わたしのまわりで、なぜか無痛分娩の議論がホットですo(^-^)o ..。*♡ぽち→
先ほどコメントで、日本での無痛分娩(正確には硬膜外麻酔下分娩)
がすすまないのか、という問題でTaichan先生からコメントいただきました。
グーグルで『硬膜外麻酔 分娩 費用』という項目でひいてみたのですが、
費用的には3000円~10万以下くらいのところが多いです。
ネットで費用を明らかにしている以上、安めの設定のところが
多いのかもしれませんが、硬膜外麻酔への麻酔監視などの手間や
看護体制の問題を考えるとこの値段ではあきらかにきちんと人件費が
かけられているようには感じられません。
また、ざっとホームページを見て歩いたのですが、
東京 杉山レディースクリニック
の例のように危険性などを書いている所でも書き方はかなりマイルドで、
ほかの病院にはあまり危険性が触れられていませんでした。
こちらはかなり勉強されていますo(^-^)oぜひ参考にしてください!
危険性がきちんと併記してあって好感が持てます。
(この程度の認識が患者さんになければ行えないものと私は思っています)
というわけで、手に入った日本の施設における無痛分娩の実際です。
日本の麻酔分娩の実態とその問題点 要約 I.緒言 Ⅱ.調査方法 Ⅲ.結果 2.麻酔分娩の有無と麻酔の種類 3.硬膜外麻酔の種類 4.硬膜外麻酔下での食事制限 5.硬膜外麻酔下での歩行制限 6.麻酔分娩のインフォームドコンセント 7.麻酔分娩を行っている施設の特徴 8.麻酔分娩を行っている施設の看護職人員の特徴 Ⅳ.考察 2.インフォームドコンセント 3.まとめと今後の課題 (謝辞:本研究にあたり快く調査に回答してくださった施設の皆様に深く感謝申し上げます) 文献
宮崎大学医学部看護学科 大石時子
東邦大学医学部看証学科 斎藤益子
日本看護協会神戸研修センター 柴田文子
(母性衛生 vol.44 No.4 2003-12 p409-414)
麻酔で陣痛の痛みを綬和する麻酔分娩,通称無痛分娩は痛みを綬和して産婦を安楽にする反面.さまざまな副作用や合併症が起こりうる。このたぴ,日本の麻酔分娩の実態を明らかにするために全国調査を行い,どのような問題が問われているのかを考察した。病院年鑑から無作為抽出した産婦人科を標榜する761施設に自己記入式質問表を送付した。有効回答のあった142施設のうち32施設(22.5%)が麻酔分娩を扱っており31施設で硬膜外麻酔を行っていた。麻酔分娩を行っている施設は行っていない施設に比して准看護師が有意に多く(p<.05),助産師1人あたりの分娩数が多い,100床以下の小規模施設で多く(p<.05)行われている傾向のあることがわかった。また,硬膜外麻酔下での管理を徹底している施設は少なく,禁飲食は13%,歩行禁止は22%であった。以上より麻酔分娩の安全性について,施設の人員や設備と患者管理の側面などから点検される余地のあることが示竣された。また麻酔分娩の説明をせずに実施している施設が6.7%あっただけでなく,説明したとしても事前ではなく実施時に説明する施設が最も多く,インフォームドコンセントの取り方に改善の必要があることが考察された。
麻酔で陣痛の痛みを綬和する麻酔分娩,通称無痛分娩は痛みを綬和して産婦を安楽にする反面,重篤な副作用や合併症が起こりうる1)。日本で麻酔分娩は普及していないといわれてきた2〕がその全国的実態はあまり調査されてこなかった。また,麻酔分娩の作用・副作用については妊産婦のみならず看護者にも必ずしもよく知られていない。このたび,日本の麻酔分娩の実態を明らかにするため全国調査を行い,どのような問題が問われているのかを考察したのでここに報告する。
調査対象は,1998年版全国病院名鑑の中で産婦人科を標榜する施設から無作為抽出した761の施設で,その産科婦長宛に著者らが作成した自己記入式質問票を切手を貼った返信用封筒と共に送付した。質問表はその施設の概要と業務内容を幅広く調査する質問で構成され,麻酔分娩に関する項目はその一部であった。1999年7月から8月まで留置法にて回答を依頼し返送されてきた170施設の中で(回答率22.3%),麻酔分娩の項目に有効回答のあった142施設を母集団として分析を行った。統計分析はx2テスト,t-テストにより行い,p<.05以下を有意差ありとした。
