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(投稿:by 僻地の産科医)
さて、3月6日に行われたシンポジウムはどうだったのでしょうか?
一部で報道も行われたようです。
「出産育児一時金制度を考える 」
NHK 2010年3月7日
http://www.nhk.or.jp/news/t10013035311000.html(リンク切れ)
「お産をした人に支給されていた「出産育児一時金」を、分べんを扱った病院などに直接支給する制度の課題について、 産科医や助産師などが意見を交わすシンポジウムが6日夜東京都内で開かれ、一時金が支払われるまでに時間がかかりすぎ、 小規模な診療所などの経営に影響を及ぼしかねないとして、制度の見直しを求める意見が相次ぎました。
「出産育児一時金」は、出産をした人がお産のあとに申請していましたが、妊婦の経済的な負担を軽減するため、 去年10月に、お産をした病院や診療所などに直接支払われるように制度が改められました。
ただ、 病院側の対応が間に合うよう、今月末までは全面的な適用が猶予されています。これについて、 産科医や助産師などが6日夜、都内でシンポジウムを開き、初めに大分県別府市で診療所を経営する産科医が、 去年12月に日本産婦人科医会が行った調査の結果を示しながら、「7割の医療機関は、支払いの迅速化や 事務手続きの簡素化など制度の見直しを求めている」と報告しました。
また都内の助産師は、新しい制度では一時金が支給されるまでに2か月程度かかるため資金繰りが苦しいと報告し、 「2人の正職員を来月からアルバイトに変えることにした。このままでは地域でお産をすることができなくなる」と訴えました。
シンポジウムを主催した京都市の産科医は、「国は現場の声に耳を傾け、妊婦さんだけでなく、 地域でお産を支える医師や助産師にとっても使いやすい制度に変えてほしい」と話していました。 」
直接支払制度の影響で約5千人の「出産難民」も―産科中小施設研究会
キャリアブレイン 2010/03/10
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/26712.html
出産育児一時金の直接支払制度の影響によって閉院したり、分娩を中止したりする産院が相次いだ結果、約5000人の「出産難民」が出る可能性があることが3月10日までに、産科医らでつくる「産科中小施設研究会」の調査で分かった。同研究会では、制度の一刻も早い撤廃を求めていく方針だ。
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調査結果によると、昨年9月から今年2月までに、閉院や分娩の取り扱いの中止を決定した病院や産科診療所は全国で25施設。このうち10施設では、採算ラインとされる1か月で20件以上の分娩を扱っていた。また、25施設が扱っていた年間の分娩数を推計したところ、約5000件となった。同研究会の池下久弥医師は、「『希望する地域での出産施設や、出産のための予約枠が見つからない妊婦』を出産難民と定義するなら、今後、これと同程度の規模の難民が出ることも十分に考えられる」と話している。
出産育児一時金の直接支払制度については、産科医療機関から資金繰りが苦しくなると反発する声があり、3月末まで完全実施が猶予されている。現在、厚生労働省は猶予期限の延長を検討しているが、池下医師は「猶予期間中でありながら、こうした事態が起こっている以上、いくら完全実施を先延ばししても意味はない」と指摘。国を相手取った訴訟も視野に入れ、制度の撤廃を求めていくとしている。
勤務環境の改善は「今後も相談」―日産婦学会・海野氏
2010-03-06
http://blog.goo.ne.jp/wgbnrrxmze/e/f76a70de62804028ee87c907fad9a5eb
会場に行ったという方のレポートを探してみたのですが、
今のところ見つからないですw。
でも海野教授がツイッターを(>▽<)!!!
