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(投稿:by 僻地の産科医)
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医師・看護師の確保難、経営に重く
全国主要病院調査から
日経NetPlus 2008-07-27
http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/medical/medical/med080727.html
日本経済新聞社の全国主要病院調査からは、診療報酬のマイナス改定や勤務医不足の影響で病院の経営状態が悪化する一方、依然として経営努力が足りない面もある実態が浮かび上がった。グラフも交えながら詳細を紹介する。
■07年度、黒字と赤字が半々
【経営状態】
2005—07年度の経常損益の状態を尋ねたところ、2005年度は55.6%だった黒字病院が06年度には47.3%に減少。赤字の病院が49.9%と逆転した。0 6年4月に実施された診療報酬のマイナス改定が影響したとみられる。07年度も黒字病院は47.0%で、赤字の47.2%とほぼ半々だった。「未確定」と回答した病院も3.7%あり、この一部は黒字と考えられるため、06年度よりは黒字の割合は若干高かったと考えられる。
「経営状態が3年前と比較して、どのように変化したか」との問いでは、「悪化した」が33.8%、「やや悪化した」が22.9%で計56.7%が悪化傾向だった。一方で「良好になった」「やや良好になった」もそれぞれ9.9%、19.0%あり、合計で3割近い病院が経営改善の成果が出たり、経営環境が好転したりしているようだ。ただ「良好」と答えていても3年度連続で赤字を計上している病院もあった。
経営が悪化している病院に、その理由を3つまで挙げてもらったところ、81.9%の病院が「診療報酬改定による医療費の抑制」を選び最多。「医師の確保難」が62.6%、「看護師の確保難」が 41.9%で続く。看護師を増やして1人が担当する入院患者の数を減らすと診療報酬が優遇され、逆に看護師が少ないと減額される制度が06年度に導入された影響で「看護師争奪戦」が発生。待遇の改善や福利厚生の充実などの対応を迫られ、減収要因となったようだ。設備投資などの負担を選んだ病院は、400床以上の大病院で特に多かった。
【財務諸表】
財務諸表を作成している病院は93.6%と前回04年の調査の90.6%をわずかに上回った。作成していないのは21病院で、うち10が国立大学付属病院だった。
財務諸表の内容を尋ねたところ、損益計算書と貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3種類を作成している病院は48.4%。前回04年の調査(30.9%)から伸びた。ただ、半数はキャッシュフロー計算書を作成しておらず、損益計算書しか作っていない病院も4.3%あった。開設主体別に見ると、「国立・国立病院機構」は3種類作成している病院が9割を超えた一方で、自治体病院などの「公立」では20.3%にとどまった。
監査法人や会計士による財務諸表の監査を受けている病院は72.7%で、これも前回04年調査の63.1%から伸びた。しかし、2割は今後も受ける予定がないと回答した。
■職員の離職率、4割がチェックせず
【経営改善努力】
疾患別の原価計算の実施状況を尋ねたところ、すべての疾患について計算している病院は4.8%。一部疾患で計算している病院は27.8%で、全く計算していない病院が64.2%を占めた。原価の算出に必要な計算ソフトが極めて高価で、購入が難しいケースが多いとみられる。
「各種経営指標に目標値を定めて定期チェックしているか」との問いでは、40.8%が「職員の離職率」をチェックしていなかった。病院の支出のおよそ半分を人件費が占め、職員の管理は必須項目ともいえるが、多くの病院が取り組めていないのが実情のようだ。「同一診療圏内でのマーケットシェア」に至っては18.3%どまり。日本赤十字社などの「公的」病院の3割程度が取り組んでいたが、「公立」は1割程度。地域の中でどの医療分野が「不足しているのか」「過剰なのか」といった検証がないまま、診療科を開設したり、医療機器を導入したりしている実態が透けてみえる。
経営改善のための施策を複数回答で聞いたところ、「他院と資材を共同購入」「高額機器の共同利用」が2—3割と低く、「競争力のある診療科に資源を重点投入」している病院も32.9%にとどまった。 総じて国公立病院の取り組みが医療法人など民間病院に比べて遅れている傾向が強く、改善の余地がありそうだ。
企業出身者を経営幹部に迎え入れている病院は前回04年調査から微増の29.8%。民間病院に多く、国公立病院では12.3%にとどまった。
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