(関連目次)→新型インフルエンザについても集めてみましたo(^-^)o
(投稿:by 僻地の産科医)
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新型インフル、行政の指針見えず困惑
全国主要病院調査から
日経NetPlus 2008-07-20
http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/medical/medical/med080720.html
発生すれば、世界的な大流行(パンデミック)が懸念される新型インフルエンザに対して、社会全体の備えが求められている。日本経済新聞の全国主要病院調査では、病院が新型インフルエンザなどの感染症にどう備えているかを尋ねた。詳細をグラフとともに紹介する。
■流行時の診療体制、3割以上が未定
【診療体制】
地域の感染症対策の拠点となる「感染症指定医療機関」に指定されているかを尋ねたところ、「第1種」に指定されている病院が3.3%、「第2種」が20.5%で、指定されていない病院が74.2%と大半だった。最も高度な医療を提供する「特定」に指定されているとの回答は5病院(0.9%)あったが、国内で実際に指定されているのは3病院だけ。うち回答したのは1病院で、4病院は誤回答だった。
新型インフルエンザの発生に備え、防護服やマスクなどを着用して訓練する救急隊員=5月21日午前、川崎消防署
新型インフルエンザが国内で流行した場合の診療体制を尋ねたところ、入院診療、外来診療ともに3分の1以上が未定だった。新型インフルエンザの治療を優先すると回答した病院は1割に満たない。「通常の診療体制の維持を優先し、新型インフルエンザ患者の治療は限定する」との回答が入院で34.9%、外来で34.2%に達し、診療に消極的だったり、態度を決めかねたりしている病院が多かった。
【行動計画】
新型インフルエンザの発生に対応する組織と責任者がいずれも決まっている病院は57.8%と過半数に達した。組織のみがある病院は7.1%、責任者だけが決まっている病院は15.0%で、どちらも決まっていない病院は18.3%にとどまった。ただ、「院内感染対策の組織や担当者が、形式だけ新型インフルエンザ対策を担当しているケースが少なくないはず。具体的な取り組みにつながっている病院はもっと少ない」との指摘もある。
流行を想定した行動計画や「事業継続計画(BCP)」、マニュアルの有無を尋ねたところ、計画がある病院は30.5%にとどまり、37.7%が作っていなかった。作成中の病院も3割あり、これから本格的な対策に着手する病院が多いことがうかがわれる。訓練を実施済みの病院は15.5%。今年度に実施予定の18.1%を合わせても3割程度で、大半の病院が訓練実施の予定がなかった。職員を対象とした教育・研修は43.3%の病院が実施していた。
自治体や保健所、地元医師会、近隣医療機関などと対策について協議したことのある病院は46.3%。半数を超す病院が協議していない。もし今、新型インフルエンザの流行が起これば、一部の病院に患者が殺到してパンク状態になったり、新型インフルエンザ以外の病気の治療ができなくなったりと、大混乱が予想される。患者が集まる病院は流行の拠点になる恐れもあり、事前に役割分担を明確にし、どのように医療体制を維持するかの検討が不可欠だ。
■人工呼吸器や陰圧病床の数にばらつき
【設備】
新型インフルエンザが重症化すると、肺炎などの呼吸器症状が現れ、死に至る危険もある。こうした重症患者には人工呼吸器による管理が必要となるケースもある。病院の所有台数の平均は18.9台だった。病室内の気圧を下げ、ウイルスなどが外部に漏れないようにした「陰圧病床」の数は平均4.7床。人工呼吸器や陰圧病床の数は病院によって大きなバラツキがあった。
また、陰圧病床の多くは重症患者の治療のために日常的に使用されており、「結核患者用の病床はあるが、新型インフルエンザ患者には使えない」との回答もあった。陰圧病床は本来、空気感染する病気の患者の治療に使用する。空気感染しない新型インフルエンザでは、主に封じ込めを目指す流行初期に使われる。流行が拡大して陰圧病床が満床になれば、一般の病床に収容することになる。
【取り組み】
現時点で、新型インフルエンザの発生に備えて取り組んでいる内容を複数回答で尋ねたところ、「N95マスク」と呼ばれる特殊なマスクなど、医療従事者への感染を防ぐ個人防護具をそろえている病院が82.3%と最も多かった。抗ウイルス薬や食料・物資なども4—5割の病院が備蓄していた。新型インフルエンザの患者の入り口や通り道をほかの患者と分けるなどして、感染拡大を防げるように建物の構造を工夫している病院も36.6%あった。こうした備えを広げるために病院に対して財政的に支援している自治体は少ないのが現状だが、「高額の投資が必要。病院の負担となるのはおかしい」との意見も多く寄せられた。
流行時に医療提供を続けるために必要な取り組みを、優先度の高いものから5つまで選択してもらったところ、医療従事者への事前ワクチン接種を求める病院が7割弱に達した。職員の感染を防ぐ個人防護具の備蓄を挙げる病院も6割と多かった。「医療機関が取るべき対策を行政が指針などで示す」との答えも45.2%に達しており、行政のリーダーシップが見えない中で、どう対応すればよいか苦慮している病院の姿が浮き彫りになった。「医療資源が限られる場合の治療の優先順位や(患者の重症度を判断する)トリアージの検討」も32.0%が指摘。殺到した患者に抗ウイルス薬を配給する場面などを想定し「緊急時に薬の処方を医師以外にも認める」ことも18.6%の病院が選んだ。患者受け入れのために病床を空けておいたり、新型インフルエンザ患者を受け入れることで通常の患者が敬遠したりして収入が減少した場合の損失補償を求める回答も17.4%あった。
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