(関連目次)→今月の産婦人科医報..。*♡
(投稿:by 僻地の産科医)
8月の産婦人科医報はこちらもです。→今月の産科医会報(8月)
産婦人科医会勤務医部会からの報告ですo(^-^)o ..。*♡
まだ医療と医業が出ていませんけれど。
ではどうぞ!結構、2-3年前より当直回数上がってきているんですね。
実感できます。過労死レベルは余裕でクリアしているかな!?
勤務医部のこれまでの活動と今後の事業展開
日本産婦人科医会常務理事 中井章人
(日本産婦人科医会付録 第50巻 第8号 No.689 p2-3)
全国産婦人科医師の約半数を占める勤務医。その勤務医を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。この傾向は周産期領域において顕著で、多くの勤務医は過酷な就労状況と訴訟リスクに曝されている。しかし、こうした中でわが国の周産期医療は長年世界一の水準を堅持してきた(図1)。 また、日本産科婦人科学会員のうち41才以下の会員では女性の占める割合が男性を上回る(図4)。 この女性医師の増加は実労働医師数のさらなる減少をもたらしている。すなわち妊娠、出産、育児に伴う休業である。医師数の減少は分娩取り扱い施設の減少もまねいている。1985年には5,884施設あった分娩施設は10年で3,991施設に減少し、2005年の調査では2,938施設にまで減少した(図5)。勤務医部では、待遇のための小委員会、女性医師のための小委員会、産婦人科専攻医師増加のための小委員会を設け、これまでに数回の全国調査を行い、周産期医療現場の就労状況を明らかにしてきた。 また、分娩手当金の支給は約10%の施設に限られ(表3)、常勤医師に比較し応援医師の当直料が約80%の施設で高額で(表4)、 ハイリスク分娩管理料、妊産婦共同管理料を医師へ還元している施設は、1%に満たない状況であった(表5)。 県立大野病院事件のその後 (日本産婦人科医会付録 第50巻 第8号 No.689 p12)
厚生労働省の調査によれば、10年前に比較し全国の医師数は15%以上増加しているにもかかわらず、産婦人科医は7~8%(約800人)減し(図2)、
その結果、待遇面の調査では産婦人科医師の当直回数は8年前に比較し、約30%増加し、他科と比較すると約2倍になっていた(図6)。こうした状況に対し、当直翌日の勤務緩和を行っている施設はわずか7.5%に過ぎず(表1)、9%程度の施設で当直料の増額がある
に止まっている(表2)。
女性医師の就労状況は一層深刻である。約40%の支部に女性医師の児が入所可能な託児所を併設した病院があり、非常勤の受け入れを可能としているものの、同数の支部が不明と回答し、その状況すら把握されていない。こうした背景には本医会における女性医師の役員、委員の比率(3%、9%)が会員の性別分布に比較し極端に低い点が指摘されている。また、医師数増加についての調査では、約90%の支部で臨床研修医制度が産婦人科専攻医師獲得につながらないとし、制度の改革が望まれている。
勤務医部ではこうしたデータを医会員はもとより広く国民に開示し、現状を正確に理解して頂き、今後もこれまで同様、日本全国の国民が安心・安全な産婦人科医療をうけられるよう具体的なプランを提案していきたい。そのためにもより多くの会員の先生がたに、本部会の活動に対する御理解と御協力をお願いしたい。
福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座 佐藤章
福島県立大野病院において、前回帝切、今回全前置胎盤症例で、子宮後壁に一部癒着があり、結果的に出血多量で死亡したことに対し、業務上過失致死、医師法21条違反で産婦人科医師が逮捕された事件について、現在、公判中ですが、ここまでの経過について報告させていただきます。まず我々としては、亡くなられた患者さんに対し、深く哀悼の意を表します。
検察側は、癒着胎盤は術前に予見できたこと、また、術中癒着胎盤であるとわかった時点で子宮全摘除術をすべきであったとし、無理に胎盤を剥離したことが死亡の原因で、これが業務上過失致死にあたること、また、死亡を異状死として警察に届出しなかったことを逮捕および起訴の理由としています。特に逮捕した理由は、逃亡のおそれと証拠隠滅のおそれがあるからとのことでした。
逮捕された加藤医師は、逮捕された当日も、病院で回診し、警察に事情聴取ということで出頭し、そのまま逮捕されました。我々としては、前回帝切の切開創(子宮前壁)に胎盤が付着している前置胎盤ではなく、たまたま子宮後壁に癒着していた前置胎盤で、予見は非常に困難であったこと、一部に癒着していた部分をクーパーで胎盤を削ぐように剥離したもので、粗暴にクーパーで胎盤を切ったのではないこと、出血は主に前置胎盤のためで、しかも胎盤は大きく、分葉胎盤であったことなどから出血が多量になったこと、また、輸血を追加し、子宮全摘除術を施行後、突然心停止になったことから、他に死因があるのではないかとも考えていること、医師法21条については、異状死と認めた場合には、病院のマニュアルでは院長が最寄りの警察に届出するようになっていたこと、かつ、今回の場合、事故の経過の説明と報告を担当した麻酔医と共に加藤医師は病院長に行ない、病院長は異状死ではないと判断したため、加藤医師は届出をしなかったことで、これらが、公判の焦点となっています。
平成18年7月より12月まで、公判前整理が6回行われ、第1回公判が福島地方裁判所第一法廷で1月26日開催され、1回目は冒頭陳述、2回目以降は検察側が申請した8人が証人尋問に立ちました。8人の証人は県立大野病院の近くの公的病院に勤務している産婦人科医師、手術時の麻酔医、手術の第一助手であった外科医、院長、手術場にいた看護師、助産師、摘出した子宮の病理を担当した医師、鑑定した産婦人科の教授です。この抄録を書いている時点では、病理を担当した医師まで終了し、7月20日のこの事件を鑑定した産婦人科教授の尋問が最も注目されることになります。その後、加藤医師本人の尋問があり、次いで、我々弁護側からの証人尋問が行なわれる予定になっており、弁護団の予測では、予定尋問が本年末までに終了し、判決は来年春頃になるのではないかということです。発表する時まで決着はつきませんが、その時により詳細な経過についてお知らせいたします。
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