(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
第15回の死因検討会にいってきました(>▽<)!!!
にもありますように、「反対学会の声を聞きましょう」ということで、
麻酔科・産婦人科・救急の三学会代表が、呼ばれたんです!
川口さまに言わせれば、
今日という今日は言わせてもらうぜ
というタンカが聞こえるような検討会だったわけですが(>▽<)!!!!
堤救急学会理事の仰るとおり
「もっと早くに呼んでほしかった!」
というのは本当におっしゃるとおりです。
会全体の流れについては、こちらをご覧下さいo(^-^)o ..。*♡
ロハス・メディカルブログ
死因究明検討会15
(1)http://lohasmedical.jp/blog/2008/10/post_1419.php
(2)http://lohasmedical.jp/blog/2008/11/post_1462.php
それから、おそらくM3の方にも傍聴記が上がってくると思います!
多分今日中に!お待ちください。
ということで、
私なりの傍聴記をあげていきたいと思います。
全体的な印象として、参考人が元気で、いつもの検討会メンバーは
おとなしいというよりも「しーん」とした雰囲気でした!
厚労省の方は誰も発言しなかったんじゃないかな?
これは本当に珍しいです。
で。
麻酔科学会は大綱案への案をお読みになられた状態でしたので、
参考資料として、こちらを。(ロハスの方にあります)
産婦人科学会の岡井先生は、頑張ってくださいました。
まず、開口一番に
「医療の刑事罰化に反対!業務上過失致死(刑法211条)改正を望む!」
と学会の資料を説明した上で、
医療における刑法211条(業務上過失致死)について、
免責ではないにせよ、立件の線引き・基準の明確化が必要なこと。
線引きがないから、現場が混乱している。
また届出対象の明確化をしろとお話されていました。
そして警察への届け出対象は絞りに絞って欲しいということ、
薬剤間違いなどは、些細なミスからはじまっており、
結果の重大性とは関係ないのだから届出対象ではないはず。
そのかわりきちんとその原因(薬の並べ方、薬剤の名前のつけ方)
などを究明して改善すべきだということなど。
また堂々と、刑法211条(業務上過失致死罪)の変更を希望する話や、
医師の能力不足であったりすることが犯罪なのか、
薬間違いが犯罪になるのか。
人間はすべてミスをするが、他の業種では死につながらない。
医師は死につながることも自覚してだからこそピリピリしている。
刑法によって
「手錠をぶら下げて取り締まっても再発防止に役に立たない。
アメリカでも結局そういう結論が出て現在は刑法では裁かれなくなっている。
再発防止をうたうのであれば、きちんと刑法を見直すべき」
「医師法21条の拡大解釈が現在の医療の混乱を招いている」
という発言をされていました。
でもちょっと二日酔いはダメとかの話はやめて欲しかったな~と
個人的には思いました。(なんかよくわかんないけど繰り返していました)
だって、二日酔いで翌日予定オペがない場合でも、
緊急オペって入るんですもの!
ま、ミスしなければいいんでしょうけれど、
そういえばこの三学会に共通しているのって「緊急」業務の科なんですよね。
反対するのは当然です。
さて、堤救急学会理事(>▽<)!!!!
もうはっきりいって独壇場でした!
民事と刑事の違いについての議論が全くこの会議で
なされていない点に触れ、
「国は民事不介入という原則があるはず。
交通事故でも警察はその捜査結果ひとつさえ
被害者に渡さない。なぜこの、第三者機関という国が作る委員会が、
民事に対して結果などを公表しなければならないのか。
民事不介入の原則に全く論理的におかしな話である!
医療だけがなぜ別なのか。原則にのっとっていないのか」
民事と刑事はきっちりわけて議論すべきという大事な話ですし、
「国は民事不介入」は確かにその通りで、目からうろこでした。
しかしその後の議論では、完全に無視された格好になりました。
これはなぜなのか。たしかにおかしな話で、
国の機関なのに、民事不介入がなぜ医療に限って不介入ではないのか?
そんな機関を作るべきなのか?
おかしな話ではないですか。
それを医療にだけ強要するなら、逆に、一般事件の刑事事件の
捜査資料も民事事件に渡すように変えればいい。
とにかくどちらかに統一せよという意見には賛成です。
だって一般事件にももっと悲惨な被害者がいる!
