(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
昨日の公開討論会!
相当な盛会だったみたいです(>▽<)!!!!
こんな記事も!
告訴受理しても調査委の判断待つ <死因究明制度で法務省の片岡刑事課長>
Japan Medicine mail 2008/07/29
鹿児島県医師会は25日、「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に関するシンポジウムを開いた。この中で法務省刑事局刑事課の片岡弘課長は、調査委に届け出た事案について患者・遺族側から捜査機関に告訴があった場合の取り扱いについて「調査委が速やかに調査に着手するのであれば、告訴を受理したとしても(捜査機関が)それ以上のことをする必要はない」と述べ、実際の捜査は調査委の判断を待って着手する考えを示した。
死因究明制度、賛否の溝は埋まらず <日本医学会の公開討論会>
Japan Medicine mail 2008/07/29
日本医学会は28日、診療関連死の原因究明制度創設に関する公開討論会を開いた。参加者からは捜査機関への通知事例や医療事故に対する業務上過失致死傷罪の在り方などについて、さまざまな異論や疑問点が噴出。制度創設の賛否をめぐる議論は平行線をたどり、医療界の意見集約の難しさを印象付けた。日本医学会はこの日の議論を踏まえて、制度創設に向けた見解を近くまとめる方針だ。
あと参加された方から報告ブログですo(^-^)o..。*♡
診療関連死の死因究明制度創設に係る公開討論会
まーしーの独り言 2008年07月28日
http://blog.goo.ne.jp/marcy1976/e/60f5296dd2e569c98681555bb5f9268c
混迷する“医療事故調”の行方◆Vol.15
「第三の過ちを犯すな」、厚労省案に異議あり
日本医学会シンポで、学会・現場の医師が厚労省案の再考求める多数
橋本佳子(m3.com編集長)
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080729_1.html
「総論は賛成だが、各論には反対。これまでの検討プロセスにも疑問があり、拙速は避け、さらなる議論を尽くすべき」。日本医学会が7月28日に開催した「診療関連死の死因究明制度創設に係る公開討論会」の議論は、こう総括できる。
「日本医師会は開業医の代表と言われるが、その開業医の意見すら日医は聞いていない。アンケートを行い、医師会の7割くらいが(厚労省案に)賛成だと言うが、医師会の常任理事クラスの意見を聞いただけ」(長崎県諫早医師会会長・高原晶氏)
「厚労省案がこのまま実行されれば、若手医師が臨床現場からいなくなってしまう。代わりに(厚労省案の支持者は)救急医療をやってくれるのか。またグローバルスタンダードから言えば、『第三の過ち』を日本の医療は犯すことになる。医師不足、低医療費、刑事罰に結び付く医療安全調査委員会の3つだ」(済生会栗橋病院副院長・本田宏氏)
こんな過激な発言がフロアから飛び出したほど、この公開討論会の議論が白熱したことも、特筆すべきだろう。司会を務めた門田守人・日本医学会臨床部会運営委員会委員長が、「医学会や学会などが立場を超えて、一つのテーマでここまで意見交換をしたことが今まであったのか。ここで一致団結して方向性を探っていかなければならない」と締めくくったように、シンポジストや参加者は、主催者である日本医学会、厚労省案を支持する日本医師会に対して遠慮することなく、忌憚(きたん)のない意見を述べた。換言すれば、これまでこうした議論の場がないまま、「大綱案」という法案提出の一歩手前まで来てしまったことが問題だとも言える。
厚生労働省は、今年4月3日に「第三次試案」、6月13日には「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」をそれぞれまとめているが(以下、両方を一括して「厚労省案」)、公開討論会では、一部に厚労省案を支持し、早期の制度創設を求める声が上がったものの、さらなる検討を求める声が多数派だった。厚労省は次期臨時国会への法案提出を目指しているが、現行案の見直しを迫られた格好だ(『臨時国会への法案提出に向け「大綱案」作成』を参照)。
