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(投稿:by 僻地の産科医)
本日、いってきました。
大淀事件の裁判日。
とってもとっても忙しい状態だったのに、
私を送り出してくださった同僚に心から感謝をささげます。
いつもありがとうございます。
それから快諾していただけることから、産婦人科医全員にとって、
この事件がいかに大きなものであるかということを示しているように感じます。
さて。傍聴記について。
すでに出ているところでは、
奈良大淀町立病院事件 第4回公判 傍聴記
ただの(ry 2007-12-17
http://d.hatena.ne.jp/tadano-ry/20071217
2007.12.17.の「大淀事件」系
お決まりの日々? 2007.12/17
http://okimari.blog26.fc2.com/blog-entry-1697.html
お決まりの日々?
第四回口頭弁論準備メモ1(大淀事件17 その1)
http://okimari.blog26.fc2.com/blog-entry-1698.html
第四回口頭弁論準備メモ2(大淀事件17 その2)
http://okimari.blog26.fc2.com/blog-entry-1699.html
あとは、
日々のたわごと・医療問題資料館 2007.12.17 Monday
大淀病院母体死亡「事故」 第4回裁判傍聴記(その1)
http://symposium.b-r.under.jp/?day=20071217
さて。
裁判資料の閲覧から、私の感想を。
「NICUのない病院での児の救命はあり得ない!」です。
原告ともなられている赤ちゃんですけれど。
4:10頃 母体搬送OKの返事をもらい、
妊婦さんを動かして救急車に乗せた途端、呼吸停止
(↑子癇には移動は禁忌!なんですよね。。。)
これも子癇が病態として先にあった証拠じゃないかと思うんですが
挿管して、救急車でそのまま搬送しています。
そもそもⅢ-200台だった意識はここからⅢ-300みたい。
5:50頃に国立循環器センターに搬入。
7:15頃 手術室、入室。
6:00~CTをとる(6:15頃?)の間の、NSTを今日はじめてみました。
1分3cm。 base line:190 non-reasuring pattern (←重要!)
しかも、緊急帝王切開と同時に、開頭術を同時施行していますが、
児のApgar score 1/6
(専門外の方にはわからないでしょうが、これで救命のみならず
よく後遺障害がでなかったものです!)
羊水混濁あり、MASになることが十分に予想されたので、挿管と同時に
気管内洗浄実施しています。pH7.172ですね。状態悪い。。。
胎盤病理の結果もみてきました。
胎盤は著明に浮腫状、胎盤梗塞を2箇所おこしていたようです。
浮腫浮腫の胎盤からもわかるように、
相当、児は頑張ったのだろうと思います(;;)。
かなり、状態悪いです。
この状態で 「脳外科だけの病院」なんてよく主張できるものだ。
そもそも妊娠中で、脳外科のみしかない病院がうけるとは
まったく思えないけれど、産婦人科医と小児科医がいなかったら
児は明らかに助からなかったんじゃないですか。
病院側の弁護士さんの書類が、今回提出分がかなりいいこと
いっていたので、まだ上げる予定です。
とりあえず、今のところの感想でした。
ご紹介ありがとうございます。
資料拝見しました。ただただ国循GJ ! ですね。
投稿情報: ただの(ry | 2007年12 月17日 (月) 17:17
確か遺族は途中で「子供はあきらめるから」とか言っていましたよね。そのため、電話先が脳外科だけで産科のない病院まで広がり、余計に手間取ったのではなかったでしょうか。
それで母児ともに死亡だったらやはり訴訟になるんでしょうね。
本当によくこれで後遺障害なく育っていると思います。国立循環器センターの先生たち、本当にパーフェクトなお仕事でした。。
投稿情報: 山口(産婦人科) | 2007年12 月17日 (月) 17:29
児か母体かという選択は、最終的にはお母さんご本人の希望でしょう。家族が推定するにしても限度があります。原告側には記録に明示されたご本人の遺志などが残されているのでしょうか。
記録があったにしても、生存可能性の低い母体への治療を、現に生存した児への治療=出産よりも優先すべきであると無条件に主張することは、児の生命と人権をあまりにも軽視するもののように思います。公序良俗に反するのではないでしょうか。
児の生存可能性のない時期に適用が限られているとは言え、本人同意を最優先する母体保護法の主旨とも外れます。
個別性の高い致命的且つ緊急時の対応の問題でもあります。
一般論として、裁判所で堂々と原告である児の生命・人権に反する主張を行うというのは、弁護士の品位としてどうなのでしょう。大阪弁護士会の考えを聞きたいところです。
投稿情報: rijin | 2007年12 月18日 (火) 11:09