また、
「警察だって被害者がでたときに犯罪者が捕まらなかったとき、
内部で初動捜査が悪かったのではないか、などの反省があるだろう。
被害者感情、被害者感情と仰るなら、警察だってその反省を徹底的に
真相・原因究明をし、被害者遺族に公開すべき。
それをしないのはなぜなのか。
極論を言えばなぜ医療者にのみ
公開だの、被害者感情だの厳罰化を求めるのか。」
「座長に刑法の方がいらっしゃるのであれば、委員会を作った時点で
ちゃんと「業務上過失致死の適応」「届出の適応」などの
ワーキンググループを作ってしかるべき。
しかしそのような動きでさえないならば、
本気でやる気があるとは思えない。
はっきり言って厚労省にこの
「法と医療の対立をおさめる力があるのか」
疑問に思っているし、はっきりいって力不足。
厚労省は「医と法の対話」の場をまず設けるべきで、
この検討会そのものがナンセンス。」
との指摘も。
それぞれ各学会の意見が違うのは当然で、
でも概ね三学会の代表全員が頑張って主張を繰り広げました。
つまり
「標準的医療からの著しい逸脱」の基準の明確化。
「警察・検察が委員会を尊重する」明確な文書化。
「悪意のあるものならともかく、善意の医療に関して
業務上過失致死罪(刑法211条)の適応そのものがおかしい」
ということ。
おそらく、この質問が肝だったんでしょうけれど、
第三者委員会ができたら、協力してもらえるのか?との質問には、
麻酔科学会並木先生、岡井先生は答えがちょっと甘かった。
「こちらの指摘が解決できるような組織を作ってくださるなら、
全面的に協力する」
堤先生なんかすごかったですよ(>▽<)!!!
「あのね~、先生たちそう仰るけど、もう退官でしょ?
いい加減なことをいうもんじゃないよ。
日本の救急は基本的には非救急専門の医師がみていて
各診療科の「標準的医療」からみれば外れていることも、
救急医療からみても外れていることもいっぱいあって、
でもそれでもそうじゃなきゃ、救急自体が日本では成り立たない。
そういった人たちのことも含めて、ナンセンスな委員会には、
絶対に協力しません!」
とすごい大絶賛な見得を切っていました。これは大賛成!
(妊産婦の脳出血対応だって、はっきり言って専門外ですもの!)
脳出血オペを産婦人科医がしたらそれこそつかまるでしょう?
でもって
「標準的医療っていうけど、そもそも医師免許は国が認めて与えたんだから、
国の医師国家試験レベルクラスでの逸脱で線引きにすべきだ」
とか
「こんなもの、座長が刑法学者でいらっしゃるなら、
警察・検察の中に医療部作ってそちらさんで医療現場を勉強して
業務上過失致死とは、とか、いろんなことを勉強しろ」
「どうせなんだから、警察が全部やればいいじゃないですか」
「大野事件だって、そもそも事故調査委員会がいい加減な報告書
を出してそれで警察が動いている。
第三者委員会だって同じことが起きる。
委員会の人選によってはとんでもないことが起きる。作ってどうするんだ。」
という切り回しで、たしかにその通り!という感じでした。
で、そこに岡井先生(産婦人科)が、
「大野事件の時だって、うちにも電話かかってきたけど、
あんなん犯罪じゃない!って答えたら切られちゃった。
結局警察は自分の思い通りに証言してくれる人を探すから一緒ですよ」
みたいな話。
それを堤先生に言わせれば、
「警察庁・検察庁、それぞれオブザーバーとしてここに出てきているけれど、
それこそ高みの見物。私たちが何かやるから面白いから、
なんか利用できるものがあるなら利用してやろうジャン!
って態度で出てきているわけですよ。
どうせ証拠の一つとしてしか採用されない。
彼らが本気なわけないじゃないですか。
厚労省に何ができるんですか。
だいたいモデル事業の解析や問題点も中途半端に放り投げておいて、
こんな組織作ったって、モデル事業で困っているおんなじ問題点が
山積みされるだけですよ。法案化の前に、まずモデル事業を
全部終わらせて、それを検討してからでも全然遅くないんじゃないですか?」
みたいな話。
最後はなんか木下先生か誰かが、
(席順のせいで誰がどうしゃべっているのかは参考人しか見えませんでした。)
「医療者は70-80%賛成している」みたいな
それってどこから出した数字????