1.対象者の背景
142施設の種類は大学病院が6.3%,一般病院52.8%,産婦人科病院4.9%,診療所31.7%,その他2.1%であった。平均病床数は248.8床(SD=275.9,4~1200)で,年間分娩数の平均は368.1件(SD=294.0,1~1650件)であった。(詳しい病床数や分娩数の内訳は麻酔分娩との関係で後に述ぺる)。
142施設のうち22.5%にあたる32施設が麻酔分娩を行っていた。そのうち31施設が硬膜外麻酔を行っており,他に吸入麻酔,静注と筋注による麻酔を行っている施設が各1施設あった(複数回答)(図1)。麻酔分娩を行っている施設での麻酔使用の割合は全分娩の0.5~30%の間で回答はさまざまであった。
硬膜外麻酔の方法については,51.6%が1回投与法で29%が持続投与法,両方の方法を行っている施設が12-9%,無回答6.5%であった。使用薬剤は麻薬を使わない局所麻酔のみを使用している施設が77.4%,麻薬も合わせて使用している施設が6.5%,無回答16.1%であった。
硬膜外麻酔分娩に於ける食事の管理については12.9%が禁食、水分のみが29%,軽食を許可する施設が19.4%,常食の摂取を許可する施設が25.8%,無回答12.9%であった。
また,硬膜外麻酔下で歩行を許可するか否かでは許可する施設が19.4%,しない施設が22.6%で,48.4%はケースバイケースであると答えていた。無回答は9.6%であった。
次に麻酔分娩を行っている施設が,どのようにインフォームドコンセントをとっているかを検討した。いつ妊産婦に麻酔分娩の説明を行うかは複数回答で図2のようであった。説明を行わない,という施設も6.7%あった。インフォームドコンセントを書面でとっているかどうかでは,38%が「はい」,59%が「いいえ」と回答し,無回答は3%であった。それでは麻酔分娩を行うことを決定したのは,誰だったのか。56.3%の施設で産婦自身が決めると回答しているが,31.3%は医師が決定するという回答だった。その他の者が6.3%,無回答が6.3%であった。
麻酔分娩を実施している32施設(麻酔群)と,実施していない140施設(非麻酔群)を比較した(図3)。
麻酔群の病床数の内訳は100床未満の施設が67.7%,100~499床が16.1%,500床以上が16.1%であったが,非麻酔群では100床未満の施設は40.2%,100~499床が40.2%,500床以上19.6%であり麻酔群との間に有意な差があった(p=0.02)。また有意差はなかったが,麻酔群では診療所が37.5%と産婦人科病院が6.3%,大学病院12.5%で,一般病院の多い非麻酔群での診療所,産婦人科病院,大学病院の割合より多くなっていた。
さらに麻酔群と非麻酔群を看護職人員の面から比較した(図4)。看護職の各施設での平均人数を両群で比較すると,助産師は,麻酔群8.96人,非麻酔群8.20人,看護師は麻酔群7.85人,非麻酔群6.57人で余り違わなかったが,准看護師の数は麻酔群5.25人,非麻酔群3.21人で麻酔群で有意に高くなっていた(p:.01)。そこで准看謹師の数が助産師、看護師,准看護師を加えた看護職数の中に占める割合を検討すると,麻酔群では准看謹師が34.7%を占めており,非麻酔群での割合22.9%より有意差はないものの,ずっと高いことがわかった。また,年間分娩数の平均は麻酔群421.2件,非麻酔群で352.6件で麻酔群が多かった。各施設での総看護職数に対する分娩数を算出してみると(年間分娩数/看護師十準看師十助産師),麻酔詳と非麻酔群ともに20.4件だったが,助産師1人あたりの年間分娩数を算出してみると,麻酔群84.4件,非麻酔群59.4件で有意差はなかったが麻酔群のほうが非常に多くなっていた。
1.安全性
