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(投稿:by 僻地の産科医)
もはや、何をどうしたらいいのか。
産婦人科医療、迷走中です(;;)。
周産期医療の立て直しには「病院の集約化」を
日本産科婦人科学会理事長 吉村 泰典氏
日経メディカルオンライン 2008. 3. 25
1)http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/orgnl/200803/505823.html
2)http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/opinion/orgnl/200803/505823_2.html
今、日本の周産期医療は崩壊寸前です。その最大の原因は、みなさんご存じの通り、産婦人科医が不足していることにあります。
最近、若い医師が産婦人科を希望しなくなっています。新臨床研修制度の影響もあるでしょうし、福島県立大野病院の事件を例に挙げるまでもなく、産科医は訴訟リスクが高いことも一因でしょう。これまでお産を扱ってきた産婦人科の勤務医が辞めたり、産婦人科の開業医が婦人科診療へ変更する例が後を絶たないことも、事態を深刻化させています。
もともと産婦人科医は減少傾向にはありましたが、ここまで急激に減るとは予想していませんでした。働き盛りの30代、40代の医師が、お産からどんどん離れていっています。
この問題を解決するには、産婦人科医の待遇を改善するしかありません。もっとも最近は、周産期医療が抱える問題やその重要性が社会全体に理解されるようになってきました。メディアで周産期医療の問題がとり上げられることも増えていますし、政府や行政も、この問題をよく考えてくれるようになっていて、大変ありがたい。そのおかげで4月からは、産婦人科医の待遇が改善される見込みです。
最近、女性医師を大切にする動きがありますが、これも危機的状況にある周産期医療を立て直す力になる可能性があります。なにしろ、30歳未満の産婦人科医の70%、40歳未満の50数%を女性医師が占めている状況ですから。
内科など、ほかの科であれば女性医師が仕事を続けることもできますが、当直の多い産婦人科だと、結婚して子供を生むと働けない、もしくは子供を生みにくいという状況があります。不足している産婦人科医を確保する意味で、女性医師が働きやすい環境を作ることは重要なのです。最近、都立病院や国立病院機構などでは、女性医師が限られた勤務時間だけ働けるようになるなど、女性医師の労働環境が改善されつつあります。ただし、現状のように待遇が少し改善されたように見える、というだけで終わらせてはいけません。私は、10年先のことを考えた根本的なシステム作りが必要だと思っています。
今はまだ50代、60代の産婦人科開業医がお産を扱っています。しかし10年後は彼らが引退し、誰もお産が扱えなくなってしまうんです。私が教授になってから医局員が20数人が開業しましたが、お産を扱っている人はいない。私たちは、これから先、誰がお産を扱うかという問題に直面しているのです。
医師不足というより病院数が多い
では、周産期医療を立て直すには、具体的にどうすればよいのか。私は、お産や救急に対応できる病院を集約化することが、何より大切だと思っています。
日本には10万人につき220人程度の医者がいるとされています。米国では230人ぐらいです。医師不足が叫ばれていますが、そんなに騒ぐほど医者が少ないわけではありません。ところが、10万人当たりのベット数で比べてみると、日本は米国の5倍ぐらいある。病院も10倍ぐらいあるかもしれません。医師が足りないというよりは、病院の数が多いのです。
だから、ただ医師の数を増やすよりも、現在のパイでどのようにシステム作りをしていくかという視点が必要です。でなければ、医師を増やしても、10年後には再び医師が余ってしまうといった事態にもなりかねません。だからこそ、お産や救急に対応できる病院を集約化すべきだと思うのです。病院を集約化し、その病院に患者さんに足を運んでもらうという考え方です。
例えばの話ですが、あなたが下北半島の大間に住んでいるとしたら、病院を集約化すると、大間でお産をすることは困難になります。その場合は、妊婦が青森市に出てきて、1 カ月なりの滞在日数分の滞在費を行政などから補助として受け取って、そこで生むわけです。お産時の給付金を手厚くして、子供を生む人がお金をかけずに産める仕組みを作れば、病院の集約化にも対応可能なはずです。これからは、お産のあり方を見直し、女性に子供を産んでもらえるようにシステム作りをしないといけないのです。
もちろん病院の集約化は、どこかの病院をなくすことにつながります。それには強い抵抗があるでしょうから、「国」として方針を決めて進めないと実現しません。よく言われることですが、周産期医療の受益者は明日の社会です。妊娠してもお産ができないという状態では、明日の社会はありません。学会としては、行政や国に重要性を分かってもらうために様々な働きかけをしなければならないと思っています。
