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(投稿:by 葉明)
ようこそのお運び、厚く御礼申し上げます(>▽<)!!!
カナダの医療事情:
家庭医その1では、耳鼻科であろうと眼科であろうと産婦人科であろうと、専門医に受診するには家庭医からの紹介状が必要であることを書きました。
さらには、その家庭医も思い立った日にすぐ受診できるわけではなく、
予約をして、1週間ほど待ってからやっと受診できるということ、
専門医は紹介状をもらっても、専門医にかかれるのは、
家庭医受診からさらに超特急で2週間、
普通は数ヶ月必要だというのも、
前回記した通りです。
しかし、カナダの人は、不思議とこれを受け入れており、
日本から来た人ですら、
「日本の医者は不必要な検査をたくさんして、医療費を無駄遣いするけど、
カナダ人の家庭医は必要最小限の検査しかしないから、信用出来る」
とまで云う人も(少数だが)存在します。
さらに、家庭医は患者を断ることができるのですが、
これを恨みに思う人殆どいない。
家庭医が患者を断らざるを得ない状況に陥らせた行政を
不満に思ってはいるようですが、カナダに住む人達は家庭医に対しては、
概ね同情的なのです。
なぜ!? これが日本だったら、応招義務違反で住民が暴れること間違いなしだし、 なぜ!? ここから先は、推測も入りますが、根拠のある推測であり、 推測1 断られる際の最多理由は「枠がない」でしたが、 受付によっては 「この冬に患者さんを診すぎて、2週間ほど、 とか 「今患者をとると、法に反してしまう、ごめんなさい」 とか 「去年、患者を入れすぎて、 罰金を払わなくてはならなかった」 とか、 教えてくれなくていいことまで教えてくれる受付の人がいます。 これから推測したのが、上述です。 そして、断るときに、ぽろりとさりげなく、 「診てあげたいけど、診ると違法になっちゃうの」 と言うのは、もしかしたらカナダ人の 「診てもらえないことの怒り」 を、行政に向けるには役に立っているのではないかと思うわけです。 日本で、医師が何かしようとすると、 でも、カナダではそれがおこりにくいのじゃなかろうか、と、思うのです。 推測2 から、患者の側でも納得(あきらめ)できる部分が大きい。 まず、オンタリオ州では、 薬を処方しようと、検査を処方しようと、 1回あたり4千5百円(45ドル)。 血液検査も超音波もレントゲンも、自分のところの施設ではできません また、オンタリオ州の家庭医は年収の上限が決められています。 すると、診ていい患者の数は最高で年間7778人。 週休二日制に休日を加え、実働年間200日とすると一日あたり38人。 ちなみに、オンタリオ州の家庭医の平均年収は約2000万円と 最も患者を沢山診る医師で、1日あたり38人というのは、 先日CBC(日本のNHKに相当する)で、 一日30人診て過労死? 私の聞き間違いか? と、思ったのですが、 「はは〜ん」 と腑に落ちたのですね! 専門医は、患者1人あたりの単価が高く、 日本では診療時間5分未満の場合は それでも、自分を待っている患者さんが後に控えているから、 5分以下の診療時間でなんとかするしかない状況を作っておいて、 何を言うとるんじゃ〜、ゴルァ。。。!!! と、医者であることをとっくに辞め、 と、思ってしまうワタクシでございます。 そして、日本では、何故か患者さんを味方につけられない仕組みになっている。 カナダ型の医療、日本で取り入れられられることはまずないと思いますが、 その時は、微力ながら全力で援護射撃させていただきます。
マスコミが叩くこと間違いなしなのに、そんなことはおこりません。
それほど実情とは離れていないと思います。
家庭医は1年間に診ることのできる患者の延べ人数がどうやら決まっており、
それを超えると、報酬がもらえないばかりか、
場合に因っては、おそらく罰金まである。
患者をとれない状態になってしまった」
本来味方につけなくてはいけないはずの患者さんを
敵に回してしまうことも少なくない。
家庭医への報酬額がはっきりしており、
家庭医で検査をすることは「ない」
(検査は、別の機関で行う)
1回あたりの受診で医師が得られる報酬がはっきりしています。
(全部の家庭医をくまなく見て回ったわけではないけれど、
私&私の知人が経験した範囲では、もれなく検査は別施設で行います)。
もちろん、患者が受付で払うお金はゼロです。
その額は最高額で約3,500万円(1ドル=100円で計算)。
超音波は自分でせず、X-ray Examも自分の施設では行わず。。。
なら、楽にこなせる人数と言えましょう。
云われていますから(中央値は1400万円くらい)、
一般の家庭医が診る患者数はもっと少ないと予想されます。
もちろん、推測値ですが、かなりイイ線いっていると思います。
カナダの医療崩壊についてやっていたのですが、
そこで出て来た医師が
「昔の患者さんは、High Demandingな人が少なかったから、
医師は診察をきちんとしてさえいればよかった。
でも最近は、自分でインターネットなどでいろいろと調べて
自分の意見を通そうとする人もいる。
検査をしてくれと居座る患者も多い(>私のこと?)。
そんな患者を一日に30人もみたら、
こちらがKaroshi(過労死は英語になっています)してしまう」
と、切々と訴えていました。
それで食べて行けるのか?
ちょっと計算したら、計算が合ってしまったので、私としても
平均年収も家庭医の約2倍ですが、
こちらの方の実情は、私もあまりよくわかりません。
診療報酬ゼロにせよとの動きもありますが、本当はちゃんと時間をとって
診察して、説明して、と願っている医師の方がずっと多いはず。
状況に応じて診察時間を短くすることだってある。
そもそも、たった500円の診療報酬を意識して、
時間を短くしたり長くしたりする医者なんていないはず。
日本でのしがらみから解き放たれた私が思うくらいなのだから、
現場で頑張っていらっしゃる先生方の心中はいかばかりか。。。
万が一、都合のいい部分だけを取り入れようとする動きがあることがあったら、
反撃なさいますよう。
いつも楽しみにしています。
留学する事の多いこの業界の人間が海外の医療事情をもっと紹介してくれればいいのになぁ、と思います。
(ま、私は留学する気はいまのところないので、他力本願なのですけど)
できれば推測ではなくて医療関係者から本音を聞いて欲しい...他力本願ですみませんw
投稿情報: physician | 2008年3 月15日 (土) 08:56
葉明さんのカナダの医療事情の記事、いつも楽しみにしています。
カナダも大変なんですね。
でも、日本の「医療従事者の負担」よりはカナダの「医療受給者の負担」の方がましな気がします。
投稿情報: 桜井純一郎 | 2008年3 月15日 (土) 13:43