(投稿:by 僻地の産科医)
ちょっと前に『ツレがうつになりまして。』というマンガで
ひっちゃかめっちゃか、うわぁ~大変(>_<)!!!
と思っていたのですが。
続編が出ていました。その名も、
『その後のツレがうつになりまして。』
あ、なおるんだな~と思って感慨深く読みました。
MMJ2008年4月号から。
たしかに婦人科にもウツ初診よく来ますね。
そういえばo(^-^)o ..。*♡
うつ病(上) プライマリケアにおける様相は複雑 防衛医科大学校・防衛医学研究センター 高橋祥友 (MMJ April 2008 vol.4 N0.4 p338-339) はじめに うつ病というと精神科がその治療の専門だと一般の人も医療従事者も信じているが、実はうつ病にかかっても、それに気づく人ばかりではない。そして、うつ病を発病しても最初から精神科を受診している人というのはかならすしも多くはない。むしろ、さまざまな身体症状を訴えて、精神科以外の医療機関を受診している例が圧倒的に多い(図1)2)。したがって、精神医学を専門としない医療従事者がうつ病を最初に診断し、その後の治療に導入するゲートキーパーとしての重要な役割を果たすことが期待されている。 うつ病の有病率 アメリカ精神医学会が定めた診断基準DSM-IV-TRによれば、大うつ病(ここでは重症のうつ病と理解しておけばよいだろう)の生涯有病率は、女性で10~25%、男性で5~12%である。地域を対象とした調査によると、大うつ病の時点有病率は、女性で5~9%、男性で2~3%である1)。この率は、人種、教育、収入、結婚状態とは関連しない。このように、生涯有病率、時点有病率ともにかなり高いことが明らかである。最近よぐうつ疾が「心の風邪」などと呼ばれるのもこの理由からである(ただし、「心の風邪」といってしまうと、とても軽い病気のように響くので、「風邪は万病の元」という諺も付け加えたほうがよいだろう。「心の風邪」も放置しておくと、「心の肺炎」になってしまって、命取りにもなりかねない。現在では効果的な治療法がある。怖いのはうつ病になったことではなく、それに気づかずに放置しておくことなのだ)。 うつ状態をきたす疾患や薬剤 表1にうつ状態を引き起こす身体疾患を挙げておいた。たとえば、脳血管障害後に高率にうつ状態を呈することは広く知られている。パーキンソン病などでもしばしばうつ状態が生じ、内因性のうつ病との鑑別が難しいことがある。血管性認知症やアルツハイマー型認知症でも初期にしばしばうつ状態を呈することがある。身体疾患になり、機能の制限が生じたために、2次的にうつ状態になっている場合もあれば、直接、中枢神経系への影響があってうつ状態が引き起こされている場合もある。 さらに、身体疾患の治療のために用いている薬物の影響でうつ状態が出現することもあるので、うつ状態に気づいたならば、その原因の検索を十分にすべきである。表2に挙げたようなさまざまな薬物で惹起されるうつ状態にも注意を払っておかなければならない。この表の中には臨床でごく一般的に用いられている薬物も少なくないので、うつ状態をきたす恐れのある薬については患者や(小児や高齢者の場合は)家族にその可能性について十分に注意しておく必要かある。特に高齢者ではさまざまな身体疾患の治療のためにいくつもの医療機関で治療を受けていることがあるので、どのような薬物で治療されているのか情報を得ておくことが重要である。 成因(環境因、性格、負因) うつ痛になる背景要因として図2のように考えてみよう。けっして1つだけの原因でうつ病になるのではなくて、さまとまな原因が重なり合って、うつ痛が発病する3)。 特に、環境因、性格、負因といった要因がある。たしかに環境因(いわゆるストレスとここではとらえておいてよいだろう)が大きな原因となって、うつ病が発病する例もあるが、そのほかにも、うつ病になりやすい性格といったものも指摘されている。さらに、負因も考える必要がある。要するに、うつ病を発病しやすい家族的、あるいは生物学的背景である。 うつ病の病前性格 うつ病になりやすい性格として、執着性格かある。「生真面目、几帳面、仕事熱心」といった性格の人がうつ病になりやすいと言われている。どれほど仕事が忙しくなっても、文句も言わす、自己主張をしないで、他人の仕事まで引き受けてしまう。 ① 自分がこれまでやってきたことは失敗ばかりだと思いこんでいる。 ② そして、現在の自分に対しても十分に満足できていない。 ③ こういった、失敗に彩られた過去や現在から導き出される将来も、また、かならす失敗するととらえている。 うつ病にかかりやすい人というのは自分の過去、現在、未来をこのようにとらえている傾向が強い。 文獣
行動科学研究部門教授
本橋では、第1回「疫学、成因」、第2回「診断、治療」、第3回「予後、自殺の危険との関係」と、プライマリケアの場で必要なうつ病についての基礎知識を中心に取り上げていく。
なお、慢性で重症の身体疾患に罹患している患者では、うつ病が合併する率がさらに高まり、20~25%という報告もある。うつ病の合併により、身体疾患の管理が困難になり、それがさらにうつ病を重症化させるという悪循環が引き起こされかねない。
環境因、性格、負因のどれがもっとも重要な役割を果たしているのか、あるいはすべてが大きな原因になっているのか、それぞれの例で異なるので、それを慎重に検討していく。
しかし、もう少し深く見ると、かならすしも適応力の高くない点や、頑固で融通性に欠ける点も明らかになる。昨日と同じように今日が、今日と同じように明日がやってくるといった状況で、自分の能力の範囲で仕事をしていれば、相当の能力を発揮して、業績も上げていく。
また、最近では、認知療法という心理療法がうつ病の治療に積極的に用いられている。認知療法理論に基づくと、うつ病になりやすい人の性格として次のような3つの特徴を挙げている。
また、自己不全感、完全癖、対他過敏性も何らかの程度は認められる。要するに、他者からは真面目で仕事熱心と評価されているものの、自分の能力にどこか疑いを持っていることが多い。それを代償するかのように、すべてを徹底的にこなそうとする傾向がある。また、自分が成し遂げたことを自分の尺度で評価することができずに、常に他者がどのように見ているのかをとても気にするところがある。
1)American Psychiatric Assodation: Diagnostic and
Statistical Manual of MentaI Disorders, Fourth Edition,
Text Revision Washington D.C.:American Psychiatric
Press,2000
2)三木治:プライマリケアにおけるうつ病の治療と実態、
心身医学、42 : 585-591 2002.
3)高橋祥友:うつ.新本社、2006
4)渡辺昌祐:プライマリケアのためのうつ病診療Q&A.
金原出版、1997
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