45医療機関「お産やめます」 厚労省調査
朝日新聞 2008年3月25日
http://www.asahi.com/life/update/0325/TKY200803250265.html
医師不足などで今年1月以降に分娩(ぶんべん)を休止したか休止予定の医療機関が全国で45カ所あることが25日、厚生労働省の調査でわかった。多くは近隣の医療機関での分娩が可能としているが、5病院については医師の派遣や代替医療機関のめどが立っておらず、地域内でお産ができなくなるおそれがある。 分娩を扱っている病院・診療所は全国で約3000カ所。厚労省が都道府県を通じて聞き取り調査したところ、45カ所が分娩の休止、32カ所が分娩の受け入れ制限を予定していることが判明した。
休止・制限の計77カ所のうち、8カ所は地域の中核病院に産科医を集めるなど計画的に集約した結果で、62カ所は休止・制限後も近隣の医療機関で妊婦の受け入れが可能としている。残る7カ所は地域内に代替できる医療機関がなかったが、長野県内の2病院については大学からの医師派遣が決まり分娩制限を回避したという。
一方、福島県立南会津病院、沖縄県の公立久米島病院は妊婦検診は続けるものの、分娩は休止。4月に休止予定の富士重工業健康保険組合総合太田病院(群馬県)、6月に休止予定の藤枝市立総合病院(静岡県)、8月に休止予定の国立病院機構長野病院(長野県)については、まだ回避のめどが立っていないという。
77カ所でお産中止や制限 24都府県、医師不足が主因
中日新聞 2008年3月25日 10時20分
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008032501000204.html
産科休止、派遣で解決できるか
キャリアブレイン 2008年3月25日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15246.html
「医師を派遣した大学は、いわば“わが身を切る思い”だったことだろう」――。産科を閉鎖せざるを得ない病院に医師を派遣する信州大学などに対し、文部科学省高等教育局の三浦公嗣医学教育課長は感謝の意を表した。産科医の退職などで分娩の取り扱いを休止した施設などに対し、厚生労働省は近隣病院からの医師派遣という“応急処置”で対応する予定だが、「根本的な解決ではない」との批判も根強く残っている。厚生労働省は3月25日、文部科学・総務・防衛各省との「地域医療に関する関係省庁連絡会議」で、今年1月以降に分娩の取り扱いの休止などを予定している医療機関への対応策として近隣病院からの医師派遣などの対応策を提示し、了承された。
文科省の三浦課長は「各大学に『産科医を派遣する余裕があるか』という調査を実施したが、地域で最大規模の病院である大学病院でも産科医を派遣する余裕がない状況が分かってきた。医師を派遣した大学は、いわば“わが身を切る思い”だったことだろう。この場を借りてお礼を申し上げたい」と述べた。
また、福島県の県立南会津病院に医師を派遣する防衛省からは外山千也大臣官房衛生監が出席し、「福島県の南会津郡というのは、香川県の広さに匹敵する山間豪雪地帯だそうだが、そこの唯一の病院なので派遣に協力する」と前置きした上で、次のように述べた。
「当省の医官は通常と異なり、2年間の初期臨床研修の後に2年間ほど部隊で勤務し、そこで一般診療の経験をしてから専門研修をする。従って、派遣先の病院は産科医官にとって専門研修を行うのにふさわしい病院であれば大変ありがたい」と注文を付けた。
■ 77施設が分娩休止・制限
厚労省は今年1月、産科医療機関の実態調査を実施し、この日の会議で調査結果を公表した。それによると、1月以降に分娩の取り扱いを休止した医療機関と休止の予定がある医療機関は45施設(病院28、診療所17)、分娩の取り扱いを制限した医療機関と休止予定がある医療機関は32施設(病院19、診療所13)で、計77施設だった。
これら77施設への対応について、厚労省は70施設を「対応が必要な医療機関」から除外。8施設は「産科医療機関の集約化に伴う休止」で、62施設は「近隣の他の医療機関で対応可能」と結論付けた。
残る7施設について、厚労省は近隣病院からの医師派遣などで対応することを検討し、5施設について医師確保の見通しが立った。具体的には、福島県の県立南会津病院に防衛省と愛育病院(東京)が後期研修医を派遣し、長野県の伊那中央病院と飯田市立病院には信州大学が派遣、沖縄県の公立久米島病院には県立病院が派遣する予定。群馬県の総合太田病院には慶応義塾大学(東京)が週2回派遣する予定。
産科医を確保できなかった独立行政法人国立病院機構長野病院(長野県)と藤枝市立総合病院(静岡県)について、厚労省は「文部科学省、防衛省、大学、各県と産科医派遣または近隣医療機関の対応を検討中」としている。
■ 日本産婦人科学会の反応
