
全日病は、故意、証拠の隠滅、改竄などの明らかな犯罪性のある者が刑事告発されることは当然と考えており、医療にかかわる行為すべてが免責とすべきとは考えていない。
以上
僻地の産科医先生へ:「木下理事と嘉山先生(山形大学)がののしり合い」というのはどんなんだったんでしょうか?ロハス川口さんのところにもまだ出ていませんでした。すごく興味があるんですけど。木下先生がまたご自身の性善説に則って押しとうそうとされたんでしょうか?
投稿情報: 風邪ぎみ | 2008年11 月11日 (火) 14:38
いまだに“医療事故調”の目的が定まらず、迷走続く 第16回検討会o(^-^)o
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/11/16o-o-3271.html
の後半部分、<中略>とされている部分です。みっともないことこの上ない。
でも表題の「医療過誤は犯罪!」
の言葉を図らずもこの検討会議長から引き出した功績はあると思いますo(^-^)o..。*♡
つまり参考人の皆さんの考えは正しい。
彼らはハンムラビ法典を作ろうとしている。
そういうことだったんです。
堤教授は患者の賛成・医師の賛成(?)について「同床異夢」と仰られました。
それが露呈し、更に『イノセント・ゲリラの祝祭』 海堂 尊先生の著作にあるように検討会のそこの浅さ、厚労省の考え方が非常によくわかる検討会でもありました。
こんなものはいらない。
全部検討を最初からやり直せ。
はっきりいって一生懸命みんなが医療安全に向かってこつこつやってきたものを全部ぶっ潰す真似しやがって!
というのが嘉山先生の発言ご主旨で、
「馬鹿にするにも程がある!
大学病院を悪の巣窟のように皆が言う。
これまでの取組みをなんだと思ってるのか?
10年前からは全然違う!
ここ最近の何か事件で、カルテ改ざんなど
犯罪行為と思えるような事実があるのか?
エビデンスだしやがれっ!!!!!」
という心の叫びに、皆が反論できないのに、無駄に今までどおりの主張を繰り返し、くだらないことばっかり言うから嘉山先生がおきれになっちゃったって訳です。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年11 月11日 (火) 19:04
・・・「医療過誤は犯罪!」
の言葉を図らずもこの検討会議長から引き出した功績・・・
この時点で前田議長は失格です。
医療安全会議のメンバーとしての要件なし、無能です。
世界の、先進国の、医療安全システムづくりの会議は、医療過誤を犯罪として扱わないことから、スタートしています。
WHOのAllianse for Patient Safety、英国のNational Patient Safety Agency を初めとする欧州各国、北アメリカ、オセアニアの医療安全制度の何処をみても、医療過誤を減らす為に一番大事なことは、個人に責任を負わす罪の文化からに気出すこと、が肝心かなめ、としています。
それすら知らなかった、勉強もしなかった人間をなぜ医療安全システムづくりの会議の議長に任命したのか、厚労省の役人の不勉強ぶりと間違った認識がそこにあります。
我々に与えられた道はただ一つ、この会議も、この試案も、この大綱案も、シュレッダーに掛けて、ゴミクズの化することです。
法案は国会で作られるもの、舞台は国会に移されました。
投稿情報: 鶴亀松五郎 | 2008年11 月11日 (火) 20:37
僻地先生、早速にありがとうございます。
医療事故調の前に、木下先生率いる産婦人科医会のやり方に大いなる疑念があります。産科補償制度に関する疑問点を産科のメイリングリストに投稿した際、ある幹部先生から直接メールが来て、「こうした議論はメイリングリストで行うと混乱するから、直接お返事します」という書き出しで、解説がされていました。その内容は疑問を晴らすものではなく、木下先生の性善説基本路線を支持するもので、これ以上混乱させないでくれ、という意味を含んだものでした。もうどうでもいいと思っていましたが、この記事を見ていて、これくらいの議論においてさえきちんとした議論にならないようでは到底これからの医療倫理を支えられるはずはありません。そしてこれが産科補償制度のように日本各地を回る説明会にまで進行していることに暗澹とした恐怖すら感じます。私が参加した産科補償制度の説明会はもはや議論の場ではなく、施行説明会でしたから。何でそんなに急ぐんでしょうか?2F議員の発言といい、医師も舐められたもんです。
これからの一つの反撃策として、各病院の医療安全対策委員会の意見を集約するという手があります。個々の病院の委員会がただ厚労省の事故調案を待っているだけなら、もうどうしようもないと思います(実際我が県の会議では事業者がそうした発言を行い、主体的に関与する意思ははじめからないようでした。もともと事業者にはそんな期待なんかできませんが)。少し考えてみます。
投稿情報: 風邪ぎみ | 2008年11 月11日 (火) 20:52