日本医学会では、「7月31日に運営部会を開催し、公開討論会の議論を踏まえ、今後の対応を検討する」(門田氏)。6月には基本的に支持する方針を打ち出しているが)「日本医学会が第三次試案の基本的方向性を支持」を参照)、どんな結論になるかが注目される。
また前述の長崎県諫早医師会では、全国の郡市医師会に対して、厚労省案への意見を問うアンケートを実施する予定だ。地方の医師会が、全国の医師会に対してこうした調査を計画するのは異例だ。
公開討論会は6人のシンポジストによる発言と、総合討論の形で進められ、3時間強に及んだ。
シンポジストでさえ厚労省案支持は少数派
公開討論会の出席者は以下の通り。
総合司会 高久史麿:日本医学会会長
司会 門田守人:日本医学会臨床部会運営委員会委員長
山口 徹:日本医学会臨床部会運営委員会委員長作業部会長
シンポジスト 日本内科学会:永井良三理事長
日本外科学会:高本眞一理事
日本救急医学会:堤晴彦理事
日本麻酔科学会:並木昭義理事長
日本医師会:木下勝之常任理事
全日本病院協会:西澤寛俊会長
代表的発言は以下の通り(発言の一部のみを抜粋)。
【厚労省案の問題点を中心に指摘】
日本内科学会:永井良三理事長
・大綱案と第三次試案の関係が不明確(第三次試案に記載されながら、大綱案への記載がない部分はどうなるのか、医療安全調査委員会と刑事訴追の関係を問題視する医療者が多いが、果たして厚労省と法務省とは何をどのように合意しているのか、その合意の実効性はあるのか、など)
・遺族が医療事故調査を求めた場合の対応(遺族が医療安全調査委員会に届け出た場合、警察に直接届け出た場合、それぞれどう対応するか、など)
・医療安全調査委員会の職権(「刑事手続きについては、委員会の専門的な判断を尊重する」とあるが、根拠や実効性はあるのか、など)
・医療安全調査委員会から警察への通知基準(大綱案では、「標準的な医療から著しく逸脱した場合」も含めているが、故意、重大な過失、隠蔽、「重過失に相当する悪質な医療」に限るべき、など)
【厚労省案の制度の根幹を中心に指摘】
日本救急医学会:堤晴彦理事
・ 今、医療界にとって、解決すべきなのは、「医療側にとって理解不能な刑事訴追」。「医師法21条の届け出」が問題なため、“医療事故調”を作ろうとしているが、この21条問題は二次的なもの。医療における業務上過失致死罪の対象となる行為を明らかにするのが先決。
・ 中立的な組織を作ること自体には異論はないが、これまでの厚生省の検討会のプロセスに疑問、要するに議論が尽くされていない。
(1)1回2時間では議論ができない、座長は各委員から出された意見を「意見の分散」ととらえ、何とか既定路線に収束させようとしている
(2)警察庁や検察庁は委員ではなく、オブザーバーで出席。本来は医療者と「同じ土俵」に上がって議論すべき
(3)パブリックコメントを求めているが、その時点で「大綱案」の作成しており、形式にすぎない――など様々な問題がある。
全日本病院協会:西澤寛俊会長
・医療事故について、(1)説明責任と被害者への保障、(2)再発防止、この2つを同一の組織で実施することは無理であり、別個の組織とすることが必要。両方とも一緒にやろうとするとうまく機能しない。
【厚労省案を支持】
日本医師会:木下勝之常任理事
・ 福島県立大野病院事件により、外科系、産婦人科系の日常診療行為における死亡事故に対してでも、業務上過失致死罪容疑で逮捕、起訴という事態が起こり得ることが明らかになった。したがって、医師法21条による届け出義務を廃止し、警察への届け出義務を端緒とする診療関連死に対する刑事訴追の誤った方向性を正し、警察へ代わる届け出機関として医療安全調査委員会の設置が必要。
・ これまで法務省や警察庁と何度も折衝を行っている。第三次試案はその合意の下、作成している。