同会議に出席した日本産婦人科学会の吉村泰典理事長は「こういった困難な状況にある時に、限られた医師をこのように派遣していただくことも施策の1つではないか。緊急避難的にはこういうことも考えていかなければならない」と理解を示した。
一方、同学会の「産婦人科医料提供体制検討委員会」の海野信也委員長は1月に実施したアンケート調査の結果を示した。それによると、緊急措置として派遣される場合に産科医が求める条件は、(1)報酬、(2)勤務条件、(3)医療体制、(4)制度上の問題――の4点に集中している。
このうち、「報酬」について海野信也委員長は「時間外手当の適正な支給など社会常識で考えればごく当然のことが行われていない現場の実態を反映している」と説明した。
「勤務条件」については、「本来順守されるべき基本的な労働条件が確保されていないことが産婦人科の根本的な問題。現場があまりにも非人間的であり、それが放置されている」と指摘。
「医療体制」については、「小児、麻酔科の体制が整備されていない状況で産科医だけを派遣しても機能しない」として、この点を特に強調した。
海野委員長はまた、厚労省が各都道府県に勤務医の労働環境の改善を図るように求めた3月21日付の医政局長通知に触れ、次のように述べた。
「正直申し上げて、これでは短期的には難しい。人がいないからだ。現場の医師に無理にでも働いてもらわなければならない状況だ。そのためには時間外労働の正当な報酬や分娩手当ての支給は必要だということを全国の部会長が述べている。このままでは地域医療が破綻し、緊急派遣が必要となる地域がさらに増えてくることが明白だろう。政府のご対応をお願いしたい」
産科医不足の7医療機関に緊急派遣
厚労省が「産科医療機関調査」を踏まえ分娩休止施設などに対応
橋本佳子(m3.com編集長)
http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080325_3.html
厚生労働省は3月25日、「産科医療機関調査」の結果を踏まえ、今年1月以降、分娩の休止・制限が実施または予定されている7医療機関に対して、産科医の派遣などを実施したり、何らかの対策を講じることを明らかにした。
対象となるのは、以下の7施設で、地元大学のほか、防衛省などからの派遣を予定している。
【対応した医療機関】
●福島県:県立南会津病院
4月から近隣医療機関の協力で妊婦健診を継続
さらに防衛省と愛育病院より後期研修医の派遣を実施予定
●長野県:伊那中央行政組合伊那中央病院
4月から信州大学が派遣し、分娩を継続
●長野県:飯田市立病院
4月から信州大学が派遣し、分娩を継続、助産師も2人増員
●沖縄県:公立久米島病院
4月から県立病院から週1回派遣し、妊婦健診を継続
【分娩休止までの間に対応する予定の医療機関】
・長野県:独立行政法人国立病院機構長野病院
・静岡県:藤枝市立総合病院
これら2施設は、文部科学省、防衛省、大学、各県と産科医療の確保(産科医派遣または近隣医療機関の対応)を検討中
【調整中の医療機関】
●群馬県:;富士重工健康保険組合総合太田病院
病院の努力により産科医1人当面継続勤務
慶応大学より週2日派遣
分娩の再開に向けて県・大学・病院間で引き続き検討中
産科医療機関調査では、今年1月以降、分娩の休止・制限が実施されている医療機関は全国で77施設だった。分娩休止が45施設(病院28施設、診療所 17施設)、分娩制限が32施設(病院19施設、診療所13施設)という内訳だ。これらを精査したところ、「産科医療機関の集約化に伴う休止」が8施設、「近隣の他の医療機関で対応が可能」が62施設で、これらについては地域で分娩を継続できるとして今回は対応しなかった。
なお、今回の7施設のほか、「従来から懸案の産科休止医療機関」が3施設あったが、以下の方向で検討されている。
●北海道:市立根室病院(引き続き産科医確保に取り組む)
●大分県:中津市民病院(大分大が派遣)
●沖縄県:県立北部病院(病院の努力により産科医2人確保)
学会は110カ所派遣必要 産科医療機関の独自調査 産科医不足、但馬や北播で顕著 都市部でも 救命センターを廃止 室蘭・日鋼病院 今月末、正式決定 「第3の診療報酬体系を」 (特集・第1回) 【【【 Japan Medicine Mail 】】】2008/03/25 ■ 日医の総合診療医、「総合科と明確に区別」 <内田常任理事> ■ 「届け出範囲などかなり緩和」 <死因究明制度で堺氏> 保険指定取り消し問題 宇和島の影響聞き取り調査 社民・阿部政審会長 救急受け入れ、医師モラルなど問題点指摘 患者の過度な期待や要求が増えた上に医療が専門化し、訴訟も増加していることから医療関係者は「簡単に(専門外に)手を出しにくくなっている」など、医師の負担が重くなっている現状を指摘。一方、救急患者を受け入れると告示していながら、消防からの要請電話に出ない医師のモラルを問う意見も出た。