(関連目次)→他科でも顕著な医療崩壊 目次
(投稿:by 僻地の産科医)
江原先生の論文です!いつもありがとうございますo(^-^)o ..。*♡
たしかに外科はまだ人数が確保されているものの、周囲を見ても
どんどん高齢化していっていて、若手がいない感じがします。
以前勤めていた病院(公立病院)など10人ほどの外科医の一番下が
専門医をすでに取得した10年以上選手でした。。。
日本外科学会の意見広告については、こちらもとてもまとまっていますので、
ぜひ参考にしてくださいo(^-^)o ..。*♡
「学会の医療危機意見広告」
がんになっても、あわてない 2007/7/7
http://air.ap.teacup.com/awatenai/326.html
明日の外科手術はだれがするのか
―若手外科医の減少
北海道大学大学院医学研究科客員研究員(公衆衛生学) 江原朗
(日医雑誌第136巻・第11号/平成20(2008)年2月 p2247-2249)
http://pediatrics.news.coocan.jp/my_paper/ishikai2008_2.pdf
厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査1)によれば,平成8~16 年の8 年間で外科の若手医師(主たる診療科が外科である25~29 歳の医師)は,3,180 人から2,145 人へと著しく減少している(-33%)(表1).
平成16 年4 月に新医師臨床研修制度が導入され,この年には各診療科を選択した新卒の医師はいない.したがって,平成16 年の25~29歳各診療科の医師数は,他の年に比べて少なくはなる.
しかし,平成8 年以降,25~29 歳の外科医の数は年々減少している.現在,産婦人科医の不足が社会問題化しているが,同世代の産婦人科医の減少(-23%)に比べ,外科医の減少のほうが著しい.また,小児科医の不足も叫ばれているが,若手に限っては著しい減少はない(0%).
全年齢層においても外科医の減少が認められ,平成8 年の24,919 人から平成16 年の23,240 人へと7% 減少している.また,平成8~16 年にかけて,40 歳未満の外科医が減少し,40~59 歳までの外科医が増加している(図1).
一方,65歳以上の国民人口は増えている.国勢調査2)によれば,65 歳以上の人口は,平成7年には18,260,822 人であったが,平成17 年には25,672,005 人にまで増えている(+41%).これに伴い,悪性腫瘍の1 か月当たりの手術件数も平成8~17 年の間に約20% 増加している.また,胃・大腸,乳房,肝・胆・膵の各悪性腫瘍についても増加傾向が認められる(表2)3).
手術件数は増加しているにもかかわらず,外科医総数も40 歳未満の外科医の数も減少している.特に若手外科医が減少しており,近い将来,手術の需要をまかないきれない事態が生じる可能性も否定できない.
病院勤務の外科医の平均勤務時間は68.8 時間であると日本外科学会は意見広告を出している4).月に換算すると123 時間[週(68.8-40)時間÷7 日×30 日]の時間外勤務をしていることになる.月80 時間以上の時間外勤務がある場合,過労死認定がされうることから考えても,病院勤務の外科医は過重労働をしているといえる.
医療事故を防止する点からも,外科医の健康を守るためにも,勤務体制を改善することは必須である.新卒の医師が外科を選択しなくなれば,明日の手術はだれがするのだろうか.継続性のある医療は,国民にとっても医師にとっても望ましいはずである.
文献
1)厚生労働省大臣官房統計情報部:医師・歯科医師・薬剤師調査,平成8,10,12,14,16 年.
2)総務省統計局:国勢調査,平成7,17 年.
3)厚生労働省大臣官房統計情報部:医療施設調査,平成8,11,14,17 年.
4)日本外科学会:意見広告広告特集「医療危機―日本の外科医療の将来は?」.
朝日新聞2007 年7 月7 日朝刊.
http://www.jssoc.or.jp/aboutus/relatedinf/asahi_interview_20070707.pdf
コメント