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(投稿:by 僻地の産科医)
平成20年5月12日 医療の安全の確保に向けた医療事故 による死亡の原因究明・再発防止等の 在り方に関する試案(第三次試案) に対する見解
日本病院団体協議会 議 長 山 本 修 三
国立大学附属病院長会議 常置委員会委員長 河野 陽一
独立行政法人国立病院機構 理事長 矢崎 義雄
全国公私病院連盟 会長 竹内 正也
社団法人全国自治体病院協議会 会長 小山田 惠
社団法人全日本病院協会 会長 西澤 寬俊
社団法人日本医療法人協会 会長 豊田 堯
社団法人日本私立医科大学協会 病院部会担当理事 小山 信彌
社団法人日本精神科病院協会 会長 鮫島 健
社団法人日本病院会 会長 山本 修三
日本療養病床協会 会長 武久 洋三
独立行政法人労働者健康福祉機構 理事長 伊藤 庄平
今般、厚生労働省から示された標記第三次試案における新制度の目的および主旨、即ち「医療の安全の確保の観点から、医療死亡事故について分析、評価を専門的に行う機関を設ける必要がある」については当協議会として原則賛同します。
本試案の内容につきまして、当協議会加盟団体から多くの意見があり、全てを集約するにいたっておりません。従って、加盟団体から出された個々の主な意見を以下に列挙します。
今後、以下に掲げる項目について早急に検討され、明確化し公表されることを要望いたします。
記
1 総括的意見
○新制度は早急に立法化し、実施に移すべき、との意見とともに、十分時間をかけて検討すべき、との意見があった。
○本試案の枠組みでは、医療安全の確保と再発防止という目的達成は不可能と考えられ、医療安全確保、再発防止と責任追及、処分、訴追とは別組織で行うべきである。
○新制度の実施に当たっては、その運用を確実なものとするため、必要な人材、経費等の確保に充分な措置が必要である。
2 医療安全調査委員会(仮称)について
[設置]
(委員会の設置先)
○公正性、透明性を担保する観点及び委員会の機能を考慮して、内閣府又は第三者機関に設置すべきであるという意見もあったが、医療の特性を考慮すれば医療行政を管轄している厚生労働省に設置することが現実的である、との意見もあった。
(委員会の構成について)
○地方委員会のレベルに法律家及びその他の有識者が入ることについては理解できる。
○死因究明を目的とする調査チームは、医学的、科学的に死因究明を第一義にするものと思料し、結果を公表することを前提に医療専門家のみで構成することがよい、との意見のほか、透明性を担保するためには第三者を入れてもよい、との意見があった。
○「地方委員会・調査チーム」は、良識と中立性を持った臨床医師が専任する仕組みが明文化される必要があり、そのためにも委員会のメンバーについては、公開し、透明性の確保を図ること。
[医療死亡事故の届出]
(医師法第21条について)
○第三次試案による届出範囲と医師法21条に基づく異状死の届出範囲との関係について明確にすること。
(届出範囲について)
○図にみる「明らか・明らかではない」や「予期しなかった・予期していた」の定義は非常にあいまい。定義が紛れないように、また医療関係者でない関係者が理解できるように、明確にすること。
[遺族から地方委員会への調査依頼]
○「地方委員会への調査依頼については、遺族に代わって医療機関が行うこともできることとする。」とあるが、医療機関で届出範囲に該当しないと判断した事例の取扱いを明確にすること。
[地方委員会による調査]
(解剖について)
○「解剖担当医が解剖を行う」について、解剖のできる医療機関では、当該機関の病理医が病理解剖をすることを認めること。
○病理解剖、行政解剖、司法解剖などがあるが、医療安全調査委員会事例についてはどういう位置づけになるのか、明確に定義する必要がある。
[院内事故調査と地方委員会との連携]
○院内事故調査委員会と地方委員会との関係について、委員構成、調査結果の位置づけ等を明確にすること。
[捜査機関への通知]
○重大な過失があった場合に、地方委員会は「医学的な判断であり、法的評価を行うものではない」としながらも、この事項が捜査機関に通報する基準になっていることは矛盾するものであり、単に公表に留めるべき。
○明らかな故意や診療録等を改ざんした場合について、捜査機関に届けることについては当然のことと考える。
○刑法第211条および刑訴法第239条との関係についてもその取り扱いを明確にすること。
3 医療安全調査委員会以外での対応(医療事故が発生した際のその他の諸手続き)について
[行政処分]
○委員会は責任追及を目的としたものではないと言いつつも,この調査委員会の結果をもとに行政処分を行うこととされているが、 (49)は行政処分の範囲を拡大するものであり削除すること。
4 制度の見直し等について
○新制度実施前に、モデル事業の実施など十分な準備期間を設けること。
○新制度の運用状況を検証し、施行後3年以内を目途に見直す規定を設ける必要があること。
5 その他
○当協議会としては、本試案に対し更に検討を加え、必要な事項について要望することとする。
以上
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