また、救急患者を搬送する際、受け入れ可能な病院を調べる「救急医療情報システム」があるにもかかわらず、一部で活用されていない現状について、行政関係者は「救急が即時に動けるよう、医療機関がリアルタイムで入力できないか」と改善を求めた。 ただ、正確な情報を入力した医療機関に患者が集中し、医師が過重労働になる懸念もあることから、「県全体での整備が不可欠」との指摘もあった。会長の古川知事は「救急医療の問題は、解決の処方せんが示せない大変な状況になっている。国に対し声を出し続けると同時に、住民自身が議論しなくてはならない問題」と述べた。 がん拠点病院倍増など35の目標盛る 道審議会が新医療計画を答申 医療計画は、医療法で都道府県が策定することを義務付けられており、道は一九八八年に初めて策定し、今回で二度目の改定となる。 原案では、死因の上位に位置する「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞(こうそく)」「糖尿病」の四疾病と「救急」「へき地」「周産期」「小児」「災害」の五分野について対策を記した。 がん対策では、現在、市立札幌など十カ所にとどまっている地域拠点病院を二十に増やし、その中心となる北海道がん拠点病院一カ所を別途指定。がんの原因とされる喫煙率(男性45%、女性12%)を全国平均以下に引き下げ、十万人あたりのがん死亡数(七十五歳以下)を、男性は一三二・二人から一〇五・七人に、女性は六九・二人から五五・三人とする目標を掲げた。 四疾病対策では、四十歳以上に対する検診が有効とされていることから、がん検診受診率50%を目指し、生活習慣病などを対象に新たに始まる「特定健康診断」は受診率80%を目標とする。 また、周産期医療では市立函館など五病院で休止している分娩(ぶんべん)について「再開に努める」とし、小児医療では人口一万人あたり一五・八人(全国平均は一七・八人)の医師数を十七人まで増やすとした。 そのほか、患者が病院を選ぶ際の参考にしてもらうため、四疾病五分野ごとに設備などの基準を上回る医療機関名を道のホームページなどで公表する。 初の赤字予算案-厳しい経営浮き彫り【奈良県立病院】 訴訟の前に対話で解決 医療紛争の「主治医」メディエーター 資格普及へ協会発足 今の日本人は「非寛容・他罰的」 さらに加えて、当時は、術後に合併症が発生し、不幸な結果となったようなときにさえ、土日や昼夜なく患者さんの治療に当たっている私たちに、「これだけ一生懸命やってくれて」、というお言葉さえいただけることが多かったのです。こういった環境は、卒後3年目に東京女子医大に勤務してからも、しばらくは同じだったように思います。 しかし当時から約30年、現在では、全く状況が一変してしまいました。最近では、臨床現場で「ありがたい」や「もったいない」という言葉が聞かれることはほとんどありません。術前説明も私たち医療者の都合よりご家族の都合が優先で、夕方遅くや日曜休日にじっくりと時間をかけた説明が患者さんの権利として当然のように求められることは日常茶飯事となりました。さらに、もちろん手術は術前にその危険性を繰り返してお話してから実施するようにしていますが、治療はうまくいって当たり前、もし治療経過が悪ければ「医療費を支払いません」、ましてや不幸な結果となったときには「カルテを開示してください」、さらに訴訟や賠償の話が出ることさえ珍しくない、という大変寂しい雰囲気になってしまいました。 現在、医療事故調査に関する第三者機関の設置が検討されており、その結果が、場合によって(この解釈が不明確なのが現場の不安を増大させています)刑事事件にまで持ち込まれる、という試案が真面目に検討されているのです。なぜ、このようになってしまったのでしょう。その一因としてはメディアなどの影響も少なくないと思います。しかし、それだけなのでしょうか。私には、今の日本人が、「お互い様」や「もし相手の立場だったら」と考える習慣が以前より少なくなっているためではないか、そのため自分も100%でないのに、平気で相手に100%を望んでしまう、という構図があるのではないかと感じていました。 先日、あるメーリングリストで「非寛容、他罰的」という言葉を知りました。まさに私が日ごろ受けている印象をうまく表現している、と思われた言葉でした。早速、ネットで検索すると、元NHKディレクターの志村建世氏のブログにたどり着きました。志村氏の許可を得ましたので、以下にご紹介させていただきます。 ================= 最近、○○さんのブログや、○○さんのブログなどを見ていると、医療現場の人たちの悲鳴とも言うべき警告が伝わってきます。日本の医療が崩壊しつつある、それを救うのは第一義的には政治の仕事でしょうが、底流には現代の私たちの心のありようが関係しているように、私には思えます。その底流を言葉にすれば、「非寛容で他罰的」ということではないでしょうか。 ある妊婦が出産時の障害で死亡しました。1万例に1つというほどのまれな症例で、医師の処置は通常の基準では問題ないと思われたのに、結果としては死亡を招きました。