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(投稿:by 僻地の産科医)
薬害肝炎 浮き彫りとなった厚労省の力不足
日経NetPlus 2008-07-20
http://netplus.nikkei.co.jp/nikkei/news/mhlw/mhlw/mhl080719.html
ウイルスに汚染された血液製剤の投与により、多くの患者がC型肝炎に感染した「薬害C型肝炎問題」。薬害エイズ問題で再発防止を誓ったはずの厚生労働省で、またも悲惨な薬害が明らかになった。厚労省は現在、社保庁改革と並行して再発防止に取り組んでいる。次にまた薬害が起きれば、厚労省はその存在意義を問われる事態になるだろう。
■二転三転した展開
薬害肝炎問題の展開は二転三転した。厚労省だけでは対応し切れず、訴訟の和解交渉は決裂の瀬戸際に。今年1月に議員立法で被害者を救済する法律が成立し、なんとか舛添要一厚労相と原告団の握手にこぎ着けた。立法府の力を借りなければ自らの問題も解決できない厚労省の力不足が浮き彫りになった形だ。
委員会に参加した薬害肝炎訴訟原告の福田衣里子さん=中央=ら (5月、厚労省=共同)
救済法は、フィブリノゲンや第九因子製剤、縫合用接着剤「フィブリン糊(のり)」が使われてC型肝炎に感染した患者(死亡の場合は相続人)が対象だ。認定されれば肝硬変、肝がん、死亡の場合に4000万円、慢性肝炎は2000万円、症状がない感染者は1200万円が支払われる。
■“埋もれた”被害者 どう救済
ようやく決まった救済法だが課題も多い。被害者が救済を受けるには国を相手取って訴訟を起こすことが必要だ。しかし被害者は1万人を超えるとの推計があり、感染に気づいていない“埋もれた”被害者の存在も指摘されている。
厚労省も製剤の納入先とされる医療機関をホームページで公表するなど被害者の掘り起こしを進めているが、今後も幅広く検査を呼び掛けていくことが必要だろう。
■被害者の視点で薬害根絶を
薬害肝炎問題を検証する第三者委員会も設置された。画期的なのは、医療の専門家などの有識者のほか、薬害被害者も参加した点だ。同委は6月、国内で報告のあった医薬品の副作用に関するすべての症例報告を検証するよう求める中間報告をまとめた。悲惨な被害を体験した被害者の視点をいかし、今度こそ薬害を根絶しなければならない。
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