(関連目次)→安心と希望の医療確保ビジョン 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
医師養成数、過去最大「上回る」程度を
―医療ビジョン中間取りまとめ―
キャリアブレイン 2008年9月26日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/18399.html
来年度の医学部定員について過去最大数を「上回る」などの内容が盛り込まれた、舛添要一厚生労働相主導の「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会の中間取りまとめが作成された。委員が前回の会合で指摘していた修正点が反映され、医師数の増加や、過酷な労働環境で勤務する医師個人へのインセンティブの付与などについて、中間取りまとめ(案)よりも積極的な内容になっている。
【関連記事】
後期研修の見直し議論がスタート―厚労省研究班
臨床研修見直しで議論開始、年内に結論
同検討会はこれまでに7回の会合を重ねてきた。8月27日の第7回会合で、中間取りまとめ(案)が事務局から提示され、委員からは修正を求める意見が出された。今回の中間取りまとめでは、指摘の上がった点など複数の個所が修正されており、厚労省の担当者は、変更個所についてはすべて委員の意見が反映されたものとの認識を示している。
中間取りまとめは、
▽医師養成数 ▽医師の偏在と教育
▽コメディカル等の専門性の発揮とチーム医療
▽地域医療・救急医療体制支援 ▽患者・住民の参画
―の5項目から成る。
「医師養成数」の項目では、「来年度においては、医学部教育・地域医療に支障を来さないよう配慮しつつ、少なくとも過去最大の医学部定員(8360人)を上回る程度を目指すべき」と記載されている。中間取りまとめ(案)では、「(8360人)程度を目指す」とされていたが、「上回る程度」と上方修正された。同様に、「支障を来さない範囲で」と記載されていた部分も「来さないよう配慮しつつ」と修正されている。これは、嘉山孝正委員(山形大医学部長)が会合で記載の修正を求めていたものだ。また、医師数については、将来的に現在の1.5倍にまで増やすことを中間取りまとめ(案)と同様に記載している。
ただ、海野信也委員(北里大医学部産婦人科教授)が同検討会で出すよう求めていた医師の需給推計については、「厚生労働省において必要な医師数について推計し直すべき」との記載から変わっていなかった。
■「外科系の診療科に」ドクターフィー
「医師の偏在と教育」の項目では、救急医療など過酷な勤務を求められる医師に対するインセンティブとして、中間取りまとめ(案)では、「外科をはじめ医師の技術を適切に評価する」ためにドクターフィーを検討することを盛り込んでいた。中間取りまとめでは、「外科系の診療科をはじめ」と修正されている。
医師の地域間の偏在については、家庭医・総合医の養成や、他の専門科から家庭医・総合医になって地域医療を担うようなキャリアパスの必要性を示していた。中間取りまとめでは、「医学部の定員を増やす場合に地方出身者が地元の医学部に入学しやすくする方策が必要」との文言が新たに盛り込まれた。
また、初期臨床研修制度や後期研修を見直す必要性については、中間取りまとめ(案)と同様に記載されているが、「患者の声も聞きながら」としていた部分が、「現場の意見を十分聴取・検証し、国民・社会特に患者の声を聞きながら、諸外国の例を参考にしつつ」と書き換わった。
「コメディカル等の専門性の発揮とチーム医療」では、修正点はなかった。中間取りまとめ(案)と同様、コメディカル数増加やスキルミックスの必要性、4年制大学への移行も視野に入れた看護基礎教育の充実、院内の医療メディエーターの活用などを盛り込んでいる。
■医師指示下で看護師の裁量を―訪問看護
「地域医療・救急医療体制支援」の項目では、在宅医療の専門性を評価すべきとして、「医師の標準的指示書や個別的約束指示の下で看護師の裁量性を認める」など、訪問看護のあり方を見直すべきとしている。また、病診連携を進めるため、診療所の医師が病院で勤務する場合を考え、病院の診療報酬を「ホスピタルフィーとドクターフィーに区別」する必要性にも言及。電子カルテでの患者情報の共有や、無料の明細書発行も求めた。
また、三次救急の体制強化とともに、二次救急を支える体制を構築すべきとしている。中間取りまとめでは、「地域医療を現在保っているネットワークを活用するよう、各地域の実情を十分把握する必要がある」との文言を新たに盛り込んだ。
■救急医療と福祉行政の連携を
このほか、福祉的ニーズのある患者が救急搬送されてくるとして、福祉行政と二次救急の連携の必要性も挙げた。トリアージナースの育成や、消防防災用ヘリコプターを救急搬送に活用することも要望している。「患者・住民の参画」の項目では、中間取りまとめ(案)には地域住民への呼び掛けの言葉として、「子供を守ろう、お医者さんを守ろう」など、丹生裕子委員が代表を務める「県立柏原病院の小児科を守る会」のスローガンがそのまま記載されていたが、「地域の限られた医療資源を活用し、必要な人が必要な医療を受けられるようにするため、かかりつけ医を持つことを呼びかける」などの記載に変わっている。
いつも拝読して勉強させて頂いております。ありがとうございます。
急に冷え込むようになりました。どうぞ先生もご自愛下さいませ。
投稿情報: ななほし | 2008年10 月 3日 (金) 00:09
医師数増やしても、皮膚科、精神科、美容整形科になる医師が増えたら意味無いのではないですか?
現在医学部の息子が受験時想定面接問題の解答を考えていた時のことです。「診療科ごとに定員決めて成績順に決めたらいいのかな?」と。
すると「成績いい人が皮膚科、精神科になって、僕成績悪かったので、外科(小児科、産科)に進みました。」になるのでしょうか?単純に定員増やせばいいという事でもないと思うのですが。
投稿情報: さいちゃんの母 | 2008年10 月 3日 (金) 15:18