医師は業務上過失致死罪に問われて逮捕され、公判は継続中ですから、医学的な事実関係は私には判断できません。しかし長く信頼されていた医師は墓前に土下座して謝罪し、廃業に追い込まれました。遺族は「まれな症状だから止むをえなかったというのは、死者に対する人権侵害だ」と述べています。 出産に限らず、私たちは絶えず病気やケガと共存しながら生きています。だからこそ健康に暮らせる喜びがあるとも言えます。医療は進歩し、よい薬も出来ました。しかし新しい手術法が定着するまでの間に失われた命もあるでしょうし、よいはずの薬も、ときには薬害を引き起こすこともあります。だからといって新薬を開発しなければよかったとは言えないでしょう。最近気になるのは、「事が起きてからでは遅い」と、早め早めに安全策に逃げ込む防御的な風潮です。それが非寛容で他罰的な傾向への対策であることは明らかです。 出産に一定率の危険が避けられない以上、安全第一に考えれば、医者は産科医にならず、病院は産科を閉めた方が安心ということになります。さらに暴論を言えば、すべての女性は出産をしない方が安全なのです。なにしろ「事が起きてからでは遅い」のですから。 この問題は、つまるところ、人間の生命をどのように考えるかに帰着します。生命には必ず死があることを忘れず、健康に長く生かしてくれる現代の医療に感謝するか、それとも監視を強めて、あくまでも完全を追求するか、ということです。ミスがあるたびに、責任者は「2度と繰り返しません」と頭を下げます。あれは何か意味があるのでしょうか。私はミスをしない人間を見たことがありません。人間にできるのは、人知を尽くして危険を少なくすることだけです。 今これを書きながら、「文明の尊厳死」という不気味な言葉を思い出していました。人類の生存には、一種の「蛮勇」と「感謝の心」が必要なのではないでしょうか。 あたご当直員の海士長が自殺未遂 訪問看護棟が完成 綾部市立病院 医師らに院内保育所も 実態見据え、抜本解決を 相次ぐお産中止や制限 そもそも産科医不足の背景には、長時間労働や高い訴訟リスクなどがあるとされる。国は診療報酬での優遇措置や、出産事故で医師の過失がなくても患者に補償する制度など、矢継ぎ早に対応を打ち出すが、効果のほどは不透明だ。国の医師派遣制度に対しても「そもそも派遣元の医療機関でさえ医師が足りない」との声があり、場当たり的な印象も否めない。 産科医確保は、小児科、救急と並ぶ緊急の課題だ。医師数を増やすため、人材育成や労働環境の改善などに必要な予算を投入するなど、国は対策に本腰を入れる時期に来ている。 「救急疲弊の原因は医療費抑制策に」 救命士指示医の常駐ムダ?…大阪府委託 診療報酬増額分を勤務医へ=病院経営者に要請-舛添厚労相 統合含む連携検討/県立大野・双葉厚生病院 医師不足が慢性化しているのが実情だ。地域医療体制の在り方検討は大きな課題で、11月に開かれた県立病院事業経営評価委員会でも、県立大野と双葉厚生両病院の統合を検討すべきとの意見が出されていた。 県病院局は、双葉厚生を運営するJA福島厚生連や地元自治体と意見交換し、今後の両病院の連携の在り方について検討する。国は昨年末に公立病院改革ガイドラインを示し、公立病院経営の抜本的な見直しを求めている。県病院局は県立大野が双葉地方で果たすべき役割を十分に検討した上で、在り方をまとめる方針だ。 市立病院 収益重視へ/那覇 独法化でスタッフ増 医療の質と効率どう両立 「行き場がない」神経難病患者が訴え 国保滞納:31人が死亡…困窮、受診手控え 民医連調査 損賠提訴:「速やかに止血せず」 遺族が米内沢総合病院運営の組合を /秋田 大人の百日ぜきが増加傾向に なくそう・減らそう糖尿病:正しく向き合い、早めに治療開始(その1) インフルエンザ、2時間内に検出・STマイクロなど診断装置
共同通信社 2008年3月25日
http://www.m3.com/news/news.jsp?pageFrom=m3.com&sourceType=GENERAL&articleId=69814&articleLang=ja
緊急医師派遣などの必要性をめぐり、日本産科婦人科学会も今年1月に独自の調査を実施。全国110カ所の医療機関で派遣が必要とする結果をまとめ、25日の「地域医療に関する関係省庁連絡会議」に報告した。ただ都道府県によっては「医師の絶対数が圧倒的に不足しており、具体的な病院名や人数を列挙できる状況ではない」(埼玉県)などとしているところもあり、同学会は「あくまで調査時点の結果で、今後の情勢によって変化する可能性がある」としている。
調査は舛添要一厚生労働相の依頼を受け、1月30日付で都道府県地方部会長に(1)地域の産婦人科医療確保のため、医師派遣が必要な病院はあるか(2)派遣される場合、どのような条件であれば勤務が可能か?を尋ねた。派遣が必要とする医療機関名を挙げたのは31道府県。派遣の条件は「勤務実態に見合った給与体系」「当直回数が少ないこと」などだった。
神戸新聞 2008年3月25日
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0000889709.shtml