本調査より日本の麻酔分娩は,麻酔分娩を行っていない施設に比ぺて,准看謹師が多く,助産師1人あたりの分娩数が多い,100床以下の小規模施設で行われている傾向のあることがわかった。このことは設備面や人的資源の面で,麻酔分娩で起こりうる副作用や緊急事頼に対応できる体制になっているのだろうか,という安全性に対する問題を提起していると考える。
近年の産科麻酔事故について解説した山口は,事故例には,輪液が十分でない,術中の監視が不十分,事故発生時の救急処置が十分ではない,などの共通点が見出せるとしている。麻酔分娩の例ではないが,静脈麻酔の事故例では,物的にも人的にも設備の不十分な手術室で安易に麻酔行為を実施していることおよび熟練した看護師に介助させなかったことが原因とされて医療側が敗訴した判決例を示している。また,硬膜外麻酔や脊椎麻酔では,一定の注意を払うことでショックは回避でき,仮にショックが発生しても適切に処置することで重篤な後遺症は免れることができるという見識が現在ではスタンダードになってきているので,医療側がこの水準を履行しなければならなくなってきていることを指摘している3)。
このような安全性の水準を確保する上で,看護師・助産師の人数と質,設備や緊急医療体制の充実が必要なことはいうまでもなく,本調査の結果は,麻酔分娩を行っている施設の人的物的体制の安全性の面からの点検・整備・充実の必要性があることを示唆している。
麻酔下の禁飲食についても安全性の問題がみられた。麻酔下では誤嚥を防ぐため,原則として禁飲食にすぺきものと考えられるが本調査では約半数の麻酔分娩を行っている施設で常食や軽食が許可されていた。許可している施設ではどのような条件で摂取が許可されているのか,本調査では明らかにできなかったが,その安全性が点検されるべきと考える。
また,もう1つの安全性の問題として麻酔下での歩行の問題がみられた。通常硬膜外麻酔下では歩行できないが,本調査では歩行を許可している施設が20%近くもあっただけでなく,50%近い施設が,ケースバイケースと回答していた。
麻酔薬の種類,投与方法,投与量などの違いによって歩行を許可している施設があったのかもしれないが,たとえ歩行が可能であったとしても,安全性確保のためには歩行介助が必要である。歩行を許可している施設がどのような基準で許可し,どのような看護ケアをしているのか明らかにしていく必要がある。
このような安全性の問題がみられたことは,黒須らの実態調査の結果とも一致している4)。黒須らは,患者指導が行われていない施設が45%もあったこと,禁飲食指導が徹底されていないこと,また主に中小規模の病院・診寮所で血管確保を行っていない施設があることを報告して,十分な妊産婦教育と分娩管理体制が必要なことを強調している。
本調査の食事や歩行の結果に現れたように,麻酔分娩に対する看護ケアの基準が統一されていないと思われ,安全性確保のためにどのような看護をしていくぺきなのか,看護のガイドラインを検討する必要もあると考える。
また,本調査で明らかになったもう1つの問題点に,インフォームドコンセントが十分に行われていないという実態がある。麻酔分娩についての説明は妊娠中に母親学級や保健指導で説明している施設が3割ほどあったが,麻酔実施時に行うと答えた施設が最も多くなっていた。麻酔実施時に説明を行っても,産婦は陣痛の痛みの最中であり,産婦のコンセント能力が十分発揮しうる状態であるとはいえない。陣痛の痛みが開始する前,つまり妊娠中から説明を行って,産婦が分娩時のブランを選択しておけるようにしなければ情報を伝えた上で産婦が主体的にコンセントを行う,というインフォームドコンセントの概念が正しく行われたとはいえないと考える。
また,医師が麻酔の実施を決定している施設も多くあった。陣痛に苦しむ産婦に医師が麻酔すると決定した時,産婦は医学的に受け入れなければならないものと考え,自分の意志や希望ではなく,医師の決定に従うべきものと考えるのではないだろうか。麻酔分娩が医学的に適応されるぺき症例はごく限られており,基本的には産婦の意思と希望で行われるぺきものである。この面でも麻酔分娩を行っている施設では妊娠中から産婦への説明を行っておき,医師が麻酔を薦めたときに産婦自身が意思決定できるようにしておくぺきである。それだけでなく,全く説明を行わないと答えた施設も6.7%あり,インフォームドコンセントなしに麻酔分娩を行っている施設があることが明らかになった。たとえコンセントを行っていてもそれを書面で取っている施設は38%にすぎなかった。
