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(投稿:by 僻地の産科医)
変革迫られる自治体病院(No.844)
中日新聞サンデー版 2008年7月6日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/daizukai/2008/CK2008062702100003.html
全国で地域医療を支える自治体病院が、経営改善や医師の確保などの難題に直面しています。今後は再編や集約化の動きが加速すると見込まれます。現状を図解します。
自治体病院とは地方自治体が設立した病院のことで、別名で公立病院とも呼ばれ、全国に九百七十三病院あります。近年、この自治体病院のあり方が、大きな社会問題となってきました。それは赤字額が毎年増大し続けているからです。二〇〇六年度決算では、五千百億円の繰入金(補助金)を自治体からもらったにもかかわらず、千九百九十七億円という過去最悪の赤字を出しました。
自治体病院の経営が悪い原因は三つあると私は考えます。
それは
①へき地医療・救急医療をはじめとする不採算部門を担わねばならないこと
②経営のあり方が官僚的で、効率が悪いこと
③病院を整理・統廃合しなければならない時期にきているのに一向に進まないこと―です。
戦前はもちろんのこと、一九六〇年ごろまでは、日本の病院医療の根幹は自治体病院が担ってきました。いま存在する自治体病院の過半数は一九四九年から五八年の十年間に設立されていますが、このころの民間病院は、数の上でも、質の上でも力が弱く、地域佳民に上質な医療を提供するためには、各地方自治体がそれぞれ病院を持たねばならなかったのです。
しかし、日本の病院をとりまく環境は、どんどん変化していきました。道路の整備やマイカーの普及のおかげで、居佳する自治体以外の病院でも受診できるようになったのです。
また、民間の病院数は四倍に増え、それぞれの規模も大きくなり、医療の質の上でも公立病院に遜色ないものになりました。
いまあらためて自治体病院のあり方が問われています。長い間続いてきた官僚主導の無責任体制を変えて、経営の責任をとる「病院事業管理者」を置く病院が増えてきました。
そして、平成の市町村大合併が行われたように、自治体病院も再編成が行われねばなりません。この五十年間に日本の病院をとりまく環境が大きく変化したことを考慮に入れながら、日赤や済生会や民間病院とも連携して、新しい再編・ネットワーク化を考える時期にきていると考えます。
武弘道(未来医療研究所所長)
長時間勤務や理不尽なクレームを受けた医師が現場を立ち去りつつあります。研修制度の変更によってこれまで自治体病院に医師を派遣してきた大学病院の医師数が減り、自治体病院からの引き揚げも行われています。診療科目や地域によっては実際に「医療崩壊」が起こっています。
兵庫県立柏原病院
激務から実質1人だった小児科医の辞意に驚いた母親たちが07年4月、「県立柏原病院の小児科を守る会」を結成しました。コンビニ受診をなくすことを訴えた結果、深夜の小児科受診は激減し、医師は辞意を撤回しました。同会の運動の理念に賛同した医師3人が新たに勤務することになりました。
千葉県立東金病院
常勤医の激減に危機感を持った地城住民がNPO法人「地域医療を育てる会」を05年4月に発足させました。救急など地域医療問題を特集した情報紙を周辺2万戸に届けるほか、医師と対等な立場で議論する場を設けています。病院側も地域ぐるみで医師を育てるシステムを築きあげ、若手医師が集まり始めています。
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