産科医不足による産科の廃止や休止、出産の受け入れ制限は、ここ数年兵庫の医療機関でも相次いでいる。特に病院の少ない郡部では、遠方での出産を余儀なくされるなど問題は深刻。医師の確保も難しく、早急な対策を見いだせないままだ。北播磨では二〇〇三年に公立社総合病院(加東市)で出産の受け入れを休止。〇五年には小野市民病院と三木市民病院で産科が廃止され、〇六年には加西病院(加西市)の休止で一時、産科の空白地域に追い込まれた。加西病院は昨年十一月に産科を再開したが、「受け入れには限度があり、地域全体をカバーするのは難しい」と話す。
但馬では、公立八鹿病院(養父市)が〇六年に出産受け入れの休止を発表。その後休止は回避されたが、妊婦の集中を懸念した近隣病院が里帰り出産を控えるよう呼びかける事態も起きた。産科医不足は都市部も例外ではなく、西宮市立中央病院が〇六年春に産科を休診。明石市立市民病院は今年六月以降の出産受け入れ休止を決めている。
北海道新聞 2008年3月25日
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/83346.html
医療法人母恋(室蘭市)が経営する日鋼記念病院(室蘭市新富町)の救命救急センターが三月三十一日付で廃止となることが二十四日、正式に決まった。道が同日、廃止申請を正式に受理した。交通事故など生命に危険のある患者を診る高度救急医療(三次救急)を担う同センターの廃止は全国初。
日鋼病院は昨年九月、当時運営母体だった医療法人社団カレスアライアンスの理事長解任などから、医師が相次いで退職。十月ごろからは高度救急医療の機能を事実上、維持できなくなり、昨年十二月、道に救命救急センターの廃止を申し出た。四月以降も、重症の患者を診る二次救急は継続する。
日鋼病院の救命救急センター廃止で、道内は市立札幌病院など九カ所となる。
キャリアブレイン 2008年3月25日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15238.html
■Japan Medicine(株式会社じほう)が発信するメールです。
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■ 回復期リハ入院料、算定は1施設単位 <入院料1と2の病棟混在は不可>
厚生労働省保険局医療課は、回復期リハビリテーション病棟入院料の算定について、施設単位での算定とする方針を決めた。22日、東京都内で開かれた全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会(会長=石川誠・初台リハビリテーション病院理事長)の診療報酬改定説明会で、複数の医療機関から上がった疑義に対して回答した。医療課は、回復期リハビリテーション病棟入院料1の病棟と入院料2の病棟が1施設内で混在することは認められないとし、1施設につき1つの入院料の算定になると説明した。
内田健夫・日本医師会常任理事は23日、北海道プライマリ・ケア研究会(飯塚弘志会長)で「総合医等に関する見解」をテーマに講演し、日医・生涯教育推進委員会が21日に日医会長に答申した「日医生涯教育制度の有効性について」の内容を説明した。この中で内田常任理事は、日医会内で検討している「総合医」の呼称を「総合診療医」(仮称)とするよう提言したことを明らかにした。日医で検討している「総合医」が厚生労働省の提唱する「総合科構想」と名前が似通っており、地域で混乱を招きかねないことから、「総合科構想」と明確に区別するためだと説明した。
厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」で委員を務める堺秀人氏(神奈川県病院事業管理者・病院事業庁長)は22日、日本病院会の代議員会・総会で診療関連死の死因究明制度の今後の見通しについて講演した。制度創設に向けて厚労省が策定を進めている第3次試案について、「課題となっていた届け出範囲の明確化や刑事処分との関連に関して、かなり緩和されたものになる」と述べた。
制度創設をめぐっては、厚労省が昨年10月に第2次試案を示したが、届け出範囲が不明確なことや医療安全調査委員会(仮称)による報告書が刑事手続きに利用されることなどが盛り込まれたことを批判する意見が出ていた。厚労省は今月中にも修正を加えた第3次試案を示し、早ければ今国会に関連法案を提出する方針を示している。
愛媛新聞 2008年3月24日
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101200803224374.html
病気腎移植に絡む診療報酬不正請求などにより市立宇和島病院と宇和島徳洲会病院の保険医療機関指定取り消しが濃厚となっている問題で、社民党政審会長の阿部知子衆院議員(59)が二十一日、宇和島市を訪れ、両病院関係者や患者団体から指定取り消しによる地域医療への影響を聞き取り調査した。