天野はコンセントは書面でとるのが望ましいとした上で,それは医療者の自己防衛でもあるが女性の自己決定権を尊重するためであると述ぺている5)。分娩は手術とは違うが,麻酔という緊急事態が起こりうる医療処置を行う以上,コンセントは書面でとるのが望ましいと考える。
産婦人科麻酔と医療事故に言及した山口は,医学的に事故が避げられたかどうかだけでなく,今後はインフォームドコンセントに関する争点が裁判で重要になってくるだろうこと,特に麻酔分娩について問われてくるだろう,と讐告している3)。
産婦自身が妊娠中から十分な情報を得て,自己決定できるような看護のあり方を検討していく必要がある。
本調査結果では,日本全国で22.5%の施設が麻酔分娩を扱っていた。この割合は,数少ない先行研究の1つである黒須らによる全国調査の結果(39.6%)に比ぺて低い4)。日本では麻酔分娩は普及していない2〕といわれてきたが,本調査のように少なめの結果であっても全国産婦人科施設の5分の1以上が麻酔分娩を扱っているという実態は,決して少数とはいえない。しかも麻酔分娩を行う際のインフォームドコンセントや安全管理が徹底していないのではないかという安全性の問題が考察され,その安全性を確保する上での人員や設備を質量ともに整備するぺき余地があり得ることが示唆された。決して少数とはいえない麻酔分娩が行われている現状がある以上,その安全性の確保が真剣に取り組まれなければならないと考える。
そのためには,本研究においては調査できなかったが,看護職がどのような体制や訓練のもとで麻酔分娩を管理しているのかや,どのようなプロトコールで管理しているのかなどについて,今後さらなる調査を行い看護基準などの整備を行っていく必要がある。また,本調査では麻酔分娩を行っている施設のほうが助産師の人員数に対する分娩数が多かったが,陣痛に苦しむ産婦が麻酔分娩による苦痛の緩和を望むことと産婦に十分なケアを提供し得る人員が確保されているかという要因との関連性についても本研究は検討の余地を残した。
今回は本研究の目的ではなかったが,今後麻酔分娩を受けた産婦がどのような意識で麻酔分娩を選択したのか,また結果として満足できる分娩体験をしているかどうかなど,インフォームドコンセントの問題も含め,受け手の側の研究が必要であると考える。
1)King Teoka. Epidural anesthesia in labor. Journal of Nurse -Midwifery. 1997. 42(5), 377-388
2)奥富俊之,皆川麻希子.日本において硬膜外麻酔下経膣分娩が普及しない理由について.分娩と麻酔.2000.79,9-17.
3)山口光哉.産婦人科麻酔と医療事故.産婦人科治療.1990,61(5),1055-1058
4)黒須不二男,天野完,西島正崎他.わが国における無痛分娩の現状.分娩と麻酔.1995,75,6-14.
5)天野完.麻酔分娩のインフォームド・コンセント.周産期医学.2000,30(4),469-475.
日本の麻酔下分娩の問題点を教えて頂きありがとうございました。これから出産、妊娠を考えている女性に参考になる記事と思います。
投稿情報: Taichan | 2007年7 月11日 (水) 23:10
質問です
無痛分娩時実際に麻酔薬を注入しているのは医師と助産師に分かれる病院があると医師から言われ、助産師でいいだろうということで行うように働いている病院で指示されていますが、現在の日本の医療制度で助産師がエピ注をすることは可能なのか現状では、誰が注入をになってるか疑問に感じておこなっています。見解がありましたら医師や産婦さんたちの
声をおしえていただきたいとおもいます
投稿情報: まゆ | 2008年8 月 6日 (水) 22:52