http://twitter.com/NobuyaUnno
さっそく当日周辺のツイートをチェックしてみましょう。
「周産期医療の広場」http://shusanki.orgのクリッピングのコーナーで日産婦学会の産婦人科医療提供体制検討委員会関連文書の整理を行っている。やっと大体終わったところ。過去5年間の日本の産婦人科医の格闘の様子の一部がわかると思う。
3:47 PM Mar 4th via web
【ここから産科医療補償制度について】
産科医療補償制度原因分析報告書はすべて医政局医療安全推進室の補助金で作られることが判明。
8:51 PM Mar 5th via Keitai Web
産科医療機関の保険料とは関係ないことがわかった。
8:55 PM Mar 5th via Keitai Web
産科医療補償制度は私的保険の枠組のはずだが、実は医療関連死のモデル事業と同じことを、全例でやることになってしまっている。
9:01 PM Mar 5th via Keitai Web
第三者による原因分析が医療紛争を減らすという結論は何時出たんだろう。
9:05 PM Mar 5th via Keitai Web
【ここからシンポ内容】
今 お茶の水で「どうする? 直接支払制度」というシンポジウムに出席中。出産育児一時金の直接支払制度の問題を議論している。この会は助産所の助産師さんの参加が多いようです。みんなこまっているんです。
10:45 PM Mar 5th via web
開業助産師さんも直接支払制度の負担は大きく反対と発言。デメリットは支払い遅延、助産所は零細で2ヶ月収入がとまれば経営は逼迫。売り上げがあれば、支払がなくても税金が発生する。福祉医療機構の融資には利子負担がつきまとう。手続きも煩雑で開業助産師には負担が多すぎる。
11:24 PM Mar 5th via web
一人開業助産師、高齢助産師にとってこの制度は負担が大きすぎる。手続き負担が大変。福祉医療機構の手続きは非常に難しい。
11:26 PM Mar 5th via web
東京の開業助産師へのアンケートでは、福祉医療機構からの借り入れはゼロと報告。手続きが面倒。赤字で断られた例もある。親族等からの借り入れがしのいでいる。 (厚労省の話とはだいぶ違うようです。)
11:30 PM Mar 5th via web
福祉医療機構が産科施設に貸し渋りはしていないと、ホームページで発表。そりゃあ自分で貸し渋りをみとめる金融機関はないよ。貸し渋りかどうかは借りたいほうがきめるんだ。
12:49 AM Mar 8th via Keitai Web
借りたいほうは、余裕がないから、金融機関が色々条件をつけて時間がかかりそうなら他をあたるしかない。ぐずぐず言ってなかなか貸さないことを貸し渋りというんだ。
12:59 AM Mar 8th via Keitai Web
断られた助産所が一ヶ所でもあれば、それを世間では貸し渋りと言うんだ。
1:03 AM Mar 8th via Keitai Web
とにかくお疲れ様です(;;)。
私に言われたくないでしょうけれど。うう・・・。やっぱり大変そう。
これを読んで、何を思うか。
みなさまのご判断にゆだねます。
出産育児一時金制度は行政訴訟にまで発展するのでしょうか?
医政局が何をお考えなのか・・・。
妊婦さんを含め、どうでもいいとお思いなんだろうなぁ~
という結論しか私には出ません。
<妊娠糖尿病>診断基準を厳格化
3月11日2時31分配信 毎日新聞
日本糖尿病・妊娠学会、日本糖尿病学会などは、妊娠をきっかけに発症する妊娠糖尿病の診断基準を厳格化する方針を決めた。世界糖尿病妊娠学会が世界約2万3000人の妊婦を対象にした調査を基に取りまとめた診断基準を採用、より軽い高血糖の人にも治療を促すことにした。
妊娠糖尿病は従来、妊娠前に発症した糖尿病も含んでいたが、同学会などは「妊娠中に初めて発見または発症した軽い高血糖とし、明らかな糖尿病は含めない」と変更し、一般的な糖尿病と区別した。
そのうえで、空腹時血糖値(1デシリットルあたり92ミリグラム以上)、75グラムブドウ糖負荷試験の1時間後の血糖値(同180ミリグラム以上)、2時間後の血糖値(同153ミリグラム以上)の三つの検査値のうち、1項目でも該当した場合、「妊娠糖尿病」と診断することにした。従来の診断基準は2項目に該当することが必要だった。【永山悦子】
これも産科医療に大きな影響を与えそうですね。
投稿情報: 麻酔科医 | 2010年3 月11日 (木) 10:19