阿部氏は「不正・不当な請求について是正する姿勢を示している市立病院に対する指定取り消しは飛躍し過ぎだ」と指摘。月内にも開かれる衆院厚生労働委員会で、取り消し反対の立場から舛添要一厚労相に質問する考えを示した。
小児科医でもある阿部氏は地域の医療拠点が一時期でも失われることを問題視。「処分が下る前に地域の実情を把握しておきたい」と来県した。
市立宇和島病院では市川幹郎院長らから、不正・不当とされた内容や第三次救急医療を担っている状況などを聴取。患者団体「移植への理解を求める会」の向田陽二代表らとも面談し、代替病院の少ない宇和島圏域の実情や、移植患者にとっての病院と医師の重要性を訴える声を聞いた。
聞き取り後、同市役所で会見した阿部氏は「短期間の処分であっても患者はお金や時間だけでなく体にも負担がかかる。移植患者は術後管理も必要。国は患者の命を保障しなければならない」と強調した。
佐賀新聞 2008年3月25日
http://www.saga-s.co.jp/view.php?pageId=1036&blockId=830019&newsMode=article
1月に唐津市で、救急搬送を病院に断られ、中国人男性が死亡するなど救急医療体制の充実が求められる中、県救急医療協議会理事会(会長・古川康県知事、18人)が24日、県庁で開かれた。県内の自治体病院が相次ぎ急患の受け入れを休止するなど、救急医療体制危機との指摘を受け、医師や消防の代表者からは、医師、患者双方のモラル低下を指摘する声が上がった。
北海道新聞 2008/03/24
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/83325.html
道医療審議会(長瀬清会長)は二十四日、新年度から十年間の新しい「北海道医療計画」の道原案について、了承することを、高橋はるみ知事に答申した。原案では道民の死因の約三割を占めるがん対策として「地域がん診療連携拠点病院」を現状の二倍の二十カ所に増やし、七十五歳以下のがん死亡を二割減らすなど三十五の目標を盛り込んだ。
奈良新聞 2008年3月25日
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080323/all080323a.shtml
県は、県立病院の特別会計予算で新年度に初めて赤字予算案で編成を行うことになった。赤字予算編成は全国的にも極めて珍しく、県立病院経営の厳しい実態を浮き彫りにした。県医大・病院課は「赤字で不足した資金は、県一般会計からの一時借入金で対応する」としている。
県立3病院(奈良、三室、五條)の事業費特別会計は、平成17年度決算から赤字額が増加し、19年度末には20億4400万円となる見込み。この赤字が年々増加した主な原因として、医師数の減少が挙げられる。医師は16年度の158人から19年度の145人と13人も減少し、連動して患者数も外来が16年度から19年度までに325人、入院が同86人も減少した。また、18年度の診療報酬のマイナス改定も収益減少に影響した…
北海道新聞 2008年3月25日
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/83326.html
本田宏の「勤務医よ、闘え!」
日経メディカルオンライン 2008. 3. 24
1)http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200803/505811.html
2)http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/blog/honda/200803/505811_2.html
私は1979年(昭和54年)に弘前大学医学部を卒業した後、青森県内で2年間の卒後研修をしました。当時は、駆け出しの私にも、患者さんやご家族から、時折「ありがたい」「もったいない」という言葉をいただいたものです。今考えると、これらの言葉が、私にとって一番の励ましで、早く一人前の医師にならなければ、時には自分の未熟さを恥じて一所懸命勉強しなければ、という気持ちをかき立ててくれたように感じます。
そして誰もいなくなる話 2008.2.1
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「非寛容、他罰的」は、まさに「お互いさま」や「相手の立場を思う」の裏返しの言葉のように思えます。医療にも不確実性と限界があり、当然、医療者も100%ということはありません。私はこれまで、「せめて日本の国力に見合う医療体制構築が急務だ」と行政に訴えてきましたが、医療崩壊を食い止めるには、やはり行政の施策だけでは限界があります。今後、団塊の世代高齢化による爆発的医療需要増大に備える意味でも、日本全体が「お互いさま」「もし自分が相手の立場だったら」と考えられるような社会になるよう、活動してきたいと思っています。