・ 医療安全調査委員会は、医療関係者の責任追及が目的ではなく、原因究明と再発防止を目的とした組織。調査委員会の調査により、捜査機関への通知は極めて限定された事例になり、捜査機関は医療界の代表者を中心とした調査委員会からの通知の有無を尊重して対応する。
現状の問題点を分析し、それに見合った組織作りを
もっとも、上記の議論はこれまで様々な場面で繰り返されてきた議論でもある。一連の議論の混乱は、現行制度の問題点と医療安全調査委員会の目的が整理されていない点にある
医療界が最も問題視しているのは、通常の診療行為をしていても結果が悪ければ、業務上過失致死罪で起訴される可能性がある点。そうであれば、堤氏の指摘のように、業務上過失致死罪を医療にどう適用するかを検討するのが第一だろう。木下氏がいくら「医師法21条を改正。法務省などとは協議した。捜査機関は医療界の代表者を中心とした調査委員会からの通知の有無を尊重して対応する」と説明しても、永井氏のように、医療者の多くはその実効性に疑問・不安を感じている。
また、そもそも医療安全調査委員会が、一定の事故について「捜査機関に通知する」ことは最終的には刑事訴追との連動を意味するため、その前段となる原因調査の際に、「自己に不利益な供述」を医療者に強いることを疑問視する向きも多い。正確な原因調査ができなければ、再発防止もままならない。だからこそ、西澤氏は、「目的に応じて、事故調査を行う組織を分けるべき」と主張している。
一方、医療事故に遭った患者・遺族側にとっての現行制度の問題は、「何があったか知りたい、十分に説明をしてほしい」「再発を防止してほしい」という思いが、必ずしも十分に達せられないこと。フロアから発言した、済生会宇都宮病院(宇都宮市)院長の中澤堅次氏は、「院内調査を行い、患者さん側と一対一で向き合って経緯などを説明すれば分かってもらえる。しかし、第三者の機関が院内調査とは別に死因究明などの調査を行うことにより、かえってこうした取り組みができにくくなる。このまま法案を通せば、今より状況は悪化すると考えられる」と問題視した。
現状の問題点は何か、「医療事故の調査」を死因究明・再発防止・家族や遺族の救済・責任追及のいずれの目的で実施するのか――。この辺りを改めて整理しないと、議論は進まないだろう。
議論百出の死因究明の公開討論会
キャリアブレイン 2008年7月28日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/17368.html
「診療関連死の死因究明制度創設に係る公開討論会」が7月28日、東京都文京区の日本医師会館大講堂で開かれた。学会や医師会、病院団体の代表が、「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱」についてそれぞれ意見表明。休憩を挟んでのディスカッションでは、会場から次々とさまざまな意見が出され、議論は迷走状態となった。
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討論会ではまず、主催の日本医学会の高久史麿会長があいさつに立ち、「日本医学会は、第三者機関をつくり医療事故の死因究明に対応することには賛成という立場。ただ、これまでの過程で加盟各学会にアンケートを実施したところ、基本的には賛成だが、部分的には反対や注文も数多く寄せられた。そこで、各学会はじめいろいろな関係団体の意見を聴く必要があるのではということで、この会を開いた」と述べた。
続いて、4つの学会と2団体の代表が、「大綱」について意見を述べた。
日本内科学会の永井良三理事長は、第三者機関は創設すべきとの考えを示しながらも、「大綱に添付された第三次試案の表紙に、法務省、警察と合意したものとあるが、合意はどこまでをカバーするのか、その根拠は何なのか、実効性はどのくらいあるのか。これから十分に議論する必要がある。遺族が刑事告訴した場合はどうなるのか。明確にするべきだ」などと問題点を指摘した。
日本外科学会の高本眞一理事は、厚生労働省の「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の経緯と結果を示した上で、「われわれ医療関係者が中心となった調査チームによる中立機関が原因を究明するという形がつくれれば、進めるべき」と、条件付きながらも大綱への基本的な「賛意」を示した。また、非専門家である警察の立場も、謙抑的なものになるとの考えを表明した。