で強引にまとめようとし、
前田議長は恒例の
「これで少し溝が埋まりましたね」(どこが?)
で締めくくろうととりあえず、よくわからない感じで
時間を20分ほど延長して会議は終了しました。
でもやっぱり、民事と刑事について、法律学者が座長で、
あそこまで全然誰も協議しようとしないのはなぜなんでしょうね。
最後までひっかかったのはその点です。
会議中でも誰も触れようとはせず、
法曹界では常識の「民事」と「刑事」に言及しない不自然さ
はオリのように沈殿しています。
やはり患者団体の目的がそれだからなのではないか?
「民事」と「刑事」に分けたら、患者側もこの案に賛成しなくなるのでは?
不自然なまでの拙速化の背景には、患者団体の思惑、
ロビイスト活動などが隠れているのでは?
と老婆心ながら想像せずにはおれません。
次回は11月10日ですo(^-^)o ..。*♡
1.日 時:平成20年11月10日(月) 16:00~18:00
2.場 所:中央合同庁舎5号館 9階 厚生労働省 省議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)
3.議 題(案)
1)ヒアリング
・全日本病院協会徳田禎久常任理事
・全国医学部長病院長会議嘉山孝正大学病院の
医療事故対策に関する委員会委員長(山形大学医学部長)
・医療過誤原告の会宮脇正和会長
2)その他
4.応募要領
会場設営の関係上、予め御連絡いただきますようお願いいたします。
FAXにてお申し込みください。(様式はホームページをご参照下さい)
申し込み締め切り日は、11月6日(木)17時必着
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/s1110-1.html
事故調問題については、刑法211条の問題をそのままにしていては、幾ら議論を積み重ねても、まともな事故調は決して出来ないと思います。
少なくとも、本当の意味での「死因究明検討会」にするのならば、座長を医療関係者にするべきです。この座長ではだめです。死因究明委員会のメンバーを全て入れ替えて、白紙の状態からもう一度議論し直す必要があると思います。
投稿情報: 通りすがり | 2008年11 月 4日 (火) 19:33
やはり、WHOのガイドライン、医療裁判を原則的に行わない北欧諸国をニュージーランドなどのやり方、刑事罰を念頭に置かない北アメリカやオーストラリアなど参考にした、国際的にも恥ずかしくない、持続可能な医療安全委員会を作るべきでしょう。
それにしても、座長や木下委員の外れっぷりには毎回、呆れています。
このひとたち、医療安全のことをきちんと学習されてるのでしょうか。
それ以上に、厚労省の役人が選んだものなのか、自薦なのか不明ですが、次回は、医療安全の国際的基準とは相容れないというか、かけ離れた主張を繰り返す患者団体代表が、参考人として呼ばれるようですね。
これじゃぇね、今回の参考人の先生方でなくても、厚労省が本気で医療安全委員会を作るつもりなのか疑問です。
WHOのガイドラインが作られたときも、他の先進国の医療安全のシステムが作られたときも、臨床医、医療安全の専門家の間で議論が重ねられましたが、裁判を起しても虚しいだけで、刑事や民事の裁判では医療安全は保持できないという結論に達した患者代表が加わっていたのですが。
先進国と日本との、あまりの人選の違いには呆れています。
投稿情報: 鶴亀松五郎 | 2008年11 月 4日 (火) 20:47
ニューヨーク州の医療安全のための法システムについての論文を掲載してあります。
米国における医療安全・質向上のための法システム
http://kurie.at.webry.info/200805/article_54.html
これによれば、調査委員会の資料は民事には使えません(関連の資料を民事上の法的開示から保護)。刑事には使う場合があるようです。
投稿情報: 医師の一分 | 2008年11 月 4日 (火) 21:52
きゃああ~っ(>▽<)!!!!
医師の一分先生だっ!!!!
コメントありがとうございます!
(突然ミーハーになってみる私!)
いえ、なんとなく。
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年11 月 5日 (水) 02:44