(関連目次)→無過失補償制度 目次 今月の産婦人科医会報
(投稿:by 僻地の産科医)
10月号の医会報からですo(^-^)o ..。*♡
メリットとデメリットの表がそれなりに気になっていましたので。
あと、やっぱりこれは本来なら社会補償の枠組みでやるべきことで、
現場に押付ける仕事じゃないのに、という
本質論
が書いてあることも評価しています。
あとは結局、保険会社丸儲け?の点とか、
脳性麻痺児の選別とか(染色体異常の除外とか)、
そういうことが引っかかっているだけなのですけれど。。。
産科医療補償制度加入のお願い
常務理事・石渡勇
(日産婦医会報 平成20年10月1日号 p4)
産科医療補償制度(以下、本制度)は民間保険を活用した世界に類をみない大規模な脳性麻痺に対する補償制度です。問題点を抱えながらも来年1月1日にスタートします。本制度が患者側にも医療側にも良い制度となるためには、すべての分娩機関の加入が必要です。
日本は社会保障制度が十分な状況ではありません。脳性麻痺児および家族は、看護と介護にかかる費用を賠償に求め、紛争となり和解できない場合に裁判に発展することもあります。紛争・裁判においては、医療側・患者側双方にとっても、精神的・肉体的苦痛は筆舌に尽くしがたいものがあります。医療側に過失が認められない場合は、患者家族は路頭に迷うことになります。この制度はこのような場合でも光をあてるものです。
1.学会・医会からの通知
吉村学会理事長と寺尾医会会長連名で本年7月、会員に、本制度の理念と運用についてメッセージが出されました。本制度の理念は2つあります。1つは補償です。医療訴訟に勝った者だけが報われるのではなく、分娩に関連し発症した脳性麻痺児と家族が一定の条件を満たす場合には、その看護・介護の費用が無条件で補償される仕組みです。もう1つは原因分析を医学的観点から行い、将来の同種の事故の防止に資する情報を提供し、紛争の防止、早期解決、産科医療の質の向上を図ることを目的としています。
実際の運用としましては、分娩機関が保険料(掛け金)として1分娩当たり3万円負担します。保険料を負担するのは妊婦ではありません。妊婦の意向とは関係なく分娩機関が負担します。医療安全と本制度への加入のために分娩費用の増額が想定されます。妊婦の経済的負担を軽減するため、国は出産育児一時金3万円を、来年1月制度スタートとともに、増額します。このことにより、妊婦にも分娩機関にも経済的負担はかかりません。本制度に加入していない分娩機関で補償の対象となる脳性麻痺児が生まれた場合、補償を受けることができません。したがって、すべての分娩機関が本制度に加入する必要があります。
2.本制度加入促進のための具体的アクション
全国支部・本制度推進担当者と医会医療安全部会本制度検討小委員会との間にネットを構築(ML 作成)し、リアルタイムに加入状況と加入を躊躇する理由について検討し、推進を図っています。また、全国ほとんどすべての支部に出張説明に伺いました。
3.本制度加入のメリットと未加入のデメリット(図)
加入するメリットとしては、速やかな補償(無過失の場合でも補償する)ができる、公平中立な原因分析委員会での医学的な分析により紛争の早期解決が図れる、医療のレベルアップにつながる、国民の信頼(無過失な場合でも補償、医療安全に取り組む姿勢)が得られやすい。
妊婦側からみれば○適マークのようなものです。
加入しない場合のデメリットとして、脳性麻痺児が補償されない、妊婦が未加入機関を選択しないため分娩数が減少する可能性があります。
従来よりも事務手続きが増加することはありますが、負担が少なくなるようなシステムを設計しています。釈然としないのは、条件を満たすすべての脳性麻痺児を対象とするとは言え、分娩費未払い者にも保険料を分娩機関が負担することです。医会は、出産育児一時金を現行のように妊婦に払うのではなく、直接分娩機関に払い込むことを国に要望し、実現しそうです。また、生活保護・助産制度を利用する妊婦、経済的困窮等により措置入院した妊産婦の分娩に際し、保険料相当額の引き上げについては厚生労働省において検討しています。
4.本制度加入機関の周知
日本医療機能評価機構(以下、機構)HP に加入分娩機関のリストがマップ付きで掲載、日産婦医会HP に掲載(機構HP とリンク)、母子健康手帳に本制度が掲載され、交付時に市町村職員が本制度に加入していない分娩機関でお産の場合に補償を受けることができない等の説明、分娩機関に本制度加入を表示するプレート掲示、その他厚労省HP、マタニティー雑誌などで広報されます。
5.本制度の加入率
9月25日現在84.4%で、毎日確実に上昇しています。100%加入支部は、岩手、福島、栃木、群馬、福井、大分、宮崎県です。関東ブロックは全体に加入率は低迷です。9月中に加入が間に合わなかった場合、機構HP にすぐには掲載されません。また、さらに加入が遅れますと、1月1日からの出生児が補償を受けられず、4月からの出生児にずれ込む可能性があります。
私たち産婦人科医の悲願であった本制度が来年1月1日よりスタートします。不明な点がありましたら、機構コールセンター03―5800―2231にお問い合わせ下さい。また、医会医療安全部会あるいは石渡[email protected] でも結構です。特に、手続きに関する内容はコールセンターにお願いします。
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