一方、日本救急医学会の堤晴彦理事はまず、「医療の安全性の向上を目指し、公平性、透明性が確保された中立的な機関をつくることに異論はない。なぜ反対するかといえば、議論が尽くされていない、という一点に尽きる」と述べた。さらに、「本質的な問題に真正面から取り組むべきだ」とした上で、医療事故における「犯罪」の判断基準がないと指摘し、警察や検察とそうした部分で議論する必要性を強調。法曹界と医療界が同じテーブルに着いて議論することが先だと主張した。
「死因究明制度をつくるということに対しては大きな期待を持っているが、早急さに対しては一抹の不安を持っている」と切り出したのは、日本麻酔科学会の並木昭義理事長。議論すべき点として、
▽医師法21条
▽医療関係者の責任追及
▽届け出
▽重大な過失
▽医療安全調査委員会の設置場所―の5項目を挙げた。
さらに、それぞれに対し細かく問題点を指摘した上で、「WHO(世界保健機関)の医療安全に関するガイドラインから見れば問題点が残り、不明朗な点がある。こうした点を残したまま法案が成立し、それが委縮医療につながれば、医療崩壊を招く。慎重な検討・議論を望む」とした。
日本医師会の木下勝之常任理事はまず、「今の状態が続けば、医師法21条による日常診療業務に対しても刑事訴追が行われる可能性が常にある」との現状認識を示した。また、これまでの議論の過程で法務省や警察庁と意見調整を進めてきたとし、その具体的内容を示した。
その上で、「医療安全調査委員会が設置されるなら、捜査機関は委員会自らの判断を尊重する、ということになる。やらなければ今の状況が続く。皆様方の意見を統一しつつ、一歩も二歩も進めるよう協力していただきたい」と述べた。
全日本病院協会の西沢寛俊会長は、「われわれは病院という組織の団体。医師個人の団体とは立場が違う」と前置きした上で、「医療事故の調査・原因追究・再発防止と、責任追及というものを明確に分ける必要がある」と、従来の意見をあらためて主張した。
この後、高久会長、日本医学会臨床部会運営委員会の門田守人委員長、山口徹作業部会長の司会で、会場も含めた総合討論が行われた。
会場からは、賛否両論、多種多様な意見が次々に出され、議論は迷走状態に。
最後は高久会長が「日本の医療は問題を多く抱えており、医療関連死の問題はごく一部なのは確か。一方で、産婦人科の先生方が薄氷を踏む思いで日々診療をしているのも事実。何とかしなければ、という意味で日本医学会は中立的な第三者機関の設立を要望したわけだが、その具体的な内容についてはまだまだいろいろご意見があると思う」と締めくくり、閉会した。
イギリス保健省の医療安全に対する国家的取り組みの出版物があります。
一応、この分野、英国が進んでおりWHOのモデルにもなっているそうです。
あのう、厚生省のお役人の方や、三次試案を基にした法案化に賛成している医師会や一部の学会の先生方もご一読を。
厚生省と自民党とに日本医師会と一部の学会の幹部のかた、あんたたちの考え、間違っとるよ、感じです。
Building a safer NHS for patients - implementing an organisation with a memory
http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/Browsable/DH_4097460
めんどくさくて、全部読む気しないよ、という方には便利なサマリーもあり、英国保健省は本当にご親切です(笑)。
Summary of main points
http://www.dh.gov.uk/en/Publicationsandstatistics/Publications/PublicationsPolicyAndGuidance/Browsable/DH_4916275
投稿情報: 鶴亀松五郎 | 2008年7 月30日 (水) 00:33