(関連目次)→医療事故安全調査委員会 各学会の反応
(投稿:by 僻地の産科医)
日本医事新報からo(^-^)o ..。*♡
これは中間発表前の記事ですね。
割とよくまとまっていると思います。どうぞ ..。*♡
【参考ブログ】
死因究明制度「内容に問題」―医療系学会
[phenomenon] 2008-05-20
http://d.hatena.ne.jp/Hirn/20080520
死因究明制度
第三次試案への見解が相次ぐ
日産婦は条件付き評価、救急医学会は反対など
(日本医事新報 N0.4386 2008年5月17日 p8-11)
厚生労働省が4月3日に公表した死因究明制度に関する第三次試案に対し、医療界から見解が相次いでいる。日本産科婦人科学会は「混乱を改善する第一歩」と位置づけ、条件付きながら評価する姿勢を表明。
日本救急医学会は、死因究明制度の必要性は認めつつも、第三次試案は救急医療への配慮がないなどの理由から「試案そのものに反対」とした。日本麻酔科学会も主旨には賛同するが、このままでは賛同できないとしている。
捜査機関との関係に各団体が懸念示す
見解のうち捜査機関との関係については各団体が共通して懸念を表明。
特に試案の「別紙」に示されている、「刑事手続きは謙抑的に行われる」との記述について、「会員から疑念の声が寄せられている」(日産婦)、「責任追及しない裏づけがない」(麻酔科学会)、「捜査を抑える法的根拠がない」(医学部長病院長会議)などとして、制度に明文化するよう求める意見が目立つ。
これまでに厚労省のパブリックコメントに提出された主な医療団体の見解を以下、紹介する。
なお、日本外科学会は14日、「試案の内容に賛同して積極的に支持する」との見解を厚労省に提出したが詳細は次週以降掲載する。
第三次試案の要旨
・日本産科婦人科学会
「医療現場の混乱を改善する第一歩」
日本産科婦人科学会(吉村泰典理事長)は1日、「第二次試案への見解と同様、医療事故に対する刑事訴追に反対する見解は変えていない」としつつも、試案に盛り込まれた「医療安全調査委員会」(以下、調査委員会)(上掲(1)、以下番号のみ)の設立は「医師法21条の拡大解釈がもたらした医療現場の混乱を改善する第一歩」と位置づけ、評価する見解を提出した。
その上で、制度の目的である原因究明と再発防止の実効を上げるための提言を記載している。
具体的には、
①重大な過失心の説明
②調査委員会の管轄
③届出対象
④捜査機関の謙抑的対応―の4点に言及。
薬の誤投与が捜査機関に通知の懸念
①の重大な過失については、試案の定義(4)に、「勤務環境を含めたシステムエラーの要因が完全に否定され、あらゆる観点から見て許容できない」との記述を加えるよう要望。現状では、薬の誤投与や手術ミスは標準から著しく逸脱した医療で悪質な事例と判定されてしまい、捜査機関に通知されると懸念した。
②の調査委員会(1)については、行政上の問題にも言及できるよう、厚労省下に設置するのではなく中立機関が望ましいとした。
③の届出対象については、試案の「過誤かどうかを判定する」という発想は適切ではないと指摘。
これを変更して、「医療行為に起因して患者が死亡した、またはその疑いのある事例のうち、当該医療行為により患者が死亡する可能性が元来低く、かつその医療行為に伴い発生する合併症として説明のつかない患者死亡の事例」とするよう求めている。
捜査機関の対応を制度に明文化して
④の捜査機関の対応については、試案の記述(5)について、厚労省の担当者から「法務省と警察庁の了承を得ている」と口頭で説明を受けたが、会員から疑念の声が寄せられているとし、「試案に記載されている。調査委員会心と。捜査機関々との関係が必ず担保されるよう、制度の規約に明文化を」と要望した。
・日本救急医学会
「試案を作り直すことを希望」
日本救急医学会(山本保博理事長)は4月9日、「試案そのものには反対。行政、司法、立法などの大所高所からの視点を加え、試案を作り直すことを希望する」との見解を提出した。見解は同学会の「診療行為関連死の死因究明等の在り方検討特別委員会」(有賀徹委員長)がまとめた。
多くの医師が救急から撤退する
死因究明制度については、「医療行為に関連する死亡に関して、学術的な調査・検討機関が必要なことに異論はない」と必要性を認めつつも、「救急医療に対する理解、配慮が十分になされていない第三次試案のままでは、わが国の救急医療は崩壊する」と警鐘。
