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(投稿:by 僻地の産科医)
感染判明は偶然頼み? 仙台市のHIV検査
河北新報 2009年3月16日
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/03/20090316t13022.htm
仙台市のエイズウイルス(HIV)の無料検査の2008年の受検者は2048人に上り、検査を始めた1989年以降、初めて2000人を超えた。増加傾向が続き、市は検査体制の充実と啓発の成果と自賛する。だが、HIV感染は医療機関で偶然発覚するケースが大半を占め、専門家は「市は受検者をもっと増やす対策に取り組み、判明率を上げるべきだ」と指摘している。市のHIV検査の受検者の推移はグラフの通り。05年以降、増加が続いている。
増加の要因として、市は検査結果が約1時間で分かる夜間即日検査を07年に月2回、特定の検査会場で始めたことを挙げる。通常検査は1週間かかり、結果判明までの時間を大幅に縮めた。
導入初年の即日検査の受検者は580人で、同じ検査会場の受検者が175人だった前年の3.3倍に増えた。08年に予約制となり、希望者全員が受検できない日もある。
08年11月には月1回の休日検査を始めた。市は「検査体制の整備と広報啓発が受検者増につながった」と述べる。しかし、HIV診療の東北ブロック拠点病院の国立病院機構仙台医療センター(仙台市)によると、センターが診療した感染者131人のうち、保健所の検査で感染が発覚した人は15人にとどまる。医療機関で別の病気の治療を受け、たまたま感染が分かった人が圧倒的に多い。
センターの伊藤俊広医師は「市の検査の受検者は増えたといってもまだ少ない。検査体制をより強め、判明率を高めなければならない」と語る。
東北HIVコミュニケーションズ(仙台市)の小浜耕治代表も「即日検査をもっと増やすべきだ。採血と結果説明で検査機関に2度足を運ぶのを敬遠する人は多く、受検の精神的なハードルを下げる必要がある」と指摘する。
08年、仙台市で新たに14人のHIV感染者が確認された。伊藤医師は「潜在的な感染者は恐らくその10倍いる。HIV感染は性行為の経験者ならリスクはゼロではない。適切な早期治療で発病は抑えられるので、偏見を持たずに検査を受けてほしい」と話している。
[仙台市のHIV検査の日時] 通常検査は青葉保健所で毎週金曜午前9―11時、第1木曜午後5時半―7時、第3土曜午後1時半―3時半。宮城野保健所で第1、3木曜午前9時―10時半、若林保健所で第2、4水曜午前9―10時、太白保健所で第2、4火曜午後1時半―3時、泉保健所で第1、3月曜午前9―10時。即日検査は宮城県歯科医師会館で第2、4金曜午後5―7時。いずれも無料、匿名で受けられる。
◎通常検査体験/番号で呼ばれ採血/所要約30分 結果は後日
2月21日土曜日、仙台市のHIVの通常検査を青葉保健所で受けた。
開始時刻の数分前に到着したが、受け付け番号は7番。匿名検査なので名前は聞かれない。検査中は「7番」がわたしの名前だ。
待合室に入ると先客が4人。啓発ビデオが上映され、音楽が静かに流れる。いすは縦50センチ、横1メートルほどの間隔で16脚並び、プライバシーへの配慮がうかがえるが、知人ならすぐ分かるだろう。約15分後、事前相談室に呼ばれる。職員と1対1だ。「検査は初めてですか」「ハイ」「何か心配なことをしましたか」「ハア…マア…」。厳しい口調ではないが、性生活について聞かれるのは気恥ずかしい。次は採血。通路の長いすに順番待ちの男女が離れて座っている。約十分待ち、看護師に5cc採血されて検査は終了。所要時間は約30分間だった。
希望者は医師に相談もできる。結果は1週間後以降に保健所で通知され、事前相談の際、日時を予約する。27日に再び保健所に出向き、個室で検査結果の通知を受けた。陰性で感染していないことが分かった。
2度、保健所に行くのは面倒だった。即日検査が多くなれば、受検者は増えるだろう。プライバシーについては、誰にも顔を見られたくない人には不満が残るだろう。完全予約制で、個室で検査できる日があるといい。
ひと― 聖マリアンナ医科大4年遠見才希子氏
2009/03/15 日本経済新聞 朝刊
「性感染症やエイズウイルス(HIV)感染の拡大を防ぐには、中高生たちに病気のことを知ってもらうことが重要」――。年代の近い仲間(ピア)の視点で分かりやすく教える「ピアエデュケーション」を全国に広めている。
「感染しない唯一の方法はセックスしないことなの。どうしてもするなら、絶対コンドームしてね」。約一時間の講義は、若者らしい飾らない言葉にあふれる。手書きの文字や絵をプロジェクターで映したり、紙芝居を使ったりと、飽きさせないための独自の工夫をこらす。自らの恋愛の話や、中絶を体験した友人の手紙に、生徒たちは真剣な表情で聞き入る。
感染のメカニズムを肌で感じてもらうゲームも。二十人が水の入ったコップを持ち、一人のコップにだけ無色の水酸化ナトリウムを入れる。自分の水と隣の人の水を混ぜ合わせ、半分ずつ戻す作業を五回繰り返す。フェノールフタレイン液を垂らすと、ほぼ全員の水が赤に変わる。
医大入学の春にピアエデュケーションのサークルに入った。初めは「コンドームの使い方などを教えればいいと思っていた」。しかしエイズについて考える集会に参加した際、恋人からHIVに感染した女性の体験談を聞いて考えが変わった。「恋愛と性行為は切り離せないのに、教科書は全く恋愛に触れていない。体験や本音を話さなければ、聞く人の心を動かせない」と感じた。
恋人が感染しているかどうか分からない以上、性交渉には常に感染のリスクが伴うことを、繰り返し呼び掛ける。「中高生のころは寂しさから誰かと一緒にいたくなる。経験を焦ることで後悔してほしくない」。一年目に一校だった講演は口コミで広がり、四年で八十に増えた。
厚生労働省の調査によると、二〇〇七年中に新たにHIV感染が判明した人は約千五百人で、増加傾向にある。クラミジア感染症の十代の感染者数は全体の約一二%を占めており、確かな性教育が感染拡大を防止するカギだ。卒業後は産婦人科の医師になる。命や健康の大切さを伝える取り組みは、これからも続けるつもりだ。
せっかく無料でやってくれるので、患者さんに感染症検査を保健所でやってもらったらと紹介しているのですが、先日保健所から電話があって、「結果を間違えて教えてしまったのですが、そちらにかかっている方で、31才で。。。わかりますか?」と。全くの匿名で番号でしか管理していないので、本人に連絡のしようがないんだそうです。。。
残念ながらうちもそれだけの情報ではわからず。。。
投稿情報: お産はやめました。 | 2009年3 月22日 (日) 20:31
うーんんん。。。
昔、そういえば、新聞広告出していましたね。
××保健所で●月◎日に検査をうけて△日に結果を○時に聞きに来た患者さん、間違えた結果をお教えしましたので~というの。
私の施設には、毎月、自費で、
性感染症検査を受けに来る感心な患者さんがいらっしゃいます。
職業は聞いたことがありませんが、たぶん、私の想像に間違いはないだろうと思っていますw。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2009年3 月22日 (日) 21:05