日刊スポーツ 2008年3月25日
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20080325-339793.html
京都新聞 2008年3月25日
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008032500032&genre=K1&area=K50
中国新聞 2008年3月25日
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200803250224.html
今年からお産を中止したり、制限したりすることを決めた医療機関が、全国で七十七カ所にも上ることが明らかになった。厚生労働省が緊急に医師を派遣して支援を予定しているのは、このうち七カ所にすぎない。地域医療の崩壊を防ごうと、多くの自治体が産科医確保に躍起になっている実情をみれば、医療関係者から「国の認識は甘く、根本解決にほど遠い」と批判の声が上がるのは当然といえよう。小手先ではない、実態を見据えた抜本的な対策が求められている。
キャリアブレイン 2008年3月25日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15237.html
読売新聞 2008年3月25日
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20080325p102.htm
時事通信 2008年3月25日
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008032500273
舛添要一厚生労働相は25日の閣議後記者会見で、2008年度診療報酬改定で病院勤務医対策などを1500億円増額することに関連し、「診療報酬で上がった分は、現場で働いている医師にきちんと配分することを(病院経営者に)お願いしたい」と述べ、勤務医の待遇改善に充てるよう要請した。
福島放送 2008年3月25日
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=200803253
県病院局は、大熊町の県立大野と、双葉町の双葉厚生の両病院の統合も含めた連携の在り方について、新年度に検討を開始する。20年度中には一定の方向性を示したい考え。24日に県庁で開かれた県立病院改革推進部会で示した。
両病院のある双葉地方は、中小規模の病院が多く、標榜(ひょうぼう)科は多いものの、医師は常勤でないケースが目立つ。
沖縄タイムス 2008年3月25日
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803251300_04.html
公明新聞 2008年3月25日
http://www.komei.or.jp/news/2008/0325/11099.html
キャリアブレイン 2008年3月25日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15239.html
毎日新聞 2008年3月25日
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080326k0000m040110000c.html
毎日新聞 2008年3月25日
http://mainichi.jp/area/akita/news/20080325ddlk05040330000c.html
北秋田市の公立米内沢総合病院(鈴木紀行院長)で06年12月、内視鏡検査を受けた男性(当時81歳)が死亡したのは腸内の出血を止める措置を速やかに取らなかったからだとして、遺族が病院を運営する北秋田市上小阿仁村病院組合(管理者=岸部陞・北秋田市長)に約2586万円の損害賠償を求める訴訟を秋田地裁に起こした。訴状によると、04年から胃下垂と高血圧の治療を受けていた男性が06年12月11日、内視鏡検査を受けた。医師は腸内の出血を見つけたが、出血源を特定せず、止血などの措置を速やかに取らなかったため、男性は同日、出血性ショックで死亡した。北秋田市は「市長が出張中で不在のためコメントできない」と話した。
キャリアブレイン 2008年3月25日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15245.html
毎日新聞 2008年3月25日
http://mainichi.jp/life/health/news/20080325ddm010100066000c.html
日本経済新聞 2008年3月25日
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080324AT2M2400X24032008.html
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