「専門外の患者への対応が強いられる」「限られた環境・条件での医療に留まらざるを得ない」などの救急医療の特殊性を挙げ、「『標準的な医療行為から著しく逸脱した医療』という曖昧な基準(4)で捜査機関に通知される危険性から、多くの医師が救急医療から撤退することが強く懸念される」と危惧した。
報告書で捜査機関に通知すべきでない
また、医療安全を向上させる取り組みは、「罪や責任を課すための司法上または行政上の手続きや調査とは分離されるべき」との考えを提示。「責任追及を目的としていないならば(1)、行政処分を行う機関にも捜査を行う機関にも、事故・インシデントに関する報告を用いた通知をすべきでない」とし、「責任追及を目的としていないことの担保がなければ、医療者は安心して診療に当たることができない」と訴えた。
厚労省を超えた広い立場からの検討を
調査委員会の設置場所(1)については、「現在進行している救急医療の崩壊の一端は厚労省の施策の結果」と指摘した上で、「厚労省内に設置するのであれば、システムエラーともいうべき諸問題を鋭く指摘することは不可能に近い」と断じた。
さらに、死因究明制度の問題は「厚労省の一委員会の議論だけで解決できるテーマではない。行政、司法、立法というより大所高所からの視点が求められる」と強調。行政府にリーダーシップを求めるなら、重要課題について各省より一段高い所から検討する内開府で議論を集約させる必要があるとの考え方を示した。
・日本麻酔科学会
「このままでは賛同できない」
日本麻酔科学会(並木昭義理事長).は4月28日、「診療関連死の原因究明と再発防止を目指す主旨には賛同するが、このままの形では賛同できない」とする見解を提出した。
再度検討すべき事項として
①医師法21条
②医療関係者の責任追及
③重大な過失
④調査委員会の設置場所ーなどを列挙。
①の医師法21条については、現在は本来の趣旨から外れて医療関連死にも当てはめられ現場の混乱を招いていると指摘。これは「法医学会ガイドライン(平成6年)や、外科系学会の声明(13年)、厚労省の指示」による異状死の届出範囲の解釈(32頁キーワード参照)が契機であるとして、これらの撤回を求めた。
責任追及しない裏づけがない
②の責任追及については試案は「責任追及を目的としていない」(1)としているが、警察や検察が責任を追及しないという裏づけが書かれていないと指摘。本当に責任追及を目的としないためには、調査委員の守秘義務の明記や刑事訴訟法との関係(証言拒否権、押収拒否権や、民事訴訟法の証言拒否権など)を明確化すべきとした。
試案と法律用語では「過失」の定義が違う
③の重大な過失(4)については、試案と法律用語では「過失」の定義が違うと指摘。「過失」という言葉を用いたら業務上過失致死傷罪が適用されると強調した。
さらに、調査結果が刑事処分に利用される可能性があるとして、自己に不利な供述を強要されない保証が不可欠だと指摘した。
調査委員会の設置場所については、「一省庁を超えた独立、中立、、透明性のあるものにするべきであり、行政内であれば内閣府がよい」とした。
・全国医学部長病院長会議
「警察・検察と正式な合意文書を」
全国医学部長病院長会議(大橋俊夫会長)は2日、「刑事罰との関係について、検察庁・警察と正式な合意文書を作成すべき」とする見解を提出した。
これは、同会議の「大学病院の医療事故対策に関する委員会」(嘉山孝正委員長)がまとめたもの。「基本的に調査委員会の創設自体は行うべき」としたものの、「賛否は国会が決定する事」として、試案の問題点を列挙した。
具体的には、
①犯罪ではない医療事故を刑事罰から完全に除外
②「重大な過失」の定義を明文化
③調査委員会の構成を世界基準にし、専門家で構成して独立性を持たせる
④調査チームの人材確保法や財源を明確に―など8項目を列挙。
このうち①の刑事罰の除外にっいては、「試案(5)は警察の捜査を抑える法的根拠がない」と指摘。原因究明や、患者が過切な医療を受けるために、「過誤や過失があれば、刑事裁判ではなく行政処分や民事裁判で取り扱うよう、検察庁や警察との合意文書を作成すべき」と提案した。
WHOの世界基準に沿った調査委員会を
③の調査委員会については、世界保健機関(WHO)が2005年に公表した「医療安全に関する設計図」の中で示した、「診療関連死の患者名、報告者などを第三者に公開しない」、「調査委員会は、報告者や医療機関を罰する権限を持つ当局から独立」、「診療関連死の報告は専門家によって評価される」との原則に沿って創設すべきと強調。
また④の人材確保法や財源に関しては、「医師不足の現状で、制度を実行することは物理的にも困難。財政の裏づけがないと、事業の実情も変わってしまう」との懸念を表明。
試案は、「実現性も低く、患者の知りたい情報が出てこなくなる可能性もある」とし、「現時点では大学病院が行っている事故調査委員会の制度を強化し、それが機能しない場合に独立した機関が行政処分を行うほうが現実的」との見方を示した。
・日病協「原則賛同」
11病院団体からなる日本病院団体協議会(山本修三議長)は12日、「原則賛同する」との見解を提出した。
見解では、試案の「医療安全を確保する観点から、医療死亡事故について分析評価を専門的に行う機関を設ける」との主旨に賛同すると記述。しかし、「試案の内容については、加盟団体から多くの意見があり、集約するには至っていない」としている。
・日病「基本的に賛成」
日本病院会(山本修三会長)は13日、「基本的に賛成」との見解を提出した。
医療事故死のすべてに医師法21条を適用する考え方には無理があると指摘し、「国民の医療不信が解消され、不幸な死が二度と起こらないよう、再発防止につながる仕組みを有する新たな法的制度が整えられるべき」とした。
・全日病「再度議論を」
全日本病院会(西洋寛俊会長)は12日、医療事故の原因究明と、再発防止の主旨、には賛同するものの、「重大な過失がある場合に捜査機関に通知する点(4)は重大な問題」などとして、再度、議論を行うことを求める見解を提出した。
報告書を刑事訴追に用いない仕組みを
見解では、「医師法21条の改正(2)は高く評価できる」と支持。ただし、「調査委員会の報告書によって行政処分が判断され捜査機関への通知が行われると、正しい情報収集ができず医療安全確保はできない」と指摘。「調査資料や報告書は、行政処分・民事・刑事訴追には用いない仕組みが必要」と訴えた。
なお同日厚労省内で開いた会見で西洋会長は医療安全の確保と医療事故の過失調査は別機関で行うべきで、医療安全の確保を行う機関は「日本医療機能評価機構など第三者機関が望ましい」との考えを示した。
・日本法医学会
「21条の異状死届出の遵守を」
日本法医学会(勝又義直理事長)は4月23日、「医師法21条による異状死届出義務は遵守されるべき」とする見解を提出した。
見解では、
①届出制度
②行政処分、民事紛争、刑事手統との関係
-など6項目について提言。
薬剤誤投与は警察に
このうち、①の届出制度については、診療関連死を「医師法21条の異状死の届出」の対象外としたこと(2)は、「医療に対する信頼と透明性の確保のためにも大きな問題」と指摘。
平成6年に同学会が発表した「異状死ガイドライン」に従い、輸血血液の取り違えや薬剤誤投与など明らかな過誤・過失が疑われる場合は、調査委員会と同時に「医師法21粂の異状死の届出」対象として警察にも届け出ることを求めた。
②の捜査機関との関係(5)については、検察官や司法警察員から調査資料の提出を求められた場合、拒むことはできないと考えられると指摘。また、調査の途中で診療記録などが捜査の証拠として差し押さえられることを予想し、これらの点について、調査機関と捜査機関が協議すべきとした。
いつも疑問に思っていること。
新聞を含めた報道と、実際の各臨床系医学会の見解とは、はっきり違いがありますね。
マスコミの報道=各専門医学会は三次試案賛成、専門医学会の見解=試案の内容じゃ駄目&要再検討。
マスコミは一部の患者団体の意向を汲んだ報道しかせず、取材するのも一部の患者団体に対してのみ。
臨床系学会に話を聞きに来ることなんてまずない。
それゆえ、報道は一方的で偏った内容。
だったら、いいです。新聞、テレビなんて信用しません(って、そもそもハナから信用してないけど)。
ネットを通じて、大々的に医療職の見解を国民の皆様にお伝えいたします。
と同時に、国会議員の先生がたにもご理解いただけるように、猛プッシュします。
それで、いいですね。
投稿情報: 鶴亀松五郎 | 2008年5 月25日 (日) 20:52
あそうそう、言い忘れた。
なんですか、方位学会、じゃなかった法医学会のコメント・・・あんたらが、医師法21条の間違った解釈をガイドラインにしたことも、臨床の現場が大混乱している最大(最悪?)の原因のひとつ。
なのに、まだ性懲りもなく、拡大解釈検事、おっと拡大解釈堅持だって?
いい加減にしんしゃい、臨床医は怒っています。
投稿情報: 鶴亀松五郎 | 2008年5 月25日 (日) 20:56
方位学、笑いました(>▽<)!!!!
投稿情報: 僻地の産科医 | 2008年5 月25日 (日) 21:14